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2021年度の早稲田大学・法学部の傾向と対策
こんにちは。武田塾溝ノ口校講師の日比野です。
今日は、早稲田大学法学部の一般入試における各科目の傾向と、対策を詳しくお話します。
英語
第1問
第1問は長文読解です。
例年、素材文が約1000語の文章と、その文章についての記号選択式の設問が約20題出題されます。
近年の傾向として、素材文の出典は英語圏の新聞やインターネット記事からなされることが多いことが挙げられます。
しかし、出題にあたり受験生に配慮した本文の修正(難単語を言い換えたり、文意がつかみずらい箇所を削除したりすること)は一切行われないこともあります。
また、素材文の内容は、社会問題や実験などの科学的分野、歴史や文化についてなど多岐にわたります。
設問は主に、
①各パラグラフの内容一致問題
②問題文と本文の正誤問題
③本文中において著者が最も言いたいこと(Thesis statement)を選択する問題
④難単語推測
で例年固定されており、おそらく来年度も変更はされないでしょう。
それに加え、設問文の文章量が非常に多く、本文と同じレベルの文章ということも特筆されます。
【対策】
素材文自体の難易度は同大学の上位他学部とほぼ変わりませんが、文法・単語・熟語どれをとってもハイレベルなことには違いないです。
単語力はおおよそ英検準一級に対応しています。
また、本文と設問文の量が圧倒的に多いのでかなりの速読力が必要です。
さらに、上述したように、設問文のレベルの高さから”本文と設問文、両方の精読”も必要になってきます。
しかし、設問構成のクセ自体はそこまでなく、同大学の他学部と同じような設問も多く見られるので、それらを用いれば演習量は確保できるでしょう。
特に、この第1問は本文・設問共に同大学の国際教養学部の英語第1問ととても類似しています。
第2問
第2問は、例年物語文が出題されることもあったのですが、直近三年間は評論文の出題で落ち着いています。
しかし、評論文と言っても第1問よりかはエッセイ風になっていることが多いです。
この大問も約1000語の長文が出題されますが、設問構成は本文との内容一致や空欄補充など、比較的オーソドックスで第1問と大差ないでしょう。
【対策】
第1問と大筋では変わりません。
しかし、物語文が出題されたときのために、会話文やイディオムの知識をインプットしておきましょう。
また、例年最後の設問に、本文構成と内容を絡めつつ、文法の知識をダイレクトに問う問題(空欄補充)が出題されます。
ここの対策として、文法事項の確認もしっかり行いましょう。
第3、4,5,6、7問
第3問は、19年度は文中の訂正が必要な箇所の指摘、20・21年度は与えられた表と文章についての空欄補充など、文法分野からの出題です。
問われる内容も、前置詞や熟語など基本且つ重要な内容で構成されるので、同学部合格のためには、高得点必須のセクションとなります。
また、この大問で出題される文章の長さは例年約130語程度です。
さらに、続く第4,5,6問も文法分野からの出題です。
各大問、それぞれ接続詞や形容詞、All Correctを含む正誤判定などで構成されていますが、どれも難易度は標準的です。
第7問は、語句整序の問題で、約130語の文章の中の2文を与えられた語句のみを用いて並び替えます。
【対策】
上述した通り、この大問の出題分野は文法事項からの出題です。
設問の難易度も他の大問と比べそこまで高くないことが多いので、実力が如実に反映される大問と言っても過言ではありません。
全問正解するのを目標として、普段使用している文法書(ネクステやヴィンテージなど)の完全消化に努めましょう。
第8問
第8問は、自由作文(英作文)です。
例年、課題となるイラストが出題され、そこから読みとれる自分の考えを与えられた解答欄内に解答します。
イラストは、比較的日常生活の1シーンを描写したものが多く、それを与えられて何の考えも浮かばないということは考えられないでしょう。
