はじめに
皆さんこんにちは!
埼玉県久喜市にある予備校、武田塾久喜校です!
2月も半ば、本当に寒い日が続いていますね。
いよいよ2022年度の受験シーズンが終わって2023年度の受験シーズンが始まろうとしています。
今年の4月から受験生になる皆様も、もう1年受験生として頑張ることにした皆様も、2023年度の大学入試に向けて勉強を始める頃かと存じますが、現代文の勉強はうまくいっていますか?
現代文の問題っていつも「なんとなく」で解いてるし、それで解けてしまうことも多いから
いざ対策をしようと思っても何をしたらいいか分かりませんよね。
参考書を買ってきて現代文の文章の読み方の基礎を学ぶ?
たくさん長文問題を解いて読解力を磨く?
どちらも有効で効率的な対策です。
しかし、これだけでは足りない。
現代文の、得点を上げるためには様々な分野における基礎知識を持つことも必要なのです。
各分野の基礎知識を持つことの意義
なぜ現代文の得点を上げるために、各分野における基礎知識を持つ必要があるのでしょう。
まず前提として、現代文の評論分野の読解問題で出てくる文章のほとんどは実際の本や論文から抜粋されたものです。
これが何を意味するかというと、現代文の読解問題で出てくる文章は「高校生が取り組む現代文の読解教材を作ること」を目的として執筆されたわけではないということです。
では本や論文はいったい何を目的に作られているのか。
ほとんどの場合、それらは特定の層に特定の内容を伝えたくて作られているといえます。
例えば『家庭料理アレンジレシピ集』であれば自宅で料理を作る人に様々なレシピを伝えたくて出版されていますね。
ここで注目したいのは、本や論文の執筆にあたって書き手は読み手の層をある程度限定しているということです。
『家庭料理アレンジレシピ集』は自炊の全くできない人を対象にした本ではありません。
おそらくこの本の中では「玉ねぎをくしぎりにして」「落し蓋をして」といった表現が当たり前のように登場し、それらの語句に対する解説がなされることは無いでしょう。
なぜなら『家庭料理アレンジレシピ集』が対象としている読み手は、基礎的なレシピを熟知しているような家庭料理の上級者だからです。故にそれらの基礎的な語句については知っているという前提で本が構成されています。
別の例を出しましょう。
例えば『プログラミング言語C言語の基本』という本があったとします。
こちらは『家庭料理アレンジレシピ集』よりかなり専門性が高い本ですね。
この本の執筆者が想定している読者はある程度パソコンに明るい人です。
故に、この本の中ではパソコンがどういったものかについての説明がなされたり、起動方法やメモ帳の開き方が解説されることはありません。「プログラミング言語についての本を買ったのだからそれくらい知っているよね」という前提で話が進んでいきます。
この本を現役エンジニアの人が買ったなら十二分に本の内容を理解できるでしょうが、仮にパソコンに触ったことさえないおじいちゃんが買ったとしたら、いかにおじいちゃんの読解力が優れていたとしても本の内容を理解することはできませんね。
この『プログラミング言語C言語の基本』という本の一部を抜粋してきているのが現代文の読解問題です。
もちろんのこと、それを読み解くにあたってはパソコンという分野における基礎知識が必要です。
これが、様々な分野における基礎知識を持つことの重要性です。
現代文においては「科学」「文化」「哲学」「現代社会」などの分野から読解問題が出題されます。
それらの分野に対する前提知識を持てば、
そういったテーマを扱った文章を簡単に読み解けるようになるのです。
これこそが、現代文の得点を上げるために様々な分野の基礎知識を持つことも必要だと述べた理由です。
「現代文文章読解の基礎知識:って何?」
「科学」「文化」「言語」「宇宙」「現代社会」などあらゆる分野についてこのブログで解説できたら良いのですが、そんなことをすればこのブログが10万字を超える超大作になってしまうでしょう。ゆえに今回は「宇宙」という分野に絞って解説していこうと思います。
