こんにちは。武田塾前橋校です!
夏が終わり、涼しい日も増えてきましたね。
高1の皆さんは高校に入って約半年が経ち、「学校の授業を聞いてもよくわからない…。」という人もいるのではないかと思います。
また、高2の皆さんは高校生活の折り返しに差し掛かり、そろそろ「受験」を意識し始める季節ではないでしょうか。
受験生の皆さんにとっては、スパートをかける勝負の秋ですね。
文系・理系を問わず、数学が得意なことは受験において非常に有利になります。
しかし、苦手としている人も多いのではないでしょうか。(私もかつてそうでした…。)
数学にはセンスが必要だと思われがちですが、少なくとも大学入試までの数学に才能は必要ありません。
正しい勉強法での勉強を積み重ねていけば、必ずできるようになります。
世の中にはその正しい勉強法を誰にも言われずに自然にできてしまう人と、なかなかできない人がいる、というだけのことです。
したがって、数学が苦手なそこのあなたも正しい勉強法を身に付ければ数学ができるようになります。
今回はそんな高校数学の勉強法についてお話していこうと思います。
勉強法①解答の完全再現を目指す。知識のインプット。
数学が苦手な人が目指すべき最初の目標は、「とりあえず問題が解ける」という状態です。
つまり、模範解答のコピー、解答の完全再現を自分の手で何も見ずに作れる状態を目指しましょう。
よく受験生等に尋ねられる質問に「どうして、こう解くのですか?」という質問があります。
皆さんの中にも、数学の先生に対してこのような質問をした経験がある人もいると思います。
質問に対する回答はずばりこう
「そう解くと上手くいくから。」
です。
高校数学の内容は、時代が違えば最先端の数学者が考えていた理論や問題の基礎を含んでいます。
例えば、微積分学(解析学)の歴史をネットで調べて頂ければ分かっていただけるはずです。
高校数学の問題に対して「どうして、こう解くのですか?」と問うことは、非常に高度な質問なのです。
確かに、原理原則を理解して問題を解ける状態が理想です。
しかし、数学が苦手な人にとっては、中々難しいと思います。
ところが、問題が解ける、という状態はそれほど難しいものではありません。なぜならば、問題の背景や核心を理解できていなくても、解答の完全再現さえできればよいためです。
勉強が進んでいけば、数学的思考がだんだんと身につき、自然と問題に対する理解も深まっていきます。
まずは、「解答の完全再現ができる」状態を目指しましょう。
余談:勉強の基本とは
これは数学に限った話ではありませんが、勉強の基本はまず膨大な知識を自分の中にため込むことだと思います。
最近では、個性や自由、思考力や表現力、自分で考えること、などを重視する傾向があると思いますが、こういったことが生かされるのは、自身の中に圧倒的な知識があり、偉大な先人が歴史の中で残していったことを自分のものとして身に付けている場合のみです。
知識がない状態で必死に頭を働かせても、知識がないなりの結果しか出てこないと思います。
どんなに英語の発音がうまくても、単語や文法の知識が足りなければ英作文はできないですよね。
古文単語を全く知らない人が枕草子を読めるはずがないですよね。
ミュージシャンは誰よりも様々な音楽を聴いているはずですし、売れているYoutuberは他のYoutuberの動画やTV、映画などの映像媒体を熱心に研究しているはずです。
数学では、公式などを覚えていること、典型的な問題が自力で解ける、ということが「知識」にあたります。
まずは手を動かし、時間をかけて典型問題、定石、解法のストックを自分の中に作っていきましょう。
その第一段階として、解答の完全再現ができることを目指していきましょう。
解答の完全再現ができるようになるには
人によってやり方に差はあると思いますが、私は
模範解答をじっくり読んで覚える→真っ白なノートや裏紙にそれを書き出してみる
という作業を繰り返しました。
もし書き出している途中で鉛筆が止まってしまったら、それはポイントを理解していないということなので、もう一度模範解答や解説に戻って理解を深めていました。
ある程度模範解答が書けるようになったら、手を動かさずに頭の中だけで模範解答を思い出す、という勉強もやっていました。
電車の中や移動中にもできる勉強法なのでおすすめです。ただし事故には気を付けてください。
