英文解釈って何?
長文読解を「速読」というのに対して、英文解釈は「精読」とか「遅読」といいます。全部の文章を細かく読んでしまったら、入試では時間が無くなってしまいます。しかし、ここぞという長い文や複雑な文、要は自分にとって解りにくい文などは、若干時間をかけてでも文構造などを確認したほうが解りやすい(結果としてその方が早く読める)場合が多いです。
文構造を確認するとは、文章を構成している単語すべてを、S = Subject(主語)、Ⅴ = Ⅴerb(動詞)、O = Object(目的語)、Ⅽ = Ⅽomplement(補語)、と Ⅿ = Ⅿodifire(修飾語)に置き換えて(振り分けて)、それぞれの単語の役割を確認することです。
必要な知識としては、すでにネクステやヴィンテージなどの文法もクリアしているはずなので、それで十分です。例えば、「この to不定詞は、副詞的用法だとか・形容詞的用法だとか」「この that は、接続詞だとか関係代名詞だとか」「この it は、~を指している」とか、SVOCに振り分けた後で、そんな風に確認していきます。
いいかえると、「今まで勉強してきた文法が、長文の中でどういう風にかかわって来るのか?」と、いうことを少し短めの文章で確認していきます。これによって、文章の展開が読めずなんとなく創造だけで乗り切るような、当ずっぽう?の読み方がどんどん減っていくはずです。
ここまでくれば、もう一域(笑)です。1~2年生の人はここを抜ければ、念願の長文読解です。
また、長文読解の点数で伸び悩んでいる受験生も、3週間もかかりません。早い人は2週間程度。ただし丁寧にやりましょう!いずれにしても、受験まで残り少しです。でも大丈夫、焦りは禁物。しっかりやれば、今から共通テストの英語もまだまだ伸ばせます。ここが踏ん張り時です!
「入門英文解釈の技術70」の進め方
この参考書は、名前の通り70問の例題で構成されています。巻末に、70問の演習問題もあります。時間の都合も考えて、基本的にやるのは例題の70問だけです。余裕のある人は、演習問題にも Try してください。
0.始める前に
専用のノートを用意してください。本の142pに「復習トレーニング」というタイトルで、例題の白文(英文のみ)があります。それを140%程度にコピーして、専用のノートに1ページに1題ずつ切り取って貼り込んで下さい。高円寺校では、塾生にはその用紙を配っています。興味のある人は来てください (笑)。差し上げますよ!
そのノートに張り付けた本文に直接 S・Ⅴ・O・Ⅽ と Ⅿ を書き込み和訳します。基本的に直訳です。その文章に出てきた、しらなかった単語や多義語や熟語などはまとめておきましょう。解りにくかった文構造の場合など、気づいたことはまとめましょう。
1.S・Ⅴ・O・Ⅽ と Ⅿ を本文に書きこむ
言うまでもなく、英文の構成はすべて基本5文型に当てはまります。ということは、基本的に主語 S が一つ、動詞 v が一つ必ずあるはずです。動詞を見つけたら殆どの場合、それより前に主語があります。また、その動詞が自動詞か他動詞かも意識するようにしてください。自動詞なら前置詞を伴って、述部を構成しているはずです。他動詞ならその目的語の O を伴います。他には Ⅽ 補語があります。 S = Ⅽ つまりつまり主格補語の場合第2文型で、 O = Ⅽ の場合は第5文型です。これ以外は、基本的に Ⅿ 修飾語 (句) になります。
2.日本語訳(直訳)を書く
S・Ⅴ・O・Ⅽ と Ⅿ を書き込んだら、ノートの下のスペースに日本語訳 (直訳) を書きます。手順とは以下の通リです。
①1文(ピリオドまで)音読する
②その1文にSVOCを振る
③日本語に訳す(基本直訳で)
少々変な日本語になってもかまわないので、意訳ではなく、極力「S・Ⅴ・O・Ⅽ 」に忠実な直訳にこだわって下さい。
※S・V・O・Cの振り分けを全部まとめてやってから訳す方がいますが、特に最初は一文ずつ丁寧にやりましょう!
3.その章のテーマを確認してから、文構造を確認する
例題文の下にその章のテーマの解説があります。それを確認してから、冒頭の2~3文について文構造を詳しく分解してくれているので、理解した上でしっかり読み込んでください。
POINT
とにかく直訳で(1)
日本語訳をするとき、主語(S)には「~は (が)」が付きます。また、目的語(O)には、「~を (に)」が付きます。よく文章が長くなったり、文構造が複雑になったりすると本来の主語に「~を (に)」をつけて訳してみたり、目的語(O)に「~は (が)」をつけて訳してしまうミスを目にします。S・V・Oをしっかり意識するだけでも、そのあたりのミスは格段に減るはずです。
「誰・何(S)が、どう(V)する。その対象が(O)」っていうような感じです。
とにかく直訳で(2)
直訳の方がより主語や動詞を意識することができます。また、戻り読みをする必要がなくなるので、結果として物理的に早く意味をとれるようになります。あとは、慣れるだけです。
英 語)
I
1like
2to play
3baseball
4very much.
