武田塾佐賀校の出口です。
高校に入って、すべての科目の進むペースが速くなり、内容もはるかに複雑になりました。
数ある科目の中でも、最も苦手な人が多いと感じるのが「数学」。
なぜ数学を苦手に感じやすいのか、
どんな勉強をすれば苦手を克服できるのか。
使いやすい参考書とともに、この記事でお教えします!
数学でつまづきやすい3つの理由
理由①:基礎が無いと理解できないから
数学は、一度つまづくと、そのまま連鎖的に苦手になってしまう科目です。
その原因は、数学は他の科目と違い、単元間のつながりが密接で複雑だからです。
つながりの薄い科目、日本史
「密接で複雑な」数学の特徴を確認するために、
まずは数学と真逆の存在である「日本史」を見ていきましょう。
日本史は、数学と違って「つながりが弱い」科目です。
例えば、「奈良時代の中央官制」を知らなくても、「明治時代の内閣制度」を覚えることが出来ます。
他にも、「縄文時代の遺跡がどこにあるか」知らなくても、「戦国時代の主要な戦いの場所」を覚えることができます。
日本史は、授業のどこかでつまづいても、別の場所で取り返すことが出来ます。
つながりの密接な科目、数学
一方で、数学は「つながりの強い」科目です。
どこか1か所が分からなければ、それ以降の内容が全然理解できなくなります。
例えば、中学3年生のころ「平方根(中3)」1か所につまづくだけで、そのまま連鎖的に、以下の単元が理解不可能になります。
「二次方程式」「2乗に比例」「三平方の定理」(中3) 「一次不等式」「二次関数」「三角比」「平面図形」(高1) 「直線と円」「微積分」「指数対数」「三角関数」「ベクトル」(高2) 「複素数平面」「極限」(高3) |
1か所苦手になるだけで、ほとんどすべてが苦手になる場合がある科目。それが数学です。
だから、数学は得意な人と苦手な人がはっきりと分かれます。
加えて、今数学が得意だったとしても、少しのきっかけで、数学が苦手になる可能性があるのです。
もし数学が苦手になったら、自分がつまづいた場所まで戻らなければなりません。
理由②:集団授業は、つまづいた箇所まで戻ってくれないから
しかし、学校・集団塾をはじめとした集団授業では、戻ってくれません。
1回の授業で、または1ヶ月で進まなければならない範囲が決まっているので、
その単元が分からない人が数人生まれたとしても、基本的に先生は授業を進めなければならないのです。
もちろん、授業外で一人一人に寄り添ってくれるやさしい学校の先生はいるかもしれません。
とはいえ、学校の先生は多忙な身。「数学の質問をしようと職員室に向かったら、仕事で忙しそうにしていた」ことは頻繁にあるでしょう。
結局のところ、「数学で一度つまづいたら、基本的には自力で対処するしかない」のが現実です。
理由③:数学の勉強時間がどんどん伸びていくから
学校の定期テストなどの「時間が経つにつれどんどん難しくなるテスト」に力を入れると、数学嫌いが発症しやすいです。
魔の定期テストループ
ひとたび苦手な部分が生まれると、数学は次の5段階を踏んで苦手になっていきます。
①苦手意識・苦手な部分があるので、数学の授業がよく分からない。 ②よく分からないが、テストがあるので覚えなければならない。 ③頑張って覚えるが、基礎が出来ていないので、理解が浅いし時間がかかる。 ④理解が浅いので、テストの点数が思ったほど点数が取れないし、テスト後に覚えた内容を忘れる。 ⑤努力に見合った成果が得られないので、数学がますます苦手になる。(→①に戻る) |
時が経つにつれて、どんどん数学が苦手になります。
結果、勉強時間がますます掛かるようになりますが、その割に成績は上がってくれません。
やがて勉強時間や精神が限界を迎えて、ギブアップ。
「基礎が出来ていないと、連鎖的に分からなくなる」数学の特徴。
「基礎が出来ていないのに進む」集団授業の性質。
「基礎が出来ていないまま出される、身の丈に合わない難易度のテスト」。
この3つが、数学が苦手になる主要な原因であると考えます。
数学嫌いを治す勉強法
克服法①:つまづいた箇所に戻る
数学の基本は、つまづいた場所に戻ること。
たとえ高校何年生であろうと、中学校でつまづいたのなら中学校レベルまで戻りましょう。
中途半端に見栄を張ると、よけいに苦しくなります。思い切って戻ってください。
例えば、数学の受験参考書では以下の参考書が有名ですが、基礎が出来ていない段階で取り組むのは早いです。
数学が苦手なら、取り組むべき参考書はこっちです。
個人差はありますが(塾では個人差も検討して参考書を選択しますが)、これくらい思い切って戻った方が苦手克服には効果的です。
克服法②:理解してから解こうとしない
疑問に思う気持ちは分かりますが、まずは聞いてください。
どこまで理解していいか分からない
数学の(計算)問題が解けるようになるには、
①式の意味を理解すること ②実際に計算して答えを出せること
の2つが必要です。
しかし、「式の意味を理解しているか?」という部分は、自分ではチェックしづらいです。
