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地歴科目選択は受験の運命をも左右する?!
こんにちは。武田塾溝ノ口校講師のヒビノです!
今回は、受験に地歴科目を一科目でも使用する予定の受験生全員に向けて、
どのような人がどの科目との相性がいいのか、
また筆者(私は世界史、日本史選択でした)の目線から見た各科目のそもそもの難易度など、地歴科目の選択時に考えた方が良いことや、絶対に知っておかないといけないことをお話しして行きます。
文系の方はもちろん、共通テストで地歴科目の選択をしなければならない国公立志望の理系の受験生の方も必見な内容になっていると思います。
地歴科目三科目(すなわち世界史、日本史、地理)はいずれも内容的にも、分量的にも重く、かつどの科目もある程度の期間は学習を継続しないとなかなか成績が伸びずらいという性質上、一度どの科目を学習すると決めたら、すぐに結果が成績に現れないからと言って、安易に科目の変更をするのも難しいのです。
また、特に私立大学の文系学部志望の方は、その科目選択が合否に密接に関わってくるということは言をまたないでしょう。
ゆえに、地歴科目の科目選択はさまざまな情報を幅広く集めたうえで、しっかりと熟考したうえで行うべきです!
各科目の特徴・内容
これまでは地歴科目の選択が受験において如何に重要であるかをお話ししましたが、以下からは各科目の特徴を内容面や分量など、個人的な考えを含めてお話しします。
世界史
地歴三科目の中で一番多くの選択者を抱えるのが世界史です。
世界史は、古代オリエントの諸文明(その前に有史以前の内容を含みます)から始まり、教科書の記載順だと”地域ごと”ではなく”時代ごと”で世界の諸地域の歴史を学んでいくという科目になります。
なぜここで教科書の記述についてお話ししたかというと、多くの受験生がこのシステムのせいで世界史を苦手としている事実があるからです。
このことはよく”ヨコからの学習法”と呼ばれます。
なぜこのシステムでの学習が難しいのかというと、
一か所の地域や国を古代から現代までザーっと学習する方法(これを”ヨコからの学習法”に対して”タテからの学習法”と呼びます)ではなく
教科書の章立てが「〇世紀~△世紀」といったように様々な地域を同年代ごとに区切って学習していくからです。
例えば、筆者が受験期に実際に使用していた世界史Bの教科書『詳説世界史B304』を例に説明してみましょう。
この教科書の第三章は、古代中国の唐王朝末期からその後の五代十国時代のざっくりとした説明で終わっています(p.93)。
しかし、すぐ次の第四章はそこから数百年時代を巻き戻した、西アジア地域のイスラーム世界の説明が始まるのです。
多くの受験生や学生は、
「え!じゃあ唐から次の中国史の説明はどうなったの? せっかく中国史に慣れてきたと思ったのに」
と思うことでしょう。
確かに、中国史(中国と言わずにどの地域の歴史も)は一つの王朝だけで独立して学習するよりも、地域ごとの数千年間の歴史の流れを一気に学習してしまった方が、通史を効率よく勉強できるという意見が多いです。
(筆者もその意見に賛成します)
そして、再び唐以降の中国史の機銃が始まるのが約60ページ後のp.158です。
その間には、イスラーム世界や東南アジア、アフリカや中世ヨーロッパなど、どれも内容の濃いテーマばかりなので、いざ中国史に戻ってきても、それまでの内容を思い出すことに難儀してしまいます。
今回は、中国史の中でも唐と宋(その間の五代十国)の間の繋がりを例にしましたが、教科書をメインに通史を学習するどの地域のどの時代にもこのようなことが起こります。
ゆえに世界史の”ヨコからの学習法”は難しいのです。
内容面で見ても、よく”世界史は広く浅くなので、内容はそこまで難しくない”ということがよく言われますが、
確かに、日本史ほどの細かさはないかもしれませんが、その分異なった文化圏の異なった時代についてを勉強して、その一つ一つの事象の内容や影響などを、論理的に理解・暗記しなければなりません。
(個人的には、日本史の論述問題よりも世界史の論述問題の方が一様にして難易度が高いと感じます)
また、難関大になればなるほど、語句のレベルも教科書レベルを逸脱したとんでもない些末な知識を問われることもあります。
このことから、
”覚えることが少なそうだし、選択している人が多いから世界史!”のように安直に世界史を選択してしまうと、後々世界史の内容の濃さにびっくりしてしまうかもしれません。
日本史
この科目は、地歴三科目の中で世界史の次に多い選択者を抱えます。
日本史の内容は、有史以前の石器時代から、古代、中世、近世、近代、現代までの日本の歴史を、政治史や社会経済史、文化史を中心に学んでいくというものです。
今まで全く日本史に触れてこなかったという学生でも、
卑弥呼がいて、そのあとに聖徳太子が登場して、武士が登場して、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の時代になって、明治時代になって、大正・昭和で戦争をして...
