はじめに
みなさんこんにちは!武田塾大泉学園校です。
突然ですが、大学受験で日本史を使う受験生のみなさん!
問題を解いてしっかり復習していますか?
日本史は知識科目です。
なので、みなさんがお持ちのイメージ通り、まずは出来事の流れ、単語の内容の説明を含めた知識のインプットが大事になっていきます。
しかし、インプットだけでは、入試問題での聞かれ方に対応できず、高得点を安定して取れるようになりません。
アウトプットとして問題を解き、それを復習することでより高得点を狙えるようになってきます。
日本史は先ほども述べた通り、知識科目であるので、問題復習のやり方も英語や国語と比較してイメージしやすいと思います。
問題を解き、丸つけをし、間違えた問題において使われた知識について復習する。
この流れが一般的であり、大まかにはこの流れで大丈夫だと思います。
しかし、これだけで復習を終えてしまっては特に過去問演習に入った際にもったいない側面もあると私は考えます。
そこで、今回は実際に私が行ってきた日本史の問題の復習・分析の方法について話していきます!
復習・分析の際の観点
まず、端的に私が日本史の問題復習をするときに見ていたポイントについて述べると、
間違いの選択肢の作り方を考え、それを抽象化させていく
ことです。
これについて、ここからは具体例として実際に入試で出された問題を用いながら話していこうと思います。
具体例
引用元
「早稲田大学教育学部2021年度入試 日本史 大問Ⅲ問8」より
引用元: https://www.waseda.jp/inst/admission/other/2021/03/01/9947/
※書式の関係上、空欄EをEと表現させていただきます。
問題文
『江戸時代後期になると、幕藩体制の矛盾がさまざまな場面で噴出した。
それは学問にも影響を及ぼし、国学と蘭学の発達を促した。
〜省略〜
蘭学は実学として学ばれ始め、その成果は、前野良沢・杉田玄白らによる、解剖書『ターヘル=ア ナトミア』の翻訳となって示された。
その後19世紀にかけて、医学・物理学・天文学・軍学などのほか、美術にも影響を与えていく。
この間、E という弾圧事件に象徴されるように、蘭学の発展は幕府の対外政策を批判する人々を生み出した。』
設問
『問8 空欄 Eの事件に関する説明で、正しいものはどれか。一つ選べ。
ア 蘭学者がフェートン号事件における幕府の対応を批判したために起こった。
イ 逮捕された蘭学者は吟味の結果みなゆるされ、釈放された。
ウ 蘭学者が批判した事件のアメリカ船には日本の漂流民が乗っていた。
エ 国外への持ち出しを禁じられていた日本地図を蘭学者がオランダ人にわたしたことが、
事件の契機であった。
オ この事件により、オランダ商館の医師が国外追放となった。』
是非日本史をしっかり勉強した受験生の方はここで一度考えてみてください。
解答・解説
いかがでしょうか? 答えはウです。軽く解説していきます。
まず、この問題は空欄補充の要素があるので、空欄に入る語句を考えてみましょう。
空欄には何か事件が入るようです。
では、空欄に関する情報を集めると以下のものが挙げられます。
①ターヘル=アナトミア刊行から19世紀にかけて起こったもの(時期)
②幕府の対外政策を批判するもの(内容)
③事件に関係する、対外政策を批判した人は蘭学者である(内容)
以上の情報に合致するものは何でしょうか?
