みなさんこんにちは!武田塾佐賀校の本多です!
今回は2022年1月16日に行われた共通テスト生物の解説を行いたいと思います。
これは大問5の解説になります。
他の大問の解説はこちら
武田塾佐賀校 2022年度共通テスト生物 第1問の解き方と解説
武田塾佐賀校 2022年度共通テスト生物 第2問の解き方と解説
武田塾佐賀校 2022年度共通テスト生物 第3問の解き方と解説
武田塾佐賀校 2022年度共通テスト生物 第4問の解き方と解説
かなり丁寧に解説を行い、その周辺知識も確認しているので、
「なんとなく勘で書いたら当たっていた」という人にもぜひ読んでいただきたいと思います!
もくじ
問1 被子植物と植物の特徴
この問題は知識問題になります。
しかし、あまり慣れない単語が出てきているので、きちんと考えてから答える必要があります。
問題の整理
この問題でやってしまいがいな初歩的なミスは
被子植物の特徴に当てはまるものだけを選ぶ
ということです。
問題文には「被子植物が他の植物と共通して持つ特徴」はどれか、とあります。
つまり、被子植物の特徴に当てはまっても、他の植物当てはまらない場合は不適当になります。
これでこの問題を落とした人もいるのではないでしょうか。
では、これを念頭に置いたうえで解説していこうと思います。
選択肢の正誤判定
a 表皮がクチクラ(クチクラ層)で覆われる。
そもそもクチクラ層とは何かというと、
植物を乾燥から守ったり、内部の保護を目的とした物質です。
植物を乾燥から守るため、地上で生育する植物に存在します。
(物質は違いますが、動物にも存在します。)
そのため、被子植物だけでなく、裸子植物、コケ植物、シダ植物にも存在します。
よってこの選択肢は正しいです。
b シャジクモ類と同じ光合成色素を持つ
シャジクモ類は光合成色素としてクロロフィルa.bを持ちます。
他にクロロフィルa.bを持つものとしては、緑藻類、植物がいます。
これらを見て分かると思いますが、クロロフィルa.bを持つものはすべて緑色です。
このことから被子植物はシャジクモ類と同じ光合成色素を持ち、他の植物も同様のことが言えるので、この選択肢は正しいです。
補足
緑藻類→クロロフィルa.b(緑色) 褐藻類→クロロフィルa.c(褐色) 紅藻類→クロロフィルc(赤色) ※昆布やワカメは褐藻類です。 生きている時は褐色なのですが、熱をかけると緑色になります。 |
そのため、この画像は間違っていることになりますね。
c 果実の中に種子が作られる
被子植物は胚珠が子房に包まれており、発達の過程で
胚珠→種子
子房→果実
となります。
ここまでは正しいのですが、注意すべきはこれは被子植物だけに当てはまる特徴だということです。
裸子植物には子房が無く、種子はむき出しの状態です。
よってこの選択肢は誤りになります。
問2 遺伝の基本
この問題は遺伝をなんとなくで理解している人は少し戸惑ったのではないでしょうか。
問題読解
まず、この問題文の状況を整理しようと思います。
・3つの遺伝子座が存在するということなので、それらをABCとします。
・また、連鎖しているということなので3つは同一染色体上にあるということです。
・対立遺伝子をabcとします。
・ABCとabcがヘテロ接合
これらのことを図に表すと下のようになります。(マウスで書いたため見にくくて申し訳ありません。)
実際に解いてみる
まず、これが乗り換えなしで配偶子形成するということは
同一染色体上に存在するものはそのまま一緒に移動します。
つまり、形成される配偶子は
ABCとabcの2種類のみになります。
次に乗換えが自由に起こったときは
A⇔a B⇔b C⇔c間でチェンジする可能性があります。
このことから最大で
ABC aBC ABc AbC Abc abC aBc abc の計8種類の配偶子が出来ます。
ひとつひとつ列挙しなくても
2 × 2 × 2 = 8
(Aa)(Bb)(Cc)
で8種類と導き出すことができます。
問3 実験方法の選択
問題文のポイント
与えられた考察が正しいことを示すためのポイントは
Ⅰ遺伝子XはR7からつくられる Ⅱ遺伝子YはR8からつくられる Ⅲタンパク質Xはタンパク質Yの受容体としてはたらく |
この3つになります。
これらをおさえたうえで選択肢を見ていきましょう。
