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大学験予備校・個別指導塾の武田塾 溝ノ口校 講師の窪田がお送り致します。
共通テスト2022数1A
2022年はセンター試験から共通テストになって2年目の入試でした。
内容もセンター試験の頃の傾向から共通テストらしい思考力を試す問題が増えたようです。
そんな共通テストですが、2022年の数1Aは平均点が37.96点と例年の50~60点から大きく下がって過去最低を記録しました。
今回は、そんな共通テスト2022数1Aのどこが難しかったのか、どこなら点数を取れるのかなど解説していきたいと思います!
問1
[1]数と式 難易度★☆☆☆☆
(1)対称式を使った基本的な問題です。
対称式とは例えばa^2-2ab+b^2のようなもので、aとbを入れ替えても全く同じな式のことを言います。
そして、すべての対称式は基本対称式で表すことができるという特徴があります。
基本対称式とはa+bとabのことで、
a^2-2ab+b^2=(a+b)^2-4ab
というように変形することができます。
この問題では(a+b+c)^2という対称式においてa+b+cとa^2+b^2+cを与えられるので、おとなしく展開して残ったab+bc+caを求めましょう。
すべての対称式は基本対称式で表すことができるということを知っていれば、怖がらずに計算を進めることができます。
次の(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2も対称式なので、怖がらずにそのまま展開して前問の答えを利用する形で解いていきましょう。
(2)こちらも(1)の答えを使って怖がらずに計算していればすぐにできると思います。
変なことを考えずにとにかく言われた通りの計算を素早く行うことがポイントです。
[2]図形と計量 難易度★☆☆☆☆
三角比の表を使って会話文の問題を解くというなんとも共通テストらしい問題です。
ですが、会話文に惑わされずに落ち着いて見れば難しい問題ではないので、落としたくないところですね。
tan16°=0.2867であり、実際には高さ方向が1/4になるのでtan∠BAC=0.2867×(1/4)=0.072となります。
tanがわかったので、あとは表を見れば4°<∠BAC<5°がわかるというわけです。
[3]図形と計量 難易度★☆☆☆☆
(1)これはセンター試験でも頻出だった正弦定理や余弦定理を使う問題ですね。
こういう問題はまず図を描いて情報を視覚的に整理することから始めましょう。
正弦定理よりsin∠ABC=2/3
AD=ABsin∠ABC=10/3
とすぐ出せると思います。
基本的に共通テストは前の問題の答えを次の問題で使うことが多い(前問が出されたことには必ずあとの問題に役立つヒントがある)ので、最初に正弦定理からsinを求めたなら次の問題でそれを使うと考えて解き方を探していくといいですね。
問2
[1]2次関数、集合と命題 難易度(1)★☆☆☆☆ (2)(3)★★☆☆☆ (4)★★★☆☆
(1) pとqにそれぞれ代入して2次方程式を解くだけです。
nは①”かつ”②ではなく①”または”②なので気を付けてください。
(2) n=3となるのは
(ⅰ)①②が共に解を2つ持ちそのうちの1つが同じ値であるとき
(ⅱ)①②の一方が解を2つ持ち一方がそれ以外の重解を持つとき
の2パターンです。
(ⅰ)の方は太郎くんと花子さんの会話で説明がされているため、その通りに解いてn=3となるか確認しましょう。
(ⅱ)は解法を自分で思いつく必要があるので(ⅰ)よりは難しいですが、落ち着いて条件を考えればなんてことありません。
①が重解になる場合と②が重解になる場合をそれぞれ判別式で求めてn=3となるか確認しましょう。
(3)グラフ表示アプリを使うという共通テストらしい問題ですが、これも落ち着いて平方完成することができれば簡単に解くことができます。
グラフの位置というのは頂点の位置で決まるため、③④を平方完成して頂点の位置を求めると
③(3,q-9)
④(-q/2,-q^2/4-6)
となり、qを大きくすると
③y座標のみ増加
④x,y座標共に減少
となることがわかります。
(4)これは共通テストにしてはかなり難しい問題だと思います。
(2)(3)からq=5のときとq=9のときの③④のグラフの図を書いてみて、それらがどのように動くかをイメージできないと解答するのは難しいでしょう。