理解したと思って問題に挑戦してみたら、全然解けなかったり。
逆に、理解しようとして、問題に関係ない部分まで覚えようとしたり。
どこまで勉強すれば、実際に答えが出せるようになるか。
それが分からないのが、数学のモチベーションを下げる要因になっています。
そもそも、理解するのが大変です。
解答が先、理解が後
だから、思い切って、順番を逆転させます。
①まずは途中式から答えまでを覚えて、何も見ずに書けるようにしてください。
式の中に出てくる数字は、どこから登場したか確認しておきましょう。
②次に、解説書や参考書を見ながら、式1つ1つに説明を書いていきましょう。
「なぜこの式からスタートするのか」「この式に出てくる数字はどういう意味か」、自分なりにいろいろと書き込み、一通り説明できるようになったら、次に進みます。
③最後に、もう一度問題を解きましょう。
答えだけでなく、途中式まで書いてはじめてOKです。
数学は途中式の1行目が思いつけばそのまま答えが出るパターンが多いので、
答えよりも途中式の方が重要かもしれません。
克服法③:効率にこだわりすぎない
勉強では効率が大事です。
同じ2時間勉強するのであれば、効率よく勉強した方が成績は伸びます。
勉強効率は高ければ高いほど良いです。
しかし、「一見効率がよさそうに見えるけれど、実際には効率が下がる行為」があるので、気を付けなければいけません。それは、次の3つです。
1.復習せずにガンガン進める 2.今取り組んでいる参考書を止め、同レベルの参考書を始める 3.問題集を見て満足する |
1.復習せずにガンガン進めるのがいけないわけ
「復習する日を入れずに、ひたすら参考書を進めた方が、早く範囲が終わって良い」と考える人がいるかもしれません。
しかし、これは間違いです。
第一に、その分野に触れる回数が少なくなり、記憶に定着しづらくなります。
人間は「1回/1日しか使わない情報はすぐに忘れる」ように出来ています。
テストが終わったらすぐ忘れるのと同じ理由です。
第二に、自分の勉強の成果がよく分からなくなり、モチベーションがガタ落ちします。
人間は、低い得点を取るとモチベーションが下がり、高い得点を取るとモチベーションが上がります。
そして、参考書を解くときはふつう、
はじめて取り組む分野での正解率は低く、復習する分野での正解率は高くなります。
つまり、復習なしでひたすら進めてしまうと、ずっと低い正解率を取り続けることになり、モチベーションが下がってしまいます。
記憶とやる気を維持するために、週に1回は復習日を取り入れたいですね!
2.今取り組んでいる参考書を止め、同レベルの参考書を始める
参考書 数学 オススメ 検索
こんな感じのキーワードで、同じレベル帯の参考書を何冊も買う人は要注意。
人間は「終わり」が分かっているとやる気が出ます。
「5分間だけバイト先の愚痴を聞いて」と言われたら耳を傾けるかもしれませんが、
「いつ話し終わるか全くわからないけど、バイト先の愚痴を聞いて」と言われたら聞く勇気が持てません。
勉強も一緒で、「この1冊を終わらせればOK」と分かっていればやる気が出ます。
何冊も買いなおし・やり直しをしていると、「もっと良い参考書があって、今までの時間が無駄になるかもしれない」という気持ちに襲われて、モチベーションがガクンと下がります。
明らかに自分のレベルに合わない参考書は別として、
1冊の参考書をやり切るつもりで勉強を始めましょう。
3.問題集を見て満足する
たまに「途中式を書く時間がもったいない」という理由で、
数学の問題集を見るだけで終わらせる人がいます。
これは良くありません。
手を動かさないと覚えづらいのもそうですし、
何より「答え合わせが出来ないので、間違った解き方で固定される恐れがあります」。
問題集で成績を上げたいのなら、必ず答え合わせの時間を設けるようにしましょう。
数学の苦手克服におすすめの参考書
お待たせしました。数学が苦手に感じている場合に使ってほしい参考書の紹介です。
やさしい中学数学/やさしい高校数学シリーズ
まずは学研プラスから出版されている「やさしい」シリーズです。
数学が嫌いな人から、これから数学が苦手になりそうな人まで、幅広くお勧めです。
注目すべきはその解説の手厚さと読みやすさ。
こちらのリンクから立ち読みが出来るのですが、ページのほとんどが解説です。
下手すると1つの問題について「6ページにわたって解説が書かれている」なんてことも。
そして、解説が非常に読みやすいです。
例えば、次のような問題が出ていて、
例題1-37
次の式の解を求めよ。
|-x|+|x-3|=9
(きさらぎひろし(2012)『やさしい高校数学』p.143)
解説がこんな感じ。
これは場合分けで解いていくよ。
「え~、面倒くさい。さっきのコツ12[解法2](p.139)ではできないのですか?」
できないよ。
「でも、左辺が絶対値で、右辺が正の定数ですよ」
でも、|-x| + |x-3| = 9 という感じで、左辺の+のところには絶対値がかぶさっていないよね。左辺全体に絶対値がかぶさっていないと使えないよ。
