こんにちは。武田塾小牧校です。
先日、担当している生徒さんから、「授業始まったんですけど、無機化学を授業でやってくれないらしいんです…」と相談されました。
高校の授業は1月や2月のギリギリまで新しい分野を進めたり、場合によっては最後まで範囲が終わらない、なんてこともありますよね。
今年は特に新型コロナウイルスの影響で、例年以上に授業進度に遅れがあると思います。
授業でやらないということであれば、自分で仕上げるしかないですよね。
そこで今回は無機化学の勉強法についてお話ししていきたいと思います。
目次
無機化学ってやる意味あります??
受験において無機化学単独で問題が作られるということは少なく、理論や有機の問題の中で知識を問う形で出題されることが多いです。
これだけ聞くと、「え、配点低そうだしやらなくてもよくない??」と言われそうですね。
無機化学に少しでもふれたことがある人はわかると思いますが、他の2分野に比べて“覚えた知識をそのまま答案に書くことができる問題が多い”という特徴があります。
つまり覚えていればサクサク解けて、覚えていなければ淡々と飛ばすしかないということです。
言い方は悪いかもしれませんが理論化学に比べて考える部分が少ないので、化学の考え方がいまいちわからん…という人でも無機化学は得意だったりします。
したがって、これまで理論化学で化学にとてつもない拒絶を感じていた人でも、化学と仲良くなるチャンスがあるということです!
むしろ化学が苦手という人にしっかり取り組んでほしい分野と言っても過言ではありません。
ちょっとやる気が出てきましたか??笑
どれくらいの期間で仕上げればいいですか??
今回のブログの本題です。
ちょっとやる気が出たと仮定して、いったいどれくらいの時間をかけてやるべきでしょうか。
「全体を一通り覚えるのは、長くとも1ヶ月くらいで仕上げてください」という答えになります。
高校化学では配点も出題分野も圧倒的に理論化学が多く難易度も高いため、安定した得点をとるためには多くの演習(=アウトプット)が必要です。
一方、無機化学は覚えること(=インプット)がメインで演習量でつく差は少ないと言えます。
覚えたことをずっと覚えておくのは難しいですが、思い出すのは比較的楽です。(英単語を覚える時を考えればイメージがつくと思います。)
しかし、覚えることを覚えなければ、思い出すという段階にすら辿りつきません。
ということでできるだけ短期間で詰め込んでしまいましょう!何回も復習することで必ず無機化学はできるようになるはずです。
あの量を1ヶ月で覚えるのキツいっす。
ここまで散々覚えるだけや!!という感じで書いてきましたが、覚える=丸暗記だけでなく、関連づけたり分類することで覚えやすく、そして思い出しやすくなります。
いくつか質問と答えを並べます。
質問1.水酸化鉄(Ⅱ)の色は何色ですか? 答えは緑白色です。
質問2.2価の鉄イオンの色は何色ですか? 答えは淡緑色です。
質問3.水酸化銅(Ⅱ)の色は何色ですか? 答えは青白色です。
質問4.2価の銅イオンの色は何色ですか? 答えは青色です。
この4つから見つけられる共通点は、色のついている水酸化物は、もともとのイオンの色が少し濃くなったり濁ったりしたものということです。
4つ覚えるところを2つに減らせそうですね。
ちなみにほとんどのイオンは無色でほとんどの水酸化物は白色なので、鉄と銅はその例外の一部です。
この数行で化学の知識を使ったものは化学式の読み方くらいで、あとはただ色を並べただけです。
しかし、関連付けて基本の色と例外の色という分け方をすることでこの文章だけでかなりの化合物の色を覚えられたはずです。
このような感じで、できるだけ覚える量を減らす努力をしてみることが無機化学では重要です。
他にも気体や金属の製法などなど覚えることはたくさんありますが、それについては今後のブログでふれられればと思います。
今すぐ無機化学を覚えたいという人は、ネットやYouTubeを駆使して効率的な覚え方で一気に仕上げていってください!
