教務の三浦が、質問とその対応策を定期的に公開する企画です!
生徒からの質問は勉強法に新しい発見をもたらしてくれます。質問にただ答えるだけではなく、勉強方法までしっかりと考えて伝えることをいつも大切にしています。
第1回目の質問はこちら。いきなりですが、日本史の勉強方法に関する質問です。
Q. 歴史の流れがグチャグチャで困っています。
A. 『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』を頼りに「あらすじ」を整理して覚えるコツを掴みましょう。
今回は第1回目なので徹底的に詳しく勉強の手順を整理します。
これで誰でも日本史を得意科目に出来ますよ!
金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本
参考書の位置付け
『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』は、入門的な講義本です。講義は詳しすぎず、中心となる流れに絞って暗記を助けてくれるので、日本史学習の土台を身に付けることができます。
『金谷の日本史』では、これをセットにして覚えてね、という日本史のポイントを表にしてまとめてくれているので、しっかりやり込めば入試で点を取るための基礎力が身に付きます。他にも工夫がたくさん凝らされていて、ここまで暗記をしやすい講義本は他に無いでしょう。
日本史学習の注意点
日本史は細かい用語が多く、「いつ」「誰が」「何を」「どこで」やったのかなどがバラバラになると、入試問題で点数を取ることが出来ません。
多くの入試問題には、正誤問題が出てきます。選択肢は部分的に「いつ」の部分や「誰が」の部分がズレていたりするのですが、それを見抜くためには、こうした「いつ」「誰が」「何を」などをセットにして覚える必要があります。そのために『金谷の日本史』を上手く活用して欲しいんですよね。
では、参考書の構成を見てから、使い方を詳しく見ていきましょう。
参考書の構成
『金谷の日本史』は、それぞれ1回分の講義が以下の構成で組まれています!
・表になったあらすじ
・この章の舞台
・講義部分
・確認テスト
・入試にチャレンジ
参考書の使い方
①「あらすじ」を見て大きな枠だけ掴む。
②講義部分を読んで、ABCごとに「あらすじ」を言えるようにする。
③「確認テスト」で、理解のポイントを抑えられているか確認する。
④すべての枠を繋げて「あらすじ」を説明できるようにする。
⑤「あらすじ」を思い出しながら問題演習に取り組む。
①「あらすじ」を見て大きな枠だけ掴む
参考書の構成に沿って使い方を説明していきます。
まず、『金谷の日本史』は、各講義の最初にその講義で説明される内容のポイントを表にまとめた「あらすじ」が示されます。
表1 第3章第1部6世紀の政治 この章のあらすじ
(直接載せることが出来ないので、手書きで再現しました)
この表について、金谷先生が以下のように言ってくれています。
「丸暗記するのって、大変そうですね〜。(・・・)でも、しっかり歴史的展開を理解していけば、全部頭の中に入りますよ。この大きな表は、あとで頭の整理に使ってくださいね」
「全部頭の中に入りますよ」、「頭の整理に使って欲しい」ということは、覚えることが前提ですよ?
正直、「理解すれば覚えられる」ってのは、予備校の先生の常套句なんですが、理解しただけで終わって覚える努力をしないとやはり覚えられません。忘れてしまうと言ってもいいでしょう。
だから、どのタイミングでどうやって覚えていくのかを明確に決めることが妥協のない学習には必要です。
表の分け方を見る
まずは、講義を読む前に下準備です。「あらすじ」の一番上に書かれた分け方を確認しましょう。次に、一番左の列にあるものだけ確認して頭の中に入れましょう。
第3章だと、分け方は、「天皇」、「蘇我氏」、「政治」、「外交」になっていますね。日本史の学習は、それぞれの時代で重要なポイント、歴史の整理の仕方が変わります。だから当然、覚え方も時代によって違うことを意識しましょう。ある時代だけ苦手な人は、整理の仕方、覚え方がズレているかもしれませんね。
一番左の列を縦に覚える
次に、一番左の列は「天皇」なので、「継体」、「欽明」、「用明」、「崇峻」と覚えます。覚え方は語呂合わせでもなんでもいいので、とりあえず覚えちゃってください。初心者のうちは、とりあえず支配者の順序を呪文のように覚えることが日本史学習の王道です。
※背景ストーリーとか、家系図で覚えるとかも後々必要になってくるのですが、最初からそうやって全てを詳しく覚えようとすると骨が折れてしまいますし、(自分にとって)面白いストーリーが無いところは弱点になったりして、結局中途半端な学習になってしまう受験生が多いです。極める自信があるひとは良いと思いますが、自称オタクならば深みにはまらないように注意が必要です。日本史も学問なので、オタクなだけではやっていけません。
②講義部分を読んで、ABCのまとまりごとに「あらすじ」を言えるようにする。
講義を読む前に「この章の舞台」で地図を確認しましょう。具体的な地理関係を考えながら講義を読むと、ぐっと講義が理解しやすくなります。地理的なお話が出て来たら何度も戻ってくるようにして、確認しながら覚えるようにしましょう。
さて、講義は表をひとつずつ解説していきます。表を覚えるつもりでポイントを意識しながら読み進めてください。ひとつのかたまりごとに講義を読み終えたら、一度参考書を閉じましょう。そして、講義の「あらすじ」を基準にして、何も見ないで説明出来るか確認してください。思い出せなければ、「あらすじ」をきっちり覚えてから先に進みましょう。
たとえば、表1のAは
①大伴金村が継体天皇を立てて権力を握り、②任那四県を百済に割譲した。
③磐井の乱を、物部麁鹿火が鎮圧して、大伴氏に代わって物部氏が権力を持った。
という具合に口頭で箇条書き式に言えればよいだけです。慣れればそこまで難しくないはずです。最初のうちは、覚えておかなければいけない表のポイントをひとつずつ確認しながら講義を読んで、まとめ方のコツを掴めるようにしていきましょう。
ここを中途半端な完成度にすると、このあとごちゃごちゃになっていきます。小さな範囲で完成度を上げましょう。
③「確認テスト」で、理解のポイントを抑えられているか確認する。
予備校の先生はなんでも「理解、理解」、と理解を強調しますが、正直なところ、何を理解していればいいのか講義を聞いても忘れてしまったり、自分で整理が出来なくて振り出しに戻ってしまった経験はないでしょうか?
