法学部は、法律を暗記する学部ではありません。
社会で実際に起きている争いを、法律というルールに当てはめてどう解決するかを考える学部です。
名古屋大学は法学部の入学者受入れの方針で、「社会のルールの学としての法律学・政治学を学ぶ」ことを通じて、大局的な見地から的確な価値判断・意思決定を行える人を求めると書いています。
「法学部=弁護士になる人が行くところ」と思って、最初から候補から外していませんか。
武田塾大曽根校の受験相談でも、法学部は文系のなかでいちばん誤解されている学部です。
この記事では、法学部で何を学ぶのか、法曹を目指す人はどれくらいいるのか、法曹以外の進路はどうなっているのかを、公式の統計と入試要項から整理します。
大曽根校の校舎長がまとめました。
法学部は「社会のルール」を扱う学部
法学は、法というルールを通じて社会の問題を解決する方法を考える学問です。
憲法・民法・刑法といった基本の法律だけでなく、特許法・著作権法・労働法・租税法・国際法まで扱います。
多くの大学の法学部では、法律学とあわせて政治学も学べます。
選挙制度・行政のしくみ・国際関係といった分野です。
「法律に興味はあるが弁護士になりたいわけではない」という人にとって、この幅の広さが法学部の実際の姿です。
条文をそのまま覚える科目ではありません。
ある事実に対してどの条文が当てはまり、なぜそう解釈できるのかを筋道立てて説明する。
この作業を4年間繰り返すのが法学部の勉強です。
法曹を目指す人はどれくらいいるのか
法曹(裁判官・検察官・弁護士)になるには、司法試験に合格する必要があります。
令和7年の数字を法務省の資料から見ます。
| 項目 | 令和7年 |
|---|---|
| 出願者数 | 4,074人 |
| 受験者数 | 3,837人 |
| 合格者数 | 1,581人 |
| 合格者の平均年齢 | 26.8歳 |
合格者1,581人の受験資格の内訳は、法科大学院の課程を修了した人が441人、法科大学院に在学中に受験した人が712人、予備試験の合格者が428人です。
全国の法学部に毎年入学する人数に比べると、司法試験の受験者数そのものが多くはありません。
法学部生の多くは、法曹以外の道に進むということです。
法曹を目指すなら、学部を出たあとに法科大学院へ進むか、予備試験に合格するかという追加の課程が必要になります。
学部選びの段階では、「法学部に入れば弁護士になれる」ではなく「法学部はその入口の一つ」と理解しておいてください。
法曹以外の進路
法学部の卒業生は、金融・メーカー・商社・報道・IT など幅広い業種に進みます。
特定の職業に直結しない代わりに、進路の幅が広いのが法学部の特徴です。
- 民間企業の総合職。契約書や社内規程を扱う法務部門もある
- 国家公務員・地方公務員。公務員試験では憲法・民法・行政法が主要科目になるため、学部の勉強がそのまま使える
- 司法書士・行政書士・社会保険労務士などの資格職
- 大学院に進んで研究者を目指す道
公務員試験との相性がよい点は、学部選びの実利として押さえておく価値があります。
試験科目と学部の必修科目が重なるため、他学部から目指す場合より準備の負担が軽くなります。
法学部の入試で数学が課される大学がある
「法学部は文系だから数学は不要」と決めつけると、志望校を狭めます。
名古屋大学法学部は、二次試験で数学を課しています。
| 区分 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 共通テスト | 6教科8科目または7教科8科目 | 950 |
| 個別学力検査 | 数学 | 200 |
| 個別学力検査 | 外国語 | 200 |
| 個別学力検査 | 小論文(高校の地理歴史・公民の学習を前提) | 200 |
| 合計 | 1,550 |
要項には、この数学について「法律学を学ぶ上で重要となる論理的思考を発展させるために必要な学力」を評価するためだと書かれています。
法律の議論は、前提から結論を導く筋道が命なので、数学で測るという考え方です。
もう一つ特徴的なのは、二次試験に国語がなく、代わりに小論文があることです。
地理歴史・公民の学習を前提とした出題なので、社会科の知識を使って自分の考えを書く練習が必要になります。
直前に始めて間に合う種類の試験ではありません。
法学部の勉強は入学後どうなるか
法学部の講義は、期末試験の一発勝負になる科目が多くなります。
授業に出ているだけでは点にならず、条文と判例を自分で整理し直す作業が必要です。
試験は「この事例で誰にどの責任が生じるか、理由をつけて書け」という形式が中心になります。
出題される事例は、身近なものから極端なものまで幅があります。
どこまでが正当な行為でどこからが犯罪になるのか、当事者の一方が行方不明のとき法律関係はどうなるのか。
こうした問いを「面白い」と感じるかどうかが、法学部への適性のいちばん分かりやすい目安です。
大曽根校が法学部志望に伝えている準備の順番
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1 | 英単語・英文法と数学ⅠAの基礎問題集を1冊ずつ終える。数学を捨てない |
| 高2 | 志望校の要項で二次の科目を確認する。数学や小論文が必要かをこの段階で知る |
| 高3の春 | 二次で使う科目に時間を寄せる。名大志望なら数学・英語・小論文の3本 |
| 高3の夏 | 過去問を1年分解き、小論文の書き方の型を身につけ始める |
| 高3の秋以降 | 共通テストの演習と並行して、小論文を週1本のペースで書いて添削を受ける |
小論文は、書いた回数がそのまま点になる科目です。
秋から始めると、共通テストの対策と重なって手が回らなくなります。
よくある質問
法学部は弁護士にならないと意味がないですか
そんなことはありません。
令和7年の司法試験の受験者数は3,837人で、法学部に毎年入学する人数から見れば一部です。
卒業生の多くは民間企業や公務員として働いています。
法律の考え方は契約・労務・行政のどの現場でも使うため、法曹以外でも学んだことが生きます。
法学部の入試に数学は必要ですか
大学によります。
名古屋大学法学部は二次試験で数学200点を課しており、要項には論理的思考を測るためだと書かれています。
私立大学では数学を使わない方式もあります。
志望校の要項を高2のうちに確認してください。
法学部と経済学部で迷っています
社会のルールと、そのルールの中で人がどう動くかの違いです。
法学部は「誰にどんな権利と義務があるか」を、経済学部は「限られた資源をどう配分するか」を扱います。
どちらも進路の幅は広いので、公務員試験を視野に入れるなら法学部、データや数字で分析したいなら経済学部が一つの目安になります。
まとめ
- 法学部は法律学と政治学を通じて社会の問題の解決を考える学部で、条文の暗記が中心ではありません
- 令和7年の司法試験は受験者3,837人・合格者1,581人。法曹は法学部の進路の一部です
- 名古屋大学法学部は二次で数学200点と小論文200点を課しており、国語はありません
- 志望校の二次科目は高2のうちに要項で確認してください。小論文は直前では間に合いません
武田塾大曽根校の無料受験相談では、志望する法学部の二次科目を要項で一緒に確認し、数学や小論文をいつから始めるかを含めた計画をその場で作ります。
学部を決めきれていない段階でもご相談ください。
大学受験の勉強法でお悩みなら、武田塾大曽根校の無料受験相談へ
入塾を決めていなくても受けられます。
志望校と今の学力を確認して、その場で次の3つをお渡しします。
- 合格までに必要な参考書と、やる順番
- いつまでに何を終えるかの学習計画
- 今の勉強法で直すべき点
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