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今回は「北九州市立大学法学部の小論文対策」についてお話ししていきます。
北九大の法学部前期日程では小論文試験があります。しかし、直前期はセンター試験(来年から共通テスト)の対策に追われ、小論文の対策がしっかりとやれていないという人も多いかと思います。そこで、北九大法学部の小論文試験において、過去の出題傾向からやっておくべき対策までをご紹介していきたいと思います。
そもそも小論文の目的って!?
大学は入学試験において様々な工夫を凝らし,自分の力で考える能力(マニュアル的ではなく、真の対応能力)を見る形式の試験によって,「他者に自分の考えを的確に表現する力を持った学生を選ぶ」ということが小論文試験の最大の目的ですよね。つまり、大学側からすると、入学してからもしっかり学んでいける人材かどうかを見る試験ということになります。受験生から見ても、教科試験を受けなくても自分の能力を文章でアピールできる試験ということです。
北九大法学部の教育理念=法的および政策的思考力を具備する学生の育成となっており、また、法学部の小論文試験の目的として、
(a)事実関係を整理する力
(b)問題を発見する力
(c)情報を収集、分析、処理する力
(d)到達した自己の見解を的確に相手に伝え、議論を通じて客観的に評価する力
(e)主体的に考え、行動する力
このような人材であるために必要な能力を備えているかを”審査”することこそが、北九州市立大学法学部の小論文試験の最大の目的と言えます。具体的には、以下の4つの観点から評価を行っています。
①長文を読ませることによって、受験生の読解力を試す。
②840字程度の文章の中で、どれだけ論点を的確に提示し、その上で自説を十分論理的に、説得力ある形で展開しているか見る。
③日本語の文章表現力が十分であるかチェックする。
④大学入試センター試験や調査書などの各教科の学力だけでは判断できない総合的な学力(思考力・独創力など)を測る。
しかし、小論文だからといって、ただ単に文章を書けばいいというものではないですよね。実際の小論文試験で課されたテーマに対して、自分の考えや意見を筋道を立てて説明することが重要です。そこに対策が必要なのです。対策をやるためには、まずどのような問題が過去に出題されているかを把握しておく必要があります。
直近3年の出題傾向
2019年度 要約問題1題(400字)、意見論述1題(400字)
出題意図:
課題文の中にある筆者の主張を正確に理解し、それを適切にまとめる力が求められる。次に、筆者の主張をふまえて、効率性・採算性の観点と関連付けながら、過疎地域における行政サービスをどうすべきかについて、自分の言葉で、論理的・説得的に論述することが求められる。
2018年度 要約問題と意見論述の組み合わせ(840字)
出題意図:
課題文の中にある筆者の主張を正確に理解し、客観性の意味について適切にまとめる力が求められる。次に、筆者の主張を受け、民主主義社会にとって国民がさまざまな事実を知ることの重要性等について、自分の言葉で、論理的・説得的に論述することが求められる。
2017年度 要約問題と意見論述の組み合わせ(840字)
出題意図:
まず、本問における問題の所在を明らかにするために、①筆者が投げかける疑問とその根拠を適切にまとめる力が求められる。その上で、筆者の主張のうち特に、②英語化推進政策と民主主義社会や国民の政治参加との関連性について述べた部分を前提にして、前者が後者に与える影響について、自らの言葉で、論理的・説得的に論述することが求められる。
問題の形式については「課題文型」となっており、2018年度までは8000字程度の課題文を読んで、要約問題と意見論述の組み合わせで840字の解答となっていましたが、2019年度においては5000字程度の課題文になり、要約問題と意見論述が分けられてそれぞれ400字程度という形式に変わっています。
※出題意図については、北九州市立大学の「出題の意図・採点総評」より抜粋
法学部の小論文対策
法学部の小論文の試験時間は120分となっています。前述したように、北九州市立大学法学部の教育理念=法的および政策的思考力を具備する学生の育成となっており、法的思考力や文章を正しく読むという課題に取り組んでいくことが重要です。過去問を見ても分かるように、直近3年間は要約問題と意見論述が中心となっているので、どちらも並行して学習していく必要があります。
