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今回は、東工大生が、物理の勉強でのポイントを単元別に紹介します。
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物理の勉強でのポイントを単元別に紹介
こんにちは、武田塾溝ノ口校講師のKです。
今回は物理のポイントを単元別に説明しようと思います。
力学のポイント
➀速度と加速度
運動の基礎中の基礎、位置速度加速度の関係を押さえましょう。
位置を時間微分すると速度、速度を時間微分すると加速度、逆に加速度を時間積分すると速度、速度を時間積分すると位置になります。
これを応用して、v-tグラフの意味も押さえましょう。
vをtで微分したものが加速度ですから、グラフの傾きは加速度になります。
vをtで積分したものが位置ですから、グラフの面積が位置になります。
また、2次元の場合は速度や加速度を水平方向と鉛直方向に分けて考えるようにしましょう。
②力のつり合い
力のつり合いはさすがに常識ですが、作用反作用の法則なども含めてどの物体に対してどこからどう力が働いているかちゃんと図示できるようになりましょう。
基本的に重力以外は物と物が接触しているところで力が働きます。
内力と外力を見極めることもできる必要があります。
③剛体のつり合い
いわゆるてこの原理ですからそこまで難しく考える必要はないかと思います。
剛体の静止条件が➀力のつり合い ②力のモーメントのつり合い であることがわかっていれば大丈夫です。
③運動の法則
運動方程式はあらゆる力学、及び力学が絡んだ問題でまず最初に立てる式です。
1つだけではなくいろいろな系に対して運動方程式を立てると問題を解く糸口が見えるかもしれません。
④エネルギー
力学的エネルギーの保存は中学で習ったと思いますが、高校では一度これを忘れて
(仕事)=(エネルギー変化)
を押さえましょう。
このとき、正負に注意する必要があります。
仕事は力と同じ方向に動いたときに正になるので、例えば摩擦力の仕事は負になります。
エネルギー変化は(後の状態のエネルギー)-(前の状態のエネルギー)ですから、たとえば高さhの点で静止していた質量mの物体が自由落下して地面に着く直前の速度がvだとしたらエネルギー変化は(1/2)mv^2-mghとなります。
⑤運動量
系に外力が加わらないとき、その系の運動量は保存します。
また、重心速度の定義から運動量が保存するとその系の重心速度も保存します。
2物体の一次元衝突はスラスラと解けるようにならなければなりません。
ほとんどの2体問題は外力は加わっておらず運動量は保存すると考えて大丈夫です。
⑥慣性力
ある加速度aを持った座標系から見たとき、物体には加速度と反対向きにmaの力が加わります。
座標を変えても物理現象は変わらないということがわかっていれば、運動方程式を立てるときにどの座標系から見れば楽か考えることで計算を簡単にすることが出来ます。
⑦円運動
円運動の運動方程式は導出可能ですが、覚えるようにしましょう。
遠心力は慣性力であることを忘れてはいけません。
➇単振動
こちらも運動方程式は導出可能ですが、覚えましょう。
自然長と振動中心は一致するとは限りません。
⑨ケプラー問題
万有引力と面積速度保存と第三法則を覚えてください。
この3つさえあれば解けない問題はないです。
総括
力学の問題を解くときにやることは
・つりあいの式を立てる
・運動方程式を立てる
・エネルギーの式を立てる
・運動量保存の式を立てる
くらいしか選択肢がありません。とにかく系に加わっている力を調べて、運動方程式を立てるようにしましょう。
また、力学はすべての物理学の基礎にあるので、ここを疎かにすることは絶対にあってはいけません。
特に仕事とエネルギーの概念がわかっていないと熱力学で詰むので気を付けてください。
電磁気学のポイント
➀電場と電位
力学と電磁気学においてm→q,g→Eと置き換えると、電場中に電荷qがqEの力を受けるということは想像しやすいのではないでしょうか。
クーロンの法則、ガウスの法則、一様電場での電位、点電荷の電位など基本的なところは確実に押さえましょう。
電位は1クーロンあたりの静電気力による位置エネルギーであるということを忘れないでください。
静電誘導なども大事です。
②コンデンサー
コンデンサーの容量は1Vあたりに蓄えられる電気量です。
静電エネルギーや誘電率絡みの内容は確実に押さえてください。
③直流回路