(※「科学」と「文化」、「言語」については当ブログにて以前解説しております。気になる方は以下のリンクから飛んでみてください。)
8月のテーマ「現代文文章読解の基礎知識:科学って何?」➝https://www.takeda.tv/kuki/blog/post-231153/
11月のテーマ「現代文文章読解の基礎知識:文化って何?」➝https://www.takeda.tv/kuki/blog/post-239186/
12月のテーマ「現代文読解の基礎知識:言語って何?」➝https://www.takeda.tv/kuki/blog/post-240736/
宇宙の分野の基礎知識
宇宙はずっと昔から人々の興味をひいてきました。
宇宙はどのように人々に捉えられてきたのでしょうか。
天動説
皆さんもご存じのように、16世紀に地動説が提唱されるまでは天動説が信じられていました。
天動説というのは地球が中心で静止しており、その周りを地球から近い順に月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星そして恒星天が回っているとする考え方です。(天王星、海王星は当時発見されていませんでした。)
昔の人達は当時の観測機を用いて天体の位置を日々、記録していました。
今日の〇時の月の位置はここ、今日の〇時の水星の位置はここ、といったような形です。
観測の結果、月と太陽は毎日おおよそ同じ軌道で空を通過していくことがわかりました。故に、月と太陽は静止した地球の周りの円を描くようにぐるぐる回っていると推定されました。
一方で、水星や金星、火星、木星、土星といった惑星はあるときは前の日よりも位置が前にずれていたり、あるときは前の日より後ろに戻っていたりと、空を行ったり来たり、ふらふらと移動していました。もし惑星が円を描くように移動しているなら、月や太陽と同じように一定の方向に向かって進み続けるはずです。記録データから考えると、惑星は円軌道をもっていないようです。そこで当時の人々はそれらの記録データから、惑星の軌道は難しい言葉でいうと離心円と周転円を組み合わせたような軌道だと推定しました。
月や太陽、惑星の軌道に関するこれらの理論は、別にでたらめな論ではありませんでした。観測データを解釈したらそういう結論に至ったのです。「理論的に考えると、今日の水星はあの位置にあるはずだ!」と思って観測をすれば確かにそこに水星がありました。
そして、月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星といった7つの星の外側には、星同士の位置関係は同じままに、1年をかけてゆっくりと回転する星の集合体がありました。今でいうところの星座です。当時の人々はそれを恒星天というもので説明しました。恒星天とは地球と月、太陽、惑星すべてを包み込む天球です。恒星天の内側、地球から見える側にはいくつもの星が張り付いており、球自体がゆっくりと回転しているのだと考えたのです。
これで月も太陽も惑星も、その外にある星も全ての星の軌道が説明がつく、ということになりますね。天動説は結果的に間違っていましたが、当時の学者たちも観測データをもとに理論を組み立てていたわけです。
蛇足ですが、古代ギリシャの時代にも地動説は存在していました。ただ、地動説では「なぜ空を飛んでいる鳥は地球の自転に取り残されないのか」や「なぜまっすぐ上に投げ上げた石は地球の自転に取り残されずに元の位置に落ちてくるのか」を上手く説明できなかったから当時の人から支持されなかった、なんて背景もあったりなかったり。
地動説
時がたって16世紀、コペルニクスが地動説を提唱します。
「太陽が中心にあって、その周りを地球を含む惑星が回っている。観測データはそうも解釈ができる」と主張したのです。天動説が長年信じられてきた世界で「実は地球が動いていました」なんて大それた説はなかなか信じてもらえませんでした。彼の説は「何故空を飛ぶ鳥はその地球の自転に取り残されないのか」なんて反論を受けることになります。
