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【学部選びの参考に】「大学化学」と「高校化学」の違いを徹底解説!

化学科志望の方は必見です!

こんにちは!武田塾八尾校講師のK(京都大学大学院工学研究科)です!

 

受験生の皆さん!そろそろ志望校は決まりましたか?

まだ決まっていない…という人はぜひいろんな学部や学科を調べてみて、自分のやりたいことに合致するような場所を見つけるようにしましょう!

 

これから勉強を進めていく上でのモチベーションにもなりますし、よく調べもせずなんとなくで専攻内容を選んでしまうと、興味の持てない分野の勉強を4年以上もするのはなかなかに苦痛ですからね(笑)

 

というわけで今回は、中でも化学科を目指す方たちに向けて、大学で学ぶ化学とはどういうものなのか、高校化学との違いは何なのかについて、簡単に説明させていただきます!

 

 

研究に成功した人のイラスト

 

高校化学

さてさて、大学内容の話に入る前に、まずは簡単に高校化学で学ぶ内容についておさらいしておきましょうか。

 

高校化学で学ぶ内容は、大きく3つに分けることができます。

①理論化学...原子の構造や化学反応など、様々な現象を理解する上での根幹となる前提知識を学ぶ

②無機化学...周期表上の様々な元素に対して、固有の特性や、性質による分類について学ぶ

③有機化学...いわゆる有機化合物の合成法や反応について代表的なものを学ぶ

 

大学の化学では、上記のような3つに大別された分野の各論に対して、さらにつっこんだ内容について学習していきます。

 

つまり、高校化学で習う化学は大学で扱う化学の準備段階みたいなもので、基礎の基礎だけを紹介しつつ難しすぎる内容は濁すかあえて説明しないかで、本質を損なわない程度に理解しやすく体系化されているものなのです。

 

ではでは、大学の化学は実際どのように学んでいくのか、次項で見ていきましょう!

 

大学化学

大学の化学では、上でも述べた通り高校化学の各論に対して、1つ1つの講義が割り振られていきます。

中でも理論化学はその傾向が顕著で、〇〇化学という名前の講義が10個以上もあり、90分×15回ほどの授業時間をかけて深い内容を学んでいきます。(全部必修というわけではないので安心してくださいね(笑))

 

物理化学

まずは大学から新たに湧いて出てくる分野、物理化学からいきましょう。

物理化学は、大学においても無機化学、有機化学とならび3大巨頭みたいな感じで君臨しています。

物理化学という講義はⅠ~Ⅲくらいまで分割されており、学年と開講期によって異なる内容を学んでいきます。

 

実際に学ぶ内容を分野ごとに簡単に分類すると、以下のようになります。

①熱力学 ②反応速度論 ③統計力学 ④量子力学 ⑤分光学

 

それぞれの具体的な内容についてはここで説明するには量も難易度もあまりにぶっとんでるので、興味のある人は実際に調べてみて欲しいと思うのですが、簡単に言うと、化学で取り扱うような化合物や分子について、その構造や性質、反応を物理的な視点から解明しよう、という学問です。

 

分析化学

こちらは、溶液中の化学平衡や沈殿・錯体の生成、酸化還元反応や酸塩基反応の原理についてより細かく理解しつつ、クロマトグラフィーや質量分析法、NMR法など様々な解析手法の原理と応用例などについて学びます。

高校では単語と簡単な反応を覚えていただけのようなそれぞれの現象に対して、どういう原理でそれが起こり、その分析をすると何が面白いのかなどが学べるので、今まで習った反応に対する解像度が上がってなかなか楽しいです。

 

生化学

さっきは化学が物理と合体していましたが、なんと生物とも合体します(笑)

とはいえ、こちらは必修というほどでもなく、学びたい人は取ってね、みたいな授業であることも多いのですが、人体における神経伝達のシステムであったり、免疫系の反応機構、糖鎖やアミノ酸などが生体内で果たす役割などについて学んでいきます。

 

将来創薬系などに興味がある人は、意欲的に学んでみても良いと思います!