それは、蛮社の獄です。
蛮社の獄は、1837年に起こった、漂流民の送還と日本との通商を求めて来航したモリソン号を異国船打払令に基づき砲撃してしまったというモリソン号事件を受けて、モリソン号への幕府の対応を批判した(②)蘭学者(③)の渡辺崋山・高野長英などが1839年に処罰されてしまった(①)と言う事件です。
説明を読めば、情報①〜③に合致していることがわかってもらえたと思います。
そして、この蛮社の獄に関して説明しているものはウのみです。
ちなみに、他の選択肢について言及すると、
アは「フェートン号事件」の部分が間違い、
イは「ゆるされ、釈放された」の部分が間違い、
エとオはどちらもシーボルト事件についてです。
シーボルトは鳴滝塾を創った人で、処罰されてしまった高野長英・渡辺崋山はどちらもこの鳴滝塾出身ですね。
分析
さて、この問題についての復習をやるとき、ここまではみなさん考えると思います。
ここからもう一段階、分析を加えてみましょう、
間違いの選択肢の作り方を考え、それを抽象化させていく
を実際に選択肢アを使ってやってみます。
選択肢アにおいて違うのは、蘭学者たちが批判した対象がモリソン号事件でなくフェートン号事件になっていると言うことです。
なので、間違いの選択肢の作り方として、対象をすり替えていると言うことが挙げられます。
加えて、フェートン号事件とモリソン号事件という同時期の似ている単語で惑わせようとしているのかな、とも考えることができます。
これを抽象化させると、A→B(A:主体、→:行動、B:対象)と表現できる関係性があったときに、AやBだけ変えてくるパターンがあることが何となくわかります。
また、同時期の似ている単語も注意するべきことであることもわかります。
以上が間違いの選択肢の作り方を考え、抽象化するという一連の流れです。
では、この分析を加えることでどんなメリットがあるでしょうか?
分析を加えるメリット
このような分析を加えることで得ることができるメリットは、
一つの問題から得られることが最大になる
に尽きると思います。
この抽象化をしなかった場合、得られることは
「蛮社の獄はモリソン号事件の対応について批判したものだった」
「フェートン号事件の内容」
に限られると思います。
しかし抽象化することで、上記に加えて、
「関係性の主体と対象、どちらかだけすり替えるというパターンがある」という選択肢の文章をみるときの目線、
「他にもこういう引っ掛け方が起こりそうなものが…。鎌倉幕府滅亡の時期に足利尊氏が攻略したのは六波羅探題(×鎌倉)だ、とか?」
や
「やっぱり同時期の似ている単語か…。昭和電工事件と造船疑獄事件の違いとか?」
と他の時代の知識への目線の広がりを得ることができます。
また、今回扱った問題は実際に早稲田大学で出題された過去問であるので、これを積み重ねて、出るテーマ以外の大学の出題傾向にも繋げることができる可能性もあります。
抽象化のコツ
いきなりこんなこと言われても難しい!と思われると思います。なので、軽くコツをお話しします。
記号化
まずが記号化です。これは、具体的な単語がある部分を記号化においてみるだけです。
今回であれば、高野長英・渡辺崋山―(批判)→モリソン号事件の関係性の、高野長英・渡辺崋山とモリソン号事件の部分を記号に置いてみるとどうでしょう?
前述の引っ掛け方が少し見えてくるのではないでしょうか?
引っかかる理由を考えてみる
もし自分がこの選択肢を選んでしまったなら、その理由を考えてみてください。
「ごっちゃになってた」「区別できていなかった」などが挙げられると思います。
これこそが、大学側が入試を通して受験生をかけている篩の正体です。
これを掴むことができればさらに引っ掛け方がわかりやすくなります。
終わりに
いかがでしたか?
私はこのやり方を徹底して問題演習を重ねた結果、センター試験の日本史で9割をとり、第一志望校に合格することができました。
日本史に限らず、全ての科目で問題を解き終わった後の復習は非常に重要です。
復習のやり方を確立して、それを愚直にやることを通してやっていきましょう!
「授業をしない」武田塾では、社会の特訓において出来事の流れや用語の内容を聞く口頭確認を中心に、問題の復習についても細かくレクチャーしています!
もちろん、日本史に限らず各科目で行っています!
「復習が大事とは聞くけど、具体的な問題の復習の仕方がわからない」
という悩みをお持ちの方は、是非一度武田塾の無料受験相談へお越しください!