また、特に制限字数などもないため、自由に構成を練ることが出来ます。
【対策】
この自由英作文は、比較的オーソドックスな内容と出題なので、演習量がものを言います。
制限字数が無いと言いましたが、常識的に約80~100語程度で納めると、内容的にも構成的にもすっきりとした解答が仕上がるでしょう。
また、無理に難しい単語や言い回しを多用するのではなく、自分が自信をもって使うことのできる、確実な表現を用いることが何よりも重要です。
演習量を増やすために、東大など国公立大の英作文の問題にあたるのも非常に効果的です。
また、仕上がった解答は、一度先生や友人などに添削してもらいましょう。
国語
第1問
第1問は、古文からの出題です。
素材文は、物語の場合は平安期の王朝文学からその後の時代の擬古文、歴史物や軍記物などの史書、随筆や日記など、様々な分野・時代から幅広く出題されます。
また、例年、登場人物の多い主語の判別しにくい文章が出題され、その設問には各予備校の解釈を分裂させるほどの問題も含まれるなど、難易度が極めて高いことも特筆されます。
出題は、文法や内容の正誤、和歌や古文常識など多岐にわたります。
【対策】
古文単語、古典文法の知識を幅広く習得することが第一条件です。
特に、古文単語は一語一訳に終始するのではなく、使用例や前後の文脈にも留意しながら学習し、文法も細部の意味・用法にまで意識して習得しましょう。
同大学の他学部や、上智、同志社の各学部など、古文が難しいと言われている大学の過去問にもあたってみると良いでしょう。
第2問
第2問は漢文からの出題です。
こちらの素材文は、古代の史書や著名な人物の書いた政治評論、漢詩集などメジャーな出典からが多くなっています。
古文とは違い、文の内容や設問のレベルはそこまで高いとは言えず、基本語句や句形の習得で充分に対応できます。
また、例年この大問では空欄補充や訓点の付与など記述問題が設置されます。
【対策】
そこまで難解ではない本文と言っても、設問の都合上、あるいは設問とは直接関係がないが読解上重要な箇所にも訓点が施されないことがあります。
それに対応するために、送り仮名のつけ方や句形の知識、漢字力など盤石な漢文力が必要です。
また、演習として同大学の文学部や教育学部の漢文も有効です。
第3,4問
第3,4問は現代文からの出題です。
いずれも評論文からなっており、内容も政治や環境と言った社会問題や、機械論や身体論と言った構造的な内容を扱った文章、哲学や文化など比較的文芸的な文章など様々ですが、どれもとても硬派で難解な文章となっています。
設問は、記号による内容一致や言い換えの問題、頻出語句の意味問題、また第三問では漢字の書き取り、第4問では比較的まとまった量(180字程度)の記述問題が出題されます。
【対策】
他大学や同大学の他学部と比較しても難易度の高い文章が出題されるので、あてずっぽうで付け焼刃な読解方法では到底太刀打ちできません。
とはいっても、現代文における、読解力と表現力を正面から突いたオーソドックスな出題なので、初めから、着実な現代文の学習に努めましょう。
素材文の大本となる現代社会の諸現象や諸問題について理解を深めるために、日ごろから社会的な内容を含む文章に幅広くあたり、できれば簡単な要約もつけることで、自身の現代文力を向上させるのも重要です。
また、記号問題に対応するために、センターレベル以上の問題演習を、根拠ラインの確定を含めて、日ごろから行いましょう。
世界史
第1,2,3,4問
同学部の世界史は主に大問5問で構成されていて、そのうちの4問は各テーマにおける記号選択式の問題となります。
例年、第1問は何々が出やすいなどテーマが固定されているわけではなく、時代・地域偏りなく
政治史、社会経済史、文化史様々なテーマで出題されます。
とはいっても、やはり頻出の事項は少なからずあり、同学部では古代中国や近代の中国(明代から辛亥革命後まで)、ギリシア・ローマなどの古典世界や19、20世紀の欧州における政治史や国際関係史が頻出事項です。
