「工業高等専門学校って…？」
「高専に行きたいけど、よく分からない…」
「兵庫県にある高専はどんな入試システムなの？」
この記事は、そんな方へ向けて書いています。
こんにちは！
武田塾神戸板宿校です。
武田塾にはいろんな大学出身の講師が在籍しており、経歴豊かな講師陣が自慢の一つです！
そのなかでも中学生の進学先として人気の高い「工業高等専門学校」に在籍中の講師もいます。
今回の記事は実際に工業高等専門学校（略称：高専）の講師が、高専を紹介します！
是非ともご覧ください！
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私の通う高専を紹介します！
こんにちは！私は神戸工業高等専門学校に通う講師Nです！（正体は実際校舎にて確認してください！笑）
今回は、私が実際に通う神戸高専をメインに、全国の工業高等専門学校のシステムや、どんなことを勉強するのかを紹介しますね！
一般的な情報から、通っているからこそわかるここだけの情報もお見せしますので、よろしくお願いします！
高専の特徴とは？具体的に説明します！
全国あわせて57校以上ある！様々な学科も！
高専とは、高等専門学校の略称のことで、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関（大学と同じ）のことです。全国に国公私立合わせて57校あり、全体で約6万人の学生が学んでいます。
学科は各学校によって異なり、主に工業系と商船系の二種類に大別され、工業系には機械工学科、電気工学科、電子制御工学科、情報工学科、物質工学科、建築学科、環境都市工学科などがあり、商船系の学科には商船学科などがあります。
そんな高専ですが、最も大きな特徴の一つとして、中学校卒業から五年一貫で工学について学ぶことがあります。
↑(国立高等専門学校機構より抜粋)
あまり知られていない！？高専のシステム
高専は大学と同じ高等教育機関で、五年生ですので在学中に大学二年レベル程度までの教育を受けることになり、卒業時には準学士の初号が得られます。
(準学士→短期大学卒、学士→大学卒、修士→大学院二年、博士→大学院四年)
一年時から専門知識について学び始めることと、大学受験をしないので専門科目の勉強に費やせる時間は大学工学部の二倍に及びます。
また、専門科目の学習と並行して多くの高専で低学年時から実験実習が行われます。
学生が実験や、実験後のレポート作成を自分たちで調べながら行うので、卒業時には専門科目に関する知識を体系的に身につけることができます。
このような実験実習を頻繁に行うので、実際に会社に入ってからもすぐに手を動かして働くことができ、高専を卒業した人材は企業から非常に重宝されます。
このような特色から、高専のもう一つの大きな特徴として就職率が約100％であることが挙げられます。その就職先もよくCMなどで目にする大手企業が非常に多いです。
(↑神戸高専公式HPより抜粋）
高専の入試形態とは？？
高専入試試験は中学３年時に行われます。入試形態は主に学力入試で、高専によっては推薦入試でも受験できるところがあるようです。
今年度の国公立高専の試験日程は学力入試は令和4年2月13日（日）、追試験は令和4年2月27日（日）となっています。
試験科目は国語、数学、英語、理科、社会の五科目で、入試用のサンプル問題が国立高等専門学校機構のウェブサイトで公開されています。
また、高校卒業時に高専への4年時編入制度も設けられています。これは言葉通り、高専への編入学試験を受験し、合格したら高専の4年生からとして高専に編入することができる制度のことです。
気になる進路！大学との連携とは？？
高専を五年生で卒業した後の進路には主に就職か各大学への3年時編入学の二種類があります。
大学への3年時編入とは、言葉通り各大学が実施する編入学試験を受験して、合格したらその大学の3回生として編入学することができるという制度のことです。
編入学試験は主に5年時の6~8月にかけて行われることが多いです。
しかし、この編入学試験を実施するかどうかは大学によって異なり、募集人数も大学、学部によって年ごとに異なる場合があります。
試験科目も大学によって異なるため、募集要項や試験対策など早期から自分で調べて行うことが必要です。特に、英語の評価点をTOEICの得点をもとにつける大学もあるため、TOEICの成績が必要な大学を受験するならば、最初にTOEICを受験することをお勧めします。
また、国立高専51校全てに専攻科という機関が設置されています。
