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歴史学専攻講師が紹介する日本史論述問題の対策・勉強法【記述対策】

日本史論述問題の勉強方法について

こんにちは、武田塾小田原校の北郷です。

以前、自己紹介のブログも上げていますので、良かったらご覧ください。

(北郷講師の自己紹介ブログはコチラ → 【小田原校 講師紹介】東京都立大学人文社会学部 北郷講師

歴史学専攻講師が紹介する日本史論述問題の対策・勉強法【記述対策】

今回は東大や一橋をはじめとした難関国公立から短い記述問題がでる私大志望の受験生が日本史を受ける際に、対策しづらいと感じる記述・論述問題の勉強方法と取り組み方について伝えます。
以下の目次の順に紹介していきます。

Ⅰ まず記述・論述問題に取り組む前に

① 自分の受ける大学の記述・論述問題はどのような形式か

② 記述・論述問題で必要な知識量とは

Ⅱ 記述・論述問題に取り組むときの注意点

ー 記述・論述問題に取り組むときにやってはいけない御法度3箇条!

1.まず自分の力で書くことに挑戦する

2.間違えた回答を消しゴムで消してはならない

3.教科書の表現で書き上げる

Ⅲ 記述・論述問題への対策方法とおススメの参考書

① 記述・論述問題に必要な知識を覚える際に必要な参考書

② 記述・論述問題を練習する際におススメの参考書

※クリックすると、各項目へジャンプします。

Ⅰ まず記述・論述問題に取り組む前に

ExaminationPassing

①自分の受ける大学の記述・論述問題はどのような形式か

ここではまず問題を解く前に、問題のタイプを知る重要性を伝えます。
日本史の記述・論述問題にはいくつかの問題パターンが存在します。

a 事象・日本史の用語を説明させる問題〈私立・一部国公立型〉

例えばこのような問題です。

備中鍬の形式の特徴および耕作における利点について、30字以内で説明せよ。

(2020年 立教大学文学部個別入試大問Ⅰの9より *問題文を一部改変しております)

この問題では、備中鍬の使用法などを中心に記述する問題ですが、こうした日本史用語や、歴史上の出来事の内容を説明するという問題になります。
こうした問題は、私立大学や一部の国公立大学に見受けられます。

b 歴史上の因果関係・時系列を説明させる問題〈早慶・難関国公立型〉

例えばこのような問題です。

日中戦争の勃発後、国民生活は、強力な統制経済の下におかれ、大きく影響を受けた。

国家総動員法制定以降米英に対する宣戦布告までの期間の生活物資に関する統制について述べなさい。

(2020年 慶應義塾大学経済学部B方式前期 Ⅱ 問9 (2)より *問題文の一部を改変しております。)

この問題では、国家総動員法や統制経済のことなどの、中身や内容だけについて述べるのはNGです。
正しくは、生活物資の統制という観点の内容を、国家総動員法から太平洋戦争突入までの時間軸の流れに沿って記述するという問題になります。
歴史用語の内容説明に加えて、歴史の流れを把握する必要があることから、記述の難易度が上がります。

こうした問題は早慶などの最難関私立や、東大・一橋を除く国公立大学で広く出題される形式です。

 

c 史料・設問を踏まえた上で情報分析と取捨選択を必要とする問題〈東大・一橋型〉

例えばこのような問題です。

(2) 軍人は忠節を尽くすことを本文とすべきである。兵力の消長はそのまま国運の盛衰となることをわきまえ、世論に惑わず、政治に関わらず、ひたすら忠節を守れ。それを守れず汚名を受けることのないようにせよ。(軍人勅諭 1882年1月)

設問B (2)のような規律を掲げた政府の意図はどのようなものだったか。当時の国内政治の状況に即しながら、3行以内で述べなさい。

(2020年 東京大学文系前期日本史 第4問設問Bより)