金谷の講義本では、理解のポイントが「確認テスト」になっているのでとても便利です。これを使って自分が重要な理解を抑えられているか確認しましょう。この理解を抑えれば、とても忘れにくくなります。
すべて完璧に説明出来るようにしてしまえば、記述問題の基礎も身に付きますよ。
④すべての枠を繋げて「あらすじ」を説明できるようにする。
暗記のコツは、小さなかたまりを完璧にしてから繋げていくことです。
講義全体を覚え終わったら、ひとつひとつのかたまりを繋げて説明できるか確認しましょう。
一気に表全体を覚えようと思ったら難しいですよね。でも上の要領で、小さなかたまりをまとめながら覚えて来ているから、これくらいの量になっても整理して覚えることが出来るんです。
思い出すときのコツは、一番左の枠をきっかけにして思い出すことです。
量が増えると、「あれ?なんだっけ?」ってなると思います。そういうとき、最初に覚えた表の一番左側だけを順に覚えていると、それをきっかけにして記憶を復元出来るんですよね。
たとえば、「継体」、「欽明」、「用明」、「崇峻」の順で
継体天皇のとき、
・大伴金村が継体天皇を擁立して権力を握り、任那四県を百済に割譲した。
・ヤマト政権の朝鮮進出を食い止めるため、新羅が筑紫国造の磐井と結んで磐井の乱が起きた。
・物部氏(物部麁鹿火)がそれを平定して、大伴氏に変わって権力を持った。
欽明天皇のとき、
・仏教が伝来して
・欽明天皇の即位をきっかけに賄賂で大伴金村が失脚した。
・仏教の導入を巡って、物部氏(物部尾輿)と(渡来人系の)蘇我氏(蘇我稲目)が対立した。
・伽耶が滅亡した。
用明天皇のとき、
・用明天皇の死をきっかけに蘇我馬子が、物部守屋を倒した。
・隋が統一された。
崇峻天皇のとき、
・蘇我馬子は崇峻天皇を擁立したが、直ぐに対立して暗殺した。
というカタチで、左の列をきっかけに誰が何をしたのかと出来事を箇条書きに言っていくのです。
左の列をきっかけに思い出せるようになってくると、部分的に忘れても大きくは整理されているので、点数もブレなくなってきます。忘れたり、新しいものが出てきたら、そこに少しだけ足していくイメージです。試験中にどうしても自信が無くなっても、前後関係から消去法で考えることが出来たり、バラバラに覚えるよりも何かと強くなっていく勉強方法なんです。
これが出来れば、日本史はもう得意科目です。
⑤あらすじを思い出しながら問題演習に取り組む。
ここまでやってから、ようやく問題集に入ります。
さあ、みんな大好きな、東進の『日本史B 一問一答』でも見ましょうか?正直、これだけ覚えてからやれば、ほとんど答えられるのではないでしょうか?
覚えたことをアウトプットで確認する。これが最も健全な『一問一答』の活用法です。
初心者は『一問一答』形式で歴史を覚えようと思わないでください。英単語の暗記と同じようなやり方で進めてしまうと、クイズのようで勉強した気になりますが、用語の多さに圧倒されて知識がバラバラになります。結果、入試問題が解けなくて伸び悩んでしまうんです。
だからこそ、武田塾のルートでは『2レベル定着トレーニング』や『金谷の表解演習書』を先に採用しているわけです。これは、講義で流れを整理した後に、細かい用語を説明と一緒にセットで覚えていく発想ですね。いわば、今回ご紹介した暗記方法の延長にあるわけです。『一問一答』を使うとしても、同じような覚え方で使って欲しいです。
結論
今回は、「歴史の流れ」がゴチャゴチャになってしまう場合に有効な『金谷の日本史』の使い方を答えさせてもらいました。
『金谷の日本史』は「あらすじ」を軸にして流れを覚えることで、日本史が得意になる最強ツールです。
『金谷』以外にも、参考書の構成には随所に工夫が凝らされているので、使い方について研究すれば爆発的な効果が生まれますよ。これからも質問に答えながら、勉強方法について紹介していきたいと思います。
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