こんにちは、校舎長の北川です。
今回は多くの学生が悩む、大学・学部の決め方をアドバイスしていきたいと思います。
現在高校生の約50%が「やりたいこと・学びたいことがないまま大学に行く」状況です。
「将来やりたいことがないから大学で見つける」というのも選択肢の1つです。
ただ、注意しておきたいのは、学部によってはもうなれない職業が出てきていしまうということです。
わかりやすく言えば経済学部に進んだ後、医者になりたいと思ってもなれないということです。(医学部に入りなおすしかない)
高校生のうちは将来の選択肢が多く残されていますが、大学を決める、学部を決める過程でどんどん狭まっていきます。
これは大人になるにつれてもっと狭くなっていきます。
だからこそ選べる高校生のうちに自分の進みたい方向性を決め、後悔しないようにしてもらいたいと思います。
なぜ大学を選ばなきゃいけないの?
就活の主な流れ
大学選びの前にまず、大学卒業後の就職に向けた動きについて見ていきます。
馴染みのない方も多いと思いますので大学生の新卒就活について大きな流れを説明しておきます。
1.大学3年生6月~:就活準備期間
自己分析や業界研究など自分に向いている仕事はなにか、どんな仕事に就きたいのか見極めていきます。
中にはインターンといって実際に企業で働く経験を積む学生もいます。
2.大学3年生3月~:会社説明会スタート
いわゆる合説(合同説明会)が本格的にスタートしていきます。
気になる企業へES(エントリーシート)を提出したり、個別の説明会を聞きに行く活動が本格化します。
大手企業ほど選考のスケジュールが早いので要チェックです。
3.大学4年生6月~:選考開始、順次内々定
選考開始と書いていますが、もっと早くから内々に選考を進める企業もたくさんあります。
ニュースの「就活解禁」という言葉を信じてそこからスタートすると出遅れます。
早い人は3年生から就活を始めているので今から始める人とでは大きな差ができています。
そして選考の結果内々定(内定の約束)を勝ち取っていきます。
4.大学4年生9月~:内定
繰り返しになりますが、9月より早く内定(採用の約束)が出る企業もたくさんあります。
逆に出遅れた人はこの時期になっても内定が出ていないこともあります。
秋内定を出す企業もあるのでギリギリまであきらめずに頑張る必要があります。
学歴フィルターの存在
ここで話を戻して、なぜ大学を選ぶ必要があるのか説明していきます。
就職について調べたことがある人は学歴フィルターという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは先ほど説明した就活の流れの中でESを提出するパートで影響を及ぼします。
ESは履歴書のようなもので企業が1次選考を行う前に書類で審査するために使う資料になります。
ESが通過しなければ1次面接さえ機会を得ることができないのです。
つまり、大学に入ってどれだけ頑張って経験を積み、資格をとっても会ってさえもらえないということです。
では学歴フィルターはどういった影響を及ぼすのか、それは大学名で足切りをされるということです。
例えばMARCH以上と企業がフィルターを決めていたらMARCHに及ばない大学の生徒はESが通過できず面接さえできないという結果になります。
つまり、入学した大学次第でもういけない企業が出てきてしまっているのです。
この学歴フィルターについて説明をすると「学歴フィルターなんてない」という声が一定数あがります。
しかし、求人業界で仕事をしていた私の経験からお話しすると、
学歴フィルターは存在します。
あるに決まっているのです。
人気の企業は新卒就活のESが何万と届きます。
当然1つ1つ丁寧に読み、会って見ようと決めることはできません。
そこで最低限のラインを大学名で決め、足切りするのです。
学歴のある人の中から、優秀な人材を採用するのです。
批判があるのは承知ですが、企業サイドからするとそれが最も効率的で効果的な採用だと思っています。
そのため、大手企業に就職したい人は「学歴フィルターをなくせ」と声を上げるのではなく、学歴フィルターで足切りされない大学を目指すことが一番の近道であることを覚えておいてください。
OB・OGの存在
自分の就職したい業種・企業をイメージできているのであれば、志望大学からのOB・OG(卒業生)の数にも目を配りましょう。
自分の就職したい企業に大学の卒業生がいればOB・OG訪問をしやすくなります。
その大学から自分の就職したい企業に就職した先輩に直接アドバイスをもらえるということです。
「面接では何を聞かれたか」「実際仕事はどうか」「大学生のうちにやっておいた方がいいことはなにか」などなど自分と同じ大学で生活してきた先輩からアドバイスをもらえるのはこの上なく心強いです。
大学によって就職しやすい業界や業種があるのは当然です。
教授によってはコネや顔が聞く人もいます。
学歴フィルターと合わせて大学を選ばなければいけない要因の1つです。
学部はどうやって決めればいいの?
