こんにちは! 武田塾豊中校講師の原田勇輝です!
暑さも落ち着き、過ごしやすい季節になってきましたね。しかし油断は禁物です! そろそろ受験生最悪の敵、インフルエンザの流行が始まります。体力の落ちやすい受験後半期。手洗いうがいを徹底して、万全の体調で勉強しましょう!
さて、表題にあるように、今日は小論文や志望理由書などを書く際の基本となる文の書き方について話していきます。
なお、以下の文章はいつもの記事とは違い、本記事で説明する「きれいな文章の書き方」のルールに従い、小論文・志望理由書での運用に耐えるような文章を心がけて書いていきます。また内容が分かりやすいようにやむを得ず用いた、小論文・志望理由書では好ましくない表現には注釈をつけます。(意図的に不適切な表現を組み込み解説することもあります)(*1)(*2)。章の最後にどういった点が好ましくないかも記載するので併せて参考にしてみて下さい。
(*1)早速ですが、()で文章の補足をするのは小論文や志望理由書においては好ましくありません。()とは文章の中に組み込めなかった、表現しきれなかった内容を補足するものです。()を用いることはすなわち自分の文章力、表現力のなさを試験官に告白するも同然です。
(*2)この記事は全て敬体、つまり「ですます調」で書いてありますが、小論文では常態の「だである調」で書くのが基本です。一方、志望理由書では敬体か常態かのどちらを使うか、明確に決まってはいません。受験校から書き方の手本などが示されている場合はその表記に合わせましょう。何もない場合には敬体と常態のどちらで書いても構いませんが、多くの人は常態で書くことに抵抗を覚えるでしょうから、敬体で書くと良いでしょう。
入試での小論文・志望理由書などの役割
今日、多くの推薦入試や一般大学入試で小論文・志望理由書の提出が求められます。
ではまず、皆さんの小論文・志望理由書を通して大学はどのような能力を測ろうとしているのかについて分析していきましょう。
入試での小論文によって測られる能力は大まかに以下のような内容です。
①文章力:日本語の正しい運用が出来ているか。読みやすい文章になっているか。
②問題解決能力:設問に対して妥当と思われる解決策・考えを提示出来ているか。
③読解力:設問を客観的に読解することができているか。
④論理的思考力:文章が論理的であるか。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
まず①の文章力に関しては改めて説明する必要もないでしょう。しかし、漠然と読みやすい文章を書くようにと言われても難しいと思いますから、次項「読みやすい文章とは」で読みやすい文章を書くために最低限必要となるルールを示します。参考にしてください。
②の問題解決能力については本記事ではあまり深く触れませんが、この能力は小論文で問われた内容に関しての知識量や、普段から問題解決という視点に立って物事を考えることができているかが大きく関わっています。ニュースなどをよく見たり、志望校の過去問をチェック(*3)して傾向を掴み、出題されそうな分野についてあらかじめ調べておくと良いでしょう。また、小論文の問題集などを解くことによっても問題解決能力は向上します。
③の読解力は簡単なように見えて受験生の多くが出来ていない項目です。しかし、問題文の内容を理解できていない人はほとんどいません。読解力不足と判断される人の多くが陥りやすいのが、「設問で聞かれていた内容と違う内容のものを結論として述べてしまう」ことです。そしてその傾向は求められる字数が多くなれば多くなるほど高まります。設問で聞かれていることに答えを提示出来ていない文章は、問題文を読解する能力がないとみなされてしまいます。
④の論理的思考力とは、自分が述べた例や考えが文章全体の結論を導き出すのに妥当であるか、ということです。以下に少し大げさに書いた論理的でない文章の一例を挙げます。
「英語を話す彼の姿に感銘を受けた私は数学を学ぶことにした」
誰が見ても前の例が論理的でないことは明らかでしょう。ここまでではないものの、論理のかみ合っていない文章を書く人は一定数います。
実は③読解力と④論理的思考力におけるミスのほとんどは、ある一つの原因に起因していることが多いです。その内容と対策方法については次々項「急がば回れ~構成を練ろう~」で述べます。
(追記)
例外として、このような文章を書いてしまう人もいます。
「今日は雨だった。だから出かけることにした」
