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Can You Read Japanese? 日本語が読めれば合格できる|武田塾京都校

Can You Read Japanese?

どうも!京都の予備校と言えば武田塾京都校!講師のS.Yです!

突然ですが、みなさんは日本語が読めますか?

「日本語が読めますか?」と日本語で書いて、果たして何の意味があるのか疑問ですが、今日は、実は多くの人が日本語を正確に読めていないのではないか、という話をしてみようと思います。

みなさんは新井紀子さんという方をご存じでしょうか?

東ロボくん」なら聞いたことがありますか?

新井紀子さんは、一橋大学法学部→イリノイ大学数学科→→東京工業大学博士(理学)という異色の経歴の持ち主です。

現在では教育とAIについての研究のイメージがある方ですね。

今回は、彼女の著書『AI vs 教科書が読めない子どもたち』に書かれている内容を敷衍(ふえん)しつつ、日本語が「読める」ということについて再認識してもらおうと思います。

2018年2月に出版された本ですが、個人的に期待していた本だったので、僕はこの本を出版初日に買いに行った覚えがあります。

目次

・東ロボくんについて

・リーディングスキルテスト(RST)

 

 

東ロボくんについて

新井紀子さんらによる有名なプロジェクトに「東ロボくん」というものがあります。

「東ロボくん」というのは、「ロボットは東大に入れるか」と名付けられたこのプロジェクトの愛称です。

まだ日本でAIについての大きなプロジェクトがなかった2011年に開始されたプロジェクトで、とても革新的なものでした。

「ロボット」という表現もそれを何となくにおわせます。

しかし、このプロジェクトは、当初から東大に合格できるようなAIを作ることが目的ではなかったといいます。

本当の狙いは、AIはどこまでのことができて、どうしてもできないことは何かを突き止めることにあったようです。

驚くべきは、5年後の2016年、進研模試のマーク模試で、5教科8科目950点中、525点を獲得したということです(平均点は437.8点)。

偏差値にして57.1。MARCHや関関同立の一部学科も合格圏内であるという判定結果が出たといいます。

難関大といわれる大学に、AIが合格できてしまうというのは衝撃ですね。

しかし、AIには弱点があります。それは、「言葉の意味を理解しない」ということです。

センター試験の問題を「解く」といっても、およそ一般の人々がイメージするようなものではありません。

詳述は避けますが、問題文に登場するキーワードを認識し、教科書やWikipediaなど大量にインプットされた情報の中から、同じキーワードが似たような形で出てくるパターンや組み合わせを探し出すようにして答えを予想するといったものです。

その証拠として、英語や国語の問題の点数が低かったり、ほとんどの受験生がえらばないような選択肢を選んでしまったりすることがあったようです。

AIには「『常識』もない」というのも大きかったようですね。

 

……ここで一つ疑問が湧いてきませんか?

「言葉の意味を理解しない」「常識もない」ロボットに人間が負けるってどういうこと?

もしかして、人間も文章を正しく読めていないのではないか?

そのような疑問が頭をもたげてきます。

AIを東大に合格させることよりも、教科書レベルの日本語が読めない人がたくさんいる状況をなんとかすることの方が重要な課題ではないか?

そこで、新たなプロジェクトが発足したわけです。

 

リーディングスキルテスト(RST)

難しい評論や文学作品などが載っている国語の教科書を除けば、理科や社会などその他の科目は、基本的に教科書の記述が読めることを前提として授業が行われます。

日本の中学生や高校生は、果たして「教科書レベルの日本語」が読めているのだろうか。

それを調べるべく、教科書や新聞に使われている日本語文をもとに「読解力を測る試験」が作られました。それがリーディングスキルテスト(RST)です。

著者自身が例題として挙げていて、有名になり過ぎて調査で用いることができないという問題を引用しますので、実際に見てみましょう。

【問1】

仏教は、東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アメリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

オセアニアに広がっているのは(   )である。

①ヒンドゥー教 ②キリスト教 ③イスラム教 ④仏教

 

【問2】

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄に当てはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

Alexandraの愛称は(   )である。

①Alex ②Alexander ③男性 ④女性

 

いかがですか?

これができないと「日本語が読めていないと認定される!?」と思うとちょっとドキドキしながら解くことになりますかね。

これらは知識を全く必要としない、日本語の「係り受け」が読み取れているかを示す問題で、両方とも教科書中にある記述から取ってきたもののようです。

しかしながら、全国の中学生、高校生の正答率は以下のようでした。

  全国中学生 全国高校生
問1 62% 72%
問2 38% 65%

驚くべきことに、問1については3分の1の中学生が、4分の1の高校生が「読めていない」

問2については、中学生に関しては特にほとんどの人が読めていないといえます。(特に中1の成績は23%と鉛筆を転がした程度の正答率だったといいます。)

コンピュータを用いた試験で、明らかに解答速度が速かったり、全体的に選択肢の選び方が適当だったりしてまじめにやっていると思われないものはデータとしてわかるようで、それらを省いた後の結果ということですから、受け入れざるを得ないものと言えるでしょう。

答えは、問1が②、問2が①です。

問2は④と誤答するものが多かったようです。

みなさんは、できました?ちなみに東ロボくんは両方とも正解だったようです。

 

面白い(?)のはここからです。

このRSTの結果と高校の偏差値、には0.75~0.80ほどの強い相関があるというのです。

著者によれば、このレベルの相関は「身長と体重」「同じ広さのマンションの、駅からの距離と家賃」とおなじくらいの強さの相関だそうです。

この結果をどう解釈するか。高1、高2では能力の差があまり見られないということを踏まえると、

論理的には、「偏差値の高い高校に入ると基礎読解力が向上する」「基礎読解力が高いと偏差値の高い高校に入れる」のどちらかでしょう。

おそらく後者ですね。

このことは、大学生に対する調査でも顕著です。

本には載っていなかったかと思われますが、東大・京大のみの成績が顕著に良く、その他の大学は早慶等であっても相対的に低かったというのをどこかで見た覚えがあります。

私立大学に関しては内部進学の制度があるため、受験して合格した人と内部進学の人とを混ぜて試験をしたことも低くなった要因ではないかと僕は思いますが、日本語を正しく読むことができるということが、ここまで顕著な差を生むのですね。

「日本語が読めれば合格できる」サブタイトルの意味が分かっていただけたでしょうか。

 

筆者の言いたいことは、ここで終わりではありません。

「日本語の読解力はいつからでも伸びる」のだそうです。

論理的に文章を読んだり、作ったりする経験を意識的にすることで、数カ月もすれば読解力や論理的な文章を書く能力は向上するようです。

そういうことであれば、「受験」という経験も経ているか経ていないかで大きな意味を持つのかもしれませんね。

 

さらばじゃ。

 

 

 


 

 


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