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和歌総まとめ!!古典(古文)の難関を攻略!永久保存版|武田塾京都校

和歌大全

どうも!京都の予備校と言えば武田塾京都校!講師のS.Yです!

 

受験真っただ中ですね!

私大入試前期日程の合格発表も終わり、うれしい声も続々と届いてきています。

そのこと自体は、喜ばしいことではありますが、今年度を通して、塾内全体で課題も見受けられました。

それは、「和歌に対する苦手意識」です。

武田塾京都校の塾生のなかにも、古文の入試問題を解く上で、和歌の問題を解くことをあきらめている人が少なからずいました。

少なくとも私立大学入試においては、和歌は「必出」とまではいえません。

しかしながら、複数日程があるうちの1,2回くらいは出ているのではないかと思うので(そもそも和歌を避けて問題を作り続けるのも骨が折れます)、捨てるにはリスクが大きすぎるような気がします。

そもそも、社会科系の科目で幅広く細かい知識をインプットをすることは厭わないのに、それよりは出題可能性の高いはずの和歌をやらないというのは戦略的に正しいとは思えません。

漢字・語彙チェック:「厭わない」 読めますか?意味は分かりますか?

また、センター試験や国公立二次においては、和歌は頻出の論点ですね。

とはいえ、対策や勉強がしづらいというのも、頷けるところではあります。

武田塾のルート内の参考書には、たしかに和歌に触れているものがありますが、和歌を対策するのに十分かと言われると、ぼくはそうではないと思います。

「授業をしない」以上、ここは喫緊の課題でしょう。

漢字・語彙チェック:「喫緊」 読めますか?意味は分かりますか? 書けるようにもしておいてください。

そこで!今回、ブログにて、和歌特有の重要な修辞に簡単に触れながら、読解の際のポイントを示していきたいと思います。

和歌

 

 

和歌の構成

和歌の原則

和歌は原則として5・7・5・7・7の5句31音からなります。

 

思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば さめざらましを

小野小町

 

思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ

までの3句を上の句といい、

夢と知りせば さめざらましを

の最後の2句を下の句といいます。

また、上の句のことを本(もと)、下の句のことを末(すえ)ともいいます。

「本末転倒」という言葉でおなじみですね。

各句は、最初の句から順番に、 初句(しょく) 二句(にく)  三句(さんく) 四句(しく・よんく) 結句(けっく)といいます。

 

句切れ

結句以外の句で、いったん内容が切れることを句切れといいます。

どこで切れるかは、読んでいてなんとなくわかりますし、文脈判断ということもありますが、いかにそのパターンを示しておきます。

1.各句の末尾に着眼する

①終止形

②結びの語

③命令形

④終助詞

2.文脈判断が必要になる場合

なかには、内容的に名詞で内容が切れるものがあります。

 

複数の箇所に区切りが存在するものもあります。

二段切れ・三段切れなどといったりしますね。

憶良らは 今はまからむ  子泣くらむ  そを負ふ母も 吾を待つらむそ

山上憶良

この句は、2句と3句で切れています。

句切れを有効的に使えば、歌全体にリズムが出て、楽しい雰囲気を醸したり、やけくそな気持ちを表現できたりします。

 

倒置法

語順を変えることで伝えたい事柄などを強調する表現技法を倒置法といいます。

結句が、終止形や命令形・結びの語・終助詞などで終わらず、途中で切れているような形で終わっている場合は、だいたい全部倒置だと考えていいと思います。

しのぶれど 色に出にけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで

平兼盛

倒置しているわけなので、当然句切れが発生しますね。

この句は2句切れです。

ちなみに一番最初に引用した小野小町の歌も倒置法が使われていますね。何句切れか考えてみてください。

 

枕詞

ある語句を導き出すために、その語句の上に置く特定の修飾語枕詞といいます。

特定の修飾語」というのはポイントですね。

枕詞は、初句もしくは三句に置かれる決まり切ったフレーズで、かつ特定の被修飾語にかかります。

決まり切ったフレーズなので、まとめられた表などを見ながら覚えてしまいましょう。

枕詞が使われる和歌を読解する上で、最も重要なのポイントが、現代語訳しないという点です。

ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ

紀友則

 

ひさかたの」が枕詞で、「」を導いています。

 