これらをイメージできると、5≦q≦9のとき④の解の範囲よりも③の解の範囲の方が常に大きいことが分かるので、答えは「必要条件でも十分条件でもない」と「十分条件であるが必要条件ではない」となります。
しかし、おそらくそこまですぐに思いつくことはできないと思うのでこの問題は飛ばしても構わないと思います。
[2]データの分析 難易度★★☆☆☆
(1)データの数が29個であることに注意して中央値を調べ、落ち着いて考えれば解ける問題です。
中央値は15番目の値、第一四分位数は小さい方から7番目と8番目の平均、第三四分位数は大きい方から7番目と8番目の平均です。
(2)箱ひげ図から最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数、最大値をおおよそ読み取って、散布図と見比べて判断しましょう。
⓪は第三四分位数より大きい値は7個しかないにも関わらず8個あるため×
①は最大値が450以下のため×
③は第一四分位数より小さい値が6個しかないため×
よって③が正解です。
(3)状況設定は難しく見えますが、SとTの標準偏差と共分散が与えられているので定義に従って相関係数を求めるだけです。
(4)(3)より相関係数は0.63と求まるので、SとTにはやや強い相関があることが分かります。
よって①か③に絞られますが、これらの違いは全体的にSとTの値が大きいか小さいかにあります。
したがって、(3)において使われなかったSとTの平均値の値をみて、①は全体的に大きすぎると判断して③を選びましょう。
前問で与えられたのにも関わらず使われなかった値は次の問題で使うかもしれないと常に頭に入れておきましょう。
問3 場合の数と確率
後半は難しい問題となっていますが、誘導がしっかりしているため言われた通りに計算を進めていけば解けると思います。
確率の問題は場合の数をどうやって数え上げるかを考える必要がありますが、おとなしく誘導の通りに数え上げましょう。
(1) 難易度★☆☆☆☆
(ⅰ)2人で交換する場合は自分のプレゼントを受け取るか相手のプレゼントを受け取るかの2通りしかないため、交換が終了する受け取り方は1通り、終了する確率は1/2です。
(ⅱ)A,B,Cの3人で交換し、それぞれがプレゼントa,b,cを持ち寄ったとします。
Aさんがbを受け取ったとき、残ったcはBさんが受け取るしかなく、必然的にaはCさんが受け取ることになります。
同様に、Aさんがcを受け取るとBさんはa、Cさんはbを受け取ります。
Aさんがaを受け取ると交換会は終わらないため、交換が終了する受け取り方は2通りです。
交換が終了しない場合も含めた受け取り方はa,b,cの順列に等しいので3!=6通り
よって交換が終了する確率は2/6=1/3です。
(ⅲ)1回で交換が終了しない確率は2/3であるため、4連続で交換が終了しない確率は(2/3)^4=16/81です。
よって、余事象より4回以内に交換が終了する確率は1-(16/81)=65/81
(2) 難易度★★★☆☆
4人のうち1人だけが自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうのは、
4人からその1人を選んで4通り
残りの3人は自分のではないものを受け取るので(1)(ⅱ)より2通り
よって4×2=8通り
4人のうち2人が自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうのは、
4人からその2人を選んで4C2=6通り
残りの2人は自分のではないものを受け取るので(1)(ⅰ)より1通り
よって6×1=6通り
4人のうち3人が自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうと残りの1人も自分のプレゼントを受け取ってしまうので、全員自分のプレゼントを受け取るのは1通り
以上より、1回目の交換で交換会が終了しないのは全部で8+6+1=15通り
交換が終了しない場合も含めた受け取り方は4!=24通りなので、1回目の交換で交換会が終了する確率は
(24-15)/24=3/8
(3) 難易度★★☆☆☆
5人のうち1人だけが自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうのは、
5人からその1人を選んで5通り
残りの4人は自分のではないものを受け取るので(2)より9通り
よって5×9=45通り
5人のうち2人が自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうのは、
