受験相談の声

小論文ことはじめ ~誰も教えてくれない基礎の基礎!~

武蔵溝ノ口駅・溝の口駅より徒歩3分

大学験予備校・個別指導塾の武田塾 溝ノ口校講師の日比野です。

 

今回は、皆さんが見落としがちである、小論文の基礎の基礎をお話しします。

小論文とは

多様化する大学入試の世界において、一層その存在感を強める「小論文」

その存在は知りつつも、実際はどのような科目なのか、検討がつかない受験生の方も多いのではないでしょうか。

特に、「小論文」という科目自体が高校には存在しないため、受験で小論文を使う学生は、学校の先生や塾、参考書、通信教育などを用いて、基本的には独学で習得しなければなりません。

そこで今回は、これから小論文の学習を始める受験生や、もう既に始めているが、コツがつかめていない受験生に向けて、

「小論文」とは何ぞや

という視点から、基本に沿ってお話ししていきます。

実際に紙とペンをもって小論文の問題演習に入る前に、ぜひこの記事をお読みになって、小論文の基礎の基礎を確認してください。

 

小論文とは何ぞや

そもそも、小論文という受験科目で、大学側は受験生にどのような能力を求めている(もしくは測っている)のでしょうか。

・小論文とは、自分の意見を説明するための小規模な文章である

・入試小論文の文章に必要なものは、設問に対する自身の意見と、その論理的な正しさを証明する理由説明の二点である

 

要するに、「小論文」において重要視されるポイントは、主に

・受験生自身が、それまでの学校における学習や、それに付随する社会生活の中で培った視点や考え方を、問題(素材文やディベート文章)に当てはめつつ、作問者の要求の範囲内で、受験者による論理の展開ができるか

・素材文などの問題の内容を論理的に過不足なく理解したうえで、要求された内容(受験生自身の考えを含む)を、正しい語彙や文法事項、筆記事項を踏まえたうえで表現し、大学側に的確に伝えることができるか

という二点に集約されます。

 

問題ごとに課される課題文を正確に読む能力は、現代文の読解のそれと何ら変わらないので今回は割愛します。

 

小論文と作文の違い

上記から、小論文は

「自分の考えを、文章で相手に伝える」科目であることはご理解いただけたかと思います。

ですが、そんなこと作文という形で小学生の頃からとっくにやっているよ!とお思いの方もいらっしゃると思います。

では、それぞれ両者(小論文と作文)どのように相違するのでしょうか。

 

主に言われることとしては、

作文は、文字の通り人により書かれた文章全部のことを指すので、感想文や随想分(エッセイ)、メールや日記ども含みます。

 

それに対し、

小論文は、自身の意見を述べなければならないという条件付きの文章です。

自分の意見を述べる=設問という出題者からの問いかけに対して、受験生は小論文という形で応答する

という「設問者と受験者の対話」

が主に重要視されます。

しかし、ただ単に自分の意見を混ぜて作文を書けば良いというものでもありません。

自分の意見と同じくらい(あるいはそれ以上に)、その意見を裏付ける理由の論理性も重要視されるのです。

ただやみくもに、字数に合わせて自分のアイデアを羅列するだけでは、小論文の世界においては何の評価も得られません。

逆に言えば、突拍子のないアイデアでも、だれもが納得するような理由を添えつつ説明できれば、そのアイデアには高い評価が与えられます。

 

もう少し凝った説明をするならば、

「作文」は文章表現そのものの魅力、つまりは印象的な表現や書き手の感受性の豊かさに比重が置かれ、

「小論文」は作文において重視されるような文章表現(比喩や倒置法などのレトリック)はあまり重要視されずに、自分自身の考えを説得力を持って相手に伝える能力が重視されている

と言えます。

 

以上の点から、

「小論文なんて所詮は作文でしょ。そんなの才能だから、たいして対策はいらないでしょ」

と思っている受験生は、その考え方を大きく変えなければならないと気付いたはずです。

また、これまで問題文を読んですぐに文章の作成に取り掛かってきた受験生も、いきなり文章を書き始めるよりも、緻密な論理性の上に文章を書いた方が良いということがご理解いただけたと思います。

 

そこで大事なのは、「とりあえず何でも書いてみよう」という甘い考え方よりも、

設問を読む

書くべきことを考える (設問に対して、自分の意見とその理由を整理する。どのような段落構成にするかを検討する)

表現表記に注意しながら書く (原稿用紙は正しく使えているか、誤りやすい表現に注意しているか、などを最後に見直しをする)

となります。

 

小論文の出題形式と出題内容

ここからは、小論文における主な出題形式出題内容をお話しします。

良く出題される型の小論文をタイプ別に分類しているので、内容的な出題系統と合わせてご覧ください。

 