こういった文章は文学的には優れた文章であると言えましょう。「主人公は晴れ嫌いなのかもしれない」「なにか心に陰鬱なものを抱え込んでるに違いない」と、読者の関心を引くことに成功しています。しかし、こういった文は小論文・志望理由書という分野では「ただの論理的でない文章」とみなされます。普段からよく本を読む人、小説や物語を書くのが好きな人など、比較的文章を書きなれている人が特に陥りがちです。注意しましょう。
では次に志望理由書で大学が受験生に求めているものを挙げていきます。
①文章力:日本語の正しい運用が出来ているか。読みやすい文章になっているか。
②論理的思考力:文章が論理的であるか。
③内容:どうして他大学でなくこの大学を選んだのか。大学に対する理解。意欲。独自性。
志望理由書に関しても大まかには小論文と同じことが求められています。
では、次の項から読みやすい文章について解説していきます。
(*3)英語のカタカナ読みはむやみに用いないほうがよいでしょう。ただし、「ニュース」など一般的に広く定着している言葉で、日本語に言い換えるとかえって不自然になる言葉については用いても構いません。また、略語なども用いないようにしましょう。ここでは「過去問」でなく「過去の問題」や「過去問題」にすべきです。ですがここは意見の分かれるところで、「過去問」は十分に定着した言葉であるため問題ないというような考え方もあるようです。このようにカタカナ言葉や略語など、どこまでが許されてどこからが許されないのかと迷ったときは、可能な限り用いないというのが一番の安全策であると言えるのではないでしょうか。
読みやすい文章とは
文章とは小論文・自己推薦書の外見です。面接などでまず最初に身だしなみや清潔感が見られるように、小論文・志望理由書ではまず文章自体が読みやすいかどうかが見られます。ここでつまづいてしまうと、どんなに内容が素晴らしくても挽回するのは相当厳しくなるでしょう。
では、具体的に読みやすい文章とは何でしょうか。ここでは読みやすい文章を書く上で注意すべきことのうち、あまり受験生が意識できていないことを挙げていきます。
①「!」「?」「・」「・・・」「~」などの記号は用いない。
これは小論文・志望理由書を書く上で最も基本的なきまりです。「!」や「?」は本来日本語にはなかった表現で、ブログやメールなどはさておきフォーマルな文章においては用いてはなりません。「?」は「~だろうか」の様に、文末に「か」をつけることで代用できます。「!」は感情の高ぶりを表現する記号ですが、小論文・志望理由書において感情の高ぶりを表現する必要はありません。平常心で書きましょう(笑)(*4)
また、「30~40」などの表現は「30から40」、「小論文・志望理由書」という表現は「小論文や志望理由書」と書き換えると良いでしょう。
このほかにも使ってはいけない記号はたくさんあります。自分が普段用いている記号をどのように書き換えればよいのか日頃から意識するようにしましょう。
(*4)無論「(笑)」は小論文・志望理由書では用いてはいけない表現です。基本的に流行語やネットスラングは全て使ってはいけません。(勿論議論の対象として用いる分には構いません。(例:”(笑)という表現がインターネット上でよくみられる。これは現代人の、感情を言葉で表現する能力の低下を象徴するものだと私は考える。”など)SNSの発達によりネットスラングなどが日常生活に浸透した今、何気なく用いている言葉がネットスラングだったということもままあります。より一層気を付けるようにし、ネットスラングであるか否か瞬時に判断のつかない表現は使用を避けるのが賢明です。
②一文を長くし過ぎない
小論文や自己推薦書の指導を行う上で最も指摘することが多いのが一文の長さについてです。書き言葉になると多くの人が接続詞を多用し、文章を長く続けようとしてしまいます。600字程度の志望理由書を3文だけで書ききってしまったという人も多く見ます。一文の長さの目安は出来れば40字以内、多くとも50字以内に収めるようにしましょう。そのためには適度な所で文章を区切る必要があります。
文章の区切り方
文章の区切り方として「一文一義」という考え方があります。一文一義とは、「一つの文章には一つの意味内容だけを書くようにしましょう」という文章作成上の決まりです。この考え方について一文が長すぎる文の一例を挙げて説明していきます。
(例)
『人間には言葉を話す能力があり、この能力により強固な繋がりを持つ共同体を形成することができ、他の動物に比べ身体的能力において劣りながらも現在地球の生態系の頂点に君臨している訳であるが、言葉というのは他種族を退ける武器になる一方で自らの共同体、ひいては自分自身をも傷つけうる諸刃の剣であるということを忘れている現代人が多いのではないかと私は考えるのである』
