こんにちは、武田塾 神戸三宮校の副校舎長 川口(現 岡本校 校舎長)です。
本日は「農業」をテーマにしてみようと思います。というのも、ウチの甥っ子が農学部や工学部の生物・化学系に興味を持っており、ときどき進路相談を受けるので、最低限のことは知っておかないとな、といろいろ調べてみたからです。
今回はそこで出た話題から、そもそも農業という仕事について簡単に見た上で、この神戸市近隣にはどんな大学があり、どういったことを学び、研究できるのかを順番に確認していきたいと思います。
1. いまさら農業!?!?
さて、みなさんは「農業」というとどんなイメージでしょうか。自分たちの生活に欠かせないものであることは容易に想像できるけれど、自分たちで今さら汗水垂らして農業なんてやりたくない!っていう人も多いのではないでしょうか。
(1) 農業は儲からない?農家は貧しい?
農林水産省の統計を見てみると、平成29年の個別経営の平均の農業所得は191万円だったとのことです。これを見て「やっぱり農業は儲からへんやん」ってなるかというとちょっと違います。
農業従事者は基本的にはサラリー(給料)をもらって農業をしているわけではありません。どちらかといえば会社の経営者と同じように考えないといけません。つまり、生産物の売上から生産のためにかかった経費を引いて所得を計算します。なので、サラリーマンの年収と比べるものではありません。
また、農業所得以外に農業生産関連事業所得、農外所得及び年金等の収入をを加えた総所得は526万円となっています。このように、専業農家、兼業農家といった形態の違いや、どういった作物を作っているかなど、サラリーマンと比べると農家は個別の事情が様々なので、農業は儲かるとか、農家は貧しいとか、一概には言えそうにありません。会社経営って儲かるの?っていっているのと同じようなことです。
というわけで、ここではこれ以上深く立ち入りませんが、サラリーマンの給与収入と農家の農業所得は単純に比べてはダメだということだけは押さえておいてください。
(2) 農協に搾取されるんじゃないの?
確かに、「農協改革」などといって「既得権益をはく奪せよ」というような政治の話題や、農協を離脱する農家のニュースなどを耳にすると、農協って悪者なのかなという印象を受けてしまいます。
でも、そもそも農協って何なんでしょう?
もし実際にこれから農業を始めてみようと思うと、ビニールハウスやトラクターなどの耕作機械、種苗や肥料などいろいろなものが必要になってきます。また、生産物を市場に流通させて販売するということも必要になります。台風などの自然災害により作物が採れなくなってしまったら困りますね。そもそも技術や経営などに関して不安がある場合はどうしましょう?
こういう悩みに対して農協は、生産に必要なものを購入するためのお金を貸してくれたり、農協の流通ルートを通じて販売を担ってくれたり、災害などに備えてお金を積み立てておいたり、生産や経営のアドバイスをしてもらったりすることができる協同組合です。 なので、むしろ農家の味方なんですね。
とはいえ、今どき農協は非効率的で搾取がバカにならない、などといった農家の声があるのも事実です。独自の物流・販売ルートを開拓したり、より効率的な生産方法を確立するといった「経営努力」が要求される場面もあるようです。
(3) 将来性がない?
これも農林水産省の統計を見てみると、農家の数は減少の一途をたどっています。実際、新規参入の障壁の高さ、少子高齢社会による後継者不足、それらの結果としての耕作放棄、TPPによる海外勢との価格競争などなど、問題点を上げるときりがありません。
しかし個人的には、このような様々な問題を抱えつつも農業はこれからますます発展する分野だと考えています。
まず、科学技術の発展による生産性の向上は止まりません。「品種改良など昔からずっと行われてきているじゃないか」と思うかもしれませんが、そうした品種改良などのバイオテクノロジーの進歩はもちろん、センシング技術やドローン技術や自動運転技術などのフィジカルコンピューティングの発達により生産性向上はますます加速するでしょう。
また先ほど、農協に頼らない独自の物流・販売ルートを開拓する必要性について言及しましたが、シニア世代に比べれば若者はSNSなどインターネットメディアを通じたマーケティングが得意なはずです。
さらに近年、農地法がたびたび改正されるなどして、企業が農地を持つことが少しずつできるようになってきました。今後も企業の農業参入の流れが大きくなるでしょう。オートメーション化を大々的に取り入れたり、工場内で植物を栽培するといった試みも行われています。今はまだ採算が取れないとして撤退する企業もあるようですが、問題は徐々に改善されていくはずです。
田舎への集団移住や、若者の農家転身などのニュースも聞きます。科学技術の発展や規制の緩和、そして個人や企業の努力などによって、農業の未来は皆が思っているより明るいのではないかと思います。
2. 農業を学ぼう
