こんにちは!
武田塾河内松原校です。
武田塾は、数学の基礎力を養うための教材として、文系理系ともに基礎問題精講を推奨しています。
詳しく言うと、「基礎問題精講」+「合格る計算シリーズ」+「共通テスト対策用問題集を何冊か」をもってして共通テスト本番に挑むのが標準的なルートになっていますが、
軸として活用され数学の実力の基盤作りを一手に任されているのは、基礎問題精講です。
しかし、大きく難化した2022年の数学に恐れおののいて、「基礎問題精講だけで大丈夫なの?」と
不安になっている方も多いはずです。
今回は、平均点約38点と大難化した「共通テスト2022数ⅠA」と「基礎問題精講 数学ⅠA(五訂版)」の問題を比べながら、基礎問題精講でどれだけ補えるのかを検証してみたいと思います!
第1問 (必答)
〔1〕 第1章 数と式 (基礎問題精講で扱われている章を表記しています)
(1) 基本的な対称式の問題。p.12の基礎問5がよく似ています。
(2) 対称式に√を絡めた問題。p.13の演習問題5の(1)も同じように√が関わる対称式。
〔2〕 第4章 図形と計量
長い問題文に目が行きがちですが、実際に問われている部分はカンタンです。tangentの定義がわかっていて何が起こっているのかを理解できる冷静さがあれば、解ける問題。三角比の定義は、p.112の基礎問64。
〔3〕 第4章 図形の計量
(1) 超基本的な問題。正弦定理はp.129の基礎問76で扱っています。
(2) ABのとり得る値の範囲を求める際、ABとACの長さが円の直径以下になることを利用できたかどうかが、この問題の難しいところでした。この考え方を使う問題は、基礎問題精講にはありませんでした。
以上、小問集合の第1問でした。
〔3〕の(2)は、頭を柔らかくして考えなければいけない箇所があり、差をつけた問題だったかもしれませんが、
それ以外は基礎問題精講で似た問題を経験することができ、時間制限を度外視すれば正解も苦ではないと思います。
第2問 (必答)
〔1〕 第2章 2次関数
(1) 解の個数を求める非常に簡単な問題。p.68の基礎問39など。
(2) 2つの2次方程式の解の合計が3となるとき一方が重解になることさえわかれば、ただの判別式の利用。p.68の基礎問39など。あともう一つは、誘導に乗って計算するだけ。
(3) 2次関数の各係数の意味を問うような問題。明確に似た問題はありませんでしたが、p.48の基礎問26、p.49の基礎問27、p.50の基礎問28の考え方が正確にわかっていれば解くことができます。
(4) 第1章・数と式より、p.44の基礎問24のように、必要条件・十分条件の形で答えさせる問題です。
非常に難しい問題で、当然基礎問題精講に似た問題はありませんでした。一般的な必要条件・十分条件の問題とは違い、グラフによって視覚的に条件を把握できることを利用します。
〔2〕 第8章 データの分析
(1) 中央値や第〇四分位数、四分位範囲といった用語の定義、ヒストグラムとの関係性がわかっているかを問う問題。
p.214の基礎問131、p.216の基礎問132、p.218の基礎問133などの知識で対応できる。
(2) 箱ひげ図と散布図を照らし合わせる問題です。p.244の演習問題144は非常に似ています。
(3) 相関係数を実際に求めさせる問題。p.145の基礎問145。
(4) 散布図と相関の関係についての問題。p.240の基礎問143。
以上、第2問でした。
〔1〕の(4)は高い理解度を要する難しい問題でしたが、(3)までであれば基礎問題精講の知識で十分対応できる難易度だと思います。
必ず共通テストに出題されるデータの分析ですが、必要な知識と典型問題の形式が決まり切っているといっても
過言ではなく、基礎問題精講の難易度の域を出ることはないと捉えてもらって構わないと思います。
ということは、基礎問題精講をちゃんと理解していれば絶対に満点が取れる分野だということです。
共通テスト本番までになにがなんでも完璧にしておきましょう!
第3問 (選択)
第6章 順列・組み合わせ & 第7章 確率
(1) 正確に書き出して数えれば済む問題。この大問の導入。
(2) 誘導に乗りつつ(1)を活用すれば正解できます。
(3) (2)の誘導の通りに進めると5人の場合も難なく答えられます。
(4) 条件付確率を答えさせる問題。p.208の基礎問128、p.210の基礎問129。
基礎問題精講をしっかり理解できていれば解ききることができる難易度でした。
誘導に乗ったうえで何を求めているかを把握していれば、自然と答えにたどり着く問題だったと思います。
状況を自分なりに整理して書き出すのが重要かもしれません。
第4問 (選択)
第5章 整数の性質
(1) (ⅰ)は「625を2⁴で割った余りが1」を使うと、簡単に導き出せます。(ⅱ)は1次不定方程式の典型問題。
p.150の基礎問90で解法の流れがわかります。
(2) 誘導に沿って計算するだけです。
(3) (2)の利用の仕方が見慣れないものであり問題の全容を解読するのが難しく、基礎問題精講にもありません。
(4) (2)と(3)の流れを自力で再現させるような問題で、ここまでの誘導の意味を理解していなければ解けないでしょう。これを解ききるのは非常に難しいと思います。
(3)と(4)がとても難解な問題で、正答率も低かったと思われます。
だからこそ基礎問題精講の知識で解ける(1)と(2)は、絶対に落としてはいけない問題でした。
第5問 (選択)
第3章 図形の性質
(1) 重心の性質、チェバ・メネラウスの定理を利用する問題。これらはp.88の基礎問51、p.92の基礎問53、p.93の基礎問54などで得られる知識で解けます。
(2) 方べきの定理と(1)を用いれば解ける問題。方べきの定理は、p.96の基礎問56。
(3) (1)をうまく利用し応用する問題。着眼点がわかりにくく、難しい問題でした。
この応用の仕方は基礎問題精講にはありませんでした。
図形の性質の問題は、「条件や何を求めるかによって、どの公式を使うかをすぐに推測できるようにする」
ことが肝だと考えています。
そういった解答の一歩目は、基礎問題精講に『精講』として記載されているので、そこまで読み込んだ生徒なら
(1)と(2)は突破できたでしょう。
その必要な一歩目が大きく、思いつきづらいのが(3)でした。
まとめ
いかがでしたか?
第1問から第5問まで、すべての問題を基礎問題精講と照らし合わせてみました。
もし、基礎問題精講にない問題以外ををミスなく解ききれたとしたら、第1問で約21点、第2問で約27点、
第3問で満点、第4問で約9点、第5問で約17点とれた、ということになります。
第3問と第5問を選択していれば、85点です。
もちろんこれは時間制限を取っ払った話ですし、解けると言った中にも計算が大変な問題もあります。
人間ミスはつきものなので、さらに点数は下がってしまうでしょう。
ただ、平均点驚異の38点だった2022年の数ⅠAで、基礎問題精講だけで85点分も取りどころがあるという
考え方をしたら、どうでしょうか?
基礎を身につけるのが共通テストにとっていかに大事かがわかると思います。
ここで注意しなければならないのが、「基礎問題精講をやればいい」というわけではない、ということです。
『精講』を読み込み、自分の中で解法のパターンを整理し、基礎問題精講の問題であれば何でもすらすら解ける
というレベルまで身につけてはじめて、85点に手が届くのです。
「基礎問題精講だけで大丈夫なの?」という不安を抱いてしまう気持ちもわかりますが、それはいったん置いておいて、
まずは「一冊を完璧に」することに全力を尽くしてみることをオススメします。
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