はじめに
皆さんこんにちは!
埼玉県久喜市にある予備校、武田塾久喜校です!
12月に入り、本格的な冬がやってきましたね。
朝寒すぎて布団から出る気がしない日が続いていますが、受験生の皆さん。現代文の勉強は順調に進んでいますか?
現代文の問題っていつも「なんとなく」で解いてるし、それで解けてしまうことも多いから
いざ対策をしようと思っても何をしたらいいか分かりませんよね。
参考書を買ってきて現代文の文章の読み方の基礎を学ぶ?
たくさん長文問題を解いて読解力を磨く?
どちらも有効で効率的な対策です。
しかし、これだけでは足りない。
現代文の、得点を上げるためには様々な分野における基礎知識を持つことも必要なのです。
各分野の基礎知識を持つことの意義
なぜ現代文の得点を上げるために、各分野における基礎知識を持つ必要があるのでしょう。
まず前提として、現代文の評論分野の読解問題で出てくる文章のほとんどは実際の本や論文から抜粋されたものです。
これが何を意味するかというと、現代文の読解問題で出てくる文章は「高校生が取り組む現代文の読解教材を作ること」を目的として執筆されたわけではないということです。
では本や論文はいったい何を目的に作られているのか。
ほとんどの場合、それらは特定の層に特定の内容を伝えたくて作られているといえます。
例えば『家庭料理アレンジレシピ集』であれば自宅で料理を作る人に様々なレシピを伝えたくて出版されていますね。
ここで注目したいのは、本や論文の執筆にあたって書き手は読み手の層をある程度限定しているということです。
『家庭料理アレンジレシピ集』は自炊の全くできない人を対象にした本ではありません。
おそらくこの本の中では「玉ねぎをくしぎりにして」「落し蓋をして」といった表現が当たり前のように登場し、それらの語句に対する解説がなされることは無いでしょう。
なぜなら『家庭料理アレンジレシピ集』が対象としている読み手は、基礎的なレシピを熟知しているような家庭料理の上級者だからです。故にそれらの基礎的な語句については知っているという前提で本が構成されています。
別の例を出しましょう。
例えば『プログラミング言語C言語の基本』という本があったとします。
こちらは『家庭料理アレンジレシピ集』よりかなり専門性が高い本ですね。
この本の執筆者が想定している読者はある程度パソコンに明るい人です。
故に、この本の中ではパソコンがどういったものかについての説明がなされたり、起動方法やメモ帳の開き方が解説されることはありません。「プログラミング言語についての本を買ったのだからそれくらい知っているよね」という前提で話が進んでいきます。
この本を現役エンジニアの人が買ったなら十二分に本の内容を理解できるでしょうが、仮にパソコンに触ったことさえないおじいちゃんが買ったとしたら、いかにおじいちゃんの読解力が優れていたとしても本の内容を理解することはできませんね。
この『プログラミング言語C言語の基本』という本の一部を抜粋してきているのが現代文の読解問題です。
もちろんのこと、それを読み解くにあたってはパソコンという分野における基礎知識が必要です。
これが、様々な分野における基礎知識を持つことの重要性です。
現代文においては「科学」「文化」「哲学」「現代社会」などの分野から読解問題が出題されます。
それらの分野に対する前提知識を持てば、
そういったテーマを扱った文章を簡単に読み解けるようになるのです。
これこそが、現代文の得点を上げるために様々な分野の基礎知識を持つことも必要だと述べた理由です。
「現代文文章読解の基礎知識:言語って何?」
「科学」「文化」「言語」「哲学」「現代社会」などあらゆる分野についてこのブログで解説できたら良いのですが、そんなことをすればこのブログが10万字を超える超大作になってしまうでしょう。ゆえに今回は「言語」という分野に絞って解説していこうと思います。
(※「科学」と「文化」については当ブログにて以前解説しております。気になる方は以下のリンクから飛んでみてください。
8月のテーマ「現代文文章読解の基礎知識:科学って何?」➝https://www.takeda.tv/kuki/blog/post-231153/
11月のテーマ「現代文文章読解の基礎知識:文化って何?」➝https://www.takeda.tv/kuki/blog/post-239186/)
言語の分野の基礎知識
私たちは普段「日本語」という音声言語を使って他の人とコミュニケーションを取っていますね。
また、私たちは普段「日本語」という文字言語を通して何かを学んだり、伝えたりしています。
まずはその「日本語」の歴史について考えてみましょう。
日本語の変遷
