大学入試古文基礎講座②~助動詞理解編~
京都の予備校と言えば武田塾京都校!講師のS.Yです!
前回のに引き続き、これから大学入試古文の学習を進めていく方々にむけて、古文の勉強をする上であらかじめ知っておくと理解が深まるような事項について解説していきたいと思います。
大学入試古文基礎講座①~品詞分解編~
品詞分解をするには文法の知識は大事
本日は、その第2弾として、「助動詞」を取り上げます。
前回、品詞分解がめっちゃ大事であるという話をしました。
品詞分解をするためには、古文の文法についての知識は欠かせません。そして、古文の文法の学習において、もっとも受験生を苦しめているのが助動詞ではないでしょうか。
古文の文法といっても日本語の古文なので、英語を学習するのと違って、現代日本語との共通点も多く、語順が同じであったり、品詞の構成が同じであったり、同じ用法で使われている文法事項があったり、新たに学ばなくてもすでに知っていることが多くあるはずです。その中で、古文の勉強において求められるのは、いうまでもなく、現代日本語と違う部分について理解する・覚えるということです。受験生が助動詞の学習に苦労するのは、動詞や助詞等の他の品詞と比べて、助動詞には現代語と異なる点が多く、理解すべきこと、覚えるべきことが多いからではないでしょうか。
とはいえ、助動詞を覚えることは必須ですし、古文の文章を読んでいるときに、「えぇ~っと、」と考えながら読んでいては時間が全く足りません。意味、活用、接続については数秒と空けずに出てくるところまで訓練しておきたいものです。ちまたには助動詞の意味の覚え方や語呂合わせのようなものもあるのでしょうが、文法知識のような、それ自体を解答するというより、それ自体をガンガン使っていく「道具」というべき知識を、語呂合わせを経由して思い出してあてはめて…としていくのはロスが多いように思えるので、個人的にはあまりオススメできません(*)。結局、学校や塾で渡される助動詞の表(空欄)を覚えるまで何十枚も埋め続けるという「修行」がいちばん手っ取り早いのではないでしょうか。
*そもそも、語呂合わせって、覚えるべきこととは別に、語呂合わせを覚えないといけないですよね。古文に限らず、語呂合わせを使っている塾生はたくさんいますが、「語呂合わせが出てこない」とか、「語呂合わせは出てきたけど用語が出てこない(頭文字はわかりました!みたいな)」とか、「今どの語呂合わせを使えばいいのか分からない」とか、「語呂合わせを唱え終わるまでめっちゃ時間がかかる」とか、語呂合わせを使いこなせていない人が多いようです。語呂合わせを使うこと自体は結構なことで、否定するつもりはありませんが、反射速度が求められる事項や、「覚えるべき事項にプラスして語呂合わせを覚える事が見合わない事項」についてまで、何でも語呂合わせを使うのは効率が悪いように思います。内閣総理大臣の順番や、中国の王朝名の順番などであれば語呂合わせを使うことの効果が高いように思われますが、文法はそのまま覚えればよいのでは?覚えるまで書き殴ればよいのでは?と思ってしまいます。考え方がマッチョすぎますかね?
ということで、助動詞の意味・活用・接続等について全部列挙して紹介する!みたいなことはしません。それをしても、皆さんが既にお持ちの参考書の劣化版が出来上がるだけですし、仮にそれを作ったとしても、皆さんの記憶に残るわけでもないからです。
最低限の暗記事項については、みなさんのスポコン魂に委ねるとして(笑)、本日は、助動詞について、参考書に書かれていない、書かれていたとしてもちっちゃくしか書かれていない、あるいは重要度の割には強調されていない、古文の現代語訳・品詞分解をする上で重要な事項を書いていきたいと思います。
えっ?どこが「基礎講座」なんですかって?
……たしかに!!
