「共通テスト 英語リーディング」。
過去問も十分な量が無く、これからの変化も予想できない科目。
もし「時間が足りない」と考えているなら、一刻も早く手を打ちましょう。
この記事のまとめ ・共通テストの英語で時間が足りないのは「時間の逆算が足りていないから」 ・正確さと速度はトレードオフ。大切なのは「諦める勇気」。 ・しっかり時間を掛ければ、読解力は上がる |
共通テストの時間配分
理想的な時間配分とは?
共通テスト英語をすべて解く場合は、以下のように時間配分するとよいでしょう。
基本的には( )内の時間配分で進めてください。見直しの時間が3分余る予定です。
どうしても時間がかかる場合は、時間配分の範囲内で調整してください。80分の時間制限に間に合うよう、他の大問で時間を調整することを忘れずに。
大問 | 時間配分(推奨) | 配点/問題数 | 語数 |
第1問A | 3~5分(3分) | 4点/2問 | 約200語 |
第1問B | 4~7分(5分) | 6点/3問 | 約400語 |
第2問A | 6~11分(7分) | 10点/5問 | 約400語 |
第2問B | 7~11分(7分) | 10点/5問 | 約500語 |
第3問A | 4~6分(4分) | 6点/2問 | 約400語 |
第3問B | 5~8分(5分) | 9点/3問 | 約400語 |
第4問 | 10~14分(12分) | 16点/5問 | 約700語 |
第5問 | 11~15分(13分) | 15点/5問 | 約1000語 |
第6問A | 9~13分(11分) | 12点/4問 | 約900語 |
第6問B | 9~12分(10分) | 12点/4問 | 約800語 |
設定した時間配分に間に合わないのはなぜ?
上の表のように、一般に受験生は「第○問を○分以内で解こう」と計画を立てます。
しかし、多くの受験生は計画通りに解くことが出来ません。
それはなぜでしょうか?
理由1.行動計画を作っていない
一番多いのは、時間配分は決めているのに、行動を決めていないパターンです。
例えば、第1問Aを3分で解く場合を考えてください。
第1問Aを3分で解く場合は、長文読解・問題文把握・解答にそれぞれ何分(何秒)割けばよいでしょうか。
仮に長文読解を1分で終わらせる計画を立てた場合、そもそも「第1問Aの長文を1分で読める」でしょうか?
もし長文全体を設定時間内に読み切れないのなら、その段落の長文はじっくり読んではいけません。
読む方法を工夫したり、読む場所を減らしたりして、時間内に読み切れるような方法を選びましょう。
例えば、後述するスキャニングなどが、時短の方法として挙げられます。
理由2.解くときに時間を意識していない
「○○すれば、~分以内に解ける」と計画を立てたとします。
しかし、計画通りに進めるためには、ある程度練習が必要です。
スキミング・スキャニング・スラッシュリーディング……。
慣れないうちは、時間短縮の方法を使うと「かえって時間がかかります」。
時間を測りながら練習を行い、少しずつ時短していきましょう。
理由3.全問正解にこだわりすぎる
入試は一発勝負。可能ならすべての問題を解いて、できるだけ得点したいです。
しかし、その考えが行き過ぎた場合、一度難しい問題に当たってしまうと、
「予想より時間がかかって焦る→冷静さを欠いて、落ち着いて読めなくなる→予想より時間がかかって……」
という悪循環にはまってしまいます。
予想外に時間がかかってしまった場合、大事なのは「諦める勇気」。
もともと自分が苦手な問題があれば、その部分を捨ててください。
時間の許す範囲で取れる問題を確実にとり、苦手な問題は運でとる。
むやみに満点を狙うのではなく、確実に高得点をとることを優先しましょう。
突然の難問に備えて、「自分の得点しにくい大問」や、「解く時間にムラがある大問」を把握することが大切です。
いざとなったら捨てる大問、悪循環を発生させやすい危険な大問などが分かれば、
どの大問を先に解くか、どの大問を後に回すか、安全な解答順を決めることが出来ます。
どうしたら解答時間が早くなるか?
「とりあえず早く読む」は危険
解答時間に間に合わない場合、多くの人が取ってしまうのは「自分の限界を超えて早く読もうとする」方法。
しかし、人間の理解力には限界が存在します。
早く読もうとするほど理解度は落ち、結果として何度も読み返すことになり、タイムロスに繋がります。
それに、読解スピードを少し上げたくらいでは、それほど時短にはつながらないのです。
例えば、第6問B(600単語)の英文を、100wpmの速さで6分かけて普段読んでいるとしましょう。
読解スピードを1.5倍にした場合、どれくらい短縮できるのでしょうか?
答えはわずか2分。速いペースで読んでも短縮できる時間は短く、一度でも読み返せばタイムロスです。
「高速で何度も読み返すよりも、じっくり1回で理解する方が早い」
この原則を忘れないようにしましょう。
読解を速くする方法
そうなると、読解にかかる時間を減らす方法は次の2つです。
1.理解の速度と精度を上げる 2.読む単語数を減らす |
1.理解の速度・精度を上げる
英語の問題を解くときは、次の3ステップを踏んでいるはずです。
英文を読む際に、意味の解釈で手間取ったり、内容を忘れたりして読み返していませんか?