五年間本科卒業後の2年間の教育課程で、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から大学教育に相当する水準の教育を行っていることの認定を受けています。
つまりは、専攻科の2年を卒業した後は上記の機関に申請して合格することで学士の称号が与えられ、大学卒業と同等の学歴が取得できます。
そこからさらに研究を進めたい場合は、各大学の大学院を受験することも可能です。
こちらの専攻科も本科5年時に入試試験が実施され、編入学試験と同様受験をすることが必要になります。
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兵庫県の高専をご紹介！
2校あるのって知ってます？？
兵庫県には明石工業高等専門学校(明石高専：国立)と神戸市立工業高等専門学校(神戸高専：市立)の２校があります。
国立である明石高専はもちろん、市立である神戸高専にも専攻科が設置されています。
明石高専には機械工学科、電気情報工学科、都市システム工学科、建築学科の四学科が設置されていて、神戸高専には機械工学科、電子工学科、電気工学科、応用化学科、都市工学科の五学科が設置されているようです。
(上：明石高専 下：神戸高専)
↑(明石高専公式HPより抜粋)
↑(神戸高専公式HPより抜粋)
2校の入試情報をご紹介！
明石高専は推薦選抜と学力選抜の二通りの入試形態があります。学科は機械工学科、電気情報工学科、都市システム工学科、建築学科の四学科があって、募集人員はそれぞれ40人ずつです。
そのうち、50％程度が推薦選抜での募集人員、残りが学力選抜による募集人員になるようです。
推薦入試での配点は、出身中学校の校長が作成した調査書が982,受験当日の15分ほどのグループワークによる配点が18点の合計1000点で合否が決定されるようです。
学力入試での受験科目は理科、英語、数学、国語、社会の5科目で各100点満点の試験が行われ、そのうち英語と数学には獲得した得点×1.5の配点が与えられます。
合否はこの学力試験の600点+調査書の270点で判定されます。
試験時間は各科目50分です。
↓2校の位置関係です
神戸高専は明石高専と同じく推薦選抜と学力選抜の二通りの選抜方法があります。
学科は機械工学科、電気工学科、電子工学科、応用科学科、都市工学科の5学科があって、募集人員は機械工学科のみ80人、残りはすべて40人募集で合計240人が募集されます。
そのうち、推薦選抜による募集人員は上記の募集人員のうち40％程度になります。
推薦選抜では調査書と受験日の面接での得点によって合否が判定されます。神戸高専の方は推薦選抜の配点が公式に詳しく明記されてはいません。
ですが、私が実際に受験した際の配点では得点は合計1200程度、そのうち面接による配点が50点、課外活動(部活動での表彰や生徒会活動など)による配点が50点程度になっていました。
学力選抜では理科、英語、数学、国語の計4科目の学力試験+調査書の225点で合否の判定が行われます。
4科目のうち、数学のみ150点満点、残りの科目は100点満点となっています。
また、学力試験には社会が含まれていない代わりに、内申点での社会の配点がかなり高かった印象があります。次いで副教科、次いで残りの科目となっていた記憶があります。
これらのような具体的な得点計算の説明は、神戸高専で行われる入試説明会で説明されました。
ですので、神戸高専への入学を考えている方はこういった説明会などに積極的に参加するようにしてください。(私は高専祭(ハロウィンの時期)の最中に開催された入試説明会でこの話を聞きました。)
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私が通う神戸高専をご紹介！
上記高専の中で、今回は私が通っている学校である神戸高専について詳しく紹介します。
神戸高専には機械工学科、電子工学科、電気工学科、応用化学科、都市工学科の5学科があります。
基本的にほとんどの高専に通じることですが、各学科一学年40人程度の学生が在籍していて、この40人ずつが一クラスとなります。
クラスの違い＝学科の違いであり、学科ごとに学ぶ内容が大きく異なるためクラス替えはありません。
すなわち、入学後5年間を同じクラス、メンバーで過ごすことになります。
神戸高専では、機械工学科のみ80人2クラス構成のためクラス替えが存在するみたいです。
一年時から各学科の専門科目を受講しますが、低学年時は時間割の中の普通科の高校と同じ一般科目の割合が多く、学年が増えるごとに専門科目の割合が増えていくという授業の形態がとられます。
