塾・予備校に就職を考えている方必見!【業界事情】
こんにちは。武田塾豊洲校の川井です。
基本的には受験生・保護者様向きの情報を発信していますが、この記事では趣旨を変えて、教育業界への就職を考えている大学生の方々への情報発信をしていきます。
今回の記事では、以下のトピックを扱います。
・教育業界の特徴
・業界の見取り図 企業編
・塾予備校の事業部ごとの違い
・就活のアドバイス
・企業選びについて
教育業界の特徴
ここでは業界と業種の二つに分けてお話します。
業界の特徴
教育業の業界の話をするときに、よく話題に上るのは「規模」と「安定性」でしょうか。
業界の規模でいえば、「およそ3兆円弱」といわれていますが、これは生涯学習や資格取得のスクールも含むので、いわゆる塾予備校でいえば1兆円ほどと言われています。といってもピンと来ないと思いますが、コンビニ業界の経済規模が5兆円と言われています。業界は様々あり、塾予備校は身近な存在なので意外かもしれませんが、産業としての規模はそれほど大きくありません。人によるとは思いますが、経験的にも、まわりに塾・予備校に就職している方って、あまり思いつかないのではないでしょうか?
また、教育業界は成長産業とはみられていません。多くの方は受験期だけしか利用せず、中高ずっと通って6年間なので、ライフタイムに対する利用期間が限られています。なにより、少子高齢化のなかで、需要そのものが減っていくとみられています。
実際のところ、年々教育業界は大手による寡占化が進んでいます。規模が大きくブランド力のある塾が残り、中堅規模の塾は統廃合されていっている状況です。
では、業界傾向として教育業界はやめたほうがいいかというと、もちろん悪いことばかりではありません。教育業は不況に強いと言われています。景気が悪くなると海外旅行が国内旅行になったり、外食をしなくなったり、と消費が減っていっても、教育費はあまり削らないと言われています。リーマンショックのときなど、統計的には多少の減少はあったようですが、当時塾で仕事をされていた方々の肌感覚としてはあまり影響はなかったそうです。
実際、昨年のコロナ禍では、緊急事態宣言による混乱はあったものの、経済の停滞によって「塾代が払えない」といったお話は間接的に多少聞くことがあった、という程度です。
どちらかというと、大学の入試傾向の変化から、浪人生の増減などには左右されることがあります。
業種の特徴
塾予備校の業種の特徴といえば、なんといっても勤務時間がオフィスワークと異なることです。
本社勤務、教材開発などの場合はオフィスワークの場合もありますが、現場の講師・マネージャーは通常、午後から勤務が始まります。
始業が13時前後、就業が22時前後なので、教育業の人たちは電車の通勤ラッシュとは無関係です。また、午前中に時間があくため、生活リズムを保てる人にとっては、頭の回る午前中を趣味や自己研鑽に充てられるメリットもあります。
逆に、仕事終わりに集まるといったことは難しいので、アフターファイブに友達と過ごしたい人には向いていないかもしれません。
業界的に日曜日を休校することが多いので、社内での集まりなどは、日曜日か終業後に集まって朝解散になることもあります。
また、比較的女性の就職が多い業界ですが、現場勤務を前提とすると育児と時間の調整がしづらいデメリットもあります。これは大規模な会社では本社勤務に切り替えるなどの対応ができているようですが、小規模の塾になると融通が利きにくいかもしれません。
ちなみに、土曜日開校が多い分、平日に休みを取りやすい傾向があります。そのため、比較的すいている平日の昼間に自由な時間が取ることができます。
業界の見取り図 企業編
業界内でも、教材開発がメインの企業などもありますが、ここでは塾予備校を中心にお話します。
「教育業界」で括った場合、最も事業規模が大きいのは「ベネッセホールディングス」です。受験関係では東京(関西)個別指導学院や鉄緑会を参加に持ち、模試(駿台ベネッセを学校で受けた方も多いと思います)や英語教育(ベルリッツ)、介護なども手掛けています。
そこに次ぐのが「学研ホールディングス」です。教材開発では塾業界のトップ企業でしょう。こちらも介護など異業種にも参加しており、そうしたことから教育業界でトップレベルの規模になっています。
