みなさんこんにちは!武田塾佐賀校の本多です!
今回は2022年1月16日に行われた共通テスト生物の解説を行いたいと思います。
これは大問2の解説になります。
かなり丁寧に解説を行い、その周辺知識も確認しているので、
「なんとなく勘で書いたら当たっていた」という人にもぜひ読んでいただきたいと思います!
もくじ
A問1 グラフ選択
この問題は2ステップほどに分けて考えていきました。
増減を見極める
Ⅰ
まず、健全区においてA型株とB型株の個体数に大きな差はありません。
また、個体の乾燥重量1.0gまでの分布にも大きな差は見られません。
それにもかかわらず、種子数はA型株の方が明らかに多いです。
このことから、選択肢の①②③は消えます。
理由 ・グラフ①②であれば、A型B型の種子数は近い数になるはず ・グラフ③であればA型株の種子数はB型株の2倍弱程度になるはず |
条件から正誤判定する
Ⅱ
④⑤を見分けるポイントは、乾燥重量1.4g以降のグラフです。
仮に⑤が正しいとすると、乾燥重量1.4g以下の個体は種子をほとんど生産しません。
つまり、全個体が乾燥重量1.4g以下であるB型株は種子を生産しないことになります。
しかし、B型株においても約200個の種子が生産されています。
このことから⑤は不適当となり、答えは④のグラフということになります。
A問2 B型株の性質
問題文から条件を抽出
アオバさんとミノリさんの会話から
乾燥重量が大きい個体のほうが小さい個体より高い位置に葉を配置でき、光をたくさん浴びられる
→個体が重いほうが生存に有利
ということが分かります。
考え方
ここで図を見ると、A型株のほうがB型株と比べて乾燥重量が大きい個体が多い
つまり、A型株のほうがB型株に比べて競争に強いということが分かります。
次に病原菌P感染区の図を見ると、A型株とB型株の乾燥重量の個体の分布図が逆転しています。
これから、B型株は病原菌Pに対する抵抗性を持ち、B型株は感染したA型株より競争に強いことが分かります。
ここまでの段階で、選択肢の④~⑥は不適当であることが分かります。
問題文からの条件
A型株のほうがB型株と比べて乾燥重量が大きい個体が多い
この二つからわかるように、
B型株の繁茂が抑えられていたのは、A型株の影響です。
よって答えは②ということになります。
①に関して、A型株とB型株それぞれについて生育条件が異なる、といった記述は存在しません。
そのため、①は不適当になります。
③に関しては、文中に「同型株どうしの生育場所をめぐる競争によって」という記述があります。
しかし、B型株どうしで競争を行っていたということが分かる記述はありません。
B型株が競争関係にあったのは、同型株ではなく異型株であるA型株です。
そのため、③も不適当ということになります。
B問3 遺伝子型操作
第2問B問題は遺伝子操作の問題です。
はじめに遺伝子操作の手順について復習しておこうと思います。
遺伝子操作の手順
遺伝子操作は主に4つのステップからなります。
①制限酵素で目的遺伝子(導入したい遺伝子)を切断する。 ②同じ制限酵素でプラスミド(導入先)を切断する。 ③①と②を混合して、プラスミドに目的遺伝子を結合させる。 ※同じ制限酵素で切断しており、切断面が相補的な遺伝子配列となっているため水素結合できる。 ④DNAリガーゼでDNA断片同士を連結し、組み換えプラスミドが完成する。 |
解説
問3は知識問題になります。
答えは②の制限酵素とDNAリガーゼです。
よく、制限酵素はハサミ、DNAリガーゼはノリで例えられることが多いです。
他の選択肢に含まれる「DNAへリガーゼ」はDNAの複製で出てくる、2本鎖をほどいて1本鎖にする酵素です。
これを1本鎖にする。
B問4 導入株の選抜
この問題は考察問題に見えますが、慣れている人は知識で解けたのではないでしょうか。
この問題は傍線部(d)だけを見ても分かりません。
その前の手順2で何をやっているかを理解する必要があります。
手順2は何をやっているのか
まず、手順2を理解するうえで押さえて欲しい基本用語があります。