その後、ガリレオ・ガリレイが登場します。彼はコペルニクスの説を支持しましたが、それは「神が地球を作り、その周りを回る天体を作った」というキリスト教の聖書の記述に反する主張でした。その結果、ガリレオ・ガリレイはキリスト教と対立し、宗教裁判にかけられることになります。そこでガリレオ・ガリレイは自身の主張の撤回を求められて承諾。ここで「それでも地球は回っている」という言葉を残したという逸話は有名ですね。
その後、地動説は次第に人々の認められていくことになります。
古代の人も、コペルニクスも、ガリレオ・ガリレイも観測記録の数値をもとに理論を組み立てていたことは同じです。それらを解釈した結果、どのような結論に至ったのか。それが両者の間では違ったわけですね。
いろいろな天体について
ここで、いろいろな天体についてお話していこうかと思います。
まず我らが太陽。
これは恒星です。表面は6000度にも達しますが、一部黒点と呼ばれる温度が低い箇所が存在します。実はこの黒点を発見したのがガリレオ・ガリレイです。彼は望遠鏡を使って太陽を観測し、黒点を見つけました。その観測が祟ってガリレオは晩年失明したらしいですね。
次は月。
これは地球の周りを回る衛星です。みなさんも知っての通り、月では重力が1/6になるとされています。体重が60kgある人が月へ行ったら体重が10kgになるというわけです。150kgのバーベルも月でなら軽々持ち上げられそうです。いつ見ようとも月の裏側が地球から見えることはない、というのは有名な話ですね。
最後にブラックホール。
これ、実は天体だって知ってましたか?この上なく密度が高い天体で、スプーン1杯で数億トンもの重さになるそうです。重すぎて、重力が強くなりすぎて、物質どころか光でさえ脱出が不可能とのこと。
以上が「宇宙」の分野の基礎知識です。かなりざっくりと書いてしまいましたので、より深く知りたい方は図書館で面白い宇宙の基礎といった本を借りて読んでみてくださいね。
コラム 「現代文読解の基礎知識:○○って何?」シリーズを通して
8月から2月にかけて「現代文読解の基礎知識:○○って何?」シリーズを計4つ作成してきました。同シリーズはこれで最後となります。
大学入試の現代文で頻出のテーマは、今まで解説してきた「科学」「文化」「言語」「宇宙」の他にも「現代社会」や「哲学」、「心理」、「宗教」等々たくさんあります。
「なんで現代文のためだけにそんなにたくさんの分野の勉強をしなきゃいけないんだ」と思う方もたくさんいるでしょう。確かに、時間との戦いでもある受験勉強においてもともとある程度点が取れるような科目にそんな労力をかけるのは無駄に見えます。
しかし、受験という枠を超えて、もう少し広く勉強というものを捉えてみるとそれらの分野の知識を得ることは全く無駄ではありません。
例えば「自文化中心主義」や「文化相対主義」といった言葉を知っていてかつ、相手がどのような文化で生きてきたかをわかっていれば、とある国の人達が立膝を立ててご飯を食べていてもそれを尊重することができるでしょう。
日本語は察する文化、英語は言葉にする文化だと知っていれば、英語圏の人に何か頼み事をして「無理です。」とにべもなく断られても、その返答に不機嫌な態度で応じることはありません。
宗教がどういったもので、それが信仰者にとってどのような意味を持つのかを知っていれば、特定の宗教をからかったりはしないでしょう。また、間違っても、その宗教で禁じられた食べ物を食べさせてみようなどとは思わないはずです。
思慮深い行動には知識が、理解が必要です。
そして、その思慮深さはきっとあなた自身の人生も豊かにしてくれるでしょう。
そういった意味でも、様々な分野の基礎的な知識を得ることは大切なのです。
それに、そういった知識を得ていく過程で、あなたが本当に興味があるものが見つかる…なんて可能性もあります。
いつか自分の役に立つ。そう思って、興味をもって各分野の勉強をしてみるのもいいかもしれませんね。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
このブログが皆さんの現代文の勉強の一助になりましたら幸いです。
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