大学もそうですが、学部選びも就職を分ける大きな要因になります。
もしかすると大学以上に重要ともいえます。
なぜかというと学部によって取れる資格が決まっているからです。
先ほど話した新卒就活の話は企業に就職することを前提とした流れになります。
しかし、それ以外にも卒業後の進路はあります。
公務員、医者、薬剤師…などなど試験を突破したり、国家資格を取った上で進むことができる道です。
そういった道は、学部によっては進むことが不可能になることがあります。
そのため、「大学に入ってから将来やりたいことを探す」では手遅れになります。
だからこそ、そういった道を検討しているのであれば、今真剣に考える必要があるのです。
「なんにでもなれる子供時代」は終わります。
狭まる選択肢の中で最良の道が選べるよう大学・学部は真剣に考えましょう。
学部ごとの特徴・取れる資格を解説!!
真剣にとはいっても見たことも入ったこともない学部の違いなんて分からなくて当然です。
そのため学部ごとの特徴を解説していこうと思います。
学部といってもその中にさらに細かく学科というものがあります。
そのため一括りに経済学部といっても大学によって学ぶことは変わってきます。
説明した内容がどの経済学部に行ってもできるわけではないのでそこだけは注意してください。
文学部
文字通り文学について学ぶ学部です。
日本だけでなく西洋、欧米など学科によって学ぶ内容は違います。
国語の先生や社会の先生の教員免許を取ることができることもあり卒業後に教師になる人も多いです。
図書館の司書を目指す人は文学部に進む人も多いですが、人気の職業であり、やめる人も少ないので求人が少なく狭き門となっています。
それらを除くと文学部でなければ不利になるような企業や業種は少なく、通常通り新卒就活をした時に文学部卒であることが有利に働くことはあまりないでしょう。
文学を学びたい!という人にはオススメですがそうでなければ他学部を検討するのも手です。
経済学部
経済、主にお金について学ぶ学部です。
お金の流れをさまざまな分野から研究していきます。
経済の仕組みから生産、流通、消費まで経済活動全体を対象とし、不況や失業率増加といった問題を解決する方法や、政策などを模索します。
統計資料や、数式を使って経済の動きを解読するなど、文系なのに数学の力が必要となる授業や演習も多いため数学が苦手な人には辛いかもしれません。
しかしながら文系学部の平均年収ランキングでいつも上位にいるぐらい企業からの人気が高く、就職には強いです。
社会に出るとお金について扱うことが多いのでそれについて学んできた学生が人気というのは当然かもしれません。
割とどんな業種や業界に就職しても学んだことが活かしやすい学部です。
漠然と企業に就職したいと思っている人にもオススメの学部です。
経営学部
経済と比較して、よりミクロな企業について学ぶ学部です。
人・物・金が企業の3要素であり、それらについて学んでいきます。
経営や組織作り、雇用や経営戦略など内容は様々です。
経済学部同様社会に出て活かしやすい知識が身に付きます。
独立志向がある人にもオススメです。
法学部
生活を取り巻く法について学ぶ学部です。
私自身も法学部出身ですが、勉強してよかったと思うことがたくさんありました。
法律は知らないでは済まないことがたくさんあります。
それについて学ぶことで生活そのものに対する意識が変わりました。
自分はもちろん自分の身の回りにいる人たちが知らずに違法な行為をしないようにアドバイスをすることができます。
そういった意味で社会に出て経済学部同様役に立つ知識を学ぶことができます。
文系学部の年収ランキングで経済学部と同じく上位にランクインします。
また、公務員試験に強いため公務員志望者からも人気の学部です。
公務員試験自体、どの学部からでも受けることはできますが、試験科目の中に行政・法律といった分野があります。
学部としてそれらを学ぶことができるため有利になります。
さらに、法学部でなければなることができない仕事もあります。
法曹つまり裁判官・弁護士・検察官と呼ばれる仕事です。
大学に通うことで受験資格を得たら、その後の司法試験を合格することで就職することができます。
とても難しい道ではありますが、法学部でなければいけない理由になります。
民間企業・公務員・法曹など多くの選択肢を選びやすい学部になっているので経済と並んでオススメしやすい学部です。
教育学部
教員免許を取りたい!と考える人は真っ先に考える学部だと思います。
教育自体かなりためになる学問であり、子供や後輩、従業員など教育する場面は多く存在します。
勉強だけでなく、人に上手く教える方法や、教育心理などについて学ぶことができるので将来役に立つことも多いでしょう。
