こんにちは。
武田塾堺東校です!
今回は、大阪府立大学の獣医学部に通っている下田先生に獣医学部について語ってもらいました\(^o^)/
彼は入学時も入学後も学部内でトップを走っており、めちゃくちゃ頑張っている彼だからこそ話せることも多いと思います。
「獣医学部」に行っている人しか分からないことをまとめてみたので、ちょっと知っている人も全然知らない人もぜひ読んでみてください!
0.プロローグ(獣医学部を目指したきっかけ)
僕が獣医学部を目指し始めたのは高校2年生の終わりかけ、ちょうど梅の花が咲き始めた頃でした。
高校生になった時期でも、子供の頃から特になりたい職業やこれといった夢もなく、自分のやりたいこともわからないまま、言われるがままにただ勉強する日々でした。
そんな日々に終わりを告げたのが高校2年生の夏。いろんな大学のオープンキャンパスに行ったことがきっかけでした。
そこで、目を輝かせながら熱心に勉強や研究をしていた大学生の姿、やる気もなくだるそうにデスクに向かっている大学生の姿を見ました。
そして、学びたいことを学びに行くのが大学であって、ただ敷かれているレールに乗ったまま進学するのは違うと気づき、自分の将来について真剣に考え始めました。
半年間、インターネットを使って調べたり、高校の先生に聞いたり、実際に通っている大学生と話をしたりすることで情報を収集し、自分と向き合いました。
そうしているうちに、だんだん自分のしたいことが徐々に絞られてきました。
医療系のことが学びたい、生体の機能についてもっと知りたい、白衣を着て実験したい、手術ってかっこいい、動物が大好き…
これらのことが合いまった瞬間、ふいに頭に「獣医」という2文字が降ってきました。これだ!と直感的に確信した僕は、そこから獣医学部を目指し始めました。
これは大学に入ってから分かったことですが、獣医学部を目指すきっかけは人それぞれでした。
飼っていた動物を病気で亡くし目指した人、動物が好きすぎて目指した人、医学部や薬学部など他の学部を落ちてきた人、牛や馬と関わる仕事がしたい人、動物の研究がしたい人…
ただほぼ全員に共通していることは、「動物が大好き!」ということでした。
中には動物アレルギーを持っている人もいますが、それでも動物が好きという気持ちは変わらないみたいです!
1.獣医学部はレアな存在⁉
獣医学部がある大学は、日本全国で17大学(国立10校、公立1校、私立6校)しかありません。だいたい1学年全大学を合わせても930人程度なので、全国に同期は1000人いないことになります。(最近、岡山理科大学に獣医学部が設置されたため、同期が1000人超えるようになりました!!)
全国的に見てもかなりレアな存在だと言えます!ぜひ、獣医学部出身の人を見かけたら友達になってみましょう!笑
大学の地理的分布ですが、愛玩動物(ペットのことです)が一般的に広く飼われ始めたのは最近のことで、もともとは、畜産業界や公衆衛生の分野で獣医学部の人材が必要とされていました。そのため、牛や豚がたくさんいる北海道や九州地方に大学が多い傾向があります。
17大学は北から順に以下の通りです。
1.北海道大学(国立)(北海道)
2.帯広畜産大学(国立)(北海道)
3.酪農学園大学(私立)(北海道)
4.北里大学(私立)(青森県(1年生は神奈川県))
5.岩手大学(国立)(岩手県)
6.東京大学(国立)(東京都)
7.東京農工大学(国立)(東京都)
8.日本大学(私立)(東京都)
9.日本獣医生命科学大学(私立)(東京都)
10.麻布大学(私立)(神奈川県)
11.岐阜大学(国立)(岐阜県)
12.大阪府立大学(公立)(大阪府)
13.鳥取大学(国立)(鳥取県)
14.岡山理科大学(私立)(愛媛県)
15.山口大学(国立)(山口県)
16.宮崎大学(国立)(宮崎県)
17.鹿児島大学(国立)(鹿児島県)
国公立大学の定員は35~40人、私立大学はだいたい100人前後となっています。
大学ごとにどの分野が強いなどが結構あったりするので、獣医学部を目指している人はその辺りも加味して志望校を決めてみてくださいね!(^^)
北の大地、南の大地は土地が広く牛がたくさんいるので大動物に強い大学が多いです。
私立は学費が高い分、設備や実習が充実していて、小動物臨床(いわゆる動物病院のお医者さん)に強い傾向があります。
あとは、野生動物の研究室がある大学があったり、馬がメインの研究室があったり、動物行動学の研究室があったりと、他の大学では無い研究室がある大学もあるので、それらの分野に興味がある!という方は、ぜひその研究室がある大学を目指されるといいかなと思います!
ちなみに、学費は、国公立大学なら年間50~80万程度、私立大学なら諸経費込みで年間200~250万程度です。
2.獣医学部ってどんな勉強してるの?
獣医学部ってどんな勉強してるんですか?という質問はよくされます。
何せレアな存在なので滅多に出会う機会もないですし、知っている方が驚きです笑
実は、獣医学部が学ぶ分野は思った以上に多岐に渡ります!!(僕自身も入学してからびっくりしました笑)
卒業までに取らなければいけない単位数(科目数みたいなものです)は、他の学部の1.5~2倍くらいあります…(>_<)
動物の組織や解剖はもちろん、細菌、ウイルス、寄生虫、生理、病理、薬理、免疫、発生…といった基礎科目から、内科、外科といった臨床科目、食品衛生(食中毒や食品の流通など)や公衆衛生(公害、下水、大気汚染など)といった公衆衛生分野まで学びます。
さらに、動物も1種類ではなく、犬・猫を代表とする小動物、牛・馬・豚を代表とする大動物がいるので、それら1つ1つについて学んでいく必要があります。
”動物だから一緒だろう”という甘い考えは通用せず、臓器の形状の違いがあったり、感染する病原体も違うので、それぞれについてしっかり覚えないといけないです…!
