こんにちは! 西宮北口校で教務をしている池上がみーです!
2022年度入学の高校生学ぶことになる新科目「歴史総合」についての話題です。
学習指導要領の改訂により、2022年度の高校1年生からは今までの日本史Bと世界史Bが廃止されて、代わりに「歴史総合」と「日本史探求」「世界史探求」という新しい科目が開始します。
大学入試センターがその「歴史総合」の共通テストのサンプル問題を公開しましたので、実際に解いてみました!!
今回は解いてみた感想や、今後の高校歴史科目の展望について記事にしてみました♪
解いてみた感想
かなり工夫して作り込まれた力作と言っていいでしょう!
大問は第1問と第2問で、小問は全部あわせて11問ですので、問題数は多くないです。
ただし、ゴリゴリの暗記で解けるような問題は少なく、資料を読み込みながら思考力が要求される問題ばかりでした!
問題の設定は、「歴史総合」の授業での生徒と教師が会話しながら様々な資料を比較検討し、日本と世界を横断するような歴史的現象についての理解を深めている場面です。
最終11問目の問いは「授業で追及した主題として最も適当なもの」を選び、かつ「その主題をさらに追及するための資料として最も適当なもの」を選ぶという、アクティブラーニングを前面に出したものでした。
それでは内容を見ていきましょうッ!(解答についても書いているのでネタバレ注意)
第1問~冷戦期の世界について~
第1問は問1~5で構成されていて、自由主義陣営と共産主義陣営の対立に関する問題です。
ベルリンの壁が建設されている最中に逃走を試みる警備隊員を激写した「自由への跳躍」の画像が掲載されていました。
(サンプル問題 第1問 資料1より)
問2は「自由」について言及されている4つの資料を読み比べて、それぞれの資料で言及されている「自由」がどのような意味なのか(黒人の自由についてなのか、女性の自由についてなのか、植民地支配からの自由なのかetc...)を問う問題でした。
今までの世界史や日本史のセンター試験では無かったような、資料を読んでその背景について解釈する必要がある問題です!
問3には、コミンフォルムの結成・中華人民共和国の成立・日韓基本条約の締結・ソ連の核兵器保有の年代を記憶しておかなければ解答を導けないような、従来どおりのゴリゴリの暗記問題もありました。
しかし、問5は三本の線が描かれた折れ線グラフを解釈して、それぞれがアメリカ合衆国・ソ連(ロシア)・日本のどの国の一人当たり GDPなのかを考えなくてはならないという、ゴリゴリの資料問題だったりします。
従来の暗記科目としての傾向も踏襲していますが、とはいえ資料問題の多さを見ると、問題の幅を拡げようという野心を感じますね!
第2問A~アジア諸国でつくられた憲法・憲法草案について~
第2問も第1問と同じように、「歴史総合」の授業が行われているという設定で、生徒たちは様々な資料を比較検討して、それらについての発表の準備をしているという場面です。
第2問はAとBに別れていますが、Aはアジア諸国(オスマン帝国・日本・清王朝)で作られた憲法や憲法草案を読み比べて、それらが作られた背景や影響を問う問題(3問)です。
憲法という切り口で19世紀後半や20世紀前半の世界と日本を分析していくという、興味深いテーマでの出題です。
内容的にはきちんと歴史の流れや年代を押さえているかを問う問題ですが、一問一答形式の用語暗記では対応しにくい問の立て方がされています。
具体的言うと、以下のようにオスマン帝国のミドハト憲法や清王朝の憲法大綱の条文を読ませるという試みがされていました。
(サンプル問題 第2問A 資料1より「ミドハト憲法」)
(サンプル問題 第2問A 資料3より「清の欽定憲法大綱」)
今までの日本史や世界史のセンター試験では、こういった資料が出題されても細かい内容の精査はせずに、読み飛ばしても大丈夫ということも少なくありませんでした。
しかし、今回のサンプル問題では資料と資料の比較検討をしないと解けない問題もあるため、今までどおりの歴史科目の解答の仕方では対応しにくくなっています。
第2問B~世界と日本のナショナリズムに関連する事象について~
特筆すべきことは、最後の問題である問6が、第2問全体を総括する問題となっていることです(!)。
第2問AとBの問題文は、それぞれが別の日の「歴史総合」の授業の場面であるという設定です。
問6は、その2回の授業で研究した内容をより深めるためには、次にどのような資料に当たればいいか?ということを問う、受験生のアクティブラーニングの能力を測る問題なのです!!
実際の問題文を見てみましょう。
(サンプル問題 第2問B 問6より)
歴史的事象そのものから、ここまで離れた出題をするというのは、大学入試センターも思い切りましたね。
でも、だからといってこの問題が失敗作かというと、そんなことはありません。
むしろ、表面的な歴史事項の暗記では太刀打ちできない問題できないですが、歴史を主体的に研究しようという態度がある人なら普通に解ける非常に良い問題です。
チャレンジングな出題であったが、難問奇問の類は無かった
今までの日本史や世界史のセンター試験・共通テストの問題と比べると、解いてみた感覚は全く違うものでした。
歴史科目を真の教養科目に高めたいという文部科学省の熱意が大学入試センターに伝わったからもかもしれませんね。
今までの歴史科目のようにゴリゴリの暗記という勉強法だけではもう通用しません。
知識の暗記はしっかり行いつつも、資料を読み解く国語力や、歴史を主体的に探究する力も試される試験になります。
とは言うものの、しっかり学習を積み重ねてきた高校生ならば十分に高得点が取れるテストです。
試されているのは3つの能力だ!
今回のサンプル問題から見えてきたのは、「歴史総合」を解く上で受験生が試されているのは以下の3つの能力ということです。
①歴史的事項や年号を暗記する能力
②資料を読み解き、歴史に絡めながら比較検討できる能力
③主体的に歴史を学んでいく能力
①については、これまでの歴史科目で求められてきた能力と同じなので言うまでもないでしょう。
ところが、②と③については全く新しいトレンドと言えます。
将来の受験生が「歴史総合」を学ぶ際には、知識の暗記だけでは足りず、資料を読み解く能力やアクティブラーニングの能力も共通テストでは求められる、ということを意識して下さい!!
歴総合については、以下の記事もご参照下さい。
高校に入学してからも大変だ
「歴史総合」をはじめ、「情報Ⅰ」「公共」といった新しい科目が始まりますので、将来の大学受験の悩みは絶えないですよね。
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