三位の「ヒューマンホールディングス」は人材開発や専門学校などを行っているため、塾予備校の文脈ではあまり見ることはありません。
それに次ぐ業界四位が、東進のブランドを持つ「ナガセ」です。受験以外にも「イトマンスイミングスクール」も運営していますが、受験産業に限定した規模ではトップの企業規模です。
その下に、受験業界ではTOMASの「リソー教育」や、「早稲田アカデミー」などが続きます。
塾予備校業界の企業傾向を分析するとき、「縦の拡大」と「横の拡大」で分類してみるとわかりやすいかもしれません。
縦の拡大:元々中核としていた事業から、それと関連して広げていった塾
例えば、早稲田アカデミー、臨海セミナー、ステップ、馬渕教室、英進館などです。元は高校受験塾であることが多い印象ですが、地域に密着しながら発展し、事業拡大する中で中学受験~大学受験までカバーしたり、AO・総合入試対策、幼児教育、個別指導事業部の設置などをしていったという流れです。ただ、大学受験に関しては東進やマナビスに加盟する傾向があります。
こうした塾は拠点となる地域があり、低い年齢からブランド内に生徒を囲い込み続けられるので、安定した経営・拡大をしている印象があります。その一方で、急拡大する企業もない印象です。
横の拡大:一つの事業を広い地域で行い拡大したタイプの塾
中学受験のSAPIXや能開センター、個別指導では東京(関西)個別指導学院や森塾、明光義塾、武田塾などが代表的でしょうか。(※SAPIXは代ゼミグループ、能開はAxis、東進は四谷大塚など他業態を持ちますが、ブランドの独立性が強いためこちらに分類しています)
こちらのタイプの塾予備校で特徴的なのは、その形式に独自性や専門性が高いことでしょう。
中学受験は高校受験指導塾が新規事業で始める場合もありますが、全国規模で校舎を持つ塾は限られています。
個別指導はこの形態のパイオニアである東京個別、それをFC展開した先駆けである明光義塾、低価格&成績保証で独自性の強い森塾が、業態を変えずに拡大をしてきています。武田塾もいわゆる「管理型の塾」という独自性があります。
こちらの横の拡大型の塾の傾向として、他で代替されにくい独自性・専門性があるため、馴染みのない地域に新規で校舎を開いても一定の需要が見込めます。地域に根付いたブランドという安心感がなくても戦える分、FC展開との相性も良いようです。ただし、独自性があるということは、市場としてはニッチな傾向もあるため、飽和しやすいという傾向もあるかもしれません。
就職先として塾予備校を選ぶ場合、その企業の商品について理解しておくことも重要です。縦の拡大をした塾は、そのブランドの教育理念が明確で、企業のカラーを明確にしていることが多い印象です。入社するときには、それに馴染めるかどうかもポイントです。
反対に、横の発展をしている企業は、あまり教育理念が固定化されていない印象です。特にFC展開をしている塾では、加盟している企業ごとに考え方の違いがあって当然なので、必然的に多様性が生まれ、独自なカラーが醸成されない傾向があります。
自分がその企業を志望するとき、教育理念とコンテンツのどちらに魅力を持っているかは分析をしてみると良いでしょう。
塾予備校の事業部ごとの違い
次は事業部ごとの差を見ていきましょう。
塾予備校の業務を大別すると、集団指導をする「講師」と、直接指導はしない「マネージャー」の二通りがあります。前者は集団指導、校舎は東進・マナビスなどの映像授業や、個別指導の業態です。
集団授業の事業部:講師
冒頭から難ですが、総合して言えるのは、「ほぼブラック」です。講師として授業がメインにはなりますが、面談や広報活動(ビラ配り・ポスティング)も行い、出世すると部下のマネジメントなども必要です。おそらく、一定の規模のある塾の校舎長で、ホワイトな働き方をしている人はツチノコ並みにレアではないかと思います。ただ、ブラックな分、人の入れ替わりも激しいので能力がある人は出世しやすく、集団指導の校舎長レベルであれば年収も相応に上がるため、野心のある人やライフワークのように業務に当たれる方にはお勧めもできます。
また、人間には「人に教えることを快楽と感じる能力」があると言われます。「授業」はまさのその行為なので、おそらくハマる人はのめりこむ仕事でもあるようです。また、授業だけでなく面談もすることが多いので、教育の現場として良くも悪くも「全部に携われる」という側面があります。