課題文読解論述型:日本文の課題文を与えて、説明問題や論述問題を課す。全系統において出題される。

図表分析型:グラフや表を与えて、読み取り問題や論述問題を課す。看護・保健系、農林水産系、生活・環境・福祉・地域系、教育系において出題される。

テーマ型:テーマを指定して、それについて論述させる。全系統において出題される。

英文型:英文の課題文を与えて、説明問題や論述問題を課す。医・歯・薬系、理系、農林水産系、看護・保健系、社会・情報系、国際社会・国際文化系、人文系、教育系において出題される。

理科論述型:日本語文や英文の課題文を与えて、小論文のみとは限らない理数系の総合問課す。医・薬系、理系において出題される。

教科論述型:専門教科についての論述問題。医・歯・薬系、理・工系、農林水産系、教育系において出題される。

 

また、出題内容の系統別頻出テーマは以下の通りです。

医・歯・薬系/保健・看護系統:医療の原理、医師と患者の関係、死生観、高齢者医療、先端医療と生命倫理、看護の原理、リハビリテーションなどについて。

理・工系/農林水産系統:生命科学、環境問題、エネルギー生産、食料資源などについて。

法・政治系/商・経済系/社会・情報系/国際社会・国際文化系/生活・環境・福祉・地域系統:自由、平等、人権、民主主義、国民国家、市場原理、雇用と財政、社会保障、消費、国際経済、地域経済、女性・家族、福祉・医療などについて。

人文系統:自然と文明、異文化理解、学問と教養、若者論

教育系統:教育の機能・課題、子どもと社会、子どもと発達などについて。

スポーツ系/芸術系統:現代社会とスポーツ、スポーツ医学、芸術論などについて。

 

このように、自分が受験予定の学部・学科の専門や系統に準じて、出題形式や頻出テーマの背景知識や周辺情報などを学習しておきましょう。

また、当然ですが、自分の受験予定の学部・学科の過去問などを用いて、演習や研究などをすることも非常に重要です。

 

原稿用紙の記入上の注意点

①文頭、段落の初めは最初の1マスを開けること。

②カギかっこは「 」を使い1マス分取ること。

③小さい「っ」も1マス分取ること。

④行のアタマに「。」が来るときは、前の行の行末の文字とともに1マスの中に書くこと。

⑤かっこ( )を使う時はかっこ一つに1マス使うこと。

⑥『』→題名を示すとき、「」の中のかっことして使う時だけ使う。

⑦!や?という表現は控えること。

⑧[1]縦書きの時→数字は漢数字で統一する。漢数字は1マス分取ること。アルファベットや単位記号(%・kmなど)は使わずにカタカナ表記にすること(パーセント・キロメートルなど)。

 [2]横書きの時→漢数字、アラビア数字どちらを使っても良いが、どちらかに統合する事。

⑨誤りやすい漢字や熟語と送り仮名に注意する。(明かるい→明るい など)

⑩読点(、)の打ち方に注意する。

 [1]主部と述部が1つずつの文を書くときは、主部の後に打つこと。

 [2]主部が1つで述部が2つ以上ある文・主部と述部が2つ以上ある文では、1つ目の述部の後に打つこと。

 [3]接続詞の後に打つこと(ただし主部が長い場合は直後の読点は省略して良い)。

   例・しかし、川上さんはパンを食べるのをやめた。

 [4]どちらの単語を修飾したいのか明確にすること。

   例・私はあわてて、家に帰った父を追いかけた(あわてたのは私)

   例・私は、あわてて家に帰った父を追いかけた(あわてたのは父)

⑪呼応表現を正しく使う事。(なぜなら、~だからだ。)

⑫です・ますではなく、である。を用いること。

⑬制限文字数の9割を目指すこと。

⑭会話調の表現を避けること。(なので→だから)

 

以上の点は、何も受験小論文を作成するときに限った話ではなく他の論述問題(国語や英語、社会など)や、ひいては大学入学後、社会に出た後の文書の作成時においても気を付けなければならない点です。

これらは、社会人は備わっていて当たり前ともいわれるような基本的な事柄なのですが、実際はまだ社会に出て間もない20代半ばの方々の間で守られていないことが多いそうです。

小論文は、他のどの入試科目よりも使用する語彙適切な言葉使い原稿用紙への記入方法が厳しくチェックされる科目でもあります。

高校生の時から、社会に出ても十分通用する能力を伸ばせると考えると、小論文の科目の重要さやコストパフォーマンスの良さが実感できると思います。

 

最後に

小論文は他の受験科目とは違い、受験生本人の思考回路や言語運用能力、幅広い知識が総合的に問われる大学からしてみれば非常に出題のし甲斐がある科目です。

また、問われる内容も実際にリアルタイムで問題になっている社会課題や、進学先の学問に直接結びついた問題ばかりです。

もちろんそれらを学びながら、小論文の対策をするのはとても簡単なことではありません。

しかし、受験生の段階で将来の自分に密接にかかわる学問の基礎を学ぶことや、

自分が今存在している世界で発生している問題について考えることは、

他の受験科目の試験勉強では得られない有意義さ があります。

 

みなさんも、以上の点に留意しながら、小論文の対策を頑張りましょう!

 

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました!

phonto (5)

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