また、各学科5年生になると各研究室に学生が配属されて、1年間それぞれの卒業研究を行います。
次に、学科ごとの特色をご紹介していきます。
(校門入ってすぐの外観)
機械工学科
機械工学科は、文字通り機械の仕組みや扱い方、ものづくりについて実習や実験を通して学習する学科です。
神戸高専には旋盤などの機械を備えた工場があり、機械工学科の学生はよく工場で実習を行っています。
また、研究内容でいえば、最近ではドラえもんの手のように、あらゆる形の物体に張り付く吸盤が開発され、各種メディアやイッテQで特集が行われたりしていました。
機械工学科で学ぶ内容は主に熱・流体分野、材料分野、システム・情報分野、生産加工分野、設計・計測分野、応用物理・制御分野六つに大別されて、機械の開発や運用に関する幅広い知識を身に着けるようです。
↓(ロボット作成をしている部活が所有している工作機械の例↓はCNCという機械で板などを好きな形に切り出してくれます)
↓(工作機械2,3Dプリンター、もっと性能の良いものを所有している研究室もあります)
電子工学科
電子工学科は電気電子回路、通信工学、半導体工学、計測・制御工学、情報工学など電子工学を総合的に学ぶ学科です。
現代社会に欠かせないテレビ、レーザー、ロボット、コンピューター、スマートフォン、インターネット、ゲーム、AIなどは、すべて電子工学（エレクトロニクス）によって実現されてきました。
電子工学科の学生は、これからさらに多用していくであろう高度情報化社会において、第一線で活躍できる学生の育成が目標とされています。
電子工学科の教員は，半導体，電子デバイス，電子材料，無線，電波工学，光エレクトロニクス，照明工学，情報科学， コンピュータ（ソフトウェア，ハードウェア，ネットワーク），制御理論，ディジタル信号処理，画像処理，医用工学， 統計物理学，神経回路網理論，プラズマ物理学，バーチャルリアリティ，ヒューマンインタフェース等に精通しており、電子工学科の学生はこれらの電子工学に関することを高水準で学ぶことができます。
↓(各種装置の制御やロボットの設計は主にpcで行います。↓は3Dプリンター制御画面とプログラミング中の様子)
電気工学科
電気工学科は、現代の生活において欠かせない電気について、電力や電気に関する現象や電化製品の基盤となる各技術など、電気について幅広く学ぶ学科です。
電気工学科では主に、電力工学、電気機器工学、パワーエレクトロニクス工学、パルスパワー工学、放電工学などの大電力を扱う分野をはじめ、 信号解析、静電気工学、医療機器、光応用計測、表面物理工学などの小電力を扱う分野の広範囲の電気に関する研究が行われています。
↑(神戸高専公式HPより抜粋)
応用化学科
応用化学科の学生は、 夢の機能を持つ新物質の開発、環境・エネルギー問題の解決など未来に貢献できる技術者になることを目標に、「物質の本質と化学反応」「化学反応の利用法」などを学びます。
電気、電子工学科が扱うエレクトロニクス材料のをはじめとする新素材や、エネルギ－物質の開発、バイオテクノロジーを利用した新しい物質の合成など、新物質、新素材の開発に関する研究が主に行われています。
また、物性をコンピューターを用いて解析するための情報処理技術なども応用化学科では学びます。
都市工学科
都市工学科は、いろいろな自然災害から都市を守る「都市防災」を学び、 人々が安全、快適で美しい「都市空間」をデザインする方法を学ぶ学科です。
都市工学かでは、主に社会基盤、自然環境の再生と創造、都市の防災・減災、また、建築士受験に必要な科目の勉強もできるようです。
実習では、測量実習、材料・構造実験、土質実験、水理・衛星実験、都市工学実験、設計製図が行われています。
特に、測量実習はよく学内で作業服を着た都市工学科の学生を見かけます。
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現役高専生からアドバイス！学校の雰囲気は?？
最後に、神戸高専を例に高専で行われる学校行事と、現役高専生からアドバイスをご紹介します。
神戸高専では、ハロウィン前後の土日に高専祭という、いわゆる普通校でいう文化祭が開催されます。
一般の高校で行われているクラス企画の出し物や出店に加えて、高専では各学科が専門知識を駆使して作り上げた作品を展示する科展示や、その他に文化部でもあの有名なロボコンに参加している部活動が実際にロボコン用に制作したロボットを制作していたり、そのほかの高専ならではの部活動の展示物も目白押しです。