選択肢の正誤
①タンパク質Xが細胞のどこに存在するか調べる。
タンパク質Xはタンパク質Yの受容体となる場合、タンパク質Xは必ず細胞膜表面に存在します。
タンパク質Xが細胞内部に存在するとタンパク質Yの受容体とはなりえません。
タンパク質は分子サイズが大きく、細胞膜表面を通過できないためです。
よって、この実験を行ってタンパク質Xが細胞膜表面に存在することが分かれば、与えられた考察が正しいことを支持できます。
②遺伝子XのmRNAがどの細胞で転写されているか調べる。
上について調べ、将来R7になる細胞で転写が起こっていれば、その後の翻訳によりたんぱく質Xが発現していることになる。
つまり与えられた考察が正しいことを支持していることになるので、この選択肢は正しいです。
③遺伝子Xの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるか調べる。
遺伝子Xの発現をR1~R8でそれぞれ阻害します。
ここでR7で阻害した時にR7が分化しなければ、将来R7になる細胞でたんぱく質Xの発現が必要であることが分かります。
つまり、ポイントのⅠについて支持する。
これは与えられた考察が正しいことを支持していることになるので、この選択肢は正しいです。
④遺伝子Yの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるのか調べる。
遺伝子Yの発現をR1~R8それぞれで阻害する。
ここでR8で阻害した時にR7が分化しなければ、R7の分化にR8でたんぱく質Yの発現が必要であることが分かります。
これは与えられた考察が正しいことを支持していることになるので、この選択肢は正しいです。
⑤たんぱく質Xが遺伝子Yの転写調節領域に結合するか調べる。
上記の実験を行った場合、タンパク質Xが遺伝子Yの調節たんぱく質として働いているかを調べることが出来ます。
しかし、タンパク質Xがタンパク質Yの受容体であるということは証明できません。
よってこの選択肢は誤りとなります。
まとめ
これらより、この問題の答えは⑤になります。
問題文と選択肢の文を見比べただけでは分からない、難易度の高い問題だったと思います。
問4 実験結果とその考察
違いを探す
野生型と変異体Yの違い
まず、前提として覚えておいて欲しいのは
野生型は光受容細胞としてR7をもち、変異型Yはそれを持たない
ということです。
図2から見た、野生型と変異型Yの違い
図2を見た時、野生型と変異体Yの違いは
・変異体Yは紫外線に対して、正の走性を示さない
・野生型は可視光と紫外線の両方がある場合、紫外線に集まる
・変異体Yは可視光と紫外線の両方がある場合、可視光に集まる
この3つになります。
これらの違いを元に、考えていこうと思います。
選択肢の正誤
d
図2から野生型と変異型Yを比べると、変異型Yは紫外線に対して反応していないことが分かります。
これは、変異型Yが光受容細胞としてR7をもたないからです。
つまり、野生型のような紫外線に対する正の走性は、R7の紫外線に対する反応が必要ということです。
よってこの選択肢は正しいです。
e
図2を見ると、野生型はR7が働いている(紫外線に反応する)にもかかわらず
紫外線に対して正の走性を示しています。
よって、この選択肢は誤りとなります。
f
図2を見た時、変異体YはR7が分化していないにもかかわらず、可視光に対して正の走性を示しています。
このことから、可視光に対する正の走性にはR1~R8のすべての分化が必要なわけではない。
(最低でもR7は必要ない)
ということが分かります。
よって、この選択肢は誤りです。
まとめ
以上から、選択肢の中で正しいのはdだけであり、正解は1になります。
さいごに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この第5問は知識と情報整理力が試される大問でした。
しかし、焦らず取り組めば得点源にすることが出来る問題だったと思います。
ぜひ、マスターしてほしいと思います!
この記事がこれからの受験生の役に立てば嬉しいです。
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