冬至も過ぎ、これから寒さがより一層厳しくなっていきます。 体調管理にも気を付けつつ頑張っていきたいところですね。
今回は記述式答案の書き方と題して、あまりよくない記述の例とともに正しい答案の書き方を紹介していこうと思います。
入試が近づいてきて過去問演習をやっていることだと思いますから、この記事で気を付けるべきポイントを知り、これからの過去問演習に活かしていって下さい。
取り扱う内容は以下の通りです。
・関数の増加と減少
・相加平均と相乗平均の関係式
今回は「答えはあっているのに減点されてしまう答案を減らそう!」という目的で説明していこうと思います。
そもそも記述式の答案って何書けばいいの?
「記述式答案は途中式などを書かないと減点される!」
「答えが分からなくても何か書いておけば点数をもらえる!」
のように思っている受験生も少なくないでしょう。
僕もそのような考えが間違っているとは思いません。
間違ったことを書けば減点されますし、答えにたどり着けなくても正しい考え方をしていれば加点されるもあります。
大学入試の採点者は、問題の答えだけではなく受験生がどのように考えたかまで評価したいために記述式答案にしています。
なので答案にはどのように考えたかを丁寧に書きましょう!
そもそも答案用紙というのは受験生から採点者へのメッセージです。
いままでの頑張り全てを答案用紙だけで評価されてしまいます。
字はきれいでなくても構いません。丁寧に読みやすい字で書くことを意識しましょう。
減点されるかもしれない書き方!
数学的に正しくないことを書くと減点されてしまいます。
受験生の答案を見ていると「この書き方だと減点されるだろうな」というものも少なくありません
その中で特に多い2つに関して説明していこうと思います
1.関数の増加と減少
まずはこの答案を見てください。
この答案のどこが減点対象になるでしょうか?
それは解答の2行目です。「f(x)'=0とすると」のところです。
なぜこれがいけないのでしょうか?
そもそも増減表を書くために必要な情報というのは関数が増加するか減少するかということです。
これを調べるために導関数を計算してその”符号”を調べました。
つまり極端な話を言えば導関数がプラスになるのかマイナスになるのかさえわかれば、0になる瞬間が分からなくてもよいのです。
でも実際は0はプラスとマイナスの境目であり、結局このときのxの値は必要になってきます。(必要になるような関数しか高校では扱わないからですね)
「=0」となるようなxの値ではなくて導関数の符号が増減表の根拠になります。
=0として計算してしまい、それを解答にそのまま書いてしまうとその根拠がなくなってしまいます。
たとえば「f(x)'=0」の方程式において両辺に(-1)をかけたりすると符号が逆転してしまいます。
これによって間違った回答を書いてしまう受験生も少なくないでしょう。
これを回避するためにはどうしたらいいのか。
それは導関数を計算して「因数分解」をしましょう。
解の公式を使ったとしても、解答に「因数分解をしました」というように記述すれば答案としては根拠も十分に書かれていますから満点だと思います。
この導関数の定義をあいまいに覚えていて、記述で減点されてしまうミスはよく見ます。
いままで考えたこともなかった生徒は、まずはこのようなところに気を付けましょう!
2.相加平均と相乗平均の関係式
まずはこの答案を見てください。
この答案のどこがダメだか分かりますか?
1の導関数の時よりもミスしているところが気付きずらいかもしれませんね。
このミスを正確に理解するためにはまず”≧”という記号について理解しましょう。
これの意味は「>または=」です。こんなの分かってるよと思いましたか?本当ですか?
「または」というと成り立たないときがあっても良いということになります。
ここを理解したならば次に行きましょう。
以下が相加平均と相乗平均の関係式の公式の主張です。
aとbが正の数であるときに不等式が成り立つという主張です。
そして等号が成立するとすれば「a=b」のときであると言っています。
等号が成立しないかもしれません。
問題に戻って話をしますと、相加平均と相乗平均の関係式というのは、必ずしも=となるxがあることは保証していません。
そのようなxがないかもしれないのです。
もちろん問題によっては定義域内において=が成り立つようなxが存在しない場合もあります。
なのでちゃんと等号が成立しないと最小値の定義を満たしませんから、等号が成立することを解答に書かないと根拠不十分になってしまうのです。
この解答は3となるようなxの値を明記すること、つまりx=1のときに最小値3をとると書くことによって正解となります。
またこの問題はもう少し考えなきゃいけないところがあります。
それは取りうる値の範囲を求めよと言われています。
そのため3以上のすべての値を取ることを言わなければなりません。
・「x→∞のとき上記の式の極限は∞に発散する」
・「上記の式は連続関数である」
上記の2点を書き加えることによって満点の解答になるでしょう。
難関大学と呼ばれるような大学を受験する生徒はここまで理解しておく必要があるでしょう。
気にしなきゃいけないことも多くて嫌に思うかもしれませんが、減点されてしまって大学に合格できないよりはマシですから頑張って勉強しましょう!
(補足)最小値の定義
最小値とは集合Aに対して下界となるような a の値の中で最も大きい数で、集合Aに含まれるような数のことを指します
その値を実際に取らないと最小値とは呼べません。そこを理解してください。
最大値の場合も同様になります。
まとめ
このように記述の書き方によっては根拠不十分で減点されてしまいます。
このようなことが起こらないためには日ごろから「定義はなんだったのか」「どうしてこのようなことが言えるのか」というところに注目する必要があると思います。
折角答えがあっていても減点されてしまうのはもったいないですよね。
気を付けて答案を書いていきましょう!
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