はるか昔、古代日本において日本語は話し言葉として使われていたとされています。
つまり、「あ」という音声言語はあっても、それに対応する文字言語をもっていなかったのです。
しかし、文字言語がないと少々不便。
そこで古代日本人は、当時すでに文字言語の体系を持っていた中国の文字を借りて日本語を表そうと考えました。
例えば、日本語の音声言語の「あ」はその音に近い音をもつ中国の文字の「阿」や「安」といった文字を使って表現しようとしたのです。
その結果生まれたのが万葉仮名です。
よって、音声言語で語られた和歌は万葉仮名をもって以下のように文字媒体で表されることになりました。
「こもよ みこもち ふくしもよ みぶくしもち このをかに なつますこ いへきかな のらさね そらみつ やまとのくには おしなべて われこそをれ しきなべて われこそませ われこそば のらめ いへをもなをも」
「篭毛與 美篭母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母」
ここに、日本語の文字言語誕生の瞬間があるといえましょう。
もともと漢字は日本語の「あ」といった”音”を表すために借用されました。
しかし、それらは万葉仮名として用いられ、日本に浸透していくなかで次第に”意味”をもつようになります。
例えば「安」という文字であれば「あ」という音を表す文字であるのと同時に、「やすい」という意味をもつ文字として使われるようになるのです。
それらの漢字の字形が省略、簡略化されてできたのが平仮名とカタカナです。
漢字と平仮名とカタカナはカタカナは古代から長きにわたり、日本語の文字言語として使われていきます。
音声言語は世代を経てどんどん変わっていきますが、文字言語は昔の使い方を踏襲したままでだったので、
時代を経て音声言語と文字言語の間に非常に大きな隔たりができてしまいました。
そこで、明治時代から大正時代にかけて音声言語と文字言語を一致させようとする「言文一致運動」が起こりました。
その結果、文字言語の表記形態が歴史的仮名遣いから現代仮名遣いへと変わり、今に至ります。
以上が、日本語の変遷ということになります。
日本語の特徴
日本は高コンテクスト文化といわれます。
高コンテクスト文化というのはコミュニケーションの際に、実際に言葉にして表現された内容だけでなく、会話の流れや場の空気、目線など言語化されていない部分が重要な意味を持つ文化のことです。
例を挙げます。
特に体に問題はない状態で、あなたが優先席に座っていたとします。そのとき、おばあちゃんが電車に乗ってきました。ヨロヨロしていて、立ったまま電車に乗るのは危なそうです。目を上げると、斜め前に立っているサラリーマンの男性があなたをじっと見つめています。このとき、場の状況から、サラリーマンの男性が「席を譲れ」と目で伝えていることに気づくというのが高コンテクスト文化といえます。
一方で英語は低コンテクスト文化といわれます。
低コンテクスト文化というのはコミュニケーションの際に会話の流れや場の空気、目線など言語化されていない部分が重要な意味を持たず、実際に言葉にして表現された内容がすべての意味を持つ文化のことです。
先の例でいえば、「おばあちゃんに席をゆずってもらえませんか?」と言葉にして伝えるのが低コンテクスト文化といえるでしょう。
言語とは何か?
ではおおもとに立ち返って「言語とは何か」を考えてみましょう。一般に、言語学の世界において言語は記号と考えられています。
例えば、日本において「×」は不正解を表す記号ですね。
これと同じように言語も特定の音声や文字が特定の意味を示す記号だとされているのです。
私たちは「アサガオ」と聞けば7月頃に咲くあの花を思い出しますが、
それは「アサガオ」という音や文字があの花を表す記号として機能しているからです。
一方で、英語圏の人が「アサガオ」と聞いた時に7月頃に咲くあの花を思い出すことはありません。
英語圏の人にとってあの花を表す記号は「a morning glory」だからです。
つまり、言語が表す記号とそれが示す意味内容に必然的なつながりはないのです。
それを言語学では「言語の恣意的」と呼びます。
以上が「言語」の分野の基礎知識です。かなりざっくりと書いてしまいましたので、より深く知りたい方は図書館で言語学入門といった本を借りて読んでみてくださいね。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
このブログが皆さんの現代文の勉強の一助になりましたら幸いです。
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