こんにちは!
松原市大学受験予備校・個別指導塾
武田塾河内松原校 校舎長の木村です。
本日は、私の母校でもある同志社大学の入試科目の中から英語の特徴や傾向についてお話したいと思います。
よりわかりやすく説明するために、実際の入試問題も例に交えながら説明していきたいと思います!
「難関過去問シリーズ 同志社大の英語第九版」の第1章の①を例に解説していきたいと思います。
2020年度社会・理工学部の問題で内容は犬の感情にまつわる話です。
解いたことがない方に向けても説明できるよう進めていくので、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
また、直前期ならではの取り組み方や今から使用するのに適した参考書も紹介していきます!
①全体の特徴
同志社英語が読みにくい理由
同志社の英語は英字雑誌や論文から概ね修正を加えずに出題されているため、文章の難易度は比較的高いです。
このことが参考書や他大学の英文を読み慣れている受験生にとって同志社の文章がやけに読みにくく感じる原因の一つだと言えます。
言語の表現方法として、一文が長ければ長いほど綺麗な文章とは限りませんが、短文の繋ぎ合わせではどうしても稚拙に見えてしまいます。
関係代名詞が良い例です。
I bought a novel. It was written by Osamu Dazai.
という文章と
I bought a novel that was written by Osamu Dazai.
前者は子どもっぽいのに対し、後者は綺麗ですよね。
英語関係の書物は当然ネイティブに向けて書かれた文章のため、前者のような稚拙でリズムの悪い文章は避けられ一文が長くなってしまうのです。
小説のようないわゆる”美文”とは異なるので、やたらと長い割にテンポ感の悪い文章もたくさんあります。
そのため、教科書に即した学習をしてきた読解経験の乏しい英語慣れしていない受験生からすればどうしても読み辛くなってしまうのです。
以上のことを念頭に置き、たくさんの文章に触れて読み慣れてほしいと思います。
対策
一番の対策は過去問演習です。
幸いなことに関西の私大は全学部・個別で問題に差異がなく、ここ数年傾向の変化も見られないため演習の材料は山ほどあります。
ちなみに2006年まで遡ってみましたが、問題構成は見事に同じでした。
過去問の有効な使い方
過去問演習後の復習で特に注意してほしい点は、
①知らない単語を単語帳で調べる
②赤本の解説を鵜呑みにしない
③丸付けは正誤のみで留める
の三つです。
一つずつ見ていきたいと思います。
①知らない単語を単語帳で調べる
解き終えていきなり丸付けするのではなく、まずはわからなかった単語を普段から使用している単語帳で調べてみて下さい。
■単語帳に載っている
↓
意味がわかれば解けるのか確認
↓
解ければ問題は語彙不足(単語ノート作り推奨)
解けなければ原因は他にある→別の対策が必要。
■単語帳に載っていない(注釈も無し)
↓
文脈推測が必要。
入試当日、知らない単語は必ず出てきます。
普段の演習から文脈判断する癖をつけるためにも、あえて覚えずに推測する練習をして下さい。
何でもかんでも語彙不足で片付けてしまえば勉強自体は楽ですが、読解力の向上に繋がりません。
知らない単語を文章の論理展開からイメージし、文章の要旨を摑むことこそが”読解力”です。
語彙レベルに関してですが、一般的な単語帳一冊を完璧にするだけで十分に戦えます。
実際に問題を解いていくと
「こんな単語知らんわ...単語レベル上げるぜ!」的な考えに陥り、2冊目の単語帳に手を出そうとする受験生がいますが、間違いなく時間の無駄です。
ただし、使っている単語帳は何周もし、何を聞かれても即答できるまで仕上げて下さい。
シス単であれば派生語まで完璧に覚えてようやくスタートラインに立てたと言えるでしょう。
実際、3章や4章の派生語からの出題も多く見られます。
例えば、「adopiton」という単語が含まれた文章の意味が問われ、選択肢に「adjust to~」という文章が含まれている問題がありました。
選択肢はどれも同じような文章のため、adapt=adjust≒adoptと曖昧に覚えている人は間違えるように作られています。
adoptionには「養子」という意味があり(シス単に黒字で記載)、それを表している選択肢が正解になっていました。
文脈から推測するのも非常に困難な問題だったため、単語帳を網羅出来ていない人は落としてしまうでしょう。
同志社の合否は上のような問題を取れるかどうかで左右されると言っても過言ではないため、単語が怪しい人は何周もして隅々まで覚えてほしいと思います。
②赤本の解説を鵜呑みにしない
後ほど詳しく説明しますが、同志社では下線部語句一致問題が出題されます。
その単語レベルが明らかに同志社レベルを逸脱している場合でも、赤本の解説には語句の意味しか書かれていないことが多々あります。
しかし、そうした設問で求められていることは推測力なのです。
①の内容と重複しますが、単語をゴリゴリに覚えていく脳筋丸出しの勉強は今すぐやめ、「どうすれば答えを導き出せたのか?」「どこを見れば正解にたどり着いたのか?」を考えるようにして下さい。
その方法については大問ごとの解説で詳しく見ていきたいと思います。
③丸付けは正誤のみで留める
このやり方は非常に重要です。
どういうことかと言うと、
解答→丸付け→不正解→正しい答えを確認→復習
のやり方では復習の質が低くなってしまいます。
この方法では正しい選択肢を探すための復習になってしまうため、自分でもう一度考えてみるという非常に重要な過程が抜けてしまいます。
上のプロセスの「正しい答えを確認」は省きましょう!
