はじめに
受験勉強の一環である古文には様々な作品から抜粋された文章やそこから作られた問題があります。そのため古文の実力を伸ばそうとするなら出典につ
いて把握しておくということも非常に重要となってきます。あらかじめ文章の内容を知っていれば、読むことが出来ない内容や単語につ
いてもある程度解釈することができ、知識問題においても得点源とすることができます。そこで今回は数ある古典作品の中でも入試におい
て最も出題率が多い「源氏物語」について取り扱っていきます。
そもそも源氏物語とは?
源氏物語とは平安時代中期に紫式部によって書かれた長編小説です。紫式部にとっては生涯で唯一の物語作品であり、主人公の光源氏を通し
て、恋愛、栄光と没落、政治の争いや権力闘争など、平安時代の貴族社会を描いたものです。また、源氏物語の大きな特徴の一つとして
「世界最古の長編小説」と呼ばれているということが挙げられます。もちろん源氏物語成立以前にも物語文と呼ばれるものはありましたが源氏物語
ほど長編で構成がしっかりとしたものはありませんでした。なので源氏物語は世界中にとってもかなりの評価を受けており、文学史上非常に
重要な作品ともいえます。
内容・構成・登場人物
源氏物語は54帖という長大な物語であるためいくつかの部数に分けられて語られることが多いです。何部構成かは諸説ありますが、ここでは主人公
「光源氏」を主人公とする帖名「桐壺」~「幻」とそれ以降の光源氏の子供である「薫」を主な主人公とした「宇治大将物語(または薫大将物
語)」に大きく分けて説明します。入試においては光源氏を主人公とする物語の方を取り扱うことが多いので受験生の皆さんは主にそちらのあらすじを
勉強していくようにしましょう。
また、ここでは入試で取り扱う主な登場人物について簡易的に説明していきます。
光源氏→源氏物語の主人公。桐壺帝という天皇の皇子であったが臣籍降下(皇族の身分から臣下の身分におとされること)される。本文で
は主に「君」「院」とされることが多い。恋多き性格であり、妻に「葵の上」・「女三宮」・「紫の上(事実上の正妻)」がいる。また、子供
も「夕霧(母は葵の上)」、冷泉帝(母は藤壺中宮、表向きは桐壺帝の子)、明石中宮(今上帝の中宮で母は明石の御方)がいる。ほ
か養女に秋吉中宮(六条御息所の子)と玉鬘(内大臣と夕顔の子)、表向き子とされる薫(柏木と女三宮の子)がいる。光源氏は類まれな
る美貌の持ち主であり、「藤壺」という女性にはじめて恋に落ちた後、藤壺の面影を求めて様々な女性と恋に落ちていく。源氏物語はいわば
「光源氏と様々な女性との恋模様を描いた記録」とも呼べる。
藤壺→桐壺帝の妻。光源氏の初恋の人でありこの女性と一線を越えた関係に至ってしまい子供(後の冷泉帝)ができてしまう。
葵の上→光源氏の最初の正妻。光源氏にとっては従姉妹にあたる。光源氏との夫婦仲はうまくいっていなかったが後に「夕霧」を生む。しか
し、六条の御息所の生霊に取りつかれ息絶える。
頭中将→葵の上の同腹の兄。光源氏とは恋愛・昇進において友人でありライバルでもある。
紫の上→多くの側室の中でも光源氏が特に愛していた事実上の正妻。幼少のころに源氏に見出されて養育される。源氏との間に子がなく、明石中
宮を養女とする。
明石の君→光源氏が今日での政治争いに敗れ明石に来た時にできた恋人。娘に明石中宮がいるが、不本意ながら紫の上に養女として出して
いる。
女三の宮→朱雀院の第三皇女で、光源氏の姪にあたる。朱雀院の希望もあり源氏の晩年に2番目の正妻となる。頭中将の息子である柏木と逢
瀬を重ねてしまい、薫を生む。
上記の他にも源氏物語には様々な登場人物が存在しますが、最低限上記の登場人物をつかんでいれば入試問題を攻略していけます!
入試において頻出である!!
源氏物語は入試問題においてもとても出題率が多く難関大学においては毎年のようにどこかしらの大学が源氏物語を扱っています!
実際に、2019年→上智大学・千葉大学 2018年→神戸大学・千葉大学 2017年→東京大学・千葉大学・大阪大学 2016年
→早稲田大学2015年→九州大学 2014年→センター試験・関西大学 2013年→京都大学・立命館大学 etc. などの名だたる
大学が源氏物語を扱ってきています。では、なぜ入試問題として頻出なのでしょうか?定まった理由は明らかではありませんが考えられる一つの理由
としては、源氏物語は文学的研究が進んでいるということです。先述したように、源氏物語は世界最古の長編小説と呼ばれ世界的に関心が高く、文
学的にも高い評価を受けている作品なのでそのぶん多くの学者たちによって研究が進められ、研究も進んでいます。研究が進んでいるぶん、解答を定め
なければならない大学入試の問題としても出題しやすいと思われます。また、源氏物語の文は古文単語・文法ともに簡単なものから難しいもの
までさまざまにあります。なので問題の制作側としても受験生の実力を確かめるためのものを作りやすくなっているという理由もあると思わ
れます。
おわりに
今回は古文出典の最頻出である源氏物語についての紹介でしたが、源氏物語には上記の解説以外にも知っておくと受験に役立つ情報やさらに詳しく読む
べき内容がたくさんあります。このようにあらかじめ古文の問題として出される内容やあらすじを知っておけば問題を解くときに有利に
なるということが分かったと思います。古文にはまだまだ出典としとりあげられる作品が多くあります。なので自分なりにある程度あらすじを調べてお
くと役に立つでしょう!あらすじを調べる際は教科書や参考書もありますが、イラストがある漫画なども内容が頭に入ってきやすくなっているのでお
勧めです!内容さえわかればあとは単語や文法の勝負となってくるので入試本番までにそちらの面もしっかりと勉強して他の受験生と差を付けられるよ
うに頑張りましょう!!
塾・予備校に通い始める時期は?