また、近年の出題傾向として、早慶大の各学部がこぞって出すような、重箱の隅をつついた些末な知識を必要とするような問題は出題されず、教科書や用語集の内容に沿った基本的な出題がほとんどの年度もあります。
ただし、だからと言って入試難易度が下がるわけではなく、逆に高得点での合格争いになると覚悟するべきでしょう。
【対策】
まずは教科書レベルの知識を完璧にすることが何よりも重要です。
その過程で、教科書や資料集に記載されている年表・グラフ・地図などを視覚的に頭の中にいれ、どのような設問のされ方でも、頭の中から引っ張り出して来れるような訓練をしましょう。
世界史を得点源にしたい受験生は、難関私大対策において最も有名な『実力をつける世界史 100題』(Z会出版)など、ハイレベルな問題で演習を積むのももちろん良いですが、ことこの学部に至っては教科書レベルの知識の確実さで合否が決まることを忘れてはいけません。
第5問
世界史最後の大問は、例年指定語句が課された論述問題です。
指定語句は4つほどで、250字から300字までと言う長さの指定もあります。
内容は、こちらも基本的で重要な事柄が多く、解答にあたって何を書けばよいのかわからないといったことは、おそらく起こらないでしょう。
直近3年間の出題内容は以下の通りです。
2019年度:中世ドイツにおける皇帝権と教皇権の関係の歴史的変遷
2020年度:近代から現代までの、アメリカ合衆国とメキシコ両国間の関係史
2021年度:1701年から1763年の英仏・英墺関係の変遷
【対策】
上述した通り、内容的にはどの年度も頻出で基本的な内容がほとんどなので、重視されるポイントは
論述における論理の一貫性や表現力、出題者が狙っている歴史的事項の網羅性
等です。
まずは教科書で、正確な知識と出来事間の有機的なつながりをしっかりととらえた上で、添削付きの論述問題の演習を積みましょう。
演習量を増やすために、京都大学の世界史論述の問題にあたってみるのも良いでしょう。
日本史
第1,2,3,4問
第1問は、例年古代史(特に飛鳥、奈良、平安期)からの出題です。
この大問では、律令制の準備やその施行、特徴や問題点と言った事柄が出題されます。
第2問は、例年中世(鎌倉、室町)から近世(江戸)からの出題です。
この大問では、政治史(特に法制史やその体系的な理解)や社会経済史が出題されます。
第3問は、例年近代(明治、大正)からの出題です。
この大問でも、第二問と同じく政治史特に法制史やその体系的な理解)や社会経済史が出題されます。
そして第4問は、例年近代から現代(昭和、平成、令和)からの出題です。
次に、同学部日本史の出題における特徴をお話します。
①同大学他学部と比べて記述問題が多い。
②問われているのは基本的な内容(特に歴史上の人物)だが、問い方の難度が高いので答えられないことが多い。
③法学部特性を強く意識してか、例年どの時代においても法制史的な内容を含む設問が多い。
④主に近代の大問で、未見資料(ある人物の日記など)を利用した本格的な資料問題が出題され続けている。
【対策】
日本史教科書の内容を完全に理解することは大前提です。
また、上に挙げたように、出題のツボを押さえた対策を行うことで、効率良く学習が進められます。
資料問題に慣れるために、同学部の過去問を遡れるだけ遡り、また記述問題においては、漢字による解答が求められるので、日ごろから出来事や人物名、文化財の名称を実際に紙に書きながら暗記することも、とても重要です。
同大学の他学部で出題された内容が出題されることも往々にしてあるので、余裕があれば他学部の日本史過去問にもあたってみましょう。
最後に
早稲田大学・法学部の傾向、対策についてお話ししました。
どの科目にも共通して言えることは、オーソドックスで奇をてらわないが難易度の高い問題が多く出題される
ということです。
しかし、裏を返せば
しっかりとした基礎力をもとに、着実に演習を重ねていけば、合格点を取ることは可能
といううことでもあります。
”急がば回れ”精神で、今目の前にあることから着実にこなしていけば、合格は自ずと近づいてくるのです。