【日本史B】絵画史の覚えるべきポイント・時代・特徴はこちら②

絵画史２

こんにちは！京都駅の予備校・塾といえば、武田塾京都駅前校です。

さて今回は前回に引き続き、歴史が大得意な講師に聞いた【絵画史】についてお話します(^^)/

絵画史

鎌倉文化以前については前回お話したので、今回は国風文化以降についてお話していきたいと思います。

【前回の絵画史①についてはこちらから】

室町文化

室町文化では絵画史は極めて特徴的な展開を迎えます。

室町時代の仏教といえば禅宗ですが、その禅宗を学ぶため宋・元にわたった人々は、水墨画という新たな画法を日本にもたらしました。

それとは別に、大和絵の分野でも土佐派や狩野派といった有名な一派が現れ、幕府や朝廷の保護を受けて成長し始めました。

絵画様式・絵画用語・画家：
水墨画すいぼくが	墨の濃淡のみで全てを描く東洋的な絵画技法。禅僧により宋・元から伝来
明兆みんちょう	東福寺の画僧。兆殿司ちょうでんすの異名で知られる初期の水墨画家。代表作『五百羅漢図ごひゃくらかんず』
如拙じょせつ	相国寺の画僧。日本の水墨画の先駆者。代表作『瓢鮎図ひょうねんず』
雪舟せっしゅう	日本の水墨山水画を完成した画僧。代表作『四季山水図巻しきさんすいずかん』『秋冬山水図しゅうとうさんすいず』『天橋立図あまのはしだてず』
土佐光信とさみつのぶ	土佐派の画家。朝廷や幕府の絵師として活動し土佐派の地位を高めた
狩野正信かのうまさのぶ	狩野派の祖。幕府の御用絵師となり狩野派発展の基礎を築く。代表作『周茂叔愛蓮図しゅうもしゅくあいれんず』
狩野元信かのうもとのぶ	狩野派の画家。正信の子。狩野派の画風を確立。代表作『大仙院花鳥図だいせんいんかちょうず』
絵画作品：
『瓢鮎図ひょうねんず』	如拙作の妙心寺所蔵の水墨画。日本の初期水墨画の最高峰である
その他の絵画作品	水墨画『五百羅漢図ごひゃくらかんず』明兆作。『四季山水図巻しきさんすいずかん』雪舟作。『秋冬山水図しゅうとうさんすいず』雪舟作。『天橋立図あまのはしだてず』雪舟作大和絵『周茂叔愛蓮図しゅうもしゅくあいれんず』狩野正信作。『大仙院花鳥図だいせんいんかちょうず』狩野元信作

桃山文化

内乱が相次ぎ、城郭建築が盛んになると、武士たちは城内に絵画を導入しました。

それが、襖や屏風に描かせる障壁画です。

幕府や朝廷の他、各地の大名の保護を受けて制作活動を続けたどころか、自身も武将として活躍した画家もいます。

絵画様式・絵画用語・画家：
障壁画しょうへきが	襖ふすまや壁、屏風びょうぶ、障子しょうじに描かれた絵画ジャンル。多くは水墨画か濃絵だみえで描かれた
濃絵だみえ	金箔地に彩色を施す絵画技法
風俗画ふうぞくが	庶民の暮らしを題材とする絵画ジャンル。その一種である洛中洛外図屏風らくちゅうらくがいずびょうぶを描いた画家は多いが、狩野永徳のものが最も有名
南蛮屏風なんばんびょうぶ	南蛮交易の様子や南蛮人の生活を大和絵の様式で描く絵画ジャンル
狩野永徳かのうえいとく	狩野派の画家。狩野元信かのうもとのぶの孫。代表作『洛中洛外図屏風らくちゅうらくがいずびょうぶ』『唐獅子図屏風からじしずびょうぶ』『檜図屏風ひのきずびょうぶ』
狩野山楽かのうさんらく	狩野派の画家。代表作『松鷹図しょうようず』『牡丹図ぼたんず』
海北友松かうほうゆうしょう	武人的で個性的な作風の画家。代表作『山水図屏風さんすいずびょうぶ』
長谷川等伯はせがわとうはく	金碧障壁画、水墨画とも多作の画家。代表作『松林図屏風しょうりんずびょうぶ』『智積院襖絵ちせきいんふすまえ』
絵画作品：
『洛中洛外図屏風らくちゅうらくがいずびょうぶ』	狩野永徳作。織田信長が上杉謙信に贈るため描かせた
その他の絵画作品	全て障壁画『唐獅子図屏風からじしずびょうぶ』狩野永徳作。『檜図屏風ひのきずびょうぶ』狩野永徳作。『松鷹図しょうようず』狩野山楽作。『牡丹図ぼたんず』狩野山楽作。『山水図屏風さんすいずびょうぶ』海北友松作。『松林図屏風しょうりんずびょうぶ』長谷川等伯作。『智積院襖絵ちせきいんふすまえ』長谷川等伯作。