この形式の問題は今までの問題とは異なります。

設問と史料文を読んだ上で、
「政府の意図とは何か」
「当時の国内情勢はどうなっていたか」
「この史料文が提供されている意味は何か」
を踏まえた上で、必要な情報をある程度の字数でまとめ上げる能力が必要になります。

ただ日本史の知識や時系列の流れを詳述するだけではありません。
むしろ設問が要求しているのは何か、また設問の要求を満たすのにどの情報を書き込むかという情報の収集と取捨選択の力が必要となります。
こうした形式の問題は東京大学・一橋大学などで見受けられる非常にレベルの高い問題です。

まず自分が志望する大学の記述・論述問題がどのタイプに当てはまるかを分析しましょう。

②記述・論述問題で必要な知識量とは

さてここで受験生が気になることと言えば、「論述問題を解くのにどれくらいの知識が必要なのか?」ということでしょう。

記述・論述問題を解くにあたって必要な知識量は、山川の教科書に記載されている知識があれば、基本どの大学の論述問題にも対処できます。
難関私立大学の入試のように、用語集の細部まで読み込まないと解けないといったことはありません。

ただ記述・論述問題を解く際に重要視して欲しいところは、その基本的な知識を自由自在に組み合わせ、解答の要求に沿って情報を選択することが出来ているかという事です。
例えば問題で鎖国までの流れを問われたときに、自分の持つ日本史の知識からその部分に関する知識を抜き出すことを過不足なく抜き出すことが出来るかという事が重要になります。

また論述問題を解く際には、①で問題の形式を紹介したように、歴史の知識として時代の流れを把握しているかという事が、私立などの入試以上に重要となっていきます。
日ごろから日本史を勉強していく際に、歴史上の出来事の中身だけを覚えるのではなく、歴史の因果関係・時代背景を確認することを意識するようにしましょう。

Ⅱ記述問題に取り組む際の注意点

StudyingBook

さてここからは、実際に記述・論述問題に取り組む前に意識して欲しいところ、注意して欲しいところを3つにまとめてお伝えします。

記述・論述問題に取り組むときにやってはいけない御法度3箇条!

①まず自分の力で書くことに挑戦する

論述問題の力を上げるためには、まず書くことなしには始まりません。
論述問題に取り組みたての頃は、どの知識を使って何を書けばいいのかが分からないかもしれません。
それでも自分が持っている知識を最大限に使って、まずは書けるところまで書くという練習を積むようにしましょう。
くれぐれも解答を丸暗記することはしないで下さい。
論述問題を解く時に必要な思考力を育てる機会を奪ってしまうことになります。

②間違えた回答を消しゴムで消してはならない

論述問題に取り組むときに、誰もが解答の要素をすべて満たした解答を書くことは難しいです。
当然解答を添削・修正することもあると思います。
そこで注意して欲しいことは、「間違えた回答を消しゴムで消してはならない」という事です。

論述の回答は完璧な間違いというよりも、要素の不足で失点するというケースが大半です。
そのため論述問題を見直す時には自分の回答にどの要素を加えれば理想の回答に近づけられるかという視点を大事にしてください。
具体的には余分な表現は二重線で消し、追加したい解答の要素を赤字で加えるといった具合です。

間違えた回答を消しゴムで消してしまうという事はその答案を書いた時の自分の思考の痕跡を消してしまうことになり、ある意味で解答の丸暗記と変わりません。

③教科書の表現で書き上げる

重要なのは、日本史の論述問題にオリジナリティーは必要ないということです。
日本史の論述答案を仕上げるときに使う表現は、教科書などの本文に書いてある表現を使うことが出来れば十分です。
それを設問の条件などに合わせて組み替えることが出来るように練習を重ねていきましょう。

Ⅲ 記述・論述問題への対策方法とおススメの参考書

ここでは日本史論述問題を練習していくために勉強する対策と、対策するにあたってのオススメの参考書を紹介していきます。

まず勉強法として意識してほしいことは、日ごろの勉強からアウトプットの習慣を付けていくことです。
このブログ内でも書いたように、日本史の論述を解くにあたっては、基本・標準的な知識を必要に応じて引き出すことが重要となっていきます。