 

化学工学

こちらは個々の反応や現象について学ぶというよりは、それらが応用されるような実際の現場において使用される反応器などについて学び、最終的には化学プロセスの計画や装置の設計、運転などに対する知見も深めていきます。

 

例えば、反応の効率を最大にするためであったり、得られる収量を最大にするためには、化学プラントのどの部分をどう設計するべきか、などですね。

 

うちの大学にはこの分野専門のコースも用意されているくらいで、社会的にも非常に重要な位置を占める化学分野となっています。

 

無機化学

さて来ました、無機化学ですね。

こいつはなんと大学でも「無機化学」という1大分野をしっかりと確立しており、こちらも物理化学同様Ⅰ~Ⅲくらいの講義に分かれて2年ほどかけてじっくり学びます。

 

学ぶ内容としては高校の無機化学と本質的には変わらないのですが、やはり少し次元が変わるような難易度の話になってきます。

 

それぞれの元素の特徴などはもちろん、それらが結合を形成して結晶となったときの原子同士の隙間の大きさの話であったり、金属錯体や配位子の構造や電子スペクトルなど、話すときりがないくらい様々なことを学びます。

 

高校無機化学における周期表上の分類は、縦の族(ハロゲンやアルカリ金属など)などがメインだったと思いますが、大学では主に最高エネルギー準位の電子の軌道の種類によってp-ブロック、d-ブロックなどの分類が出てきます。

 

ただの暗記分野だったあの頃の無機化学は見る影もないですが、こちらはおそらく必修になるので覚悟して頑張りましょう!

 

有機化学

化学の分類は一旦これで最後にしておきましょう。

ラストは有機化学です!

有機化学も物理化学、無機化学と同様Ⅰ~Ⅳくらいまでの講義が開講されており、全分野の中でもボリュームはぶっちぎりだと思います。

 

辞書みたいないかつい教科書を買わされて、高校時代に学んだ反応は本当に氷山の一角だったのだと思い知らされます。

 

具体的には、「反応機構」と呼ばれる、化合物同士が反応する時に電子がどのように動いて結合を生成するのかを学んだり、アルコールやカルボニル化合物など、それぞれの特徴的な官能基を持つ化合物が反応においてどのような挙動を示すのかを学んでいきます。

 

高校の有機化学は暗記である程度対抗できたかもしれませんが、大学有機は全部覚えるなんてマジで無理なので、何とかうまく体系化しながら学んでいく必要があります。

間違いなく1番しんどい分野ですね。

 

その他

さて、あとは上で紹介できていないもののなかに

環境化学、有機工業化学、高分子化学、電気化学、触媒化学などなど様々なものがありますが、これ以上は長ったらしくなるだけなのでやめておきますね。

興味のある人は是非調べてみてください!

 

実験と研究

ここまでで、実際に講義で学ぶ大学化学の内容は何となく知れたと思いますが、化学科の真骨頂はここからです。

おそらく大学3回生時には、学生実験と呼ばれる地獄みたいな時間割が組み込まれます。

 

化学が好きじゃない人にとってはまじで耐えられないと思うのでなんとなくで化学科を選ぶのは本当にオススメしません。

が、「化学」というものは身の回りの製品、例えば化粧品や洗剤、医薬品など、人間生活において必須のアイテムの製造に深くかかわってくる分野ですので、この先もおそらく廃れることはないでしょうし、圧倒的に安定している業界であるともいえます。

 

化学科のメリット・デメリットを1つずつ紹介しておいたので、化学科志望の人は参考にしてくださいね。

 

学生実験

では学生実験は具体的にどのようなことをするのでしょうか。

おそらく高校では化学は授業を聞いているだけで実際に実験してみたり、というところはそれほど多くないのではないかと思います。

 

筆者の大学の場合は、週9コマ(火~木の3~5限)の時間割で、3つのタームに分けてそれぞれの実験を行っていました。

1つ目のタームが無機化学・生物化学実験、2つ目が有機化学実験、3つ目が物理化学実験 みたいな感じです。

 

細かい内容については言及しませんが、今後研究活動をしていく上での基本的な実験操作、機器や試薬の使い方、レポートや実験ノートの書き方などを学んでいきます。

 

実験自体はなかなか楽しいのですが、レポートはとにかくきつかったですね…

 

研究活動

この記事のラストのテーマとして、少しだけ研究活動についても触れていきますね。

理系であれば基本的には4回生から「研究室」というものに配属され、その研究室固有の内容について研究を進めていくことになります。

学部卒就職、つまり大学院に行かずに4回生を終えたらそのまま就職する、という方でない限り、約3年間(大学院は2年間)はその研究室で過ごすことになると思うので慎重に選ぶようにしましょう。