どうして、字数が限られているにもかかわらず「具体的な意味を持たない」言葉を入れるのか、疑問に思う方もいるかもしれません。

説明は人それぞれではありますが、「なんとなく雰囲気が出るから」でしょう。

それ自体特定の意味は持たないが、それを付けることによって、何もせず平坦に述べるよりも深みが出る。

現代でもよく使われている手法ですね。

このブログも毎回「どうも!京都の予備校と言えば武田塾京都校!」で始まりますが、「どうも!」は挨拶として意味があるとしても、「京都の予備校と言えば」は特に意味を持っていませんし、そもそも意味が分かりません。前にブログを書いていた人が使っていたのをそのまま使っていますが、いまだに意味が分かりません。僕は枕詞だと思っています。

たしかに、「武田塾京都校です。」というよりもなんとなく雰囲気が出ます。

「武田塾京都校」という言葉を導いて、深みを出しているわけですね(???)。

 

掛詞

同音であることを利用して一つの語に複数の意味を持たせる修辞法を掛詞といいます。

和歌読解のなかで最も重要な論点だといっても過言ではないでしょう!!!

 

注意点

①原則として、掛詞の意味はあてる漢字が異なる

②原則として、どちらの意味も訳に反映させる必要がある

 「~のように」「~ではないが」などを使うと上手く訳せます。

清音・濁音の区別はしない

一方の意味がもう一方の意味の一部である場合がある

 

探し方

①直前の話題のキーワードを確認する

②直訳をしてみて、つながりのおかしい箇所がないかチェックする

③固有名詞に注目する

④二つの主語を同時に受けている動詞に注目する

 

練習してみましょう。

音にのみ きくの白露 夜はおきて 昼は思ひに あへず消ぬべし

素性法師

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに

小野小町

 

一首目

「きく」:音に聞く・菊の白露

「おきて」:置きて・起きて

※一般に言われるのはここまでですが、「思ひ」と「日」はかかっているとみることができます。基本的に、「思ひ」と「火」とすることが多いので、言われないのかもしれません。

「思ひ焦がれる」みたいな感じで上手い表現になりますからね。

※あと、掛詞といえるかわかりませんが、「消える」は「思ひ」と「露」と両方主語に取れますね。

 

二首目

「ながめ」:眺め・長雨

「ふる」:(時が)経る・(長雨が)降る

 

縁語

和歌の趣旨(主に心情描写)に関わらない部分において、ある語を中心としてそれと関係の深い語を意図的にちりばめることにより、イメージを膨らませる技巧を縁語といいます。

 

吉野川 岩波たかく 行く水の はやくぞ人を 思ひそめてし

紀貫之

「川」と「はやく」が縁語の関係にありますね。

 

掛詞と併用されることも多いですね。

 

序詞

ある語句を導き出すために、その語句の上に置く7音以上の修飾表現を序詞といいます。

 

注意点

①7音節以上である

②和歌の内容に応じて創作される

枕詞のような特定の表現ではなく、決まり切ったフレーズではありません。

③特定の被修飾語を持たない

現代語訳する

 

類型分け

①比喩的序詞

比喩を示すことで語句を導き出す序詞

②音調的序詞

同音・類似音の反復により語句を導き出す序詞

同じ音が複数回出てくる

③掛詞的序詞

導き出す国が掛詞となって心情描写につながる序詞

 

あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を 一人かも寝む

柿本人麻呂

 

 

本歌取り

有名な古歌の表現を取り入れることで、古歌の趣向のイメージを残したまま、さらに新たな趣向を加えた重層的な構造の和歌として読む技巧を本歌取りといいます。

 

本歌取りの歌

み吉野の 山の秋風 さ夜ふけてふるさと寒く 衣うつなり

 飛鳥井 雅経

 

本歌

み吉野の山の白雪つもるらしふるさと寒くなりまさるなり  

坂上是則

 

共通点

「み吉野の 山の」「ふるさと寒く」という表現が共通します。

相違点

本歌取りの歌には、「秋風」とあり、季節は秋だとわかります。

一方、本歌には、「白雪」とあり、季節は冬だとわかります。

本歌取りによる効果

B の歌で読まれている吉野の山の寒さや物寂しさを、 A の歌の背景として取り込むことで、 A の歌に詠まれた肌寒さも、 B の歌のように、いずれ厳しい寒さになることを暗示させる…という効果があります。

読解上のポイント

本歌取りの歌が出題された場合には、本歌の意味を参考にして(注釈で引用されることが多いです)、本文の歌を解釈する必要があります。

 

引き歌

ある古歌の一部を示し、その他の明示されていない部分を暗示する技巧を引き歌といいます。

多くの場合、明示されていない部分が伝えたい内容です。

引き歌の場合も、元歌は注釈で引用されている場合が多いので、それを参考にして本文を解釈する必要があります。

 