毎日日本史の勉強を終えたら、「今日勉強した日本史の中身を口頭で説明できるか」

通史を一通り終えた受験生ならば、「その通史の中から日本の外交という観点について各時代の外交の特徴を口頭で説明できるか」

といったことを口頭で常日頃から確認するようにしてください。

インプットだけで終わらせない勉強が記述・論述問題の土台をつくるうえで非常に重要です。

そして日本史論述問題の対策としておススメの参考書を、① 知識を付けるため ② 論述問題を解くため の目的別に参考書を紹介していきます。

おすすめの参考書 

①知識を付けるために

日本史用語2レベル定着トレーニング 旺文社 石黒拡親

この参考書は日本史の土台となる知識を付けるために使う参考書として最適です。
この参考書の特長としては、各章に入る前にその章で取り扱う時代の概要を説明しており、書く時代の特徴を大まかに抑えるのに適しています。

またこの参考書は覚える日本史の単語が2レベル構成となっており、基礎的な部分の勉強と、発展的な部分の勉強を分けることが可能となり、自分の段階にあった勉強をすることが出来ます。

詳説日本史 山川出版

武田塾では上記のような問題集に加えて、歴史の流れ・特徴、また記述・論述問題に必要な文章表現を習得するために、講義系参考書を並行して使います。
そこでお勧めなのは高校の教科書として良く採用されているこの参考書です。

この教科書の本文の文章表現を使いこなすことが出来るようになれば、論述問題には対処できるようになります。
そのためには、教科書を用いて各時代の特徴や歴史的事象の因果関係を口頭でアウトプットできるかを日ごろから勉強の中にとりいれていきましょう。

②論述問題を解くために

考える日本史論述 「覚える」から「理解する」へ 河合塾

論述問題に取り組む際に一番に取り組む入門用の参考書として、こちらの参考書をお勧めします。
入門から取り扱いますが、基礎的な論述問題のアプローチの仕方から難関大学で出題される実践的な論述問題まで対応できるので、東京・一橋大学を除く大学ではこれ一冊で論述問題の対策が可能となっています。

この参考書では各論述問題のパターンの紹介や論述問題に必要な歴史知識の整理、論述問題を書く時のプロセスが丁寧に書かれているのが特徴です。

またこの参考書では、有料となってしまいますが自分の書いた論述の答案を、河合塾の日本史の講師に対策してもらうことが出来るのも特徴です。
自分ではなかなか気づくことが出来ない歴史の視点や、経験豊富な現役の予備校講師に添削してもらうことで、自分の論述問題への問題点を洗い出すことが出来ます。ぜひ活用してください。

日本史論述研究 ―実践と分析― 福井紳一

この参考書は基本的に東京大学を受験する人向けの参考書となっています。
題材も実際の東大入試や、塾での東大実践模試の問題が取り上げられています。
日本史の東大入試を解くにあたって必要となってくる情報の選択する力を伸ばしてくれます。
また問題を解くにあたって必要な背景知識の解説と論述問題の採点基準が詳しく述べられているところが特徴の一つです。

ただ注意点としては、この参考書は東大入試に特化した内容になる為、そのほかの大学を受ける人は前述の考える日本史論述で十分です。

やることは分かったけれど、出来る気がしない

今回は日本史の論述対策について詳しく説明をしてきました。

「こんなにやらなきゃならないのか…」と思った方も少なくないかと思います。

武田塾では、こうした論述対策まで含めた学習ペースの管理を得意としています。

他の科目との兼ね合いもありますので、「自分で管理が上手く出来る自信がない方」は"無料受験相談"にお越しください。

現状に合わせてオススメの学習方法をお教えします。

↓勉強の悩みを無料で相談したい方はこちら↓

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