身近だけど知らない法律 手形法・小切手法
こんにちは! E判定から逆転合格でおなじみの、武田塾瀬戸校です!!
本日は社会生活上重要であるけど以外と知られていない、手形法と小切手法について解説していきます!
手形・小切手とは?
皆さんは、手形と聞いて何を思い浮かべますか? 手にインクや絵の具をつけて紙に押すアレですかね??
確かにアレも手形ですが、今回扱う手形法でいう手形とは、現金を手渡す代わりに使う紙切れのことを言います。
小切手の方はまだ分かる方も多いのではないでしょうか? 富豪が使うイメージのある紙ですね( ´∀` )
そして、約束手形には2つの種類がありまして……「為替手形」と「約束手形」というものが存在します。
とはいっても、為替手形はそこまで重要ではないので、手形=約束手形として解説していきます!!
手形法・小切手法とは?
手形法: 手形の手形の作成方法・流通方法・手形の実行に関する事項 などを規律している。
手形を支払約束証券として扱う。
※支払約束証券とは、○○円を支払いますと「約束」することを書面にしたもの
小切手法:小切手の作成方法・小切手の保証(保証人等をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません)・小切手の実行に関する事項 などを規律している。
小切手を支払代用証券として扱う。
※支払代用証券とは、この券が額面金額(券に書いてある金額)に変えられる書面のこと。
現金を支払う代わりに、額面金額と同じ価値がある券を交付する=(現金そのものでの)支払(に)代(えて)用(いる)証券と思えば分かりやすいかも?
どんな時に役に立つの?
・ 多額の現金を持ち歩くのって、怖くないですか? そんな時に役立つのが手形や小切手!
現金の代わりに手形や小切手を相手に渡し、支払ったことにしてしまえば現金の受け渡しは必要なし!! 手形や小切手を銀行に持ち込んで口座残高を移動してもらえれば、すごく便利そうとは思いませんか?
そう! つまり、手形や小切手は安全かつ低コストにお金を移動させるものです!!
・ 皆さんローンは知っていますか? 未来の収入を今使う仕組みですが、これは将来的にお金を返すことを「約束」していますよね?? だから約束手形は支払約束証券と呼ばれている・・・のは置いといて、例えば今はお金がないけど、仕入れのお金さえあればもうけを出して返せる……こんな時に役に立ちます!
紙以外の手形・小切手があるって本当?
結論からいえば、本当です! なぜなら、手形法に「手形は紙で作成しろ」とは書いていないから。
ただし、統一手形用紙と呼ばれる紙でないと銀行は受け付けてくれません。
自分で借主(もしくは貸主)を探してお金をやり取りしなければならず、普通に手間が掛かりますので通常は紙で作成します!←小切手も同様
会社の名前でお金を借りたはずが、自分の借金になっていた!?
手形法1条1項8号は、手形に効力を持たせるためには「手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名」を要すると定めています。
そして、判例は
「案ずるに、手形を裏書によつて譲り渡す場合には、裏書人が当該手形に署名することを要することは同条の規定により明らかであるが、その裏書人が会社その他の法人である場合には、当該法人の代表機関が法人のためにすることを明らかにして自己の署名をすることを要するものと解するのが相当である。けだし、法人はその機関たる地位にある自然人と別個の人格を有するが、代理の場合と異なり、機関の法律行為を離れて別に法人の法律行為があるわけでなく、法人が裏書人である場合における法人の署名とはその機関の地位にある自然人の署名をいうものと解されるからである」
と述べており・・・つまり、会社(法人)の名前と代表(代表取締役もしくは権限を与えられた者)の名前が揃ってはじめて会社の債務となるんです!!
これを知らずに自分の名前しか書かないと、いつの間にか自分が借金を背負うことになってしまうことに……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
個人事業主の方が陥りがちな注意点として、一部の業界では毎年注意喚起が回っている事項です。
お金を返したら手形や小切手も返してもらおう!!
手形・小切手には、「受戻証券性」という性質があります。
これは何かとざっくりいえば、「お金は返したんだから借用証書を返してね」という意味です!
手形・小切手は一定の条件を満たして世に出ていれば、借金を返していようが実はそもそも借金を負っていなかった事情があろうが、額面金額を支払う義務を負います。
これが履行できないと、不渡り(借金の取り立てに行ったら、払ってもらえなかった状態)となってしまいます。不渡りが6ヶ月以内に2回続くと、銀行取引停止処分という経営者真っ青の処分が下ってしまい・・・仕入れようにもお金を借りられず(返済を待ってもらえず)、信用も地に落ちて倒産と同じような状況になってしまうんです。
お金って怖いですね・・・!!!
手形・小切手は今後使い道がなくなるかも??
経済産業省 「取引適正化に向けた5つの取組」 では「(5) 約束手形の2026年までの利用廃止への道筋」と記載されており、この調子だと手形が廃止(=手形法も廃止)されるのでは?
そう考えた方もいるのではないでしょうか!!
ところが、手形法を勉強しなければならない方にとっては残念なことに(?)手形の電子版と表現されることのある電子記録債権は一切影響を受けず存続するため、元の法律である手形法や小切手法の勉強はどのみち必要になってきます!! 法改正を期待せず、必要な方は大人しく勉強しましょう!!
おわりに
今回は手形法について解説してみました!
京都大学大学院 法学研究科 法曹専攻(通称京大ロー・京大法科大学院)を志望する皆さん! どう足掻いても小切手法・手形法は出現するので、法改正による救済は期待せず、大人しく基礎理念を頭に入れましょう!!
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