どんなやり方で覚えていくにしても、この段階で必要なのはやる気だけです。
数学が苦手な人にとってはとても辛い勉強かもしれませんが、英語でいえば単語の勉強にあたる非常に重要な勉強です。
何度も何度も繰り返して解答の完全再現ができるように頑張っていきましょう。
自分は〇〇大学に是が非でも受かるんだ、学校で〇番以内に入る、あいつに成績で勝ちたい、など強い動機付けが必要です。とにかく気合をいれて頑張って覚えてください。
この段階でおすすめの参考書は以下なので参考にしてみてください。
おすすめの参考書①やさしい高校数学シリーズ(学研)
この段階でつまづいてしまっている人におすすめの参考書は
やさしい高校数学シリーズ(学研)
です。
かなり分厚いので敬遠してしまう方も多いかもしれませんが、内容は高校数学の典型問題、定石を網羅していて、解説も会話形式で読みやすく、非常にわかりやすい良書です。
私はこの本を高校数学の教科書にしたら、世の中の数学嫌いの高校生がゼロになるのではないかと妄想しています。
もし数学が苦手だと自覚しているならば、是非本屋さんで一度手に取って開いてみてください。
ⅠA、ⅡB、Ⅲに分かれていますが、すべての問題をマスターした時には数学は苦手な科目ではなくなっていると思います。
開いたときに問題を眺めてみて、どの問題も余裕で解けそうだ、と思った方はおすすめの参考書②以降を参考にしてみてください。
勉強法②自力で解答の方針を考える。瞬間的に解法が思い浮かぶようにする。
解答の完全再現ができるようになったら、次は自力で問題に対する方針を立てられるようにしていきましょう。
とりあえず解答を暗記している、という状態から、問題を理解し、応用が効く状態にしていくことが目標です。
ある問題が与えられたときに、問題を見て「この公式をこういう風に使えばとけそうだ。」だったり、「ここに着目して考えてみたらよさそう。」など、問題文に対して日本語で解答の方針を述べられるようにしていくとよいでしょう。
問題文を読んで、いきなり解き始めるのではなく、問題文を読んでから、頭の中で声に出して、問題文の解答方針を述べてから問題を解き始めましょう。
このとき、5分程度真剣に考えて方針が浮かばなければ、模範解答を読んでしまってよいと思います。その問題はまだ勉強法①をやるべき状態だと考えられるので、まずは解答を完全再現できるようにしていきましょう。
一通り問題を解き終わったら、今度は問題文だけをパラパラと見て、解答方針が思い浮かぶかどうかを試してみるといいですね。
例えば、入門問題精講(旺文社)や基礎問題精講(旺文社)なら、問題のすぐ下に書いてある「精講」の部分を自分の言葉(重要!)で説明できることが理想的です。
方針が浮かばない問題は、まだ解答を作れるようになっているだけで、他の問題でその知識が使えるようにはなっていないということです。
そのような、方針が浮かばない問題が多くある状態では、まだ一冊が完璧になっているとは言えません。
問題を見た瞬間に解法が思い浮かぶか?
が一冊の参考書が完璧になっているかどうかの境目です。
初見問題になると解けない…。
この段階の人でよくあるのが、「やった問題集は解けるが、模試や初見問題になると解けない。」という現象です。
しっかりと欄外の解説や細かい字で書いてある注なども理解して、問題に対する理解度を上げていけば、自ずと他の問題にも応用が効くようになってきます。
また、模試などで解けなかった問題を復習するときに、今まで勉強した問題集に似たような問題はなかったか、今まで学習した知識を組み合わせても解けなかったのか、という点に着目して、今まで使った問題集を開いて比べてみる勉強も有効です。
この段階まで来た人ならば、きっと今まで学んだ知識の組み合わせで解けることが分かり、とても悔しい思いをすることになると思います。
悔しい思いをして学び直した知識は、決して忘れない財産になります。
逆に、全く知らない知識が必要だったということがそこで分かれば、その知識をその場で理解して覚えればよいだけです。
このようにして、解けない問題が何故解けないのかを分析することが大切です。
今までに仕上げた問題集をひっくり返して、今まで学んだ知識と照らし合わせて確認することも、問題に対する理解を深めることにつながっていきます。
ぜひやってみてください。
おすすめの参考書②入門問題精講シリーズ(旺文社)
この段階でおすすめの参考書は