例えば、選択肢が①~④まであるとして、②が正解で④を選んでしまったとします。
そこで正解である②をプリントなりノートなりに書き込んでしまうと、どうしても②の答え探しになってしまい、「④が間違いならどれが正解なんだろう?」という再び考える工程が抜けてしまいます。
余計な先入観を持った答え探しは「読んで理解するだけ」で終わってしまうため、復習の質が圧倒的に低いのです。
また、そうした復習方法をする受験生は自分で考えることなくいきなり解説に目を通してしまうことも多いように思います。
ぜひ正しい答えと解説を読む前に「自分でもう一度考えてみる」というステップを踏み、その考えが合っていたかどうか解説で確認することにより復習の質を上げてほしいと思います!
※同志社大学(当時は同志社英学校)を設立した新島襄です。
日本史の試験で出てくることがあるため、年号(1875年)と合わせて覚えてしまいましょう!
②問題構成
長文2題(1題辺り700~1000字程度)
会話分1題の計3題で構成されています。
多くは選択問題ですが、
和文英訳と英文和訳がそれぞれ1題ずつ出題されます。
試験時間は100分です。
では、各大問ごとの特徴を見ていきましょう。
大問1.2長文読解
A.空欄補充2~3問
→各2点
B.下線部語句一致5~8問
→各2~3点
C.下線部内容一致4問
→各3点
D.整序問題1問
→各5~7点
E.本文内容一致問題3問
→各6~8点
F.英文和訳1題(大問1、2のどちらか)
→15~20点
※各設問の配点は公開されていないため、点数は目安です。
ご覧のようにABCの配点は低く、DEFは高くなっていますが、難易度はBを除いてDEFの方が易しい傾向にあります。
そのため、ABCの知識問題での多少の失点は仕方ないと割り切り、DEFを完答できるようにしましょう!
また、全ての問題に共通することですが、空所や下線部が来ても一旦は無視して読み進め、問われている箇所のイメージを摑んでから問題に取り掛かるようにしましょう。
A.空欄補充
前置詞、接続詞などの論理展開を表す単語を選択肢4つの中から選ぶ問題です。
単純に知っているだけで解ける知識問題、文脈から考えて最も適切な単語を選択する文脈系問題が中心です。
前置詞の場合、その前置詞の役割をイメージすることが重要です。
前置詞の役割を正確に理解しておくことは同志社の英文に限らず、本文中の難解な動詞を推測するのに非常に役立ちます。
知識問題であれば速読英熟語からの出題が多いため、単語帳と同様こちらも完璧に仕上げましょう。
文法書のイディオム範囲でもOKです。
単語帳や文法書に載っているような有名な表現は確実に押さえておきたいですが、配点は2~3点と低いため、わからなければ次の問題へ進みましょう。
新島襄の妻、新島矢重です。
2013-2014年の大河ドラマ『矢重の桜』で綾瀬はるかさんが新島矢重、オダギリジョーさんが新島襄を演じ話題になりましたよね。
ちなみに私はこの年の受験生だったのですが、八重の桜の影響で志願者数が爆発すると言われていましたが見事に例年通りでした。
B.下線部語句一致問題
ここでの下線部語句一致問題は該当単語と最も意味の近い単語を4つの選択肢から選びます。
主に下の2パターンでの出題が多いです。
①知識問題
②文脈推測問題
①は非常に単純で下線文の単語と選択肢を見ただけで答えられる問題ですが、必ず本文中の内容と照らし合わせ、文脈上適切かどうか判断する癖をつけておいて下さい。
単語には様々な意味があります。
単語帳に記載されていない意味で使われていることもあるため、単語だけで判断するのはやめましょう!