3.獣医学部に入ると将来どんなお仕事をするの?
獣医学部に通っていると話すと、ほぼ全員の人から「将来は動物のお医者さんになるの?」と聞かれます。
一般的に、獣医さん=動物のお医者さん”という印象が強いのかもしれません。
しかし、実は、獣医師免許を持っている人で、いわゆる動物病院のお医者さん(犬猫などを診ている人)をしているは4割ちょっとしかいません。
これを話すといつもすごくびっくりされます笑
じゃあ、残りの人たちは何してる?っていう疑問が湧いてくると思います。
国公立大学と私立大学で進路の傾向が少し違ってきます。
国公立大学では、およそ1/3から半分の人が小動物臨床に進みます。残りの1/3の人は、公務員獣医師になります。残った1/3は、大動物臨床(牛や馬、豚などを対象に診察する獣医さん)にいったり、企業(製薬会社、バイオ系など)に行ったり、研究の分野に進みます。
獣医なのに公務員!って言われますが、一般的にいわれる公務員とは違って、獣医師職の(獣医師にしかできない)公務員です。
公務員は大まかに分けて、国家公務員と地方公務員の2種類があります。
国家公務員では、農林水産省、厚生労働省、環境省などに勤めます。具体的には、空港や港での検疫業務、都道府県と協力して家畜の伝染病(有名なものだと、口蹄疫、鳥インフルエンザや豚コレラ(現、豚熱))の監視及び発生時の蔓延防止業務、国立感染症研究所や動物衛生研究所での研究業務、などがあります。
地方公務員は、主に、公衆衛生系と家畜衛生系の2種類があります。
公衆衛生系には、動物愛護センター、保健所、衛生研究所、食肉衛生検査センターでの業務があります。
動物愛護センターでは、皆さんも知っての通り迷子の犬猫の保護・譲渡活動などが行われます。
保健所では、飲食店の衛生管理などを行っています。
衛生研究所は、食中毒発生時の追跡調査や、今まさに流行中の新型コロナウイルスのPCR検査や研究、さらに温泉の水質調査などを行っています。
食肉衛生検査センターでは、肉となる動物が何か病気を持っていないかどうか(もし持っていたら市場には出さずに一部または全部を廃棄する)の検査を行っています。
家畜衛生系は、管轄地区内の農場で病気が発症しないように、予防・検査を行っています。伝染病が発生したことにいち早く気づき、蔓延防止を第一線で頑張ってくれているのはこの人たちです!
企業では、主に製薬などで活躍しています。薬を開発するためには、まずマウスやラットといった動物で試験する必要があります。そこで、動物のスペシャリストである獣医師が活躍するわけです。
これらを見てわかるように、意外と獣医さんは私たちの日常生活に関わる仕事をしています!
4.獣医学部に入るのは難しい?
1章で獣医学部はレアな存在という話をしましたが、レアすなわち人数が少ない分、入学も狭き門となります。なので、どの大学も倍率はそこそこ高いことが多いです…(._.)
おおよそですが、国公立大学の倍率は4倍以上、私立大学の倍率は6倍以上となっています。
受験のレベル的には世間的には難関もしくは最難関といわれる部類に入るでしょう。
国公立大学では、共通試験は80%以上(低くても75%以上)の点数が必須となります。
決して簡単な道のりではないですが、大学に入ってからもかなりの暗記量がありますし、将来動物の命を預かるような仕事に就く可能性も十分にあるので、それを乗り越え獣医師としての責務を全うできるような人物になるためには、それ相応の覚悟と努力が必要ということになります。
だからといって、諦めろというわけではありません。
今、獣医学部を目指そうと考えている人がいれば、その目標に向かって全力で頑張ってほしいです。
5.エピローグ(獣医学部に入ってみて)
僕が獣医学部に入学して、既に5年ちょっとが経とうとしています。
学部の名前に”医”が付くぐらいなので、医学部や薬学部、歯学部、看護学部といった他の医療系の学部と同様、覚えることが圧倒的に多いです。
その分、授業数も実習数も多く、「大学生なのにこんなに勉強しないといけないのか…」と思ったり、「正直、受験勉強よりもしんどい…」と弱気になることもありました。中には、ついていけず留年する人もいます。
そんな毎日を過ごしているうちに、動物の医療に関する知識や公衆衛生についての知識など、獣医学部の専門的な知識はたくさん身につきました。
将来、この専門知識を活かして仕事ができると思うと、充実した大学生活だったなと思います。
しかし、それ以上に痛感したことは、「命の大切さ」です。
獣医学部は『矛盾の塊』です。
誰よりも動物が好きな人が入る学部なのに、誰よりも動物を殺し、動物の死に直面します。
「人間が生きていくためには、動物を助けるためには、それは仕方のないこと」と割り切っていたとしても、ついさっきまで目の前で動いていて、温かみを持っていたのに、もう今は動かず、冷たくなってきている現実を経験すると、心に来るものがあります。
だからこそ、肉を食べる、卵や乳製品を食べる、薬を飲む、化粧する、殺虫剤を使うなど、普段気にも留めず当たり前のようにできている行為も、たくさんの動物たちの犠牲の上で成り立っているもので、決して当たり前ではないんだと、身をもって知りました。
常に動物への感謝を忘れずに生きていこう、自分の命も他の命も大切にしよう、そう思えるようになったのは、獣医学部に入ったからこそだなと思っています。
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