寛永期の文化

安土桃山時代から江戸時代への移行期にあたる寛永期の文化では、桃山文化の残滓を感じ取ることができます。

引き続き障壁画は描かれるのですが、それはもはや城郭建築内部の飾りにはとどまらず、有力商人なども手にするものとなってきました。

そして、それらは従来の画法からさらに装飾性を増した装飾画として屋内を彩りました。

絵画様式・絵画用語・画家：
装飾画そうしょくが	江戸時代初期から発達した、華麗な装飾の凝った絵画技法
土佐光起とさみつおき	土佐派の画家。同派を復興し、宮廷絵所預きゅうていえどころあずかり(朝廷の絵師)となり狩野派に対抗
住吉如慶すみよしじょけい	土佐派に学び、独自の住吉派を開く
狩野探幽かのうたんゆう	狩野派の画家。永徳えいとくの孫。幕府御用絵師ばくふごようえしとなる。代表作『大徳寺方丈襖絵だいとくじほうじょうふすまえ』
久隅守景くすみもりかげ	狩野派に学ぶが後に破門される。代表作『夕顔棚納涼図屏風ゆうがおだなのうりょうずびょうぶ』
俵屋宗達たわらやそうたつ	装飾画家。代表作『風神雷神図屛風ふうじんらいじんずびょうぶ』『田家早春図でんけそうしゅんず』『彦根屏風ひこねびょうぶ』
本阿弥光悦ほんあみこうえつ	装飾画家。絵画の他に蒔絵や楽焼も作成。代表作(蒔絵)『舟橋蒔絵硯箱ふなばしまきえすずりばこ』鷹ヶ峯に芸術村をつくり、そこで活動した。
絵画作品：
絵画作品	障壁画『大徳寺方丈襖絵だいとくじほうじょうふすまえ』狩野探幽作。『夕顔棚納涼図屏風ゆうがおだなのうりょうずびょうぶ』久隅守景作装飾画で描かれた障壁画『風神雷神図屛風ふうじんらいじんずびょうぶ』俵屋宗達作。『彦根屏風ひこねびょうぶ』俵屋宗達作装飾画『田家早春図でんけそうしゅんず』俵屋宗達作

元禄文化

江戸時代には宗教勢力の政治的重要性が低下するのに伴って、特徴的な彫刻や建築は減少する傾向にありましたが、絵画はもはや宗教的題材をはなれて独自に隆盛していきました。

引き続き権力者の保護を受ける大和絵の諸派や、豪商らの支持を受ける装飾画に加え、大量生産が可能でさらに庶民的な絵画である浮世絵が初めて誕生しました。

絵画様式・絵画用語・画家：
浮世絵うきよえ	菱川師宣が創始した風俗画の一様式。版画として大量生産が可能な点が特徴
土佐光起	寛永期から活躍する土佐派の画家。宮廷絵所預(朝廷の絵師)
住吉如慶	寛永期から活躍する画家。土佐派に学び、独自の住吉派を開く
住吉具慶すみよしぐけい	住吉派の画家。住吉如慶の子。幕府御用絵師。代表作『洛中洛外図巻らくちゅうらくがいずかん』
尾形光琳おがたこうりん	琳派りんぱの開祖。装飾画を大成。蒔絵も作成した。代表作(絵画)『紅白梅図屏風こうはくばいずびょうぶ』『燕子花図屏風かきつばたずびょうぶ』。代表作(蒔絵)『八橋蒔絵硯箱やつはしまきえすずりばこ』
菱川師宣ひしかわもろのぶ	浮世絵版画の開祖。代表作『見返り美人図みかえりびじんず』(これは版画ではなく肉筆画)
絵画作品：
絵画作品	大和絵『琳洛中洛外図巻らくちゅうらくがいずかん』装飾画で描かれた障壁画『紅白梅図屏風こうはくばいずびょうぶ』『燕子花図屏風かきつばたずびょうぶ』浮世絵(肉筆) 『見返り美人図みかえりびじんず』