隠し題

和歌の中にある言葉を隠して読み込む技巧を隠し題といいます。
読解上問題になることはないと思いますが、知識として持っておいて損はないと思います。
隠し題には、以下の3種類があります。

1.物名(もののな/ぶつめい)

文字を連続して隠す修辞技巧です。

秋近う 野はなりにけり 白露の 置ける草葉も 色変はりゆく

紀友則

上の歌には、「あきちこうのはなりにけり…」というように、「桔梗の花」という言葉が隠されています。

基本的には、句をまたいで、ある言葉を忍ばせるように詠んでありますね。

ちなみに、『拾遺集』には、

 

【子・丑・寅・卯・辰・巳】

一夜寝て 憂しとらこそは 思ひけめ 浮き名立つ身ぞ わびしかりける

詠み人知らず

 

【午(むま)・未・申・酉・戌・亥】

生(む)まれより 櫃し作れば 山に去る 一人往(い)ぬるに 人率(ゐ)ていませ

詠み人知らず

 

なんて歌もあったりします。ここまでくると、いかにも技巧的で、特に内容なんてありませんね。

2.折句(おりく)

各句の頭に一文字ずつ読み込む修辞技巧です。

からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ

在原業平

各句の頭文字をつなげて読むと、「かきつはた(杜若)」になりますね。

 

3.沓冠(くつこうぶり)

各句の頭に一文字ずつ読み込むだけでなく、各句の末にも一文字ずつ読み込む修辞技巧です。

夜もすずし 寝ざめのかりほ たまくらも まそでも秋に へだてなきかぜ

吉田兼好


各句の頭文字と最後の文字をつなげて読むと、「よねたまへ、ぜにもほし」(米をください、銭も欲しい)になりますね。

 

歌枕

和歌によく読まれる名所・旧跡を歌枕といいます。

逢坂の関

これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

蝉丸

天の香具山

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山

持統天皇

 天橋立

大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立

小式部内侍

など、たくさんあります。特定の語のイメージを出すことができます。

たとえば、「逢坂の関」には、「恋人との別れ」や「会うことが妨げられる」といった意味のイメージが含まれています。

Wikipediaに一覧がありますね。

歌枕の一覧 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

体言止め

 末尾を体現で止めることで詠嘆や余情・余韻を表す修辞技巧を体言止めといいます。

 三夕の歌

さびしさは その色としも なかりけり 真木立つ山の 秋の夕暮れ

寂蓮

心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ

西行

見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ

藤原定家

以上の3つの歌は、新古今和歌集に載っている、「三夕(さんせき)の歌」として有名な3首です。

「秋の夕暮れ」で終わることにより、余情・余韻が醸し出されています。

 

見立て

ある人物を別の事物になぞらえる修辞技巧を見立てといいます。

さくら花 ちりぬる風の なごりには 水なきそらに 浪ぞたちける

紀貫之

はなびらが舞う様子を「浪(なみ)」に見立てて、水のない空になみが立っていると読む歌です。
大河ドラマや、歴史物のアニメ(鬼滅の刃とか)で、桜の花びらが波のようにうねって舞っている演出がありますが、元ネタはこれだと思います。
 

省略

5・7・5・7・7の定型に収まるように、主語や目的語、さらには明示すべき感情などを省略していることがあります。
 
和歌に限らず古文の読解上難関な、省略です。
和歌においても、文脈判断や、古文常識を駆使して、内容を補う必要があります。

 

贈答歌

二人の間で読み返す歌を贈答歌といいます。
贈答歌は互いに詠み合うという性質上、恋歌に多くみられ、相手から歌を詠みかけられた場合、贈られた歌の中の言葉や、関連した表現を用いて返歌をすることが多いです。
そのため、1つ目の歌の内容を意識して返歌の内容を把握する必要があります。
入試古文においては頻出です。
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(出典:論文 末澤明子『伊勢物語』の贈答歌)

 

歌合

家人が左右に分かれて一首ずつ歌を読み、それを組み合わせて判者が優劣を判定する遊戯を歌合といいます。

有名なのは、以下の3つですね。

寛平后宮歌合 893年 宇多天皇

天徳内裏歌合 960年、村上天皇

六百番歌合 1192年、藤原良経

連歌

和歌の上の句と下の句をそれぞれ別の人が読み一つの作品とする文芸を連歌といいます。

これも古文常識の範囲ですね。

 

さらばじゃ。


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