もしそうなら、理解をスムーズにすることで、時間を短縮することが出来ます。
理解をスムーズにする方法の1つは「トップダウンリーディング」の意識です。
トップダウンリーディングとは、誤解を恐れずに言えば、先を予測しながら読むこと。
例えば、「人工甘味料」がテーマの英文が登場したら、自分の知っている人工甘味料の知識を思い出してみる。
何かをことさらに褒める文章が続いたなら、「この後デメリットを述べる文章が来るだろう」と予測する。
先の展開を予想しながら、役立つ知識を思い出しつつ読みましょう。
理解にかかる時間を大幅に減らすことが出来ます。
2.読む単語数を減らす
後は「読む量を減らす」。
全体の半分しか読まないなら、読解にかかる時間も半分になります。
この代表的なテクニックがスキミング。
文章の結論部分や図表などを見て、文章全体の内容をおおまかに把握する方法です。
読まない部分がある以上、問題の正解率は多少落ちてしまいますが、
緊急時の時間短縮術としては優秀です(ただし要練習)。
究極の時間カット術「スキャニング」
そして、「理解の速度・精度を上げる」「読む単語数を減らす」の両方を同時に満たす技術。これがスキャニングです。
大まかなやり方は以下の動画(2:00)で紹介されています。
スキャニングのやり方
まずは設問を頭に入れる
いきなり長文を読むのは悪手です。
長文問題を解く際に、まず手を付けるのは問題文。
私たちがこれから英文を読むのは、英文を理解するためではなく、問題を解くため。
極端な話、分からないところが山ほどあっても、問題が解けさえすれば良いのです。
長文のどこを捨てるか把握するため、問題文はしっかり読んでおきましょう。
少し読んで、必要なければ捨てる
雑誌で興味のないコーナーを読み飛ばすときのように。
読まなくても良いものは読まない。この姿勢を徹底していきましょう。
半分読んで「この英文は関係ないな」と気づいたら、半分も読んでしまったことを後悔する。
関係ないと気づいた時点で、さっさと読み飛ばす。
「問題さえ解ければ、あとは分からなくてよい」。割り切りが大事です。
解答の根拠を見つけたら印をつける
解答根拠を見つけたら、設問番号を書いて目印を残しましょう。
印をつけると若干のタイムロスになります。
しかし、印をつけず読み直す羽目になるよりは、遥かにましです。
スキャニングの練習方法
スキャニングを習得できれば、英文読解が楽になります。
しかし、一朝一夕で習得できる技術ではありません。
と に か く 練 習 あ る の み で す。
1.試しにやってみる
スキャニング未経験の場合は、一度やってみましょう。失敗します。
初めの方の失敗の原因としては、主に次の3つです。
①問題文のキーワードを定めないまま読み、「問題に関係ある場所かどうか判断できない」 ②問題文のキーワードの言い換えを考慮しないまま読み、「キーワードを含む英文が見つからない」 ③選択肢の言い換えを考慮しないまま答え、「長文の語句をそのまま使った誤答選択肢を選ぶ」 |
スキャニングに失敗した場合は、どのパターンに当てはまるか考えましょう。
2.解答・解説を読み、探すべき根拠の位置を確認する
失敗パターン①・②の場合に有効な方法です。
A. 解説を読み、解答根拠が長文のどこにあったか探し、線を引いてください。
B. 問題文と解答根拠を見比べて、問題文のどのキーワードに注目すれば解答根拠を探せたか考えてください。
どのような品詞がキーワードになるのか。固有名詞はあてになるか。基準を作りましょう。
C. 問題文の言葉が言い換えられている場合は、言い換え方にも注目してください。
品詞が違うのか。代名詞に置き換えられているのか。本当にそのキーワードを探してよいか。
以上の3ステップを踏んだら、
「○○や▼▼のようなキーワードを探せば、本文中でヒットする可能性が高い」と仮説を立てます。
次回のスキャニング練習では、仮説に基づいてキーワードを選びましょう。
3.言い換えを確認する
失敗パターン③の場合に有効です。
共通テストの誤答選択肢でよくあるのは、「本文中の単語をそのまま使っているが、誤答になっているパターン」。
この手の選択肢は、解答根拠の一部が真逆の内容になっていることが多いです。
解答根拠の中でどの部分が真逆にされているのか、検証しましょう。
本文中の単語をそのまま使う以上、真逆にできる場所は限られます。
主語、助動詞、否定語……。
どこに注目すれば「引っかけ選択肢」に気づけるか、自分なりにルールを作ってください。
精度を上げるには「単語」と「文法」
ここまで、共通テストの英語リーディングで時間が足りない理由を説明してきました。
解答時間の80分に間に合うかどうかを左右するのは次の3つです。
①各大問の「長文・問題文・解答時間」に割く時間を決めているか ②設定時間を達成できる読み方をしているか ③設定時間を超過した場合のプランを考えているか |
この②を達成する手段が「スキャニング」です。
精読できる状態でスキャニングを利用すれば、
共通テストで高得点を取れるようになるはず。
精読できないうちは、基礎力に専念しよう
しかし、英語の長文を精読できないうちは、スキャニングは難しいかもしれません。
解答根拠となる英文を見つけても、その英文を正確に読み解かなければ、答えられないからです。
精読できない場合は、「単語」「文法」のセットの習得が有効です。
この2つを効率的にマスターするには、どうすればよいのでしょうか。
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