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ノート活用法 ~物理編(例1)~

ノート活用法

 

こんにちは、武田塾天王寺校講師の石川です。

今回は物理の学習でノートを効果的に使う方法を具体的なノート作成例とともに紹介します。

数学のノート活用と重複する部分もありますが、内容は異なるので、まだ数学編を見ていない方はぜひ一読をすすめます。

当時僕が高校生だったときは、物理だけは特別に理解に苦しんだ覚えがあります。

今思い返すと物理には物理固有の難しさがあり、それは手法としての数学そのものの難しさと、それに加えて物理的な背景のもとでの問題考察の難しさという、二つのレベルの異なる難しさを混同していたからだと思っています。

物理の問題を解くには、まず基礎的な数学のレベルが完成していないといけません。

しかしそれだけでは十分でなく、加えて、扱っている問題の物理的描像が的確にとらえられていないといけません。

いま描像という難しい言葉を使いましたが、英語でいうとpictureです。どのような視点でその問題を捉えるか、その視点のことです。

この物理的描像を理解できないと、個別の問題に対処するときのおおまかな方針が定まらず、計算の量(回り道)だけが増えて結果に至らないということが起こるのです。

塾生のノートを覗いてみると、数式だけが並んでいて、その間になんの記述もないという子をときどき見かけます。

この態度は物理の学習においては危険であって、上に述べた物理的考えをうやむやにし、数学的な問題との混同を起こしやすくしてしまうのです。

そこでまず基本的な姿勢として、できないことがあった場合、できないのは数学なのか、物理なのか、ここをはっきりさせることが重要です。

また、自分の思考過程をなるべく言語化し、答案の記述としましょう。こうすることで、物理的な考えに誤りがある場合も修正が容易になります。この点については数学でもまったく同様です。

すべての科目と同様、できないことをできるようにすることが自習の目的です。このための主要なステップは

1 思考の言語化と記述

2 解説との照らし合わせ

3 弱点の発見

4 弱点の修正

5 解きなおし

となります。これを円滑に行うためにノートという媒体を利用するわけです。

ただし、物理の場合はさらに(実をいうと他科目でもそうなのですが物理では特に)一番始めのステップとして

0 問題文の分析

が加えられます。例えば数学の問題では、問題文を読むことによって問題の設定を理解し、求めなければならないことを読み取ります。

物理においてはそれに加えて、問題を解くうえでの理想化として何を仮定するかが問題文に含まれているのです。

問題を解くときは、問題文の一言一句に注意を払い、それぞれが何を意味しているかをよく考え、その示唆することを汲み取る訓練も必要となります。

これに関しては別の記事でまた詳しく述べる機会があると思います。

ノートの構成例

 

ノート作成にあたっての注意点

 

自習の開始時間と終了時間をメモしておきましょう。これによって定量的に自習時間を測ることができます。

物理の答案作成は往々にして数式の羅列になりがちです。なるべく自身の考察を言葉にし数式の行間を補足していきましょう。

こうすることで解説との比較が可能になり、自分に欠けている物理の知識や考え方を修正しやすくします。

こうした能動的な学習の仕方は、自習の間の集中力を保ってくれるという副次的な効果もあります。

また問題を解く際に使った法則は必ず明示するとともに、その法則が使える条件が今の場合成立しているかを吟味しましょう。これは問題文の分析とも密接に関連しています。

後の例で出てくるように、運動量保存則は物体間に内力のみが働いている場合に適用できますが、衝突前後の全運動量に関してはたとえ外力が働いていても、衝突時間が十分短く力積が無視できる場合は、近似的に運動量が保存しているとしてよいのです。このようなケースが物理的な知識の不足の典型例です。

自分に欠けていた部分を修正できたら、次に解きなおしをします。

このときは発見した修正点を意識して、明示的にそれを答案に記述していきましょう。

またできれば直後のみでなく、時間を空けて解きなおしをしましょう。もちろん、自分ができていると判断できた部分に関して何度も解きなおしする必要はありません。その仕分けが答え合わせのときの目標とも言えるでしょう。

