どうも、武田塾西宮北口校で教務をしてます、池上がみーです!
2022年4月に高校に入学した高校生から、新たな7科目を学ぶことになります。
その7科目とは、『歴史総合』『日本史探求』『世界史探求』『地理総合』『地理探求』『情報』そして『公共』です。
今回は『公共』がどのような科目なのかについて書いてみました!
ベースは『現代社会』だが…
『現代社会』が廃止されます
これまでの教育課程で『倫理』『政治・経済』との選択必修科目であった『現代社会』は、2022年度の高校1年生からは選択できなくなります。
『現代社会』は、『倫理』と『政治・経済』を足して分量を半分にしたような科目でしたが、21世紀の社会がどのような経緯で出来上がり、どういった制度や仕組みで構成されていて、どんな課題を抱えているのか、といったことがコンパクトにまとまった非常に有益なものでした。
その後釜として『公共』が必修科目として登場することになり、『倫理』と『政治・経済』は選択制の発展科目扱いとなります。
内容としても『現代社会』がベースになっていて、「青年期の課題」「民主主義」「哲学」「経済と福祉」「グローバル化」などといったテーマは『公共』にも踏襲されます。
実際、教科書の内容を見てみると、覚えるべきキーワードは現代社会のときとほぼ同じで、大きな変化はみられませんでした。
授業スタイルは大きく変化するかも!?
しかし、授業のあり方は大きく変わりそうです。
最近はやりのアクティブラーニングと呼ばれるものや、哲学対話、あるいは模擬投票・模擬裁判・模擬議会などが取り入れられた、より実践的な授業に、文部科学省が寄せていこうとしています。
また、図表や資料を分析していくような作業を行う授業も増えていくことが予想されています。
授業で討論会が開かれるかも
先生によっては討論会方式の授業を展開することも考えられます。
討論のテーマとしては、例えば安楽死について賛成か反対かとか、死刑制度を廃止すべきかどうか、あるいは倫理的ジレンマを扱ったトロッコ問題などが取り上げられそうです。
ファシリテーター役の先生の能力に依存するところはありそうですが、新高校1年生は活発な議論の中で社会的なテーマについて学んでいくような授業を受けることになるかもしれません。
先生によっては座学中心になる…?
アクティブラーニングや討論会という新しいタイプの授業を取り入れようにも、そういったノウハウを現時点で持っている先生は多くありません。
そうなると、結局は『現代社会』のお色直しに過ぎないということで、座学中心でとにかく事項の暗記で今まで通りの授業スタイルを続ける先生が大量発生することも考えられます。
主権者教育が目的
今までの暗記科目という色彩が強かった『現代社会』を、参加型の授業への転換をはかる『公共』へと文部科学省が変えようとしているのは、高等教育で主権者教育を行おうという意図があるからです。
主権とは、国の方向性を決定づける最高権力のことですが、戦後日本は主権在民の考え方のもとで民主主義国の一角を担ってきました。
その一方で、低迷する投票率や、欧米と比較すると希薄な権利意識という問題が日本にはあると言われ、主権在民とはどういうことなのかを教育で知ることが急務となっています。
国民が主権者であるのならば、一人ひとりの国民が倫理的な話題や社会的な議論を自分のこととして主体的に関わっていくというのが理想形のはずです。
こういった課題に応えるために『公共』の授業は開講されることになります。
ただ、前述のとおり、こういった文部科学省が掲げる理念のとおりに実際の学校の授業が展開されるかは不透明です。
予備校の先生たちは文部科学省の理念をどう受け止めるのだろう?
予備校の先生たちがこういった文部科学省が掲げる理念をどうキャッチして、共通テスト対策の授業をどのように展開していくのかが気になるところです。
大手予備校の今後の動向も押さえておきたいですね。
それじゃあ、共通テストはどうなるの?
文部科学省の授業スタイルを大きく変えようという意向を汲み取って、大学入試センターも2025年1月の『公共』の試験から、出題スタイルを大きく変えてくることが予想されます。
とはいえ、当然のことですがペーパーテストで討論はできませんし、答えのない問いが出題されることもありません。
ただし、今までの『現代社会』と同じような、割と単純な暗記問題は大幅に減ることになりそうです。
実際、大学入試センター作成の『公共』のサンプル問題(試行問題)を見てみると、やたらと図表や資料が多くなっていて、それらを読み取りながら基礎的な知識と絡めて解答するような問題が多く出題されていました。
実際の共通テストの出題がどうなるかはまだ未知数ですが、資料クリティーク能力や思考力を測るような問題が多くなることは間違いなさそうです。
暗記一辺倒の勉強から卒業しないと高得点が取れなくなってくるであろうことを覚悟しましょう!
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