(起電力)=(電圧降下)という回路方程式を立てればすべて解決します。
電圧、電流の正の向きに注意しましょう。
電圧とは電位差のことです。混同しないようにしてください。
コンデンサーが絡んだ場合は電荷保存。
電流はキルヒホッフの法則も使って求めましょう。
④電流と磁場
電流が作る磁場は3パターンくらいありますが暗記しましょう。
アンペール力とローレンツ力は向きに注意してください。
⑤電磁誘導
ファラデーの法則はV=vBl=-dΦ/dtと2通りで押さえましょう。
相互誘導と自己誘導は概念が難しいですが理解する必要があります。
コイルとコンデンサーの過渡現象に関しては定性的に説明できるようにしましょう。
⑥交流
容量リアクタンスと誘導リアクタンスは周波数依存のある抵抗値です。
位相のずれに関してどっちにπ/2ずれるのかは覚えてください。
共振回路は応用でよく出てくるので押さえておきましょう。
総括
電磁気の問題はそのほとんどがコンデンサーか磁場中を転がる導体棒か電磁誘導の問題です。この3つは特に重点的に勉強しましょう。
磁場が出てくるあたりから何もわからなくなりコイルや交流が出てきたところで撃沈するという人が多いですが、たいていの人はそこでつまずきますから諦めずに何度も教科書を読んで何度も何度も問題を解いてください。
電磁気を解くときは
・回路方程式
・運動方程式
・電荷保存
・キルヒホッフの法則
などの式を立てればほとんど解けます。
回路があるときは必ず回路方程式をまず立てましょう。
運動方程式をいろいろな系に対して立てるように、回路方程式もいろいろなループに対して立てることで答えに近づくことが出来るでしょう。
波動のポイント
➀波の性質
波長と周期の関係や横波と縦波、自由端反射と固定端反射など、波の性質に関する基本的なところです。
覚えるというよりも例を見たりちょっと考えてみればそれはそうという話なのでここに時間をかけないようにしましょう。
②波の式
波で最初につまづくところであり、式を丸暗記してしまいがちなところです。最初はそれでもかまいませんが、原理はそこまで難しくないので最終的には自分で導出できるレベルにはなりましょう。
xの符号によって並みの進む向きが違うのですが、それは位相(sinΘのΘを位相と言う。波の式においては2π(t/T-x/λ)のところ)を定数としたときに両辺をtで微分するとdx/dt、すなわち速度が出るので、これの正負によって正の方向に進むか負の方向に進むかが判別できます。
詳しくは自分で調べてみましょう(教科書には載ってないと思います)。
向きの違う波2つの式を合成して定常波の式を導く問題もたまにありますから、自力で計算できるようになっておきましょう。
加法定理の和積の公式を使うので自身の数学力が試されるところです。
③定常波
定常波の仕組みと固定端自由端のときの違いなどその性質をおさえましょう。
定常波のグラフをかけ という問題はよく出てきますから、固定端か自由端かきちんと見分けて確実に書けるようにしましょう。
④弦の振動
基本振動の公式、2倍振動の公式…などたくさん書いてある教科書がありますが、図を書いて考えればすぐにわかることなので覚える必要はないです。
弦を伝わる横波の早さはv=√(S/ρ) (Sは張力、ρは線密度)と表されることは知っておくと便利です。
⑤気柱の共鳴、うなり
気柱の共鳴は開口端補正を忘れないようにしましょう。
なぜそれが起こるのかおおざっぱでいいので説明できるといいです。
うなりは振動数の絶対値を取ることに注意しましょう。
⑥ドップラー効果
波の問題の半分はドップラー効果の問題です。
超頻出ですが公式は1つしかないので、覚えましょう。
導出せよという問題は見たことないですが、一応3パターンくらいは導出の方法があるので押さえておきましょう。
一次元は超簡単ですが二次元になったときは視線速度を取らないといけないので気を付けましょう。
⑦反射と屈折
反射の法則はさすがに知っているでしょうから、おさえるべきは屈折の法則です。
入射側と屈折側で速度とsinと波長の比が決められていますが、屈折率だけ入射側と屈折側の比が逆になっていることに注意です。
速度と波長はあまり使いませんから、n1sinΘ1=n2sinΘ2と覚えておくといいでしょう。
ホイヘンスの原理を使った作図的解法も押さえておいてください。
全反射は屈折率が大きいほうから小さいほうに入るときのみ起こります。
➇レンズ
中学でも習ったことなのであまり難しい単元ではありませんが、凸レンズや凹レンズだけではなく凹面鏡なども含めてレンズの公式の正負と実像虚像の判別をできるようにしましょう。