化政文化

化政文化は学問の文化といえるくらい学者が多く登場してきます。

彼らは一方で明・清の画法を学び自ら絵画を描いただけでなく、洋学に従事した者は西洋画の画法も日本にもたらし、洋風画の登場も演出しました。

その他、大和絵の技法を受け継いで発展した写生画や、何といっても多くの浮世絵画家たちの膨大な数の浮世絵が登場します。

絵画様式・絵画用語・画家：
錦絵にしきえ	鈴木春信が創始した浮世絵の一様式。同じ版画でも多色刷りである点が特徴
大首絵おおくびえ	浮世絵の一様式。人物の胸から上を大きく描く方法で役者や美人を描いた
写生画しゃせいが	実物の動植物や風景をそのまま描こうという絵画ジャンル
文人画ぶんじんが(南画なんが)	明・清の影響で専門の画家ではない学者らが描いた絵画ジャンル
洋風画ようふうが	西洋画の技法に基づいて描かれた絵画ジャンル
鈴木春信すずきはるのぶ	錦絵にしきえ(多色刷りの浮世絵)を創始した浮世絵画家。代表作『弾琴美人だんきんびじん』
喜多川歌麿きたがわうたまろ	美人の大首絵を大成した浮世絵画家。代表作『婦女人相十品ふじょにんそうじゅっぴん』
東洲斎写楽とうしゅうさいしゃらく	役者の大首絵を中心に描いた浮世絵画家。代表作『市川鰕蔵いちかわえびぞう』
葛飾北斎かつしかほくさい	代表的浮世絵画家の一人。代表作『富嶽三十六景ふがくさんじゅうろっけい』
歌川広重うたがわひろしげ(安藤広重あんどうひろしげ)	代表的浮世絵画家の一人。代表作『東海道五十三次とうかいどうごじゅうさんつぎ』
伊藤若冲いとうじゃくちゅう	狩野派や琳派を学び、写生画を唱えた写生画家。代表作『群鶏図襖ぐんけいずふすま』
円山応挙まるやまおうきょ	遠近法の図法を取り入れ円山派を開いた写生画家。代表作『雪松図屏風ゆきまつずびょうぶ』
呉春ごしゅん(松村月溪まつむらげっけい)	円山応挙や蕪村に学び、四条派を開いた写生画家。代表作『流鷺群禽図屏風りゅうろぐんきんずびょうぶ』
渡辺崋山わたなべかざん	文人画家。代表作『鷹見泉石像たかみせんせきぞう』『一掃百態いっそうひゃくたい』洋学者としてモリソン号事件について『慎機論しんきろん』で幕政を批判し、蛮社の獄で処分された
池大雅いけのたいが	文人画家。与謝蕪村と共に描いた文人画『十便十宜図じゅうべんじゅうぎず』が代表作
与謝蕪村よさぶそん	文人画家。池大雅と共に描いた文人画『十便十宜図じゅうべんじゅうぎず』が代表作。俳人としても著名で、その句は弟子によって『蕪村七部集ぶそんしちぶしゅう』に集成された。
谷文晁たにぶんちょう	諸国を遍歴した江戸の文人画家。代表作『公余探勝図こうよたんしょうず』
田能村竹田たのむらちくでん	豊後岡藩の藩校総裁もつとめた文人画家。代表作『亦復一楽帖またまたいちらくじょう』
司馬江漢しばこうかん	銅版画の技術を導入した洋風画家。代表作『不忍池図しのばずのいけず』
亜欧堂田善あおうどうでんぜん	松平定信の御用絵師として活躍した洋風画家。代表作『浅間山図屏風あさまやまずびょうぶ』
平賀源内ひらがげんない	多様な分野に才能を発揮した洋風画家。代表作『西洋婦人図せいようふじんず』洋学者としてエレキテル(摩擦起電機)・寒暖計や絵画も作成した
絵画作品：
『十便十宜図じゅうべんじゅうぎず』	池大雅・与謝蕪村合作の文人画。人々や自然を自由な構成で描いた
その他の絵画作品	浮世絵(錦絵) 『弾琴美人だんきんびじん』鈴木春信作。『富嶽三十六景ふがくさんじゅうろっけい』葛飾北斎作。『東海道五十三次とうかいどうごじゅうさんつぎ』歌川広重作浮世絵(大首絵) 『婦女人相十品ふじょにんそうじゅっぴん』喜多川歌麿作。『市川鰕蔵いちかわえびぞう』東洲斎写楽作写生画『群鶏図襖ぐんけいずふすま』伊藤若冲作。『雪松図屏風ゆきまつずびょうぶ』円山応挙作。『流鷺群禽図屏風りゅうろぐんきんずびょうぶ』呉春作文人画(南画) 『鷹見泉石像たかみせんせきぞう』渡辺崋山作。『一掃百態いっそうひゃくたい』渡辺崋山作。『公余探勝図こうよたんしょうず』谷文晁作。『亦復一楽帖またまたいちらくじょう』田能村竹田作洋風画『不忍池図しのばずのいけず』司馬江漢作。『浅間山図屏風あさまやまずびょうぶ』亜欧堂田善作。『西洋婦人図せいようふじんず』平賀源内作