こんにちは、武田塾下曽根校です。
今回はイベリア半島・北アフリカのイスラム王朝について解説します。
西アジアやエジプトとはまた違った独自の歴史を歩んでいます。
今回の記事を読んで、しっかりと流れを掴んでくださいね。
勉強の仕方
今回の範囲についても、世界史の勉強法の基本であるタテの軸とヨコの軸で考えていくことが大切です。
もちろん地図もしっかり把握しましょう。
地図
イベリア半島と北アフリカ
イベリア半島は現在のスペイン・ポルトガルがある地域で、ヨーロッパの南西部に位置します。
そして北アフリカと言っても、今回はアフリカの西北の位置が範囲です。
ちょうどイベリア半島の向かい側という訳ですね。
首都の位置
今回紹介する王朝は、首都がイベリア半島側にある場合とアフリカ側にある場合に分けられます。
「どの王朝の首都がどっち側だったか」を意識し、「王朝の名前と首都の名前」も併せてしっかり覚えましょう。
タテの軸
タテの軸としては、前史→ムラービト朝→ムワッヒド朝→ナスル朝という流れで覚えましょう。
前史(後ウマイヤ朝)
北アフリカでは黒人系と非黒人系が混血して、ベルベル人(ムーア人)が形成されていました。
このベルベル人が北アフリカの先住民という訳です。
その後、イスラム帝国が北アフリカやイベリア半島にまで進出。
イスラム帝国の分裂後は、後ウマイヤ朝がイベリア半島や北アフリカに領土としたのは、この記事で書いた通りです。
ムラービト朝
11世紀半ば、イスラム化したベルベル人によって、モロッコにムラービト朝が成立。
モロッコ中央部のマラケシュに都を置きました。
またイベリア半島や西サハラ地域にも侵出しています。
西サハラにあったガーナ王国を滅ぼしたのも、このムラービト朝です。
ここで覚えておくとアフリカの分野を理解する上でも便利なので、掴んでおきましょう。
ムワッヒド朝
12世紀のモロッコで、今度はムワッヒド朝が成立。
ムラービト朝を滅ぼし、やはりイベリア半島に侵出します。
しかしこの時期には、キリスト教勢力によるレコンキスタ(国土回復運動)が活発化していました。
そのためイベリア半島方面では、じわじわと後退していくことになります。
ナスル朝
13世紀に成立したナスル朝は、イベリア半島における最後のイスラム王朝です。
このナスル朝のもと、イスラム建築の最高傑作の呼び声高いアルハンブラ宮殿が建設されました。
アルハンブラ宮殿は世界遺産としても有名で、よく出題されるので覚えておきましょう。
1492年、キリスト教勢力によって首都・グラナダが陥落し、ナスル朝は滅亡。
イベリア半島からイスラム勢力は駆逐されました。
ヨコの軸
ガーナ王国の滅亡とアフリカのイスラム化
7世紀ごろ、西サハラのニジェール川上流にガーナ王国が建てられました。
このガーナ王国を滅ぼしたのがムラービト朝というのは、先述の通りです。
これを機にアフリカの内陸部でもイスラム教が広まる訳ですね。
アフリカの分野で出題されることも多いですが、ここで併せて覚えておくと便利です。
次のように、対比を意識して覚えましょう!
●ガーナ王国
・人種:黒人
・宗教:非イスラム
●ムラービト朝
・人種:ベルベル人
・宗教:イスラム教
首都
ムラービト朝とその次のムワッヒド朝の首都はマラケシュです。
モロッコの中央部にある都市です。
そしてナスル朝の首都はイベリア半島のグラナダが首都です。
「アフリカ側か、ヨーロッパ側か」の区別で覚えましょう。
領土の範囲
ムラービト朝とムワッヒド朝の領土は、北アフリカからイベリア半島にまで至っています。
2つの大陸にまたがっていた訳ですね。
一方ナスル朝の領域は、イベリア半島の南部にとどまっています。
ここも正誤問題を解く際や他の王朝との判断基準になるので、しっかりと把握することが大切です。
レコンキスタ(国土回復運動)
イベリア半島のキリスト教勢力がイスラム教勢力を駆逐していく流れを、レコンキスタ(国土回復運動)と呼びます。
ムワッヒド朝の時代には、イベリア半島の北部がキリスト教側の領土になっています。
1492年にナスル朝が滅亡したことを以って、レコンキスタは完了しました。
歴史の経過とともに、イスラム勢力がイベリア半島から駆逐された流れを掴みましょう。
語句の覚え方
まとまりで覚える
まず柱となる王朝の名前、首都、その文化などを整理しましょう。
一つのまとまりをセットで覚える習慣を作りましょう。
・王朝…後ウマイヤ朝
・首都…コルドバ
・文化…コルドバ大学など
・王朝…ムラービト朝
・首都…マラケシュ
・文化…ガーナ王国を滅ぼし、アフリカに侵出
・王朝…ムワッヒド朝
・首都…マラケシュ
・王朝…ナスル朝
・首都…グラナダ
・文化…アルハンブラ宮殿など
王朝と首都と正しく紐づける
特にこの範囲は、王朝と首都の名前があやふやになりがちで、正誤問題として良く出題されます。
間違えないように注意して覚えましょう。
また先に述べた通り、「ヨーロッパ側か北アフリカ側か」の区別もきちんとつけましょう。
意味で覚える
地名と民族名
エジプトより西側の北アフリカ一帯を、アラビア語でマグリブと呼びます。
「日の没する地」という意味で、文字通り「太陽が沈む=西側」を指している訳です。
マグリブの先住民がベルベル人というのは前述の通りですね。
ベルベル人は、アラブ人の少ない西側のアルジェリアやモロッコに特に多いです。
まとめ
世界史では、用語がカタカナでバラバラになりがちです。
また今回の範囲は、複数の地域にまたがっているから尚更です。
「どの王朝の何についてなのか」を意識して、日々の勉強に取り組んでいきましょう!
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