②の文脈推測は難解な文章を理解する際にも必要な力です。
実際の問題を例に見てみましょう。
冒頭で言った通り、2020年社会・理工学部の問題を例にします。
まずは本文と選択肢を見てください。
※青字の単語の意味が問われています。
In March, reports circulated about another Russian dog that had stayed for a year at the spot where his owner died in a car crash. He became known as the "Siberian Hachiko."
選択肢
①confirmed ②cost ③rounded ④spread
circulateはシス単には名詞で「circulation=循環」と載っています。
ぱっと見た感じ、③のroundedがラウンド=回ると連想して何となく答えになりそうですよね。
しかし、根拠の無い解答はやめましょう。
答えの根拠=ヒントは必ず本文中に隠れています。
この本文をしっかり見ると、「ニュースがthat以下のロシア犬についてcirculateした。その犬はシベリアのハチ公として知られるようになった」とあります。
ニュースが犬についてcirculateした結果、その犬はシベリアのハチ公として知られるようになった。
ここで選択肢の意味を一つひとつ見ていきましょう。
①確認した
②(お金が)かかる(かかった)
③?(シス単に不記載)
④広めた
こう見れば明らかに④しかないですよね。
ここで見るべきポイントは赤字の「ニュース」と「知られるようになった」です。
以上のように解答の根拠となるポイントを探し出す力をつけ、出来るだけ失点を防いでいきましょう。
突然身につく力ではないため、過去問演習後の復習の仕方が重要になります。
演習後は必ず「本文のどこを見れば良かったのか?」を確認するようにして下さい。
毎冬恒例のイルミネーションです。
写真ではとても綺麗に見えますよね。
ぜひ合格して来年の冬、真下から見上げてみて下さい。
「おっ...おおお...」となるでしょう。
C.下線部内容一致問題
下線部内容一致問題では本文中から抜粋された文章と最も意味の近い文章を4つの中から選択する問題です。
パターン例としては下の2つが主です。
①文章一致型
②本文推測型
①は問題文と選択肢だけを見て解ける単純な問題ですが、出題頻度は低いです。
②は下線文の文章は一旦無視し、前後の論理展開から最も適切な選択肢を選びます。
①のパターンを実際の入試問題を例に見てみましょう。
※2018年2月5日実施(全学部文系)から
■下線部文章
registered deep concerns about food fraud
※「fraud=詐欺」は注釈つきです。
■正解選択肢
expressed grave worries concerning food fraud
registered=expressed
deep concerns=grave worries
about=concerning
と単純な言い替え問題です。
語句の意味さえ知っていれば解けるため絶対に正解したい問題ですが、出ても一題のため基本は②の文脈推測だと思って読み進めて下さい。
文脈推測は下線部の意味が理解出来なくても一つ一つの選択肢を本文にあてはめ、前後関係や文章全体から判断すれば取れる問題がほとんどです。
検討がつかない時は飛ばして読み進めてみて下さい。
二段落、三段落と進んでからようやくイメージが摑めることもよくあります。
今出川キャンパスの入口の一つです。
入口と改札口が直結しているため、突然の雨でも無双できます。
D.整序問題
1問約6~8点と配点が高く、差がつきやすいポイントでしょう。
日本語は書かれていないため、前後の文章から内容を大方推測し、次は品詞、時制、態といった文法の観点から骨格を作るようにしましょう。
大問1、2と合わせると約15点あるため、ここは参考書を使って対策しておくことをお勧めします。
「英文法ファイナル標準編」
「英文法ファイナル難関大学編」
の整除問題のみ取り組んで下さい。
難関編は早慶レベルの問題でオーバーワークと思われがちですが、配点の高さを考慮するとこれぐらいするのがちょうど良いかと思います。
E.内容一致問題
現代文でも同じような問題が出題されるのですが、選択肢7~10個の中から正しいものを3つ選べという問題です。
配点は1つ5~7点と高く、大問1、2と合わせると計30点~40点ほどあるため、確実に完答したい問題です。
この問題への取り組み方としては1段落読み終わるごとに選択肢を見、その時点で切れるのであれば切り、まだわからない場合には△印をつけ、確実に正解だと思われる場合には問題用紙に丸をつけておいて下さい。
配点が高い割に文章が正確に読めていれば容易に完答できる非常に素直な問題のため、ここは絶対に押さえておきたいです。
普段の過去問演習から各選択肢が正解、不正解の理由を言えるようにしておきましょう!