5
日本語)
私は、
1野球を
4することが
3とても
5好きです。
2
英文を日本語に訳す時、日本語と英語では文法的に品詞の並べ方が違うため、一旦全部読んだ後で、後ろから前に戻って和訳することになります。これを戻り読みといいますが、もし英文の並びのまま日本語の意味が取れたら、文意は速く理解できるはずです。
例えば、1. 私は 2. 好きです 3. するのが 4. 野球を 5. とても となります。これで十分意味は理解できます。
そもそも、「日本語に和訳せよ」という問題以外は、きれいな日本語に訳す(意訳する)必要はありません。設問に答えるために文意さえ取れていればいいのです。これによって、物理的により早く読むことが可能になっていきます。
冒頭に出てくる前置詞句は、解らなかったら一旦カッコで括って放置!
There is ( in man's make up ) a general aggressive tendency but ~ (例題3)
ある 人の性格の中には 一般的な 攻撃的な 傾向 が、(ってなります)
普通は、文末に出てきそうな前置詞句が、主語と動詞の間とかに結構ぶち込まれてきます。文末にあれば副詞句だということはすぐにわかりますが、冒頭にあると「もしかして主語を修飾しているのかな?」とか悩んでしまいますよね。でも、実は文章全体を修飾している副詞句だったりします。こんな時は、一旦カッコで括って無視しても大丈夫。意外と簡単に構文が取れたりします。「あっ、There is 構文だから、a general aggressive tendency が、主語だ」みたいな感じです。また、意外と文章の本意には影響しなかったりします。ポジション的には、主語と動詞の間とかにあることが多いです。つまり、usually とか often とかの入っている場所です。
等位接続詞は、すぐ後ろをチェックして共通語を見つける!
and や or や but を見つけたら、まず、マーク。次に何と何を等位接続しているのか、確認します。カンマも注意です。
「A and B」は大丈夫でしょうが、「A,B and C」や「A,B,C and D」となると意外と見落としがちです。AとかBが、単語じゃないって場合もあります。またその対象が、主語だったり動詞だったり目的語だったりするのです。本文の中で、動詞ばっかり出てきた時も疑ってください。どっかで and を見落としてないかな~って。
The American view is "It is cheaper to scrap the old
and replace it with something new,"
or "No one stands still. If you aer not moving ahead, you are falling behind. (例題51)
こんな時は、見つけた等位接続詞のすぐ後ろを見ます。前じゃなくてまずは後ろです。次に前にさかのぼって、共通語を探します。例えば、and の後ろに replace という動詞があります。前に遡ると scrap という動詞が見つかりました。ということは、この二つの単語の共通語はそのさらに前にある (cheaper) to だということがわかります。さらにこれらは、その前にある仮主語の It に対する真主語であることがわかります。次は、or です。すぐ後ろにあるのは、””(ダブルクォーテーション)で括られた引用文です。前に遡って同じものを探すと、" It is cheaper to scrap the old~ に気付きます。つまり、この or で、対比されている2つの引用文は、この文章の主語である、 The American view の C (補語)になっていることがわかります。
このように、等位接続詞を確認することで文全体の構造がわかる場合もあります。
※ and や or や but を見つけたら、まるで囲ってまずすぐ後ろを確認しましょう。
that の役割を確認する!
・接続詞か関係詞か?
1.Please tell me the fact that you know.
2.The fact that everyone knows it is important.
3.The fact that sveryone knows is important.
関係詞なら、後ろに続く文は不完全文。(関係詞になった単語が抜けているから)
※2.と3.は、it が有るか無いかという違いですが、意味が変わってきます。
・It ~ that 構文
1.It is true that he can speak English.(真主語の主語節を表す)
2.It was this sneaker that he was put on yesterday.(強調構文)
文章の中に埋もれている構文を見逃すな!
・so ~ that ~
・not A but B(AとかBが、節になっている場合に見逃す)
・not only A but also B (only が just とかに置き換わっていたり also がない場合もよくある)
※2つの文章にまたがっていたり、結構いろいろあります!
最後に日本語訳を確認する
右のページの下部にある日本語訳は、かなりの意訳になっています。意訳は多くの場合元の文の S・V・O・C を無視した形になっています。これらの意訳を正解として覚えるような勉強の仕方では、文構造を理解したり判別できるようにはなれません。
では何のために、意訳が書かれているのか・・・?
それは、文構造が取れなかったり理解できなかったりしたときに、その意訳から推察して文法的理解を進めるためだと「今の段階では」思ってください。単語は見てもいいです!でも、意訳は見ないように努力してください!
※最大の注意点は、自分が直訳をする前にこの意訳を見ないことです。一旦、文章の表現が頭に入ってしまうとこびりついて離れないので、直訳の表現が難しくなります。(やってみればわかると思います・笑)
英文解釈の勉強に意訳の暗記は不要です!(注意してね)