入門問題精講シリーズ(旺文社)
です。
入門、ということで、内容に不足があったり、易しすぎるのではないかと考える人が多いようですが、この「入門」は「大学入試の入門」であって「高校数学の入門」ではないので内容的な不足はありません。
この本が仕上がったと思ったら、問題文の下にある「精講」の部分をきちんと自分の言葉で説明できるかを確認していきましょう。
公式をただ使うだけの問題や、教科書の章末問題くらいはとけるよ、というレベルの人はこの本から勉強を始めてみても良いと思います。
数学が苦手な人で、まだ時間がある高1・高2の方はおすすめの参考書①のやさしい高校数学シリーズから勉強を始めたほうが数学が得意になる可能性が高いと思います。
おすすめの参考書③基礎問題精講シリーズ(旺文社)
入門問題精講シリーズが仕上がったら、基礎問題精講シリーズに進めていきましょう。
やるべきことや、気を付けなければいけないポイントは同じです。
「精講」の部分を理解して説明できるように勉強していきましょう。
入門問題精講シリーズよりも問題の内容がより入試問題に近い形式になっているので、モチベーションも上がっってくるのではないでしょうか。
基礎問題精講シリーズが仕上がると、入試問題を解くために必要な知識や道具は一通りそろっている、という状態になっていると思います。
仕上がりの目標としては
a. 基礎問題精講の問題が提示された瞬間に解法が思い浮かぶ。
b. 思い浮かんだ解法に従って、自力で正しい解答を導ける。
という二点が挙げられます。
とにかく何度も繰り返して、基礎問題精講を自分のものにしていきましょう。
大学入試の数学で高得点を狙っていくには、基礎問題精講レベルの知識が自分のものとして身についていることが必要不可欠です。是非頑張ってくださいね。
勉強法③知識を生かして、入試問題を解く方法を学ぶ。
いよいよ入試問題に取り組んでいきましょう。
基礎問題精講レベルの参考書が完璧になっていて、必要な知識がそろっていることが前提です。
標準的な入試問題が収録されている問題集の演習をこなすことで、今までにインプットした知識を実戦で使える知識に昇華していきます。
標準的な入試問題とは、もしその問題が本番で出題された場合、合格者の多くが完答するであろう、というレベル感です。
問題を解き、復習の時に今まで学んだ知識と照らし合わせ、知識のアップデートを行っていきましょう。
解いた問題は、今までと同様に、解答の方針が自分で説明できるまで解説を読み込み、理解して覚えることが重要です。
解く問題のレベルが上がるので、足りていなかった知識を突き付けられて悔しい思いをしたり、今まで学んだことが分野を超えて有機的に結びついてくることが増え、数学の面白さを感じることができる段階かと思います。
ただし、問題集の選び方には気を付けてください。
難問奇問を省いた、良質な標準問題が厳選されている問題集を使ってください。
まずは標準問題を確実に、100%取りきる勉強をしていきましょう。
また、ただ単に問題と解答が載っているだけの本を使ってしまうと、今まで学んだ知識と入試問題のつながりが見えず、ただ単に解答を暗記する勉強になってしまう恐れがあります。
この段階では揃えた道具を使う方法を学ぶことが目的なので、使い方を飛ばして結論だけが書かれているような参考書は避けた方が良いと思います。
具体的なおすすすめの参考書は以下の通りです。参考にしてください。
おすすめの参考書④CanPassシリーズ(駿台文庫)
「思考ひも解き」として解答の方針が示されており、今までの知識を応用するためのヒントがまとめられています。
また、解説も模範解答本文とは別に丁寧に書かれており、ある程度知識が身についた人にとって非常に有用だと思います。
別解も豊富で、多面的な見方を学ぶことができ、逆に受験生がやりがちで泥沼の解法も敢えて書かれているのもほかの問題集にはないポイントかと思います。
難問奇問の類もはじかれていて、入試本番までに一度は当たっておきたい、合格する人は完答するであろう問題ばかりが収録されています。
地方国公立レベル以上の大学を受ける人は必ずマスターしておきたい一冊です。
何度も言いますが、数学の参考書が完璧になっている、ということは
問題を見た瞬間に解法が思い浮かぶ
ということです。大変だと思いますが頑張ってください。
おすすめの参考書⑤数学重要問題集(数研出版)
