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令和5年大学入試共通テストを解説します - 数学I・A

こんにちは!武田塾つくば校です。

令和5年大学入試共通テストの解説をします。
今回は数学I・Aです。

目次

第1問(必答問題)〔1〕数と式〔2〕図形と計量

第2問(必答問題)〔1〕データの分析〔2〕2次関数

第3問(選択問題)場合の数

第4問(選択問題)整数の性質

第5問(選択問題)図形の性質

第1問(必答問題)

〔1〕数と式(絶対値、不等式、有理化、式の展開)

まず、絶対値は見た瞬間に外すようにすること。絶対値記号がついたままでは計算できません。
公式としては

|x|=a⇒x=a(a≧0)、x=ーa(a<0)

|x|>a(a>0)⇒x<ーaまたはx>a

|x|<a(a>0)⇒ーa<x<a

といったところ。

次の分母の有理化は不等号が絡んでいるので、負の数を掛けたり負の数で割ったりしたときに向きが変わることに注意。
絶対値を外して整理したときに

ー8≦(1-√3)(a-b)(c-d)≦ー2

となるので、ここですべての辺に「ー」を掛けておいて

2≦(√3ー1)(a-b)(c-d)≦8

としておくのも一つの手(問題の注意は無視することになるけど)。こうしておけば扱うのは正の数だけになるのでいろいろ気を使わなくて済むようになる。

そのまま「1-√3」で割った場合は不等号の向きやわらわら出てくる「ー」に注意して計算を進める。

最後の問題はノーヒントならどうしようかとすこーし考えてしまいそうだけど、問題文に「左辺を展開」せよとの指示が出ているので、これに従って展開していけばいい。
そうすると

①:ac-ad-bc+ad=4+4√3
②:ab-ad-bc+cd=-3+√3
③:ac-ab-cd+bd=?

①と②でピンク背景部分が共通しているので、「①の左辺ー②の左辺=③の左辺」になることに気づければOK。

〔2〕図形と計量(正弦定理・余弦定理、三角形への応用)

(1)

基礎的な問題だが、(ii)では△ABCの面積が最大になるのは点Cから辺ABに下した垂線が円の中心Oを通るとき、とすぐわかるようになっておこう。

△ABCの面積Sは「S=(1/2)absin∠ACB」よりは底辺と高さから求めたほうが簡単。

第1問〔2〕(1)(ii)

(2)

今度の△PQRの面積は上の公式から求める。

三角錐TPQRの体積が最大になるときだけど、(1)と似ていてTから面PQRに下した垂線が球Sの中心を通るときとなる。

それが分かれば△OPH、△OQH、△ORHにおいて、
OP=OQ=OR(球の半径)、OHは共通、∠OHP=∠OHQ=∠OHR=90°より
△OPH≡△OQH≡△ORH(直角三角形の斜辺と他の一辺がそれぞれ等しい)となるので、
⑥PH=QH=RHが選べる。

三角錐TPQRの体積については、底面積(△PQRの面積)はすでに出ているので、高さ、しかもTHのうちOTはやはり球の半径でわかるので実質的にはOHの長さを求めるだけ。

第1問〔2〕(2)

第2問(必答問題)

〔1〕データの分析(ヒストグラムと四分位数、箱ひげ図、分散、共分散)

分散や共分散・相関係数、四分位数、箱ひげ図の内容などはまぁ常識にしておく。今回の問題では、これだけで2問は確実に解ける。

(1)

ヒストグラムに度数の累積を書き込むなりして第1四分位数、第3四分位数がどの階級に含まれるかを確認。

四分位範囲は「第3四分位数ー第1四分位数」なのだが、今回は具体的な数値はわからないので、取りうる値で考えることになる。具体的には

「第3四分位数の階級の最小値ー第1四分位数の階級の最大値」より大きく「第3四分位数の階級の最大値ー第1四分位数の階級の最小値」より小さい

となる。

(2)

(i)第1四分位数、第2四分位数(中央値)、第3四分位数は、要するにそれより小さい値がそれぞれ全体の1/4、1/2、3/4あるという目印。地域Eでは中央値が2600より小さいので2600未満の市は5割以上あるのに対して、地域Wでは中央値が(ぎりぎり)2600より大きいので5割未満であることを意味する。

(ii)ただ分散の定義を聞いているだけ。

(3)

これも相関係数の定義が分かっていれば、表1から必要な数字だけピックアップして計算するだけである。最後は筆算すると思うけど、「0.3」が出た時点で選択肢は一つに絞れるので、それ以上計算する必要はない(時間のムダ)。

〔2〕2次関数(身の回りへの応用)

数学の試験なのにやたら文章が長くて、はじめは「何の話してるんだ?」となるかもしれないが、よくよく考えてみればただの2次関数、という問題。これにいかに早く気づけるかが大事である。
問題演習ならなんてことなくても、試験の独特の雰囲気にのまれてテンパることは十分ありうるので、普段から模試を受けるなりして場慣れしておこう。

