こんにちは、武田塾巣鴨校です!
今回は受験科目として「漢文」を使うメリットについてお話をしていきたいと思います。
また、記事の後半では、漢文を使って受験できる「文学部」の魅力についても紹介していきます。
受験で「漢文」を使うメリット GMARCHの文学部は穴場!?
私立文系で受験する人の中には、漢文を受験で使わないという人が多いと思います。そもそも受けたい大学の学部の入試で出題されないことが多いからです。
たとえば「GMARCHまでで、経済・経営・商学部系統だけを受験する人」は、基本的には漢文に手を出す必要はありません(「基本的には」の理由は後ほど説明します)。
しかし、学部にあまりこだわりがなく、「とにかくGMARCHに行きたい」というような方針で受験する人は、漢文までやることも検討した方がいいかもしれません。
漢文受験のメリット
漢文をやる一番のメリットは、中央大学文学部・学習院大学文学部のように、文学部系統の学部を受験できるようになることです。
激戦のGMARCHの中でも、文学部は倍率が他の学部よりも低いことが多く、漢文さえやっておけば相対的には入りやすいので、「とにかくGMARCH」という人にはおすすめです。
漢文なんか難しくない
とはいえ、第一志望でもない文学部受験のために漢文を増やすのをためらってしまう人も多いかもしれません(見方を変えると、そういう人が多いから穴場になるのですが)。
「古文だけでも大変なのに、漢文も?」と思ってしまうことでしょう。
しかし、古文と比較すると漢文は習得するのが圧倒的に楽で、点数をとれるようになるまでの労力は意外と少ないです。ちょっとしたとっつきづらさを乗り越えて、覚えることを覚えてしまえばかなり安定した得点源になります。
参考書として特におすすめなのは、『漢文早覚え速答法』で、これさえやっておけば、インプットはほぼ完璧です(実際にやってみるとわかりますが、時間もそんなにかかりません)。
ただし、優先度としてはあくまで古文の方が高く、習得の順序として、漢文は古文の文法の基礎が身に付いてからやる方が効率が良いのでそこは気を付けるようにしましょう。
文学部のよさ
対象・方法ともに多様な文学部
皆さんは文学部に対してどのようなイメージを持っているでしょうか? たまに「文学について学ぶのが文学部」だと思っている人もいますが、それは誤解です。
「文学部」は「文学(literature)・部」ではなく、「文(letters)・学部」であり、letters、要するに文字や言葉に関わること全般を扱う学部です。
そのため、学科レベルになると、「〇〇文学(日本文学、ドイツ文学など)」だけでなく、思想、言語、歴史、哲学、美学、社会学、心理学など、様々な専門分野に分かれます。
そう聞くと、自分が興味が持てそうな分野が見つかりそうな気がしませんか?
たとえば「社会学をやりたい!」という場合に、学部名だけを見て受験校を決める人は多いのですが、学部の配置の仕方は大学によって様々で、実は「文学部」の中に社会学系統の学科が含まれていることも多いです。
自分の興味関心に近い学科が文学部の中にあることは意外と多いので、「文学部は受けないよね」と判断する前に、ぜひ調べてみてほしいです!
文学部で身につけられる力
また、「役に立たない」と思われがちな文学部の学問ですが、文学部では、「文献を批判的に読む」訓練を行います。
「批判的に読む」とは、粗さがしをしながら否定的に読むということではなく、文章の論理の流れを丁寧に追い、様々な視点で、「他にありうる可能性」を考えながら文章を読んでいくという、建設的な文章の読み方を意味します。
入試の現代文では、文章に書かれていることが正解であるというような読み方が要求されますが、そうではなく、「そもそもこの文章で書かれていることは妥当なのか」を、ひとつ上のレイヤーで検証していくというイメージです。
「哲学史について知っていること」が、大学卒業後に役に立つことはあまりないかもしれません。しかし、「哲学書を読める力」は、きっとどこに行っても役に立ちます(こういったレベルで「役に立つ」かどうかを議論すること自体に抵抗はありますが、あえてこういう言い方をしています)。
文学部は就職に不利ではない
文学部を避ける理由として「文学部は就職に不利そう」という理由を挙げる人がいますが、大学のランクで選抜されることはあっても、「文学部だから」という理由で不利になることは実際のところほとんどありません。
また、やりたい職業のイメージが具体的にある場合などは、「実用的に見える」(金融系に行きたいのであれば経済系など)学部を選ぶことが多いと思いますが、これも結構微妙なところで、「関係がないとは言わないけれども、おそらく高校生が思っているよりは関係がない」かなという感じです。
大学は就職予備校ではないので、大学の授業の内容と、就職して行う仕事の内容は、そこまで直接的に結びついているわけではありません。
中にはいわゆる「実用性」が高い授業やゼミもありますが、同じ大学内であれば他学部履修という手段もありますし、たとえば資格に向けて勉強する場合などは結局授業とは別に自分で勉強することになります。
そういった意味では、あまり功利的に先のことを考えすぎず、面白そうな分野を選んでみるというのもありだと思います(勉強しているうちに面白さがわかってくることもあります)。
あまり注目されないメリット
漢文をやっておくもう一つのメリットとして、共通テスト利用で漢文必須のところに出願できるというメリットがあります。
たとえば日東駒専やGMARCHで、個別試験では漢文が出題されない学部でも、共通テスト利用で出願するときは漢文が必要な学部は多いです。
もちろん漢文がいらない学部もあるので、現代文古文に絞っている人たちは「80分で150点満点の試験」、漢文が必要な人たちは「80分で200点満点の試験」と実質的な条件が変わってしまうのですが、漢文が必要なパターンの方が倍率も得点率も下がる傾向にあるので、戦略的に漢文を使った方が良い場合もあります。
また、試験の得点率だけを考えると一見前者の方が楽そうに見えますが、現代文・古文と比べて漢文は点数が取りやすいので、時間配分に慣れれば、一番安定しづらい国語の点数をある程度安定させられるようになります。
ここに関してはメリット・デメリットがあるのでどちらが良いとは必ずしも言えませんが、検討してみる価値はあるのではないでしょうか。
まとめ
今回は私立文系受験で漢文をやるメリットについてお話してきました。
受験校を考えるときについ最初から除外してしまいがちな文学部も、調べてみるときっと興味を持てる学科が見つかるはずなので、ぜひ選択肢に入れてみることをおすすめします。
また、参考書としては、『漢文早覚え速答法』は本当におすすめで、合格体験記等で「これに救われた」という人も多いので、少しでも「漢文やってみようかな」と思ったら是非中身を見てみてください!
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