個別指導や教室運営:マネージャー
個別指導塾や映像授業がこちらに分類できます。塾業界の中では、講師よりは比較的ブラックではない傾向があります。ただし、これは塾と校舎次第です。慢性的に講師不足の校舎は、社員が普段から授業をしていることも珍しくありません。しかし、別に校舎長の業務があるため、指導をしていると他のことができず、朝残業が当たり前のなることもあります。
また、ほとんどの塾予備校は「季節講習」を行っていますが、これが就職して一番戸惑う部分かもしれません。塾によっては季節講習が年間売り上げ予算の半分を占めることもあるほどで、この売上が塾に収益に直結します。そのため、現場のマネージャーは講習をいかに売るかに追われています。これは映像授業の予備校も同じです。指導そのものは映像やアルバイトの講師が行うため、営業がベースになり、指導面が二の次になります。指導をすればするで業務を圧迫するので、いろんなことの板挟みになりやすい傾向があります。
とはいえ、業態としてブラックであることがやむを得ないブランドも少なくないですが、マネージャー職がブラックかどうかは運営する企業による部分が大きいです。
例えば、東進衛星予備校のフランチャイジー大手のMSGnetworkは、採用ページでもホワイトであることを押し出しています。武田塾も季節講習なく、高校生がメインであるため、普通の個別指導よりも余計なことに時間を割かれない傾向があります。
就活のアドバイス
応募する企業は自分の合うところを分析する必要がありますが、就活する上で気を付けて欲しいことがいくつかあります。
・異業種に転職しやすくはない
塾業界は手広く色々やることが多いですが、何かに特化していない傾向もあります。つまり、塾で工夫なく経験を積んでも、器用貧乏なキャリアになってしまいます。異業種に転職する場合、聞いた話としては、コンビニのSVのようなマネジメントや、BTCの営業系が多いそうです。
・その業界で何をしたいかをイメージする
採用試験の集団面接で良く、「子供が好きだから」「将来に貢献したい」と答える人が多いのですが、人事的な視点からすると、全く評価対象になりません。子供は嫌いはまずいですが、仕事は仕事なので、好きかどうかよりは向くかどうかが問われています。自身の経験や能力に基づいて何ができるのか、何をしたいのかをアピールするほうが印象は良くなるはずです。
・そんなにキラキラしていないが、ドロドロもしていない
「日本の将来を担う子供たちのために~」といったキラキラしたイメージで行くと色々食い違うかもしれません。一方で、いわゆるモンスターペアレンツ的な方ばかりということもありません。教育業界の人は、基本は人間が好きなので、風通しが悪い塾というのもあまり聞きません。ただ、前述の「縦に拡大」した塾や、規模の小さいところは、良くも悪くもカラーが強かったり、ウェットな人間関係がある場合もあります。
・退屈な職場はあまりない
良くも悪くもですが、人を相手にしているため、常に大なり小なりイレギュラーなことが起きます。ある友人から某職場では「毎日心を殺して就業時間を待っている」と聞いたことがありますが、塾ではそうした過ごし方になることはまずありません。
企業選びについて
これは求職者のタイプや目的によるので一概には言えません。ただ、新卒で、ベンチャー志向が強くなければ、まずは大手に入るほうがよいでしょう。規模の大きい塾予備校は、研修制度が整えられています。大きいところの仕組みやノウハウを身に着けて、そこで続けられるならそれも良く、教育理念や大きい組織に馴染めないなら転職する、という選択肢が取れます。
一方で、最初から小規模の塾に就職した場合は、大手ではありえない速度で責任のある仕事を任されることもあります。用意されたキャリアパスをなぞるのを待っていられないような人は、中小企業で貪欲に経験を積みながら、独立したりその経験をより活かせる場所に移ることもできるでしょう。
ただ、大手でも早い段階でチャンスが回ってくることもあるため(実際、私は新卒三カ月で個別指導教室の校舎長に抜擢されてます。なお、一年で転職しましたが)、塾に関しては後者のメリットは大きくないのではないか、という印象です。
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