プラスミド →環状DNA。よくベクターとして用いられる。 アグロバクテリウム →土壌中にいる細菌 |
特にアグロバクテリウムは聞き慣れていない単語かもしれませんが、細菌ということだけ分かっていればいいです。
これを踏まえたうえで、手順2を簡単に書き換えると
・図のプラスミドを細菌に入れる ・その細菌をキクに感染させる ・そのキクから芽ができる ・この芽には遺伝子Xと遺伝子Y両方が導入されたものと、どちらもされていないものがある |
ということです。
手順3は何を行っているのか
では、手順2を踏まえたうえで、手順3からは何を判断すればいいのでしょうか。
ポイントとなるのが傍線部(d)です。
「薬剤Kを含む培地で培養している」ということは
遺伝子Xと遺伝子Yを導入できていない植物は脱落する
ということです。
遺伝子Xは薬剤Kに対する耐性を持っているので、導入できている植物は生き残ります。
手順2からわかるように、遺伝子Xが働く(遺伝子Yも導入されている)ものだけが生き残るのです。
遺伝子Xは遺伝子Y(ここでの目的遺伝子)を含んでいるかどうかを判断する指標になっている、ということです。
答え
以上のことから、答えは③になります。
B問5 真核生物の転写
この問題を押さるうえで、まずは真核生物の転写について復習しようと思います。
真核生物の転写
真核生物の転写には
基本転写因子 調節タンパク質 RNAポリメラーゼ |
の三つが必要で、これらが転写複合体を形成しています。
これがDNAのプロモーター領域に結合し、mRNAを合成します。
アンチセンス鎖(鋳型鎖)の判定
問題の図4において遺伝子Yを転写しようとすると、
転写調節領域
→プロモーター
→遺伝子Y
というように、向かって右から左に転写が進んでいく必要があります。
また、RNAポリメラーゼはmRNAを5’→3’方向に転写していきます。
つまり、アンチセンス鎖はそれと逆である3’→5’の向きである必要があります。
このことから、この問題において上側のDNA鎖がアンチセンス鎖であることが分かります。
答え
以上のことから、
RNAポリメラーゼ
上側
である選択肢①が答えとなります。
B問6 遺伝子型の割合
考え方
そもそもトランスジェニック植物には、相同染色体の片方にのみ遺伝子Yが組み込まれています。
表しやすいように、遺伝子Yが組み込まれていない対立遺伝子をyとすると
このトランスジェンダー植物の遺伝子型はYyとなります。
これが自家受粉させた種子から得られた個体の遺伝子型とその割合は
Yy × Yy → YY:Yy:yy=1:2:1 |
となります。
問題文にある「病原菌に抵抗性をもつ個体」というのは
言い換えれば「遺伝子Yをもつ個体」ということです。
上に当てはめて考えると、YYとYyに当たります。
つまり、これらYYとYyの割合を求めればいいということです。
YY+Yy / YY+Yy+yy =1+2 / 1+2+1 =3 / 4 |
つまり、答えは ④75% ということになります。
重要事項の復習
ここでもう一度、この問題の重要事項を復習しておきます。
・相同染色体の片方にのみ遺伝子Yが組み込まれている ・自家受粉は同じ遺伝子型同士を交配する ・病原菌に抵抗性をもつ = 遺伝子Yをもつ個体 |
一つ注意しておきたいのは、三つ目に関してです。
今回は遺伝子Yを1つでも持っていたら抵抗性を示しましたが、
例えば問題文に「抵抗性遺伝子をホモでもつ場合のみ、抵抗性をもつ」
というような旨の記述があれば、その時はYYのみしか抵抗性を持ちません。
ただ、このような記述が特別なければ、今回のように抵抗性遺伝子を1つでも持てば、その植物体は抵抗性を持ちます。
さいごに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この第二問は遺伝に関する重要な問題が詰まっていました。
ぜひ、マスターしてほしいと思います!
この記事がこれからの受験生の役に立てば嬉しいです。
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