小金城は上杉謙信に攻められ籠城、無傷で撃退した城だった

小金高校の近くにある小金城址は、戦国時代には地政学的に東葛地域の要城でした。徳川時代になっても江戸幕府の軍用馬放牧地、小金牧を統治する軍馬奉行の館が置かれるなど、東葛地方の行政や街の中心が今の北小金です。

東葛地域、最強の城が小金城

混迷の南北朝時代から織田信長と豊臣秀吉による安土桃山時代到来までの間、1493年から1590年までを戦国時代と呼びます。

小金城（大谷口城、開花城とも呼ばれた）が最初に築城されたのは、その戦国時代の真っただ中、天文６年（1537年）です。
その後の戦国時代後期には東葛地域（下総国の葛飾郡）の要衝として重要な役割を果たすことになります。

築城当時、下総一帯は鎌倉幕府成立に功のあった千葉氏が治めていました。
やがて関東管領として勢力を広げ始めた上杉氏と対立、上杉勢力の侵攻を防ぐための東葛地域の拠点として築かれたのが小金城です。
東葛地域においては最大規模を誇った平山城で、太日川（現、江戸川）の水運にも恵まれて、賑やかな城下町が形成されました。

戦国時代後期の小金城をめぐる攻防

小金城の城主は千葉氏の重臣であった高城氏です。
城を築いた高城胤吉以降、胤辰、胤則と三代に渡って、この城を中心として東葛地域を治めました。

永禄9年（1566年）には上杉謙信の軍に包囲され、籠城戦を繰り広げました。
堅固な城ゆえに上杉勢も攻めきれず、ほぼ無傷のまま撃退しています。
そして天正18年（1590年）、豊臣秀吉の小田原征伐の際に、高城氏が小田原城に籠城している間に小金城は浅野長政らに攻められて落城しました。

そのあとの小金城は、徳川家康の関東移封に伴って徳川家康の五男、武田信吉が入城して治めることになります。
しかしその武田信吉も文禄元年（1592年）には佐倉城主となり、文禄２年（1593年）に小金城が廃城となって半世紀にわたる歴史に幕を下ろしました。

今に残る小金城の栄華の痕跡

形は平山城です。
城構えの基本であり周辺から一段高いところに小金城は築かれました。
周囲は坂東太郎と呼ばれた利根川の氾濫に幾度も晒された地域です。
そのような地理的条件もあり、城下町としてだけでなく宿や商家が立ち並んで小金宿が形成されました。

廃城から400年以上経ち、山の手ともいえる北小金周辺の高台の地域には瀟洒な住宅が立ち並びました。
今では城跡の一部が「大谷口歴史公園」として残るだけとなりました。
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他には小金高校生がよく利用する流鉄流山線の「小金城趾駅」という駅名程度です。

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それでもまだ高城氏の保護を受けて栄えた紫陽花の美しい本土寺や東漸寺などに、当時の小金城周辺の栄華の痕跡が残っています。
高台の住宅街やマンションに戦国時代の小金城をだぶらせて想像してみたらいかがでしょうか。
意外と意外で、何も残されていないからこそ往時の小金城のイメージが膨らみます。

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