文の内容の是非はさておき、この一文を意味内容ごとに分割してみましょう。すると、
・人間には言葉を話す能力があり、その能力によって強固な共同体を形成した。
・それにより人間は生態系の頂点に君臨している。
・しかし、言葉とは諸刃の剣である。
・現代人はこのことを忘れている。
という4つもの要素が一文に詰め込まれていることがわかりました。ではこの文を一文一義の決まりに従って分割していきましょう。
『人間には言葉を話す能力があり、この能力により人間は強固な繋がりを持つ共同体を形成することができた。そのことによって他の動物に比べ身体的能力において劣りながらも、現在地球の生態系の頂点に君臨しているのである。しかし言葉というのは他種族を退ける武器になる一方で自らの共同体、ひいては自分自身をも傷つけうる諸刃の剣である。そのことを忘れている現代人が多いのではないかと私は考えるのである。』
このように文章を意味内容で分割することで文章全体の意味を変えることなく短い文に分割することができました。
しかし、ここで一つ注意すべき点があります。それは、あまりに短すぎる文章が何度も続くのも好ましくないということです。さきほどの文章をより細かく分割してみましょう。
・人間には言葉を話す能力がある。
・その能力によって強固な共同体を形成した。
・人間は他の動物に比べ身体的能力は劣っている
・しかし人間は生態系の頂点に君臨している。
・言葉は他種族を退ける武器になる。
・しかし、自分をも傷つけうる諸刃の剣である。
・現代人はこのことを忘れている。
『人間には言葉を話す能力がある。この能力により人間は強固な繋がりを持つ共同体を形成することができた。人間は他の動物に比べ身体的能力において劣っている。しかし言葉を使う力によって地球の生態系の頂点に君臨しているのである。言葉というのは他種族を退ける武器になる。その一方で自らの共同体、ひいては自分自身をも傷つけうるのである。そのことを忘れている現代人が多いのではないかと私は考えるのである。』
たしかにこのように分割することもできますが、この文章は短文が繰り返される構成になっているせいで箇条書き感(*5)がでてしまい、稚拙に感じられます。
文章は長すぎてもいけませんが、20字未満のあまりに短い文章が何度も続くのも好ましくありません。短文(20字未満)と長文(長いとは言えども60字未満で)を組み合わせ、バランスの良い文章を書くようにしましょう。
(*5)「○○感」という表現は好ましくありません。「○○の様に見える」などと書き換えましょう
③読点(、)を適切に打つ。
学校の国語の授業ではあまり教えてくれない上、文章をよく書く人でない限り注意もしないせいか、読点を適切に打てていない人をよく見かけます。
読点は簡単に言えば文章の区切りを分かりやすくする役割を持っています。
次の文を読んでみて下さい。
「彼女は泣きながら走る男の子を追いかけた」
さて、この文章は二通りの解釈が出来ます。
・女の子が泣いていて男の子を追いかけている。
・女の子は泣いている男の子を追いかけている。
では、次の文章はどうでしょう。
「彼女は、泣きながら走る男の子を追いかけた」
「彼女は泣きながら、走る男の子を追いかけた」
この文であれば、一つ目の文で泣いているのは男の子、二つ目の文では女の子とはっきりわかります。
このように、文章の解釈を分かりやすくするために読点は打たれます。
他にも、
・長い主語の後に打ってどこまでが主語かの判別をつきやすくする。
例)そのパーティーの出席者のうち65歳以上の人は、一階のメインホールに集まってください。
・複文の区切りに使う。
複文とは一つの文の中に主語述語のペアが複数あるものを指します。多くの場合主語述語のペアは接続詞でつながれるので、その接続詞の後に読点を打ちましょう。
例)多くの場合主語述語のペアは接続詞でつながれるので、その接続詞の後に読点を打ちましょう。
・文頭の接続詞、副詞の後に打つ。
これは絶対に打たなければならないわけではありませんが、読点を打つことで接続詞、副詞を強調することができます。この記事でも文頭の接続詞の後に読点を打ったり打たなかったりしています。この判断基準は、「文の調子に合わせて打つ」というあやふやな基準であるため、基本的には自身の感覚に合わせて打てばよいでしょう。
例)しかし、私はそうは思わない。
・漢字、かなの連続を防ぐ。
ひらがなの言葉が続いたり漢字が続いたりすると、どこが単語の区切りであるか判別がつきにくくなります。そこで読点を打つことにより、単語の区切りをはっきりさせます。