(1)

C1もC2も2点しかわからないので、aやpは消えずに残ることになる。今回の事例においてはどのくらいの高さまで放り上げるかについて任意性が残っているからである(めちゃめちゃ高く打ち上げてもいいのである)。

プロ選手と花子さんの「ボールが最も高くなる時の地上の位置」はそれぞれ「2」と「2-1/8p」であるのだが、もしかしたら「pの値が分からないからどっちがMに近いかは決まらない(つまり③)」としてしまうかもしれない。
だがちょっと落ち着いて考えてみてほしい。C2は上に凸なのでpは具体的な数字はわからなくても確実にp<0である。だから正解は②となる。

(2)

3点目(点D)が決まるので、aの値が求まることになる。C2については全く計算する必要なし。
最後はシュートの高さを比較させるのだが、近似値が与えられているのでこれで計算するだけ。

第3問(選択問題)場合の数

(1)~(4)

最初の方はただ①~④に入れられる色の数を確認して掛け合わせるだけ。(4)は実は②~⑥が赤と青で埋め尽くされるということに気づけば組合せの考えで解ける(なお、①には3通りの色の入り方がある)。

(5)

同色の③と④を大きく〇で囲んでみたらわかりやすいだろうか。あとは余事象みたいな考え方で誘導に乗っていけばいい。

(6)

まともに考えるとかなりの難問だけど、(5)で考え方を丁寧にレクチャーしてくれているのでこれを応用していく。
一つ少ない場合の数を使っていくところなんかは数列の漸化式みたいな感じである。

第4問(選択問題)整数の性質(最大公約数・最小公倍数)

数が大きくなるので途中で計算ミスとかしないように注意。ケアレスミスするとかなり気づきにくい。

(1)

素数や正方形の問題は素因数分解や最小公倍数を求めれば済むのだが、長方形の問題は文字を使わないと厳しい。
横:462=2*3*7*11、縦:110=2*5*11なので、横にx枚、縦にy枚みたいな感じで文字を置いていく。
横と縦の長さの差の絶対値を

|462xー110y|=22|21x-5y|

と変形していけば、| |の中身が±1になるときが差の絶対値が最小になるときとわかるはず。

縦の長さが22長い場合は絶対値の中身が「ー1」になるときなので、

21x-5y=ー1⇒5y-21x=1

5の倍数の一の位は0か5しかないので最小の自然数xは4だとわかる。

(2)

これも最初は最大公約数・最小公倍数の問題。

こっちの正方形は文字を使わないと大変。正方形ができるときは縦も横も2310の倍数になることが分かっているので、赤をp枚、青をq枚使うとすると462p+363qも2310の倍数、ということで

462p+363q=2310r(rは整数)

とおくことができる。これを簡単にして

14p+11q=70r

こういうときの整数p、q、rの探し方にはコツがあって、移項して共通の約数でくくって「〇=△」という両辺に項が1つずつの状態に整理していく。

この問題では14pを移項して7でくくると「11q=7(10rー2p)」となるので、「10r-2p」が11の倍数になるようなp、rの組み合わせを探していけばいい。

第5問(選択問題)図形の性質

まずは図を描くのが一番大事。(1)なら用意してある参考図にガシガシ書き込んでいけばいいが、(2)は問題用紙の余白などに自分で描いていく必要がある。

(1)

接線と円の半径が直交する、対角の和が180°の四角形は円に内接する、などはもはや常識ということでいいだろう。
次は描いた図を眺めて、∠DEGと∠DOGが弧DGに対してそれぞれ円周角と中心角になっていること、OFがDGに直交することからOFが∠DOGの二等分線になっていることに気づけば埋められる。ここまでくれば「カ」はすぐである。

(2)

これは正直難しい。(1)の流れをlが円Oと共有点を持たない場合に当てはめていくことが分かっても、四角形PRTSが円に内接する条件が(1)と違う。

ただ、根拠はなくとも「5点O,P,R,S,Tが同一円周上にある」ことに気づければ正解は出せる。
共通テストは最後の手段としてこれができるので、解答の道筋が分からないといって諦める(あるいはこだわる)ことがないようにしよう。

まとめ

令和5年大学入試共通テスト数学I・Aの内容は

第1問(必答問題)〔1〕数と式〔2〕図形と計量

第2問(必答問題)〔1〕データの分析〔2〕2次関数

第3問(選択問題)場合の数

第4問(選択問題)整数の性質

第5問(選択問題)図形の性質

でした。

まんべんなく勉強しておくのはもちろんですが、第2問〔2〕のような身近な事象に応用した問題でも、文章を読んで素早くどの単元の内容を使えばいいか判断する能力が求められます。
基礎が固まったら問題演習を多くこなして、対応力を上げておくことが必要ですね。

 

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