5人からその2人を選んで5C2=10通り
残りの3人は自分のではないものを受け取るので(1)(ⅱ)より2通り
よって10×2=20通り
5人のうち3人が自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうのは、
5人からその3人を選んで5C3=10通り
残りの2人は自分のではないものを受け取るので(1)(ⅰ)より1通り
よって10×1=10通り
5人のうち4人が自分が持ってきたプレゼントを受け取ってしまうと残りの1人も自分のプレゼントを受け取ってしまうので、全員自分のプレゼントを受け取るのは1通り
以上より、1回目の交換で交換会が終了しないのは全部で45+20+10+1=76通り
交換が終了しない場合も含めた受け取り方は5!=120通りなので、1回目の交換で交換会が終了する確率は
(120-76)/120=11/30
(4) 難易度★★☆☆☆
条件付確率の考え方さえ分かっていれば前問の答えを使ってすぐに答えることができます。
A,B,C,Dが自分以外のプレゼントを受け取ったとき、EがE自身のプレゼントを受け取っていた場合交換は終了せず、そうでない場合は交換が終了します。
前者は(2)より9通りで、後者は(3)より44通りなので、その回で交換が終了する条件付き確率は
44/(9+44)=44/53
問4 整数の性質
不定方程式の基本的な問題から応用的な問題まであります。
(3)(4)は相当難しいので時間がなければ捨てても問題ないと思います。
(1) 難易度★☆☆☆☆
問題文から、
5^4=2^4×Q+1
と表せることがわかるので、これを移項すると
5^4-2^4×Q=1
となります。これを
(5^4)x-(2^4)y=1
と見比べれば、xが正の整数で最小のときx=1、y=Qでよいことがわかります。
よって、5^4÷2^4を計算してy=39となります。
続いて、不定方程式の一般的な解き方にのっとって
(5^4)x-(2^4)y=1…①
(5^4)×1-(2^4)×39=1…②
において①-②をすると
(5^4)(x-1)-(2^4)(y-39)=0
となります。5^4と2^4は互いに素なので、整数kを用いて
x-1=(2^4)k
y-39=(5^4)k
と表せます。
よって、xが2桁の正の整数で最少となるには、k=1のとき
x=2^4+1=17
y=5^4+1=664
となります。
(2) 難易度★★☆☆☆
625^2=(5^4)^2=5^8=5^5×5^3
であるため、625^2を5^5で割った余りは0になります。
また、(1)より625=5^4=(2^4)×39+1であるため、39をmとおくと
625^2=((2^4)m+1)^2
=(2^8)m^2+(2^5)m+1
となるため、625^2を2^5で割った余りは1になります。
(3) 難易度★★★★★
今年の共通テスト数1Aの中でもトップクラスに難しいと思います。
まず問題文で言われていることを整理しましょう。
(5^5)xはどう見ても5^5の倍数ですね。また、
(5^5)x-(2^5)y=1
より
(5^5)x=(2^5)y+1
となるので、(5^5)xを(2^5)yで割ったときの余りは1となります。
ここで、(2)より625^2を5^5で割った余りは0、2^5で割った余りは1であるので、整数p,q,r,sを用いて
(5^5)x-625^2=(5^5)p-(5^5)q=(5^5)(p-q)
(5^5)x-625^2={(2^5)r+1}-{(2^5)s+1}=(2^5)(r-s)
となるため、(5^5)x-625^2は(5^5)でも(2^5)でも割り切れます。
また、(5^5)と(2^5)は互いに素であるため(5^5)x-625^2は(5^5)×(2^5)でも割り切ることができます。
問題文の内容を整理できたところで、ここから整数lを用いると
(5^5)x-625^2=(5^5)(2^5)l
となります。両辺を(5^5)で割れば
x-5^3=(2^5)l…③
となります。
そもそも③式は(5^5)x-(2^5)y=1から導いたものなので、当然③式のxは(5^5)x-(2^5)y=1を満たします。
よって、xが3桁の正の整数で最小となるのはl=0のときx=125
このとき、(5^5)×125-(2^5)y=1よりy=12207
(4) 難易度★★★★★
(1)~(3)の流れで5を11に変えてもう一度繰り返せば解けますが、1問のためにかけられる時間ではないと思うのでここは飛ばしても問題ないでしょう。