例)そもそもその議論は正当なものだと言えるのだろうか。→そもそも、その議論は正当なものだと言えるのだろうか。
等があります。以上に示した五つの読点を打つべき場所のうち、赤文字で示したものは絶対に打った方が良い読点です。一方で黒の太字で示したものは文中の読点の量に応じて打つか打たないか判断しましょう。(*5)
(*5)読点というのは会話における息継ぎです。読点の量に関しては非常に感覚的になってしまいますが、頭の中で発音してみて息苦しくないか、もしくは息継ぎが多すぎて過呼吸になってしまわないかで判断しましょう。曖昧な判断方法で不安になった人もいるでしょう。しかし、ひとそれぞれ会話中の息継ぎの個所が違うように、読点の打ち方について最低限のルールはありますが、明確な正解は存在しないのです。日本語の専門家が書いた文章でも人それぞれ読点を打つ個所が異なっており、非常にその人の個性の出るところであります。ですから、最低限ここまでの赤字で書いたルールさえ押さえておけば不正解にはならないので安心してください。
急がば回れ~構成を練ろう~
さて、読みやすい文章が書けるようになったのなら、次は文章の構成についてです。まず第一に、皆さんに伝えたいことがあります。
絶対に構成を練ってから文章を書き出しましょう。構成を練らずに書いた文章は間違いなく悪文になります。
一番最初に「設問で聞かれていることと違うことを答えてしまう人」と「文章が論理的でない人」は同じ理由で躓いている、と言いました。その理由がこれです。「設問で聞かれていることと違うことを答えてしまう人」と「文章が論理的でない人」は大概文章を書く前に構成を練っていません。もちろん、頭の中で大まかに、こんなことを書こうかな、という程度には決まっています。しかし、それを紙に書きだすことまではしないので、頭の中を整理できてないまま書き始めてしまいます。すると、これも書こうあれも書こうと、あれこれ考えているうちに話が逸れて、設問で問われていたことと全く違うことを答えてしまったり、しなければいけない説明を書き忘れて、非論理的な文章に仕上がってしまうのです。それを防ぐために予め(*6)構想を練って、書き出しておくことが必須です。
(*6)「予め」:読めましたか? 「あらかじめ」と読みます。他にも「悉く(ことごとく)」「或いは(あるいは)」など。小論文の相談を受けていると、このような難しい漢字、というよりは普通ひらがなで表記されることの多い表現をわざわざ漢字で表記している小論文を稀に見かけます。確かに「小論文」=「堅苦しく難しい表現で書かれた文」というようなイメージがあり、そのような漢字を用いれば本格的な文章に見えなくもありません。しかし実際はこういった過剰な堅苦しさは採点者にあまり良い印象を与えません。他にも「ゆえに」「しかるに」「はたまた」のような普段使わない接続詞にも注意。
では、実際にどのような構成を組んでいけばよいのか、まずは段落構成という観点から見ていきましょう。
まず、小論文の構成の組み方の例として①双括方②頭括型③尾括型があります。この三つは、結論にあたる意見部分とその理由説明を、どのように配置するかで区別されます。
①双括方
意見→理由説明→意見
「私はこう思う。なぜならこうだからだ。だから私はこう思うのだ」
②頭括型
意見→理由説明
「私はこう思う。なぜならこうだからだ」
③尾括型
理由説明→意見
「こうだから、私はこう思う」
基本的にはどの型を使っても構いませんが、双括型は二度同じ内容を述べる必要があるため制限字数が少ない小論文では内容が薄くなってしまいます。
私のおすすめは、双括型で字数制限+100字構成を考え、その後最後の意見部分を切り取って頭括型に変える方法です。イメージは下の図のような感じです。
この方法で構成を考えると、最後の意見部分に続くように理由説明を書かざるを得なくなるので、話が脱線して、問題に全く違う回答を返してしまうことを防ぐことができます。最後の意見部分を切り取るのは、前述のとおり双括型は字数的に圧迫され、内容が薄くなってしまいがちだからです。
受かる文章を書くために
いかがだったでしょうか? 僕がこの記事で話した内容は本当に基礎中の基礎の内容です。「もっと深く知りたい!」という人は武田塾でも使っている、小論文対策用参考書(以下リンク)を一冊購入して勉強してみましょう。一冊やり切るだけで文章の質がぐっと変わりますよ!
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