気を付けなければいけないのが自分のやりたいことに合致した学科があるかどうかです。
教員と一言にいっても小中高・中高であれば国語数学英語体育・・・などなど科目の違いもあります。
ちゃんと自分がなりたい教員の勉強ができる学部を選ぶようにしましょう。
もちろん教員免許を取ったからといって教員にならない選択肢もあります。
しかし、就職活動をするとなると、教育実習と就職活動を並行して行うことになるので他学部の就職活動とは比較にならないほどしんどくなります。
その覚悟はしておいた方がいいでしょう。
心理学部
興味のある人も多いであろう学部です。
人の心理について学ぶことができます。
カウンセラーや精神保健福祉士として働くことを希望するのであればこちらの学部に行くことをオススメします。
しかし、公務員や教員といった就職先に進む人が多いのも事実です。
就職を考えて心理学部に行く人は珍しいと言えます。
実際心理学部は文系学部平均年収ランキングではいつも最下位争いをしてしまっています。
どうしてもカウンセラーや精神保健福祉士といった仕事が高給になりづらい、大手志向の強い学生が経済学部や経営学部に流れやすいといった理由が挙げられます。
就職を第一に考える人にはあまりオススメできませんが、カウンセラーを志す人や心理学を学びたいという強い意志がある人にはオススメです。
国際関係学部
国際的な仕事がしたい、英語を学びたいという人には最適な学部です。
留学や外国語での授業を通して、世界で活躍する人材へと成長することができます。
ただ、漠然と英語を活かした仕事をしたいと思っているだけの人は要注意です。
英語はあくまでコミュニケーションのツールであって英語そのものを仕事にすることは難しくなっています。
翻訳機、通訳機の発展に伴い、それらを専門に行う人は必要なくなりつつあります。
そのため、英語を活かしてどんな仕事をしたいのか、どの国でどんなことをしたいのか、そこまでイメージをしておくことをオススメします。
もしかするとその結果違う学部に行く方が夢に近づく可能性もあります。
理学部
人間、動物、植物など、生物に関するあらゆる現象を研究する学部です。
機械的な研究でなく生物分野に関する勉強をしたい人はこちらの学部になります。
理系学部は民間企業へ普通に就職するケースと研究者として進むことを選ぶ人がいます。
もし研究で生計を立てていきたい人は学生時代の研究や論文の作成に精を出した方がよいでしょう。
工学部
理学部に対して工学部は機械に関する研究開発を行う学部です。
今や誰でもパソコンやスマートフォンといったデバイスを持っている時代です。
その情報社会を進化させたり、ロボットの開発に興味がある人にはオススメの学部です。
民間企業へ就職することも技術職として就職することもでき、ここが文系学部との大きな差別化点になります。
比較的時代の流れに沿った業種に就職活動をすることができます。
農学部
農作物の効率的な 栽培・生産を研究します。
加工、流通をはじめ、品種改良や生産技術、農産物の病気、バイオテクノロジー、土壌、発酵食品を作る微生物など、研究分野は多岐に渡ります。
食に関する研究や就職をした人にはオススメです。
食品の商品開発など企業で活躍することもできます。
看護学部
看護師をはじめとした医療に携わる専門技術者を育てる学部です。
高齢化に伴い、医療や福祉に関する仕事は需要が高まっています。
人の役に立ちたい、医療の現場に携わりたいという人はこちらの学部で資格取得を目指しましょう。
また医療は生きていく中で避けては通れない知識になります。
病状を見て、正しい対処をすることができれば自分や身の回りの人たちを助けることができるかもしれません。
そういった意味でも役立つ知識を身に付けることができます。
医学部
言わずと知れた医師になるための最難関学部です。
医学部に行かなければ医者になることはできません。
医師になるつもりがなければ他の学部でいいのでほとんどの人が医者になります。
しかし、血や解剖などどうしても耐えられない人もいるため入学後に医師の道をあきらめる人もいます。
志している人は耐性があるかどうか知っておいた方がいいかもしれません。
さいごに
どの大学に行ってもどの学部に行ってもそこで自分がどう頑張るかが一番重要になります。
しかしながら資格や学歴フィルターなど大学名や学科によってどうしようもない壁もあります。
それらで後悔しないように今やるべきことはやり切りましょう。
大学生は高校生よりも自由な時間が増えます。
それを遊びや惰性で過ごすのか、目的をもってひとつひとつやるべきことを達成していくのかで就職活動で差が付きます。
大学生活の後には就職があります。
そこを見据えた大学選びと大学生活にしてもらえればと思います。