(コスプレ大会の様子)
また、高専祭が開催されるのがハロウィン前後ということもあって、コスプレをしている学生も多くみられます。
中にはハイクオリティなコスプレもあったりして、高専祭の見どころの一つです。
また、高専祭終了後の後夜祭では、学生会主催の大規模な抽選会も開催されて、豪華景品を手に入れることができ、こちらも高専祭の学生の楽しみの一つです。
高専祭で大いにはっちゃける学生を見れば、高専の学生像というものがなんとなくつかめるかもしれません。
また科展示など技術的な工作の展示を見ることができるのも高専ならではです。
高専への進学を考えている中学生の方は一度高専祭に訪れてみてはいかがでしょうか。
↓(教室の様子)
高専祭のほかに、各学科4年時に研修旅行という学校行事が行われます。
秋ごろに、国内または海外の工業系の学生との交流を深めたり、各地の産業に触れるという目的でおよそ三泊四日の国内/海外旅行がクラスごとに行われます。
かなり自由に行動ができるので、仲のいいクラスのメンバーと一緒に旅行先を散策すれば、きっと大切な思い出になるでしょう。
↓(食堂の外観)
↓(食堂内部の様子)
↓(購買部の様子)
高専は、卒業後の就職率が非常に高いことで知られている一方で、留年・退学率も非常に高いことでも知られています。
留年率は普通科の高校に比べて留年率は10倍高いともいわれていて、実際僕自身も留年していく人を何人も見ました。
留年率が高いことの理由として、高専では数学の授業の進行が非常に早いことと、とても難しい専門科目があることがあげられるかと思います。
数学は二年生の時点で大学数学の範囲に触れることもありますし、専門科目でも深い数学の知識が必要になることもあるので、一般科の数学の授業に先行して、もっと先の範囲の数学を授業で教える学科もあります。
専門科目も非常にレベルの高い授業が展開されるので、話を聞きそびれると授業についていけなくなってしまうこともあるかもしれません。
そんな高専で留年を回避するためには、自分で図書館にある参考書を借りて勉強するなどの努力はもちろん、同級生と一緒に教え合いながらテスト勉強をして数学や専門科目に対する理解を深めたり、先生方も丁寧に教えて下さるので積極的に質問するようにしましょう。
また、高専の先輩方も同じ道をたどってきているので積極的に話しかけて頼るようにしましょう。
そのようにして僕は今まで高専で留年を回避してきました！笑
↓(日本庭園の紅葉と図書館、日本庭園に面した斜めの屋根の建物が図書館です)
↓(図書館内部の様子１、各専門誌などが置かれています)
↓(図書館内部の様子2,映画レンタル、映画鑑賞スペースがあったりipad貸出も行われています)
高専では頻繁に実習が行われていて、学科の授業や実習の一環でロボット作りや工作ができると思っている方も多いと思います。
実際は学校の授業は座学がほとんどで、僕自身が安易に想像していた授業中のロボット作りや工作などはあまりありませんでした。
高専にはロボコンやレスキューコンテストに参加している団体やソーラーカーを作り上げてレースに参加している団体、主にゲームなどの作成をしている部活動、小さなサッカーロボットを作っている部活などのマニアックな部活動が多々ありますので、高専でロボット作りがしたい！というような学生はこれらの部活動に所属するのもいいかもしれませんね！
↓(工場内部の様子、旋盤やフライス盤などはもちろん、5軸マシニングセンタなどの機械もあります)
↓(グラウンドの様子、とても広いです。他にテニスコートが二面あります。)
↓指定校推薦で関関同立最人気の同志社大学理工学部合格！
受験生のあなたへ
高専という学校は入学して卒業後は就職という進路の形をとるのであれば(高専学生の半数がこの進路を取ります)大学受験の必要もなく、ほとんど100％就職ができるという強みがあります。
ですが、その反面中学校卒業から自分の取ることのできる進路がかなり絞られるという面もあります。
高専の五年間をいかに有意義に過ごせるかは、この進路をいかに考えて自分が納得できているのかどうかが直結してくると思います。
高専進学を考えている中学生の皆さんは、目先の高専進学だけではなく、卒業後の自分のキャリアも見据えたうえで高専進学、学科の選択を行うようにしましょう。
興味を持っている方はHPを調べるか、直接武田塾板宿校にお問い合わせいただいても大丈夫です！
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