こんにちは!
武田塾港南台校講師のAです。
今、日本の高校教育の現場で大きな変化が起きようとしています。
特に高校の歴史教育が、大きな転換の時期を迎えようとしているんです。
1.大きな転換 歴史総合導入
なんと、文部科学省は2022年を目標に、『歴史総合』という新科目を必修科目として導入することを決定しました。
取らなくても良い選択科目ではなく、全員必ず受ける必要のある必修科目です。
TVや新聞で名前は聞いたことはあると思いますが、では『歴史総合』とは具体的にどのような科目なのか。
その答えは簡単!!
「日本史A」と「世界史A」を合体させた科目です。
具体的にこの変革の影響を受けるのは2022年度以降に高校へ入学するすべての高校生で、
「歴史総合」が大学入試に登場してくるのは、この年代の高校生が大学受験をする年の2024年度からだそうです。
ではなぜ日本史Aと世界史Aを合体させることになったのかというと...
2.「歴史総合」設置の背景と今までのカリキュラム
みなさん、高校の授業科目には「社会科」が存在しないことには気付いていましたか?
中学校には「社会科」という科目があり、
「地理的分野」
「歴史的分野」
「公民的分野」
の3つに分かれて授業が行われていますが、扱いは「社会科」という一つの授業としての扱いです。
それに対して、高校では「社会科」ではなく、
「地理歴史科」
「公民科」
の2つが設けられているのです(教員免許も別々に取得しなければなりません)。
その「地理歴史科」のうちの「歴史科」は、
・世界史A
・世界史B
・日本史A
・日本史B
の4つに分類されています。
これまでの高校の学習指導要領では「世界史A」が必修科目となっていました。
国際化が進む昨今において、世界史を学ぶ必要性が高いと考えられていたからと言われています。
その結果、必修科目でない「日本史」は、理系や世界史受験者の方々は学ばなくても良い
という状況になってしました。
しかし、いくら国際化、グローバル社会とは言っても、自分の国の歴史を語れないというのは困ります。
外国人に日本の歴史を聞かれた時、自分の国の歴史を何も答えられないようでは国際人としていけませんよね。
そこで、全ての高校生に世界史と日本史を学ばせるために「歴史総合」が誕生したということらしいです。
グローバル社会で求められる世界の歴史についての教養と、日本人として求められる日本の歴史についての教養を同時に学べるようになるのです。
3.これからのカリキュラム
従来の「日本史A」または「世界史A」の学習範囲は、Bとして選択する科目での学習範囲を超えていませんでした。
ところが、「歴史総合」は、世界の歴史と日本の歴史の相互関連性を重視していくようなので、世界史と日本史の共通項もしっかりと学習することになります。
そして、この「歴史総合」が重点を置いていくのは、時代的には、第二次世界大戦から現代にかけての
近現代の範囲です!
ところで、なぜ「歴史総合」では近現代に焦点を当てているのでしょうか?
先程も申し上げた通り、歴史というのは日本のもの、世界のもの、と2つに完全に分けることはできません。
この2つが相互に関係して歴史が築かれてきました。
この時、この相互の関連性が密接になっていくのが、近現代だからです。
日本は島国ですし、長い期間鎖国状態だったので、外国との関りは少なかったと言えます。
しかし、第二次世界大戦以降の近現代になると、日本が急激に世界に対して大きな影響を与え始めました。
例えば、アジア太平洋地域への侵略戦争や植民地化政策を展開したことで、その後のアジア太平洋地域の歴史を大きく変えてしまったのです
さて、皆さん気になるのが、『大学入学試験にも設置される予定なのか』ということですが...
4.結局入試はどうなるの!?
「歴史総合」のサンプル問題(2021年3月公表)では、
図版・グラフ・文献などの諸種資料が多く用いられるようです。
内容に関してはただの暗記で解けるようなものではなく、
持っている知識をうまく使って解くような問題が目立つようです。
(2020年度から導入された共通テストでもそのような問題が目立ちます。)
サンプル問題:https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html
ただし、今のところ国公立大二次・私立大入試における「歴史総合」の扱いは、
まだ公表されていませんので、今後の動向に注意です。
そこで、ここからは受験業界で、歴史総合についてよく聞くことお話ししたいと思います。ただし、あくまでも予備校業界の噂話なので、確かにそうなるということではないことにご注意ください。
現在、「日本史A」と「世界史A」は私立大学の入試ではほとんど使われておらず、
国公立の一次試験(共通テスト)でたまに使われる程度です。
「歴史総合」へと変わったからと言って、この扱いがガラッと変わるとは考えにくく、
結局、大学入試においてはあまり影響がないのではと噂されています。(特に私立大学では)
以上、2022年から導入される新必修科目『歴史総合』についてお伝えしました!
武田塾港南台校では歴史総合だけでなく、新たな試験範囲を徹底的に分析し、
既存の範囲も丁寧に対策をしています。
少しでも気になることがあれば、ぜひ無料受験相談にお越しください!
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