「へぇ~、そうなんですか。」
じゃ、解いてみよう。このまま解いてもいいのだけれど、せっかくなので(以下略)
(きさらぎひろし(2012)『やさしい高校数学』p.143)
対話形式で、語り口がやさしく、非常に読みやすいです。
数学が苦手な人がやりがちなミスを解説でつぶしてくれるので、非常に使いやすい。
しっかりと解説を読めば、数学が苦手な人でもできるようになります。
こちらの動画では、著者のきさらぎひろし先生から寄せられた、この参考書の使用法を見ることが出来ます。
動画中で「シリーズ全部をやれば偏差値62」と述べられていますが、
この充実した解説を読みながら、この分厚い参考書を解けば、間違いなくそれだけの力はつきます。
。
数学を勉強するときの最初の1冊にいかがでしょうか。
「初めから始める数学」シリーズ
続いて、マセマ出版社から出ている「初めから始める数学」シリーズ。
『やさしい数学』シリーズ同様、『初めから始める数学』シリーズは解説が詳しいです。
『やさしい数学』シリーズは、解き方の解説が詳しく載っていましたが、
『初めから始める』シリーズは、公式の解説が詳しく載っています。
例えば、この絶対値の性質の公式について、
絶対値の性質
(i) |a|^2 = a^2 (ii)√a^2 = |a|
(aは、正、0、負いずれでもよい)(馬場敬之(2018)『初めから始める数学Ⅰ』p.45)
※a^2は、aの2乗のこと。紙面では「aの右上に2」で表記
2ページにもわたって解説がつき、更に、公式を使った問題まで載っています。
(i)について、たとえばa=±3のとき,
(a=3または-3のこと)|a|^2=|±3|^2=3^2=9、またa^2=(±3)^2=9と同じ結果になるので、
(3) ↑(これは、3^2または(-3)^2を、まとめて表したもの)|a|^2 = a^2が分かったと思う。
これは、aに何か式がきてもいいので、たとえば(以下略)(馬場敬之(2018)『初めから始める数学Ⅰ』p.45)
※a^2は、aの2乗のこと。紙面では「aの右上に2」で表記
ことば遣いは『やさしい数学』シリーズより少しだけ硬いものの、
解説が非常に分かりやすく、充実しています。
参考書を紹介している「武田塾チャンネル」での評価はこんな感じ。
個人的に、この参考書は
「少し難しい参考書を始めるときに手元に置きたい1冊」もしくは、
「数学が得意でも苦手でもないときに、辞書代わりに学校に持っていく1冊」として使ってほしいです。
「入門問題精講」シリーズ
最後は、旺文社から出ている『入門問題精講』シリーズ。
旺文社から出ている「○○問題精講」シリーズは全部で3種類あります。
高校入門レベルの「入門問題精講」。
教科書レベル~入試基礎レベルの「基礎問題精講」。
そして、発展問題~難関大学レベルの「標準問題精講」です。
多くの高校生は、学校の定期テストや大学入試に向けて数学を勉強するわけですから、
「基礎問題精講」がメインの参考書になるでしょう。
「入門問題精講」は、数学が苦手な場合に追加するとよい参考書です。
オススメは「入門問題精講」を終わらせてから「基礎問題精講」に取り組む方法ですが、
「基礎問題精講」で分からないところを「入門問題精講」で補強するやり方でも良いです。
3冊の参考書の使い分け
数学の苦手な度合いによって、紹介した3冊のどれを使うか決めてください。
数学がとにかく苦手!解説を読んでも間違える! |
「やさしい高校数学」→「基礎問題精講」 |
授業は聞いているけれど、問題になると解けない! |
「入門問題精講」→「基礎問題精講」 |
公式は覚えているが、苦手。入試までに急いで仕上げたい! |
「基礎問題精講」(『初めから始める』を読みながら) |
数学は、苦手なポイントに正しく対処しよう
数学は、難しいのに無視できない、本当に厄介な科目です。
どこか崩れたら次々に分からなくなっていく科目なのに、大学入試での配点がやたら高いです。
「数学が苦手なのに、志望校が指定しているので取り組まざるを得ない」ことも多々あります。
数学は、真剣に授業を聞くだけでは、苦手を克服できません。
自分がつまづいたところから復習して、基礎から知識を身につけて、練習して。
必要な知識/問題演習がすべて終わったら、ようやく授業が理解できるようになります。
数学が苦手なら、戻る勇気が必要なのです。
ここで紹介した方法でひとりで取り組むのも良いですが、塾や予備校に通うのも1つの手です。
オススメは個別指導タイプの塾。
ひとりひとりの苦手分野に合わせて対策するので、効率よく数学を克服することが出来ます。
また、個別指導タイプの中でも、武田塾のような「参考書の利用を認めている塾」を選べば、
「やってみたけど独学では厳しそう……」という場合でもスムーズに移行できます。
(参考書を使わせず、独自のテキストを購入させる塾は結構あります)
以下に、武田塾佐賀校の相談フォームを載せておきます。
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