こんにちは、武田塾下曽根校です。
今回は世界史を勉強する上で重要になってくる、ゲルマン民族大移動について解説をしていきたいと思います。
ゲルマン民族大移動というと、いろいろな国ができたり滅んだりして、少しややこしいですね。
しかしこれが基に現在つながる西ヨーロッパの世界が形成されていきます。
そのため、後の歴史を把握する上でも重要なポイントとなります!
ゲルマン民族大移動に関しても、世界史の勉強法の基本、タテの軸とヨコの軸で考え、覚えていきましょう。
また移動とその結果に関して的確に理解するため、地図も頭の中に入れておきましょう。
地図
ゲルマン民族はバルト海沿岸部を原住地とし、居住地区を広げてきました。
大移動後は西ヨーロッパを中心に、複数の部族が地域ごとに国を作っています。
どの部族がどの国を作ったのかを間違えないように、地図をしっかり把握しておきましょう。
参考書では多くの場合、地図の上に部族の移動ルートを矢印で書いています。
それを上手く使いこなし、イメージを掴みましょう。
タテの軸
タテの軸としては、移動前→移動後という流れを意識しましょう。
ゲルマン民族大移動が始まったのは、395年にローマ帝国が東西分裂する直前です。
それを意識するとより分かりやすいと思います。
移動前
大移動前の古代ゲルマンでは、民会と呼ばれる戦士の集会で物事が決められていました。
また従士が馬・衣食などの支給や保護を受ける代わりに軍役奉仕を行う、従士制も発達します。
従士制は古代ローマ末期の恩貸地制(土地を与えてくれる存在に奉仕する制度)と結びつき、封建制度に繋がります。
こうした古代ゲルマン社会について、ローマ帝国のタキトゥスは『ゲルマニア』を書しています。
これはカエサルの『ガリア戦記』と並び名高い作品ですので、一緒に覚えておきましょう。
移動後
アジア系のフン族の侵入をきっかけとして、375年からゲルマン民族大移動が始まります。
そして各地域にゲルマン民族の国が作られていくことになります。
376年には西ゴート人が早くもドナウ川を越え、ローマ領内に侵入しています。
5世紀前半
・ヴァンダル人が北アフリカにヴァンダル王国を建国
・アングロ=サクソン人もブリテン島に侵入し、小王国を部族ごとに建国
→彼らが建てた諸王国をまとめて、アングロ=サクソン七王国(ヘプターキー)と呼ぶ
・フン族がアッティラ大王のもと大帝国を建てる
→しかし451年のカタラウヌムの戦いでは、西ローマとゲルマン人の同盟軍に敗れる
5世紀中ごろ
・ブルグンド人がジュネーブを中心にブルグンド王国を建てる
・476年には、ゲルマン人のオドアケルが西ローマ帝国を滅ぼす
5世紀末
・ラヴェンナを都にテオドリック大王が東ゴート王国が建てられる
→オドアケルが建てた王国は、この東ゴート王国に滅ぼされている
6世紀
・西ゴート王国(5世紀前半にガリア西南部に建国)が、イベリア半島のトレドに都を置き栄える
・6世紀半ば、ランゴバルド人がイタリア北部に移住して国を建てる
ヨコの軸
「どの部族がどの国を建てたか」をきちんと把握しましょう。
ごちゃごちゃして覚えにくいと思いがちです。
しかしほとんどの場合、部族と国の名前は一致しているので、そこまで覚えることは多くはありません。
どこからどこに移動したか
ゲルマン民族大移動の分野で大切なのは、「どこからどこに移動して建国したか」です。
設問では「〇〇から●●に移動してきた~族が」と書かれたりするので、間違えないように読み解きましょう。
そこで前述の通り、地図を見て、部族ごとの移動ルートを把握しておきましょう。
アングロ=サクソン人
・北ヨーロッパのユトランド半島から、ブリテン島に移動
・諸部族が七王国(ヘプターキー)を建国
ヴァンダル人
・パンノイアから北イタリア・スペインを経て、北アフリカに移動
・北アフリカにヴァンダル王国を建国
ブルグンド王国
・ジュネーブを中心に建国
フランク人
・ライン川東岸の原住地を保持しつつ、ガリア北部に拡大
・のちにクローヴィスがフランク王国最初の王朝・メロヴィング朝を立てる
西ゴート人
・黒海西岸部からガリア西南部に移動し、西ゴート王国を建てる
・その後、イベリア半島にさらに再移動
・再移動後は、イベリア半島のトレドに首都を置く
東ゴート人
・黒海沿岸からイタリア方面に移動
・493年にオドアケル王国を滅ぼし、東ゴート王国を建てる
ランゴバルド人
・568年にイタリア北部にランゴバルド王国を建国
語句の覚え方
まとまりで覚える
柱となる国の名前、首都、建国者、建国時期、「どこからどこに移動したか」を整理しましょう。
一つのまとまりをセットで覚える習慣を作りましょう。
(例)
・国の名前…東ゴート王国 ・首都…ラヴェンナ ・建国者…テオドリック大王 ・建国時期…493年 ・どこからどこに移動したか…黒海沿岸(ウクライナ方面)からイタリア方面に移動 |
バラバラに覚えると、意味が分からなくなると思います。
地図で移動ルートを確認したりして、イメージを掴みましょう。
地域の歴史で覚える
地域ごとに絞って、流れを時系列で覚えることも大切です。
特にこの時期のイタリアの歴史は複雑です。
・476年…ゲルマン人のオドアケルが最後の皇帝を廃位した結果、西ローマ帝国が滅亡 オドアケル王国が建国される ・493年…テオドリックがオドアケルを倒し、東ゴート王国を建てる ・555年…ビザンツ帝国のユスティニアヌス大帝が東ゴート王国を滅ぼし、イタリアを征服 ・568年…イタリア北部にランゴバルド王国が成立 |
西ローマ帝国→オドアケル王国→東ゴート王国→ビザンツ帝国→ランゴバルド王国、という大まかな流れを覚えておきましょう。
まとめ
西ローマ帝国はゲルマン民族大移動の影響を大きく受けて滅びました。
しかしビザンツ帝国(東ローマ帝国)は1000年以上続いたというのは、こちらの記事で紹介した通りです。
【世界史の勉強法】ビザンツ帝国の歴史について解説します! - 予備校なら武田塾 下曽根校 (takeda.tv)
世界史では、用語がカタカナで苦手意識を持ちがちです。
しかし今回紹介した勉強法を用いれば、必ず点数は上がります。
「間違った覚え方をしていないか」、「どの国の何についてなのか」を意識して、日々の勉強に取り組んでいきましょう!
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