※余談ですが、研究室配属の方法は話し合いなど様々ですが、中には学部1~3回生時代の専門科目の成績を配属の持ち点とする大学もあります。

研究室配属はわりとその後の人生を決めうるくらい重要なイベントなので、配属方法はしっかりと調べて成績が必要ならしっかりと取りに行くことをオススメします。

また、一応4回生から院にあがるタイミングで研究室を変えることもできるのですが、一層院試勉強を頑張らないといけないし、卒論のテーマが無駄になるしであまり推奨はされません。

理系学生は大学受験で終わりではなくもう一度受験が控えている人が多いので、その辺りも覚悟しておきましょうね。

 

では最後に化学系研究室の分類ごとの特徴について簡単に説明していきます!

 

①有機化学系研究室

こちらは名前の通り有機化学をメインに扱う研究室で、一般的にコアタイム(研究室にいないといけない時間)が長い傾向にあります。(高分子化学系の研究室も似たようなものなのでこの分類に入れて考えてもらっても大丈夫です。)

 

また、研究内容についても合成系と反応設計系に分かれており、「自分だけの分子を作り出す」などと謳っているところが多いイメージです。(中には製薬など、薬学部に近い研究をしているところもあります)

 

反応にかかる時間が長い分拘束時間も長くなりがちですが、特に高分子合成なんかは就職の際にも非常に有利になる知識ですので、一概にデメリットばかりでもありません。

 

化学系の中でもとりわけきつい部類の研究室と呼ばれていますが、有機化学が好きであったり、やりがいを求める人は選んでみてもよいのではないでしょうか。

 

②物理化学系研究室

こちらはいわゆる「理論」系の研究室が多く、「実験」をほとんどしないところが多いです。

つまりどういうことかというと、すでに現象としては確認されているけど理論が解明されていないものの解明に取り組んだり、コンピュータの計算ソフトを用いて理論モデルを作成してさまざまな設定で検証を行ったりします。

 

目標としては新たな測定手法や装置の開発などが挙げられます。

計算科学分野も大きくくくればこの分野に入りますので、数学や物理に強い人にはおすすめの分野だと言えます。

 

③無機化学系研究室

無機化学系の研究室の特徴としては、比較的コアタイムが短い所が多いところです。

その理由としては、焼成など、反応が付きっ切りでなくてもいいものが多く、分析や解析などに力を入れることが多い、というものがあります。

 

触媒などの研究室が多く、既存の反応の効率を爆発的に高める可能性も秘めており、化学系の中でも比較的自由な部類なので万人にオススメできる分野だと言えます。

 

④生物化学系研究室

生物化学は、いわゆるバイオテクノロジーと呼ばれる様々な内容についての研究を行います。

微生物の研究であったり、生体内の成分や糖鎖などの合成に関わるものが主流でしょうか。

 

こちらも有機化学系と同様、拘束時間が長くなりがちなのに加えて、相手が生物ということもあり活動時間が変則的になりがちというデメリットもあります。

 

ただ、その分研究室メンバーと過ごす時間も長く、雰囲気の良い研究室が非常に多い傾向があるように感じます。

 

⑤化学工学系研究室

ラストは化学工学系の研究室です!

こちらは講義紹介のところで述べた通り化学品の生産技術に関わる研究を行います。

 

反応プロセスを開発したり、環境やエネルギー、流体力学について学びつつ、より負荷の少なく最適な動作を行えるような設計を目指します。

 

化学工学系の研究室がある大学は全国を見てもそれほど多くなく、それだけで非常に希少価値の高い人材になれます。つまり、就職は引く手あまたということですね。

 

その分研究もハードであることが多く、化学以外の様々な知識を総動員しなければならないのでその辺りは少し大変かもしれませんね。

 

まとめ

さてさて、今回は化学科の実情についていろいろとお話していきましたがいかがだったでしょうか。

化学科を志望しようか悩んでいる受験生に少しでも参考になったなら幸いです。

 

数ある学科の中でも、決して楽な部類の学科ではないことは頭に入れておいてくださいね。

その分就職などは比較的安定しており、ホワイトな社風の企業も多いらしいので、化学が好きな人はぜひ化学科に入りましょう!

※何度も言いますが何となくで選ぶのは本当にオススメしません

 

というわけでいち早く志望校を確定させて、受験勉強に取り組んでいってください!

頑張りましょう!!

 

 

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