東大の進学振り分けとは?進振りのシステム・実態を解説!
こんにちは。
東京大学理学部卒講師のFです。
今回は、東大に進学してみないといまいちピンとこない進学振り分けの制度について、仕組みの簡単な解説や、現状抱えている問題点について解説していきます。
これから東大を目指す学生は、進学後も熾烈な競争が待っているということを、この記事を読んで理解していただければと思います。
教養学部前期過程とは
比較的自由に自分の学びたい学問を選べる
東大入試は、文科1類〜3類、理科1類〜3類という区分で実施されますが、大学入学後は、全員が教養学部前期課程の所属となります。
他大学では、入学時から学部が決まっていることがほとんどで、その段階で、自分が専門的に学ぶ学問の種類もある程度決まっているはずです。
一方で、東大の教養学部前期過程に所属している間は、文科と理科で単位として要求される学問分野の数こそ違いますが、基本的には、文理の垣根なくどのような授業でも自由に選択することができます。
ただし、文科と理科にはそれぞれ必修科目とされるものが存在するので、それらの選択には基本的には自由はないです(文転・理転を考える場合は例外があります)。
リベラル・アーツ教育
東大が、このように教養学部前期過程で幅広い科目が選択できる方式を取り入れているのは、教養過程において様々な学問を学ぶ中で、本当に自分が学びたいものを探したり、人間としての教養を深めたりすることを望んでいるからだと思います。
一般の大学では、高校生の段階の(大学生から見れば)乏しい知識の中で、大学4年間で勉強する学問を決定しないといけませんが、正直なところ、これには相当な無理があるのではないかと東大出身の自分は思います。
私は生物が勉強したくて東大に進学しました。
その中でも特にIPS細胞に興味があり、高校生の段階で国際学会を傍聴した経験もあります。
しかしながら、進学後に様々な科目を受講する中で、興味の対象が、
IPS細胞→微生物→バイオマテリアル→筋肉
と変化し、結局は、大学院で筋肉を研究して修士号を取得しました。
私の高校の友人には、トップの成績で理科1類に合格したものの、進学振り分けで文系コースに進んで心理学を勉強したものもいます。
自分が何が好きで、何が勉強したいかということは、様々な体験を踏まえてようやく見えてくるものなので、東大がこのようなシステムを採用していることは、非常に理にかなっていると言えるのではないでしょうか。
進学振り分けで勝ち抜くことは非常に大変
続いて、進学振り分けの実情について解説します。
進学振り分けとは?
進学振り分けとは、教養学部前期過程(1年生の前期後期と2年生の前期)の成績平均値をもとに、好成績の人から行きたい学部を選ぶことができる仕組みのことです。
簡単に言えば、人気の学部に進むためには高得点が必要であるため、進学後も勉強を欠かさないだけでなく、興味がなかったとしても点数の取りやすい科目をあえて受講するなどのテクニックが必要になるということです。
進学振り分けの前には、共通テストのリサーチのように、自分の点数と志望学部を登録すると、その学部を志望する人の中で何番目の位置にあるかを知ることのできる機会があります。
東大の学生はこれをもとに分析をして、自分が狙う学部に進学できるか否かを判断することになります。
なお、進学振り分けにおいては、基本的には希望すればどの科類からでも好きな学部に進学できますが、特定の科類にだけ設けられた優先枠のようなものがあるため、文転や理転は難易度の高い選択になります。
優3割規程と逆評定
東大の成績システムは独特で、必修科目においては、クラスの上位3割にしか優(100点満点で80点以上)の成績を出さない優3割規定というものがあります。
人気学部の合格最低点は80点前後になることが多いため、安心して好きな学部に進学できる成績を得るためには、東大で上位3割の成績をコンスタントに取ることが求められます。
日本全国から集まった勉強が得意な人たちの中で、さらに上位3割に入らないといけないと聞くと、入学後にも多くの東大生が長時間の勉強を欠かさずに行うことの理由が分かってくると思います。
好成績を取るためには、授業の情報を得ることも重要で、そこで役立つのが、東大同人サークルが販売している「逆評定」です。
これは、東大生に大規模なアンケートを行い、各教師ごとの単位のくれやすさ、授業の難易度、授業の特徴などをまとめた冊子になります。
それぞれの項目を加味した上で、教師は皆、「大仏」から「大鬼」にランクづけされます。
必修の授業が「大鬼」に当たってしまった人は、その時点でかなりのビハインドになってしまいます。
進学振り分けの問題点
生徒間に不公平が生じる
進学振り分けとは?で書いたように、必修授業が「大鬼」に当たってしまうと、相当に優秀な学生以外は好成績を取ることが難しくなります。
一方で、必修の全てが「大仏」になるようなことがあれば、80点はもらえなかったとしても、それに近い79点で妥協してもらえる可能性も増えます。
このように、担当する教員によって進学振り分けのための成績にばらつきが生じるというのが問題点です。
点数の取りやすい科目に生徒が殺到する
リベラル・アーツ教育を基本とするならば、学生は自分の興味のあるものをどんどん学習して、自分の教養を深めていくことを理想とするはずです。
しかしながら現状では、行きたい学部に進むためには点数が必要なので、それほど興味はないけれども、点数をくれやすい教授の授業があるので履修するという状況が起こっています。
もちろん、全ての生徒がこの傾向にあるわけではなく、本来のリベラル・アーツの狙い通りに深い教養を修めて、後期課程に進む学生も存在します。
単位を取るだけで進学していくことのできる他大学との違いが大きく現れるのが、この点取合戦なのではないでしょうか。
まとめ
進学振り分け制度には、良い点と悪い点がありました。
良い点
・科目に縛られずに教養を深められる
・時間をかけて専門科目を決定できる
悪い点
・教員ごとに点数のくれやすさに差がある
・点数を取るための授業選択により、結局リベラル・アーツの信念が揺らいでしまう
東大は入るだけでも大変ですが、入学後も、少なくとも後期課程に進学するまでは、入試以上に大変な日々を過ごす必要もあることを理解しておく必要があります。
↓勉強の悩みを無料で相談したい方はこちら↓
3種類の申し込み方法からお選びください
①「無料受験相談」より、必要事項を記入の上、お送りください。
②「友だち追加」よりLINEをご登録後、受験相談希望の旨、メッセージをお送りください。
③ 校舎へ直接お電話頂き、受験相談希望の旨をお伝えください。 TEL:0465-22-3911 (受付時間13:00-22:00) |
◆武田塾小田原校◆
小田原駅近辺で大学受験の塾・予備校をお探しなら武田塾小田原校
TEL | 0465-22-3911 |
odawara@takeda.tv | |
住所 | 神奈川県小田原市栄町2-8-37-3F |
アクセス | JR・小田急小田原駅東口より徒歩3分 |