など正確な知識はなくとも、だいたいの”歴史の流れ”は知っている方が多いでしょう。
実は、その大雑把な歴史的”センス”がとても重要なのです。
新しい科目や単元を一から学習するときは、前述の世界史でも触れたように始めたての苦労がとても多いです。
(例えば、物理の法則なんて教科書で学習する以前はみじんも頭にないでしょうし、世界史においても大雑把な歴史的遷移すら初めから知っている学生は多くありません)
それに対し、大雑把な歴史的遷移を多くの方が理解している日本史は、その流れに細かな知識や事象の背景・影響などを肉付けしていけばよいので、科目の内容自体もとっつきやすく、効率的な学習が期待できます。
また、上述した世界史の特殊な教科書構成のようなものもなく、自学自習でもスムーズに学習できます。
(唯一あるとするならば、古代と中世の切れ目が平安時代と鎌倉時代の間ではなく、平安時代の摂関政治と院政期の間に設定されていることくらいでしょうか)
しかし、地域や時代幅のダイナミクスが世界史よりも小さい分、個々の事象間のつながり、背景やその影響の論理的な理解、また政治史、社会経済史、文化史どの分野においても些末な知識が問われます。
これが、日本史が”狭く、深く”と呼ばれる所以なのです。
この点を考慮しても、すでに述べたように、そもそも日本史という科目自体の導入や学習が世界史よりも行いやすいので、個人的には世界史よりも日本史の方が、科目全体の難易度は低いと思います。
小学校や中学校において履修した日本史の内容からの接続のしやすさや、日常的にも何かと接することが多いという、”日本史”科目自体の特徴が有利に働く場面が多そうです。
(ここで注意しておきたいのが、ここまでの説明はあくまで”その科目自体の概要”なので、
個々の大学・学部の歴史科目それぞれの難易度
はまた違ってくることを念を押しておきます)
地理
地理は、地歴三科目の中でも比較的履修者が少ない科目です。
個人的には、文系の履修者は二次試験に地理のある東大や一橋などの難関国立大受験生や、共通テストに利用するだけの理系受験生が主に履修をしている印象です。
高校地理は主に3つの単元に分かれています。
すなわち、地図と地理情報、系統地理、地誌です。
例えば、南アメリカの地理(この単元が地誌)について学習したいとなると、
南アメリカ大陸や諸国の地図を手掛かりにしたり(この単元が地図と地理情報)、
一般に南アメリカの気候について学習するのか、農業についてなのか、人口やインフラなどの社会基盤についてなのかなど、どのテーマ(系統地理)に絞って学習するのか
などによって、同じ“地理”という科目でも、様々な切り口があり、またそれらは内容的にも形式的にもお互いに結びついているのです。
一般的には、”地図と地理情報”でこの科目の最も基礎基本の概念などを学び、”系統地理”で地形やインフラなど、自然科学や社会科学双方にかかわる地理の単元を学び、そのあとに”地誌”で学習する地球上の様々な地域の地理を、今まで(”地図と地理情報”や”系統地理”)で学習してきた概念や知識をあてはめつつ具体的に学習する
といったプロセスが取られます。
この科目は、他の日本史や世界史に比べて暗記すべき事項が少ないのが特徴です。
しかし、では楽な科目なのかというとそうではなく、覚えるべき内容が少ない分、自分の頭の中で推論立てて考えたり、一つの事象や知識を様々な場面に応用するといった能力が必要となります。
この点において、数学や物理などの「公式を覚えるだけでは意味がなく、それを適切に使いこなしたり応用する科目」と、頭の使いどころは似ているのではないでしょうか。
また、歴史科目に見られる、まず通史を理解してからテーマ史のように、学習する順番が一定になっておらず、自分が学習したい単元から始めても比較的スムーズに学習できるという面も、他の2科目に比べて魅力的かもしれません。
しかし、他の2科目と比べて、共通テスト以上の内容の参考書(二次や一般試験)の種類が少ないというデメリットもあります。
以上が地歴3科目の主な内容と特徴です。
どういう人がどれを選べばいいの?
では、ここからは筆者の独断と偏見で、こういう人はこの科目を履修しようという提案についてお話しします。
文系・理系で、地歴科目の使用が共通テストのみ
このカテゴリに当てはまる受験生は、ずばり
日本史か地理
をおすすめします。
まず、世界史は通史を終わらせるのに苦労するので、候補から外しました。
ではその中でもどういう人がどっちを選べばよいのかとなりますよね。
ずばり、そこは相性でしょう。
科目的に見れば日本史の方が地理よりも暗記すべき内容が多いのは間違いありませんが、共通テストの試験の作成方針的に、
日本史は知識というよりも読解力に比重が置かれてています。
ので、そこまでの知識量は要求されていません。
そもそも地理は暗記よりも論理的に問題を解く科目なのはお話しした通りなので、2科目間の条件はほぼ同じです。
ゆえに、内容の相性が合う方を選びましょう。
文系で、難関私大を受験する
この場合は、日本史の選択をおすすめします。
地理は、入試科目として設定している大学・学部が少ないのであまりお勧めしません。
(すでに志望校が決まっていて、そこに地理があればもちろん選択しても良いでしょう)
ではなぜ”難関私大”は日本史なのでしょうか。
それは、早稲田や慶應などの難関私大は、一般試験において教科書はもちろん資料集にも記載のない知識を問うてくることが往々にしてあるからです。
日本史や世界史療法においてそれは起こるのですが、世界史は学習範囲が日本史よりも広い分、そのような知識のヤマ張りがほぼ不可能に近いのです。
なのでここでは日本史をおすすめしました(もちろん日本史の方が易しいということではありません)。
(おまけ)東大文科を受験する
東大は、共通テストはもちろん二次試験においても地歴2科目の受験が必須です。
2科目150分で、解答すべき科目や大問順、各々にかけていい時間など説明していたらきりがないのでここではしません。
しかし、科目選択となると個人的には日本史を入れた方が良いと思います。
(日本史は形式的に60分強で終わらせる受験生が多いから)
なので、
1:世界史・日本史の歴史選択
2:日本史・地理の選択
となるでしょうが、ここでも個人的には1の史史選択をおすすめします。(同じ歴史ということで内容的に互換要素がある)
因みに、東大文科受験者の中では世界史・地理選択が一番多いそうです。
最後に
今回は、地歴3科目の各科目の特徴や選択時に考慮すべきことをお話ししました。
最終的には、個人的な好みになりますが、ぜひ参考にしてください!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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