小論文試験では、本文の内容をしっかり把握する読解能力や内容に対して論理を立て、記述する能力を持っているかが見られます。加えて当たり前のことですが、正しい日本語を使うことができるか、一定の語彙力を有しているかも評価の対象となります。具体的にまとめると、長文を読ませることにより受験生の読解力、論点をどれだけ的確に提示し、自説を矛盾くいかに論理的に説得力ある形で書けるかどうかが問われているのです。
おススメの参考書は、現代文で使用する「現代文キーワード読解」「現代文読解力の開発講座」などで一通りキーワードを押さえ、「小論文テーマ別課題文集 21世紀に生きる(駿台)」「田村のやさしく語る小論文」「まるまる使える入試頻出課題小論文」などで要約の練習をしておくと、十分戦えるレベルになるでしょう。中でも「小論文テーマ別課題集 21世紀に生きる(駿台)」は、環境問題、経済、人権、少子高齢化、科学技術、情報化などのように小論文でよく出題される16テーマを扱っています。各テーマにはa~ⅽの3つの課題文が掲載されていて、課題文の後には「論点整理・キーワード」の項目が設けられているので、各テーマのキーワードも踏まえた上で分かりやすく説明されている参考書になっています。16テーマが各3つあるので、48文もの要約練習ができるということになります。「時間的にも48文は無理」ということであればa、bだけを要約練習してみるのも良いと思います。その場合、1日2文の要約練習をおこなえば、2週間程度で終わります。問題文を読んでいきなり要約はできないという場合には、まずは課題文を読み、その後に別冊の要約例を読み、課題文のどこが抜き出されているかポイントをチェックしていくことから始めてみると良いですね。接続詞や語尾に注目していくと、自然と重要なキーワードを拾い出せるようになっていきます。
要約問題のコツ
①キーワードを拾い出す
要約形式の場合の採点基準として、キーワードが解答に入っているかで採点するケースが多い。したがって、本文の中に隠れているキーワードを見つけ出し、解答に入れるべき言葉を拾い出すことが必要となります。また、キーワードは1つとは限らないので、できる限り多くのキーワードを見つけ出す練習をしておきましょう。
②具体例や例え話などは削る
地域創生学部の解答文字数は500~625字と限られているので、必要な内容を厳選してまとめなければなりません。本文の中に記載されている具体例や例え話は、本当に述べたいことを補足するために述べられていることが多いので、具体例や例え話は省いて回答することが理想的です。
③自分自身の言葉でまとめる
キーワードを抽出しても、小論文として文章をまとめる作業が必要になります。この文章をまとめる作業は、自分自身で行わなければなりません。したがって、キーワードを上手な文章にまとめ上げる力が必要となり、誰もが読みたくなるような文章を目指して解答するようにしましょう。また、問われた設問に対して、ちゃんと解答するようにしましょう。書きたいことが多くて、問われていないことまで解答するようなケースも多いようです。問われていない部分を回答することで減点対象となる場合もありますので、設問で問われた内容を素直に答えるようにしましょう。
意見論述のコツ
①「序論・本論・結論」を作る
まずは本文を読んで問題提起(自分なりのテーマ)を決めます。その上で、序論では自分の考えの大きな方向性を示すことが必要です。続いて本論については、序論で主張した自分の考えの根拠を示していきます。小論文の内容に説得力を持たせるため、主張の基にした事実なども可能な限り踏まえながら、客観的な文章になるように心がけましょう。最後は結論という形で、自分の考えをまとめて示すようにします。
②「反論・持論・理由」も含める
自分の考えの説得力をより高めるために、あえて自分の考えに対する反論を用意するということも有効な手段になります。まず、問題提起でこれから論述する問題の内容と自分の考えの大きな方向性を述べた後、反論として自分の考えに対抗する主張を提示します。その上で、その反論がなぜ無効なのかを述べつつ、持論に入ります。持論の理由を、客観的なデータなどを適宜引用しながら書いていくと良いですね。そして最後に、結論として自身の主張を再度提示して文章を終えます。ここで注意したいのが、持ち出した反論の説得力を残さないことです。反論の方に説得力がある状態では、いくら自分の考えの根拠を上手く説明しても、主張の持つ説得力が弱くなってしまいますので注意が必要です。
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