こんにちは!武田塾上田校講師の柳沢です。前回は比較的短い文章をマスターするための方法として音読を紹介しました。今回は本格的な長文を攻略するための方法を紹介します。長文が得意になるために、一番大事なことは何でしょうか?それは、「徹底的な復習」だと思います。でも、大量の長文問題を何度も復習するのは大変ですよね?そんな人は、これから紹介する「音声を利用した復習法」で、長文の復習を最大限効率化してください!(武田塾のルートにはCDやダウンロード音声が付いた長文問題集が多いので、それらの問題集を対象にした勉強法だと思ってください)
音声を利用した復習法とは何か
音声を利用して長文をマスターする方法といえば、まずシャドーイングがあります。シャドーイングとは、音声を再生し、ワンテンポ遅れて真似するように声に出していく方法です(武田塾では、これをテキストを見ながら行うことになっています)。これを行うには、次の2つの能力が必要です。
1音声のスピードについていけるだけの理解力(速読・速聴力)
2リスニングとスピーキングを同時に行う能力
実際にやってみると、2がキツイ・・・という人がいるかもしれません。2つのことを同時に行うだけでなく、自分の発した声とCDの音声が重なるために聞き取りが難しくなるからです。シャドーイングはTOEICの高得点者など上級者を中心に支持されていますが、効果が高いぶんだけ難易度も高い方法だと言えるでしょう。そこで、シャドーイングを行う前の段階としてもう少し簡単なことから始めたい人は、「リスニング+黙読」をおすすめします。これは、音声と同時にテキストを黙読するという方法です。以下、「音声を利用した復習法」と書いたら、シャドーイングと「リスニング+黙読」のどちらでもいいと解釈してください。
音声を利用した復習法の注意点
注意点を2つ挙げておきます。第一に、音声を利用した復習法の前提として、英語の語順のままで理解できる読解力が必要です。英文解釈の参考書を音読するなどして、英語の語順で理解できる回路を作っておく必要があります。第二に、特に音声を利用した勉強に慣れないうちは、音声のスピードについていけないことが多いかもしれません。ですが、根気よく続ければ、文章の内容が頭に残るので、そのぶんついていきやすくなります。それでも難しければ、もう一度訳を読み、単語をチェックし、問題文をじっくり読んでから、音声を利用して復習してみましょう。
音声を利用した復習法の様々な効果
「面倒くさそうなやり方だな」と思ったかもしれませんが、この勉強法には様々な効果があります。第一に、音声を使うので、自然とリスニング力がアップします。間違って覚えた発音もかなり修正できます。第二に、速読力がアップします。英語の語順のまま、ナチュラルスピードに合わせて読んでいくことになるので、ハードではありますが、だからこそ非常に効果的な速読の訓練になります。第三に、非常に効率的な長文の復習が可能になります。例えば、「速読英単語」シリーズなら、1冊あたり1時間程度で全ての文章が復習できるでしょう。長文問題集も、平均的なボリュームのものなら1時間程度で終わります。僕が受験生時代に愛用していた問題集「キムタツの私立大学英語リーディング」には、1000語以上の超長文を含む20題の長文がありましたが、音声を利用すれば2時間かからずに復習できます。すごいと思いませんか?音声を活用するまでは、これほど効率的に復習できるなんて僕は想像できませんでした。第四に、いい意味で「手抜き学習」が可能になります。音声を利用した復習法(シャドーイングまたは「リスニング+黙読」)で繰り返し復習し、長文が頭に入ってきたら、音声のみの復習(聞き流し)を試してみましょう。気楽に音声を流し、聞ける時だけ聞けばいいです。僕はTOEICの勉強に疲れた時、録画しておいた「世界ネコ歩き」を見ながら聞き流しをしたりしました。その他にも、「歯磨きをしながら」「バスや電車の中で」「スマホで気分転換しながら」など、いろいろな場面で有効です。集中して問題集に取り組むことができない時、聞き流しをして英語の勉強をさらに効率的にしていきましょう。
できるか不安な人へ
ここまで読んで、音声を利用した復習法にチャレンジしたいという人がいれば嬉しいです。でも、「やってみたいけど、できるか不安」という人もいると思います。音声のスピードについていく自信がない人は、まずは英文解釈の参考書に載っている短い英文を音読することから始めるといいと思います。僕も、本格的な長文にチャレンジする前に、英文解釈の参考書を何十回も音読しました。そうすると、英文の構造を瞬時に見抜く力(速読力と言ってもいいでしょう)がついていくのを感じました。このようにして鍛えた速読力のおかげで、音声を利用した復習法に自然に入っていくことができました。また、音声を利用した復習をすることで発音の感覚が身につくので、それにより音読のクオリティも上がりました。このような循環に入ることができれば、上級者の壁を破ることは不可能ではないと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。音声を利用した復習法を身につけることができれば、大学受験やTOEICなどで役立つだけでなく、一生使える武器になると思います。実際、英書にチャレンジしたり、YouTubeで英語のドキュメンタリーや著名人の対談などを見たりする上で、音声を利用して鍛えた速読・速聴力が非常に役立っています。ぜひみなさんも、音声を利用した復習法を身につけて、一生モノの英語の基礎を作ってください!