ここまで見てきたように農業は実は経営工学、生物工学、化学工学、環境工学、情報工学など様々な学問の上に成り立つものだということがわかります。また、理系的側面だけでなく、社会学を中心とする文系的側面も併せ持っています。もし実際に農家にはならなくても、農業を学ぶというのは社会に出る上で役立つのではないでしょうか。
農学が学べる近隣の大学
・神戸大学 農学部 (国立、兵庫県)
・吉備国際大学 農学部 (私立、兵庫県)
・摂南大学 農学部 (私立、大阪府)
・京都大学 農学部 (国立、京都府)
・近畿大学 農学部 (私立、奈良県)
・龍谷大学 農学部 (私立、滋賀県)
今回は「農学」で絞りました。「生命科学系」や「食品関係」なども考慮するともう少し選択肢は広がります。
吉備国際大学農学部や龍谷大学農学部は比較的最近設置された学部で、摂南大学農学部は2020年度設置予定です。近年、農学部人気が高まってきていることが伺えますね。リケジョ受けも良い感じがします。
学問・研究内容をピックアップ
個人的に気になった農業に関連する学問と研究をそれぞれ一つずつ紹介しようと思います。
農業経済学
農業経済学というのは普通の経済学とは違うのでしょうか。これは農作物の生産、加工、流通、消費といった農業活動を社会科学の観点から分析する学問ということで、農業経営からTPPなどの農業政策、食料自給率の問題や環境問題まで総合的に扱うようです。
通常の経済学はもちろん、法学、政治学、歴史学、地理学、統計学などをベースにした文理融合の総合的な学問で、大学では「農業経営学」「農政学」「農業統計学」などの各分野に分けて履修する場合も多いようです。
近畿大学農学部の研究
近大の農学部といえば、近大マグロやうなぎ味のナマズなど一般には水産学のイメージが強いですが、公式Webサイトなどをときどきチェックしているとかなりいろいろな研究を行っている様子が分かります。
近畿大学農学部のスペシャルサイトでは興味深い研究がいくつかピックアップして紹介されています。是非チェックしてみてください。
企業をピックアップ
最近ではアグリビジネスという、アグリカルチャー(農業)とビジネス(事業)を組み合わせた造語があるようです。ここでは、大手企業が農業に参入した例ではなく、もともとこのアグリビジネスを主体としたベンチャー企業2社にスポットを当てていこうと思います。
株式会社アグリメディア
この会社では、「農業を活性化・効率化する優れたプラットフォーム(場)の提供により、日本の農業の発展に貢献する」というミッションを掲げ様々な事業を行っています。
農業体験・飲食事業では畑をレンタルして野菜作りを体験できる「シェア畑」や、農園でバーベキュー・農業体験などができる「アグリパーク」といった施設を運営しています。農地・遊休地をそういったシェア畑として活用する事業も行っています。そういえばウチの甥っ子も、畑をレンタルしてそこで収穫した野菜をもってきてくれたりしていました。
また、農業従事者の求人広告「アグリナビ」などのキャリア事業、農業参入支援などのコンサルティング事業など、農業まわりの様々な事業活動をしているようです。
株式会社農業総合研究所
この会社では、生産者と提携し、集荷から販売委託までを担う「農家の直売所事業」や、海外輸出入やプライベートブランド向け卸取引を始めとする生産者直送農産物の流通拡大を狙う「農産物流通事業」、そして、農業参入企業や農産物直売所へのコンサルティングや6次産業化サポート等の「農業コンサルティング事業」を行なっています。
6次産業化ってわかりますか?1次産業が農業や漁業など自然から直接資源を採取する産業、2次産業がそのような天然資源を加工する産業、3次産業がそれら以外の運輸や小売や金融といった産業ですね。6次産業化とは農家などが1次産業で単に生産を行うだけでなく、加工や流通・販売まで含めてすべて行おうというもので、1次産業に2次産業と3次産業を足し合わせて(1+2+3=)6次産業というわけです。
ちなみにこの会社は数年前に上場も果たしました。まだ利益は安定していませんが、売上高は着実に伸びています。今後に期待が持てますね。
3. まとめ
農業に対して抱きがちな負のイメージから将来性まで、農業とはどんな職業か見てきました。サラリーマンというよりは会社経営のイメージに近いのですね。もっとも今後はオートメーション化や工場化といった時代の波と共にサラリーマン農家なんていう職業もあり得るかもしれませんね。
今まで「農業なんて古いわ」なんて馬鹿にしていたけど、「農業って案外おもしろそうやん」なんて人が一人でもいてくれたら幸いです。
でも、農業を学ぶために大学に入るにしても、どうやったらうまく勉強できるんだろうとお悩みの方は是非、武田塾の無料受験相談にお申込み下さい。以上、武田塾 神戸三宮校の副校舎長 川口(現 岡本校 校舎長)がお送りしました。
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