レベル感としてはCanPassと同じくらいですが、収録されている問題が多く、演習量を稼ぐのに最適です。
解説等は淡白なので、CanPassシリーズが仕上がり、時間的にも余裕があるが、難問を解く必要がない人向けの問題集かと思います。
今までの勉強がきちんと仕上がっていれば、解説に不足は感じないと思うので、テンポよく進めることができ、実力up間違いなしです。
CanPassと同じく、もし入試で本書の中から問題が出たら、しっかり完答したい問題が並んでいます。
しっかり取り組んで自分のものにしていきましょう。
おすすめの参考書⑥ハイレベル数学ⅠAⅡB・Ⅲの完全攻略(駿台文庫)
旧帝大以上の理系学部を目指す人や、地方国公立大学の数学で高得点を狙っていきたい人向けの問題集です。
ⅠAⅡBとⅢで本が分かれています。
CanPassレベルの参考書の問題が問題をみた瞬間に解法が浮かぶくらいのレベルに仕上がっていることが前提の問題集になると思います。
入試本番ではおそらく出来が分かれる、取れたら合格レベルの少し難しめの問題が並んでいます。
しかし、解説は問題に対するアプローチ法やポイントの解説が丁寧で、独学での学習に適した構成になっています。
入試本番では完答できなくても部分点が与えられます。したがって、他の受験生が手をつけかねるような問題で部分点を獲得すると、合格がかなり見えてきます。
そういう意味で、この問題集で難問へのアプローチ法を学ぶことは非常に重要だといえます。
理系の人は数学Ⅲの方だけでも解いておいたほうが良いと思います。
国公立大の理系で良く問われる問題がそろっており、しかも数学Ⅲでは類題や数値を変えただけの問題がそのまま出る可能性が非常に高いからです。コスパ◎です。
特に微積分の範囲は問題ごと覚えてしまうつもりで取り組んでください。
ハイレベル数学の完全攻略シリーズまで仕上がったあなたに、恐れるものはもうありません。
あとは受ける大学の赤本や今までやった問題集の周回を重ねて、本番に備えてください。
余談:数学Ⅲのすゝめ
皆さん、数学Ⅲって敬遠していませんか?
確かに数学ⅠAやⅡBと比べるととっつきにくく、難しい分野なのですが、私は数学Ⅲには高校数学で大切なことが詰まっている科目で、一通り勉強すると高校数学全体のレベルを底上げできる科目ではないかと思っています。
第一に、考える余地が少ないことがメリットとして挙げられます。内容が高度で難解であるために、「とりあえず覚える」という方向に進めやすい科目だと思います。
数学を苦手な人が陥りがちな「分からないから解けない」というパターンではなく、「分からないけど、とりあえず問題が解ける」という方向に勉強の方針を持っていきやすいのです。
そして、とりあえず問題が解けるようになると、その問題の類題が模試や入試でそのまま出ます。めちゃめちゃお得です。ⅠAⅡBに比べるとパターンも少ないので、覚えるべき知識や典型問題もそれほど多くありません。
次に、数学Ⅲを勉強することでⅠAⅡBの各分野の復習を行うことができる点が挙げられます。
例えば、微分を勉強することで二次関数、三角関数、指数関数、対数関数などの関数に関する分野の復習を行うことができます。また、積分では特に三角関数の公式、倍角、半角、三倍角などを覚えていないと話にならないので、嫌でもそれらが身につきます。
他にも二次曲線では図形と方程式など、複素数平面ではベクトルや軌跡と領域、高次方程式などの分野と関連があり、数学Ⅲを勉強することで他の分野の成績があがることは間違いないです。
筆者である私も、かつては数学が大嫌いで苦手だったのですが、最終的には得意にすることができました。一番最初にできるようになったのが数Ⅲです。もし敬遠している人がいたら是非積極的に勉強してみて欲しいと思います。
まとめ
数学の勉強とは、たくさんの知識をインプットし、それらの知識を組み合わせて問題を解決する手段を学ぶことです。
数学が苦手な人はまず、知識のインプットの段階、そして覚えた知識をブラッシュアップして完成度を高めていく段階でつまづいてしまっている人が多いように思われます。
ますは知識のインプットに取り組んでみてください。
一冊の参考書が仕上がっているかどうかは、
問題をみた瞬間に解法が思い浮かぶか
です。
自分のレベルにあった参考書をやりこみ、合格を勝ち取ってください!
ここまで読んでくださりありがとうございました。