はじめに
こんにちは、受験シーズン真っ只中ですが、受験生の皆さんはしっかりと復習を中心とした勉強が出来ていますでしょうか。
基本的には1月~3月の受験前~受験前日の勉強内容としてはこれまでの総復習や過去問の分析から分かった抜けている部分や理解不足の箇所の補充を行う時期だと思います。
新しい内容の勉強に関してですが、今の時期に始めるのはあまりお勧めできません。
なぜなら直前になり新たにやることを増やしてしまうとこれまでの復習がおろそかになってしまうだけでなく、あれもこれもしなければならないといった状況から精神的な混乱を引き起こしてしまう恐れがあるからです。
本日は受験前日までの勉強法のなかで主に復習といった部分に限定してお話していきたいと思います。
復習の重要性
復習は大切だ・復習をしっかりしなさい!…
といった言葉を誰しも学校の先生や塾の先生、またはご両親から聞いた経験はあるのではないでしょうか。
このような経験から漠然と復習って大切なんだなと多くの受験生が思っていると思いますがどうして大切なのかはあまり説明されることってありませんよね。ではどうしてなのでしょうか?
答えは私たちの脳の構造上、ある事柄を長期的に覚えておくためには復習が必要となってくるからです。
もちろん人間の脳は他の動物よりも非常に発達していると言われていますし、特に記憶力に関しては高い能力を発揮します。
しかし、勉強した事を含めて全てのことを記憶し続けることはできません。そのため、私たち人間はある程度情報を整理しながら記憶していると考えてください。
脳にストックできる記憶については限度があるため、必ずしも万能ではありません。
長期記憶にしたい事柄(覚えておきたい事)、短期記憶でも問題ない事柄(すぐに忘れてしまっても良い事)を区別するために大切なのが復習です。
一度勉強しただけでは確実に覚える事が難しいため、復習をして更に理解を深めて記憶を刷り込ませるようにする事が大切です。
パソコンのメモリ(容量)には限りがあるのと同じように、私達の脳が記憶できる量に関しても限りがあります。
上手に整理する方法が復習になると理解しておくと良いと思います。
効果的な復習法
ここまで読んでくださった皆さんは復習の大切さについて理解することが出来ているのではないかなと思います。
ここでは心理学的に見た効果的な復習についてお話していきたいと思います。
・単語を覚えたいときには順番を時々変える
→人間の記憶には初頭効果という特性があります。初頭効果とは最初に記憶したものの記憶が強く残ることです。
例えば単語帳の最初のページ、楽器を演奏したことがある人なら曲の最初の部分を何故か時間が経っても強く記憶していることはありませんか。あれは初頭効果によるものです。この効果を利用するために、覚えづらいと感じる単語で表を作るならば最初に目につくところに最も覚えづらい単語を置くと良いでしょう。
・分散学習をする
→分散学習とは簡単に言うと、50個のおぼえることがあった場合10個に分けて覚えていくといった小分けにしていく勉強の仕方です。この効果を証明する実験例をご紹介します。
“2つのグループに「8つの新しい曲をピアノで弾く」という課題を与え、グループAは「1曲ずつ確実にマスターする」、グループBは「ランダムに各曲を練習する」という方法で練習しました。総練習時間は同じです。そして、2日後に、どれだけ弾けるか試してみたところ、多くの曲を正確に覚えられたのは、グループBのほうだった”(2013年に発表されました)
どうして分散学習のほうがよく覚えられるのか。そのメカニズムは解明されていないようですが、一度勉強してから間を空けると、その間に、覚えたことが脳内で整理されると考えられています。整理された状態で復習をすると、記憶や技能が定着しやすいのです。
この方法で勉強すると、一つひとつ集中して勉強するよりも、記憶にかかるトータルの時間が少なくて済むというメリットもあります。
直感的には「分散学習」よりも「集中学習」のほうが効果が高そうですが、科学的には、「分散学習」のほうが明らかに高いパフォーマンスが出ます。この説を信じて、ぜひ試してください。実験例では新しいことを勉強する際の例となっていましたが、復習にも十分に利用できます。復習をするべき事柄がたくさんある場合に取り入れてみると良いかと思います!
・テストを取り入れる
→これはある実験をお話ししたほうがイメージが付きやすいと思います。
“外国語の単語を勉強したあと、グループAは読むだけの復習、グループBは小テストを利用した復習をしました。その後のテストの結果では、グループBがグループAを大きく上回りました。”
上記の結果から勉強にテストを組み込むと勉強の効果が上がるといったことが証明されました。メカニズムを説明すると、これは覚えることと、思い出すことが全く異なる働きであるという脳の仕組みが関係しています。
どれだけたくさん覚えても、それを思い出せなければ意味がありません。テストによる復習をくり返すことで、思い出す努力をすることになり、蓄えられた記憶が思い出しやすい形に変形されるのではないかと考えられています。
最後に
今回は少し学問的に復習について考えてもらいました。
いかがでしたでしょうか。今回は私自身が心理学を専攻しているため、心理学の内容からお話ししましたが、他にも記憶に関しての面白い実験結果や研究は幅広くあると思います。勉強の合間に調べて普段の勉強に取り入れていっても良いかもしれません。
心理学の宣伝みたいになってしまいますが、心理学って非常に役に立つ学問です。
一般的には心理学と言うと人の心が読める学問だと思われがちですが、実際に勉強するものは異なります。内容としては人間の脳の働きや記憶、発達段階、カウンセリングの勉強など他にも幅広くあります。比較的学問としては新しいですが学ぶことはたくさんあると思います。
なにか心理学に関して気になることや大学での授業に興味のある方は気軽に話しかけてください。
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