単語と同じように暗記のスケジュールを組む
暗記半分演習半分
短期間で仕上げるためには理系科目だけど覚える時間を確保しましょう。
無機化学は物質の性質を直接聞く問題もあれば、性質を利用した問題もあります。
英語のように文脈から判断というのは出来ないので覚えていないと無条件降伏です。
演習をするための暗記が必要となるのでちゃんと暗記をする時間を取りましょう。
覚えたかどうかをかくにんするために演習をセットで組んでしましょう。
英単語と同様に毎日覚える
1カ月で仕上げるために無機範囲を1週間か2週間で1周するようにしましょう。
4日か5日で覚えなければいけない範囲を覚えていき、2日で再度同じ範囲を復習をします。
問題演習のたびに抜けているところを覚えるというのは範囲内全てをカバーすることは出来ません。
スケジュールを組んで全範囲を見るように組むことが大事です。
英単語と英熟語と同様に暗記と割り切ってルーティン化してしまうと楽です。
福間の無機化学の講義の別冊
福間の無機化学の講義には別冊が付いています。
暗記項目がまとまっているので、この別冊を1週間で終わるように毎日見て覚えていきましょう。
性質から反応式まで書いてあるので暗記と割り切って覚えるにはとても使いやすい1冊です。
自分で覚えることを問題演習を通じてまとめるよりも、1冊にまとまっている物をはじめから使った方が抜けもなく取り組みやすいです。
化学反応式のコツは物質量molで考える
反応式は物質量で考える
無機では反応式が大量に出てきます。
その反応式の係数は物質量molでの数字で書かれています。
違う物質同士の反応は物質量で考えて計算をします。
固体の質量で書かれていたり、気体の体積で書かれていたり、水溶液の量と濃度で書かれていたりと物質量とは違う物差しで問題に書かれていることが多いです。
物質量ではない書かれ方をされている物質を物質量molに直してから化学反応式で計算をしましょう。
反応式は必要な物質量に対して一番少ない物質量を基準に計算をする
化学反応式では足りている物質の量しか反応が出来ません。
HCl⁺NaOH→NaCl⁺H2O
の反応式の場合で、塩酸と水酸化ナトリウムは1molずつ反応をします。
しかし塩酸が0.8㏖あって水酸化ナトリウムが1㏖あった場合は、物質量molが少ない塩酸0.8㏖が基準となって反応が起きます。
つまり塩酸0.8㏖と水酸化ナトリウム0.8㏖が反応して0.8㏖の水と0.8㏖と0.8㏖の塩化ナトリウムができて、0.2㏖の水酸化ナトリウムが余ります。
塩酸は0.8㏖しかないので水酸化ナトリウムとの反応でなくなってしまうとそれ以上水酸化ナトリウムも反応が起きません。
無いものは反応しないので色々な物質があったとしても反応式の中で一番少ないものがなくなったら反応は止まります。
これは化学反応式の物質全ての係数が同じ場合です。
例えば係数が違う窒素と水素の化学反応式の場合
N2⁺3H2→2NH3
標準状態で窒素、67.2l、水素134.4lの気体があると、物質量になおしてそれぞれ3㏖と6㏖
窒素3㏖に対して水素は9㏖反応をする化学反応式なので水素が足りません。
水素は6㏖しかないので水素6㏖に対して窒素が1/3の2㏖反応をします。
反応して出てくるアンモニアの量は水素6㏖に対してその2/3の量の4㏖になります。
そして窒素は1㏖余ります。
つまり化学反応式の中で反応必要な量が一番少ない水素の量に合わせて残りの窒素とアンモニアの反応量も決まります。
いくつかの物質がある場合は化学反応式の中で全て反応する物質を見つけて、それを基準に化学反応式の係数通りに反応する物質量を決めていきましょう。
余る物質も出てくるので全て答えよといわれる問題で答え忘れのないようにしましょう。
今回のブログは以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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