参考書の補助教材として、品詞分解を頑張るときなどにチェックリストのようにしてお使いください。
赤字傍線部になっているところが、参考書であまり言及がないところです。
連用形接続の助動詞
き 過去の助動詞 せ・〇・き・し・しか・〇 ・基本形(終止形)は、当然「き」なのですが、それ以外の活用形はサ行なんですね。「し」とか「しか」とかがでてきたときに、過去の助動詞「き」が検討する選択肢に入っていない人が多いです。 ・ちなみに、未然形の「せ」は、反実仮想の「~せば~まし」の「せ」のときしかでてきません。 ・連用形接続の助動詞ですが、「来(こ)し方」「せし時」など、例外的に未然形接続となる場合があります。 |
けり 過去・詠嘆の助動詞 ・会話文中・和歌文中では「詠嘆」になります。 ・「詠嘆」のとき、過去の意味はありません。現代語訳の時に、他に過去にする要素もないのに、「~たなあ」と過去+詠嘆みたいな訳をつけないようにしましょう。 ・会話文中とは言いますが、かぎかっこがついていない会話文や、心情表現でかぎかっこがついていない場合の「けり」にも注意しましょう。 ・形容詞の已然形の活用語尾と混同にしないようにしましょう。 |
つ・ぬ 完了・強意・並列の助動詞 ・推量+強意型(必須!!) てむ・てまし・つらむ・つべし なむ・なまし・ぬらむ・ぬべし ・完了+過去型(必須!!) てき・てけり にき・にけり ・「~なば、」は完了「ぬ」未然形+接続助詞「ば」順接仮定条件。 |
たり・り 完了・存続の助動詞 ・完了か存続かは文脈判断です。両方いける(どっちでもいい)場合も多いです。 ・エ段音+「ら」「り」「る」「れ」(エルの法則などといわれることもある)の「ら」「り」「る」「れ」は、完了・存続の「り」(必須!!) いへりけること(言ってしまったこと/言っていたこと) 思へること(おもっていること) |
未然形接続の助動詞
ず 打消の助動詞 (ず)・ず・ず・ぬ・ね・〇 ざら・ざり・〇・ざる・ざれ・ざれ ・「ざら・ざり…」の活用は、下に助動詞がくっつく場合に使います。(ex.ざりける) ・助動詞「ぬ」と混同しないようにしましょう。接続が未然形か、連用形かで区別できます。 |
る・らる 受身・可能・自発・尊敬の助動詞 ・識別 受身:動作をしてくる人等と一緒に出てくる場合には受身(要するに、文脈判断と変わりません) 可能:平安時代の文章では、打消しの語と一緒に出てくる場合は可能。鎌倉時代後期以降は、打消しの語があるとは限らない。鎌倉時代前期はどうなるんでしょうか(笑)日本史選択でなく、古典文学史に自信がない人で、「平安」とか「鎌倉」とか言われても分からないという人向けに簡単な指標を提示しておくとすると、「武士が出て来ていたら鎌倉時代以降」でしょうか。平家が滅んでから鎌倉時代なので、「平○○」は平安時代なのですが、鎌倉時代に過去を振り返って書かれている文章もあるため、「平家が出て来ていたら平安時代」とは言いづらいです。結局、文脈判断と変わりません。とはいえ、貴族の物語を読むことが多いので、「打消しの語と一緒に出てくる場合は可能」とよくいわれるのですね。 自発:心情を表す表現と一緒に出てくる場合には自発 尊敬:敬意を払うべき対象の動作についている場合。 ・「仰せらる」の「らる」は尊敬。 ・「れ・られ」+「給ふ」の「れ・られ」はだいたい受身。(必須!!以下で述べる使役の助動詞の場合と比較してください。) |
す・さす・しむ 使役・尊敬の助動詞 ・原則:ほとんど使役。 ・例外:「せ」・「させ」・「しめ」+「給ふ」・「おはします」のときは、ほとんど尊敬。 ・例外の例外:「せ」・「させ」・「しめ」+「給ふ」・「おはします」の場合でも、あきらかに「させられる人」と一緒に出てくる場合には使役。 ・原則・例外・例外の例外という関係をしっかり押さえる!! |
む・むず 推量・意志・適当勧誘・仮定・婉曲の助動詞 ・識別をするにあたっては、まず、文末に登場しているか、文中に登場しているかで分ける。文末なら、推量・意志・適当勧誘。文中なら仮定・婉曲。 ・次に、文末の場合、主語の人称で分ける。一人称なら意志。二人称なら適当勧誘。三人称なら推量。これらは別に覚えるようなことではなく、一人称「私」に、すすめたり(勧誘)、推し量ったり(推量)は基本しないから、「意志」であることが多い。二人称「あなた」の場合に、「あなたは、~しよう」(意志)となるのは変だし、目の前にいるのに、「あなたは~だろう」(推量)というケースも古文においては少ない。同じように、三人称を主語にした「意志」や、「適当勧誘」は考え難い。よって、人称は区別する基準として使えるということです。 |
らむ・けむ
・意味については、現在か過去かということだけしか違わないので、セットで覚えられることが多いが、接続が違うことに注意しよう。 ・「らむ」は終止形接続。「けむ」は連用形接続。 |
べし
推量・意志・可能・当然・仮定・婉曲の助動詞。他にも義務や予定、運命などなくはないですが、大学入試では覚えていなくても困らないでしょう。 ・「べからず」は、「この橋わたるべからず」のイメージから可能+打消のように思ってしまいがちですが、「~すべきではない」の可能性もあり、文脈判断です。 |
「じ」・「まじ」は特にコメントはありません。
なり
断定・存在の「なり」、伝聞・推定の「なり」 ・接続で見分けます。 ・連体形・体言に接続する場合には「断定・存在」、終止形・ラ変の場合の連体形に接続する場合には「伝聞・推定」。 ・四段動詞は連体形と終止形が同じであり、また、ラ変動詞の場合は両方とも連体形接続なので、見た目では判断できません。 |
推定の意味を持つ助動詞
推定の意味を持つ助動詞は3つありますが、以下のような区別があります。 なり:耳で聞いた情報に基づいてする推定=~そうだ めり:目で見た情報に基づいてする推定=~ようだ らし:根拠をもってする推定=~らしい 和歌でよく使われる。 推定と推量は、「推し定める」と「推し量る」と訓読できるように、前者はある程度根拠をもってする判断であるのに対し、後者は何かをきっかけにしてする推測にすぎません。 |
以上です、少し飛ばした助動詞もありますが、いずれも参考書の記述で十分なものばかりです。
ひとまずは、助動詞の表をしっかり頭に入れてもらって、その上で、今回述べた注意事項を反復してもらえれば、助動詞の見通しは良くなると思います。
さらばじゃ。
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