⑨干渉
波の問題のほとんどは干渉の問題です。
一次試験ならともかく、二次試験や私大の入試で波動分野が出るならほとんど干渉でしょう。
干渉の問題はとにかく光路差が波長の整数倍かどうかを考えます。経路差ではなく光路差です。
ヤングの実験、回折格子、薄膜による干渉、くさび形薄膜による干渉、ニュートンリングなどの基本的な干渉問題は何度も繰り返し解いて身につけましょう。
総括
波動は力学や電磁気に比べるとそこまで難しい分野ではないですが、その分おろそかにしがちです。
苦手な人も多いと思うのでたくさん問題を解いて克服しましょう。
熱力学のポイント
➀気体分子運動論
気体の内部エネルギーを導出するためのもので、これ自体がそのまま大問として出題されることも多くあります。
白紙にすべて書き切れるようになるとどんな出題形式でも気体分子運動論の大問は満点が取れますから、繰り返し導出の練習をしましょう。
②比熱
ΔU=nCvΔTは任意の変化で成立するので大活躍します。
マイヤーの関係も忘れてはいけません。
③熱力学第一法則
熱力学においてのエネルギー保存則で、ほとんどの問題でこの式を使います。
ΔU=Q+WにおいてΔUは内部エネルギーの増加量(増えると正)、Qは吸収熱量(系に熱が入ってくると正)、Wは系がされた仕事(外界から仕事をされると正)であり符号に気を付ける必要があります。
④状態方程式
PV=nRTは常識ですね。
Tの単位はケルビンであって度ではないこと、Rの値はPとVの単位によって変わるというのに注意してください。
⑤状態変化
定積変化:P/T=一定、Q=nCvΔT、W=0
定圧変化:V/T=一定、Q=nCpΔT、W=-PΔV
等温変化:PV=一定、ΔU=0
断熱変化:PV^γ=一定、Q=0
以上の4つの状態変化においての状態方程式と第一法則を押さえておきましょう。考えればわかるので、暗記する必要はないです。なぜこうなるのかを言えるようになることが大切です。
⑥熱機関
熱効率 e=(気体がした正味の仕事W)/(吸収熱量Qin)=(Qin-Qout)/Qin です。2通りで求められるようにしましょう。
熱効率は1を超えることがありませんから、1を超えていたら確実に間違いなので見直しをしましょう。
総括
熱力学の問題は
・状態方程式
・熱力学第一法則
の2つを軸に解いていきます。いろいろな系に対してこれらの式を使ってそれぞれの状態の温度や圧力などを連鎖的に求めていくことになります。
熱力学は高校物理5分野の中で一番簡単ですから、早めにマスターして力学や電磁気に時間を回しましょう。
原子原子核のポイント
➀粒子性と波動性
光電効果、コンプトン効果、ブラッグ反射などありますが問題として出てくるなら光電効果だと思います。
光電効果の特徴をいくつか自分で説明できるようになりましょう。
②原子構造
ボーアの量子条件や〇〇系列などがありますが、〇〇の名前は覚えなくていいですし、エネルギー準位の差が振動数νの光として出てくることを押さえておきましょう。
③原子核
放射性崩壊、半減期、原子核反応は原子分野の中では簡単な部類なので試験で出るならまずここだと思います。
放射性崩壊はα β γそれぞれの崩壊の特徴と、放出される粒子の特徴を押さえましょう。
半減期は微分方程式を解かせることもありますがほとんどは単純な計算で求められる問題です。
原子核反応は原子の質量数の和と原子番号の和が変わらないということと、質量欠損はエネルギーとして出てくることを押さえましょう。
総括
原子分野は入試に出てくることは稀で、学校によっては対策しないところもあると思います。
付け焼刃で良いので入試直前に公式を暗記してしまうというのもありかもしれません。
先の4つの分野が完璧になったら手を付けましょう。
おすすめの勉強する順番
勉強していく順番ですが、力学→波動→電磁気→熱力→原子 がいいと思います。
正直、力学が最初で原子が最後なら他の順番はあまり気にしなくてもいいですが、電磁気の交流は波の知識があったほうがわかりやすいので波動の後に電磁気をおすすめします。
最後に・・・
物理の勉強は「高3から始めればいい」とよく聞きますが、難関大を目指すのであれば、遅くとも高2から勉強を始めることを薦めます。
勉強を始めたときや勉強を終えたときに、この記事をざっとみて全体像を把握出来たら良いと思います。
勉強頑張って下さい!
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