 

解法によりよいものがある場合

 

以下に実際のノート作成例を掲載します。閲覧にはリンクをタップしてください。

問題出典:良問の風, 問題61

実際のノート作成例(前半)

実際のノート作成例(後半)

この問題では解法により効率的なものがあり、解きなおしの段階では小問の2と4に新しく修得した解法を用いています。

ここでは自分がとった方針(熱力学第一法則の直接的応用)よりも計算が短縮されることを理由に、解説の方針を採用した、という設定です。

i) 状態方程式より~、第一法則より~、また定圧変化とみなせるので~、力のつりあいによって、などの言葉に代表されるように、自分がなぜその式を書き下したかの理屈を述べていることに注意してください。これによって曖昧なところは残さず自分の答案としています。

ii) 自分で定義した文字を使う場合は必ず問題文に定義を述べること。

iii) 定圧変化とみなせる根拠も答案中に述べていることにも注意してください。こうすることで、なぜそうみなせるかの理屈まで、合っているかどうか解説と照らし合わせることができるようになります。実際の試験などで用いる答案と比べると説明がくどいかもしれませんが、これはあくまで自分の弱点克服のための自習だということを思い出してください。

 

物理的な考察に穴があった場合

 

次に物理の知識に足りずに頓挫したパターンをお見せします。閲覧には以下のリンクをタップしてください。

問題出典:良問の風, 問題46

実際のノート作成例(前半)

実際のノート作成例(後半)

この問題では、二物体の衝突の間重力やばねの弾性力が働いている状況でも、衝突の直前直後なら運動量が保存するとみなせることが肝になっています。

実際は問題を解く途中でそのことに気付けず答案は中断されていますが、一旦解説をカンニングして運動量保存則が使えるということを確認したあとは、それがどういう理屈かは後に対処するとして、後半の問題の解説を見ずに答案作成を再開して最後まで解いています。

このように、あるところで躓いたとしても、突破口さえ見いだせれば後半は解答できることは多いものです。これもその一例であり、運動量保存則が適用できるということさえ見抜ければ、あとの問題は完答することができる、ということが確かめられたわけです。

解説を読むという行為はどうしても受動的にならざるをえません。そこで問題を解く機会を少しでも増やしましょう。

ある小問が解けなかったからといってすべての問題の解説を見るのではなく、解けなかった問題の解説のみを見て、後半は再び自力で解いてみましょう

またポイントの運動量保存則の部分は、当該参考書の解説や他の参考書、また質問への回答などを通して、自分なりの納得の仕方を模索しています。

こうすることで、別の問題で衝突を扱うときも、衝突が一瞬だと仮定できれば保存則を使える、ということが選択肢のひとつとして追加されたわけです。

いいかえると、法則の適用範囲が拡張されたことになり、対処できる問題の数が増えたことになるでしょう。このあたりが物理の醍醐味のひとつですね。

 

総括 自分の学習に自覚的になる端緒としてのノート

 

物理という科目は、数学の力に加えて物理的考察・問題文の吟味が必要とされるという意味で難しい科目です。

しかし実際の自然現象の理解に適用できる考え方を学ぶという点ではこれほど刺激的な科目もないでしょう。

物理は数学という道具を用いて問題に対処するため、「物理ができない」に潜む問題も数学的なものと物理的なものに分かれます。

だからこそノートを使うことによって学習の問題点を類別し、体系的に処理することで、学習の効果を高めることが重要になるわけです。

今後物理の学習をする機会があれば、「数学の力は足りているか?もしそうなら物理の何が足りていないか」という意識で臨んでみてください。

 

最後に

今年もたくさんの生徒が逆転合格を果たし、新たな一歩を踏み出しました。

受験を通して、生徒一人一人が自分と向き合い成長してくれた結果です。

そんな生徒達を応援し続けることが出来てとても嬉しく思います。

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