意外と知らない?
有効数字について考えてみる
こんにちは,武田塾北千住校です!
高校化学の勉強を始めるとき、最初に理解しなくてはいけない概念の一つに有効数字というものがあります。
理論化学・無機化学・有機化学のどの分野の問題を解くにしても有効数字は意識しなくてはいけませんし、大学で学習する「不確かさ」の概念にもつながっていきますので、理系選択の皆さんは是非マスターできるようにしましょう!
有効数字の定義
さて,最初に有効数字の定義から見てみましょう.
日本産業規格(以下JIS、最近日本工業規格から名称が変わりました)において有効数字は、
「測定結果などを表す数字のうちで、位取りを示すだけのゼロを除いた意味のある数字。」 |
(JIS K 022)と定義されています。
これだけでは意味が伝わりにくいかもしれませんので実例で考えてみましょう。
0.1gまで測れる電子天秤である物体の質量を測定したところ4.3gと表示されました。
これは物体の質量が4.3000……gであることを意味するでしょうか?
もちろん違います。
4.3gと表されたとき実際の質量は4.25gより大きく4.35gより小さいことを表しています。
この場合では小数第1位までは信用することができますが、それよりも小さな桁についてはもはやなんの意味も持ちません。
詳しくは後述しますが、有効数字は4.3、有効桁位は小数第1位、有効桁数は2桁となります。
さて、計算の都合上質量をmgで表現したくなることもあります。
このとき4.3gを4300mgと表現すべきではありません。
4300を書いていても実際に意味があるのは100の位までで、10の位と1の位は位取りを表すためのゼロです。
これらを分離して考えるために指数を用いて4.3 * 10^3 mgと表現します。
単に4300mgと書かれてしまうと1mgまで細かく測れる測りで測定した結果なのか100mgまで測れる測りで測定したものなのかがわかりません。
このような混乱を防ぐために4.300 * 10^3 と4.3 * 10^3を区別する必要があるのです。
有効数字を考慮した計算方法
有効数字という言葉の意味と、有効数字を考慮した数値の表し方がわかったところで,実際の計算問題ではどのように扱うかを考えてみましょう。
今回は最も多用する四則演算についてのルールを紹介します。
足し算と引き算
足し算と引き算では数字の有効桁位について注目します。
有効桁位とはどの桁まで数字があるかということを意味して、例えば「4.2」の有効桁位は小数第1位「0.82」の有効桁位は小数第2位となります。
加減法では有効桁位の最も大きいものに合わせるので、
4.2 + 0.82 = 5.0 (5.02の小数第2位を四捨五入)
4.2 – 0.82 = 3.4 (3.38の小数第2位を四捨五入)
というふうになります。
加減法では有効桁数は変わりうるということにも注意してください。
例) 5.8 + 9.5 = 15.3
上記の例では有効桁位は小数第2位のままなのですが繰り上がりによって有効桁数が3桁から4桁に変化しています.
掛け算と割り算
掛け算と割り算では数字の有効桁数について注目します。
有効桁数とは有効数字の桁数を意味します。
例えば「4.32」であれば有効桁数は3桁,「7.483 * 10^4」であれば有効数字は4桁ということになります。
乗除法では有効桁数の最も小さいものに合わせるので
4.32 * 7.483 * 10^4 = 3.23 * 10^5
4.32 / (7.483 * 10^4) = 5.77 * 10^(-5)
というふうになります.
基礎的なミスをおかさないためには
有効数字での四則演算は基礎的な内容として受験では扱われますが、意外と忘れたり、混乱していまいがちです。
本番でこのような基礎でつまずいてしまったら悔やんでも悔やみきれません。
そのようなミスをなくすために何が必要でしょうか。それは日々の復習です。
武田塾ではこの復習に重きを置いた勉強ルートにより、有効数字のような基礎の内容の抜けをなくします。
また、講師による勉強管理により、タイミングを見計らっての基礎の学び直しなど、他では怠ってしまうような重要事項を徹底して行います。
今の勉強に息詰まっている方はぜひ武田塾の無料相談へお越しください!
実際の計算では?
実際に計算問題を解くときには途中計算では有効数字を1桁多くとって計算しましょう。
例えば、
9.82 / 1.24 + 6.32 / 4.52
という計算をするときには割り算の計算では有効桁数4桁で計算して
7.919 + 1.398 =9.317
として最後に9.317の小数第3位を四捨五入して9.32としましょう。
ここで注意が必要なのは加減法では有効桁位をもとに計算を行うため,与えられた数値の有効桁数と解答の有効桁数は必ずしも一致しません.
例)9.82 / 1.23 + 6.32 / 2.31
= 7.919 + 2.736……(a)
=10.66……(b)
(a)では本来の有効桁数は3桁で有効桁位は小数第2位のところ,途中計算なので1桁多くとっています。
(b)は足し算の結果なので有効桁位を合わせます。10.655の小数第3位を丸めて有効桁位を小数第2位に合わせます。
その結果有効桁数は4桁になっています。このように計算によっては有効桁数が問題文の数値と解答で一致しないこともあります。
*化学勉強法に関する他ブログ
四則演算以外
四則演算以外の計算はどうでしょう.例えば自然対数(ln)やべき乗,ルートの計算です.
べき乗の計算は掛け算の繰り返しと考えることができるので,乗法同様に有効桁数に合わせて計算すると良いでしょう.
例)
4.32^2 = 18.7(18.6624の小数第2位を四捨五入)
自然対数とルートの計算については計算で用いる近似値が示されている場合がほとんどだと思いますのでそれをそのまま使うと良いでしょう.ただしルートの計算を近似値で行うと有理化をした場合としない場合で少し値が変わります.
例)
と近似してを求める.有理化すると
1 / 1.73 = 0.578
1.73 / 3 = 0.577
どちらも計算として誤りはありませんが、有理化の有無で3桁目が異なっています。
実際の問題では解答に有効数字が2桁必要な問題の時に近似値を有効数字3桁で渡すと思うので最終的にはどちらの方法でも構いません。
ただ、実際の計算では手計算(筆算)をすることを考えると有理化をしたほうが計算はしやすそうです。
まとめ
・加減法においては「有効桁位」を合わせる。 ・乗除法においては「有効桁数」を合わせる。 ・途中計算では有効桁数を1桁多く取って計算をする。 ・最後に有効桁数を問題に適した桁数に直す。 |
いかがだったでしょうか?
有効数字は,高校化学を学ぶ上で最初のハードルとなることも少なくありません。
この内容が皆さんの理解の一助となれば幸いです。
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