11^4=(2^4)×915+1
であり、915をnとおくと
11^8={(2^4)n+1}^2=(2^8)n^2+(2^5)n+1
となります。
よって、11^8を11^5で割った余りは0、2^5で割った余りは1です。
また、
(11^5)x-(2^5)y=1
より、(11^5)xを11^5で割った余りは0、2^5で割った余りは1となります。
よって、(11^5)x-11^8は11^5でも2^5でも割り切ることができ、これらは互いに素なので整数jを用いて
(11^5)x-11^8=(11^5)(2^5)j
両辺を11^5で割って
x-11^3=(2^5)j
このとき、xが正の整数で最少となるにはj=-41でありx=19
これを(11^5)x-(2^5)y=1に代入してy=95624
問5 図形の性質
図形の問題はまず「問題で言われた通りに図を書く」ことから始めましょう。
今回の場合は点Fを辺BCのB側に取るかC側に取るかで図形の形が変わりますが、左右の向きが変わるだけなのでどちらでも大丈夫です。
また、図形の性質の問題にしては今年はかなり難しく、特に1問のためだけに(3)を解くのは時間が厳しいと思います。
(1) 難易度★★☆☆☆
点Gが重心であることをふまえるとAG:GD=2:1となります。
点DはAGの中点なので、AD=DG=GEでありAD:DE=1:2となりますね。
よって、AD/DE=1/2
また、これをふまえて△ABEと直線PDについてメネラウスの定理を使うと、
(BP/PA)(AD/DE)(EF/FC)=1
より
BP/AP=2×(BF/EF)…①
となり、△AECと直線DQについてメネラウスの定理を使うと、
(CQ/QA)(AD/DE)(EF/FC)=1
より
CQ/AQ=2×(CF/EF)…②
となります。
①+②をすれば、
(BP/AP)+(CQ/AQ)=2×((BF+CF)/EF)
となりますが、ここで点EがBCの中点であることを思い出すと
BF=BE+EC+CF=2EC+CF
であるため
(BF+CF)/EF
=((2EC+CF)+CF)/EF
=2(EC+CF)/EF
=2EF/EF
=2
となります。
よって、(BP/AP)+(CQ/AQ)=2×2=4…③
(2) 難易度★★★☆☆
4点B,C,Q,Pが同一平面上にあることから、方べきの定理を使うことを考えます。
AB,ACの長さが分かっているため、方べきの定理を
AP・AB=AQ・AC
のように使うと
AQ/AP=AB/AC=9/6=3/2
よって、AQ=(3/2)AP
AP:AQ=2:3であることから、AP=2x,AQ=3xとおくと、前問の式③より
(9-2x)/2x+(6-3x)/3x=4
となり、これを解くとx=13/12
よって、AP=13/6,AQ=13/4
このとき、△ABCと直線PFについてメネラウスの定理を使うと
(AP/PB)(BF/FC)(CQ/QA)=1
より、CF=44/15
(3) 難易度★★★★☆
これまではAD:DG=1:1でしたが、ここではAD:DG=k:1-k (0≦k≦1) として同様の計算をしていきます。
EG:AG=1:2より
AD:DG:GE=2k:2(1-k):1
となるので、
AD/DE=2k/(2(1-k)+1)=2k/(3-2k)
となります。
ここで、△ABEと直線PDについてのメネラウスの定理より
(BP/PA)(AD/DE)(EF/FC)=1
であるから
BP/AP=((3-2k)/2k)×(BF/EF)…④
△AECと直線DQについてのメネラウスの定理より
(CQ/QA)(AD/DE)(EF/FC)=1
であるから
CQ/AQ=((3-2k)/2k)×(CF/EF)…⑤
となります。④+⑤より
(BP/AP)+(CQ/AQ)=((3-2k)/2k)×((BF+CF)/EF)=((3-2k)/2k)×2
であり、これが10となるので
((3-2k)/2k)×2=10
これを解くとk=1/4
よって、AD:DG=1/4:3/4となるため
AD/DG=(1/4)/(3/4)=1/3
おわりに
長くなりましたが、いかがだったでしょうか。
今年の数1Aはセンター試験の時代からみても間違いなく最難関レベルで、これを時間内に解ききれた人は少ないと思います。
過去問を解いていて2022年だけ点数が低くても、それは仕方がないのでめげずにがんばりましょう。
【共通テスト】過去最高難易度?共通テスト2022数1Aを解説!
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