F.英文和訳問題
同志社の英文和訳は下線部が引かれた本文中の文章を訳すオーソドックスな問題で配点が約10~20点と非常に高いですが、内容は易しいです。
ただし、使われている構文を無視して訳してしまうと半分は減点されるでしょう。
※英訳、和訳ともに減点方式です。減点方式とは予め持ち点(配点)が決められており、単語の意味の取り違い、スペルミスなどの間違えがある度に数点減点されていく採点方式です。
ここに関しては特別な演習を積むことなく、過去問のやり込みで十分満点を狙えます。
練習の段階で全く歯が立たなくても、何かしら自分の手で書き、解説を読んでどこが間違っていたのか確認するようにしましょう。
また、「これぐらい書かなくてもわかるだろう」と考えるのは絶対に避けて下さい。
主語や指示語の省略は減点対象となり得るため、丁寧すぎるぐらいがちょうどいいです。
意識としては、第三者が解答の日本語のみを読んで何の話をしているのか理解できるぐらい丁寧に書きましょう。
よくある減点対象としては仮定法の訳し方です。
助動詞の過去形が入っていればほぼ確実に仮定の話のため、「~だろう」というような訳し方をして下さい。
また、時制にも気をつけるようにして下さい。
構文が取りにくい時はまずは「述語動詞」を探して下さい。
述語動詞は100%現在形か過去形です。
何もついていない(be動詞のない)ing系や過去分詞などの「準動詞」に惑わされることなく、まずは文章の骨格となる述語動詞から探すようにして下さい。
基本的には解釈の学習が済んでいれば和訳対策は不要ですが、日本語を書くのが苦手で特別な対策を講じたい人には下の参考書がオススメです!
「英文和訳演習 入門篇」
こちらのシリーズは入門→基礎→中級→上級とありますが、同志社の和訳であれば入門、基礎篇までで対応可能です。
受験生がしがちな誤訳例や設問以外の解説も豊富なため、精読の練習にもなるでしょう。
注意するポイントとしては、和訳練習の参考書のため必ず書き出すようにして下さい。
頭の中で考えているのと実際に書き出すのとでは異なることがよくあります。
自分が間違えているポイントをしっかり把握し、潰していくためにも時間を掛けてでも書き出すようにしましょう!
大問3.会話
一般的な会話空所と和文英訳問題が1題出題されます。
空所は満点、和文英訳も8割は狙いたいです。
構成は
空所補充 8問×4~5点
和文英訳 1問×10~20点です。
A 空所補充
同志社の会話空所は標準的なレベルで特別な会話表現を知らなくても解ける問題がほとんどです。
そのため、特別な対策は不要で過去問のやり込みで十分満点を狙えますが、他大学に比べ長いことが特徴です。
9つの選択肢の中から文脈上最も合うものを選んでいく形式です。
前後の発言に注目するのはもちろんのこと、その次の発言まで見るようにしましょう。
長文の空所補充でも言えることですが、先へ先へ進めて初めてイメージが浮かび上がってくるケースはよくあります。
そのため、空所にあたってすぐに選択肢を見るのではなく、自分で入りそうな内容をイメージし、次の文を読み進め、それから選択肢を見るようにして下さい。
それでもわからない場合は飛ばして読み進めましょう。
コツとしては、空所後の相手の答え方に着目して下さい。
例えば、相手が「I will do it.~~~」と答えていた場合、空所では何かすることを勧めているのかな?と想像できます。
稀に落としても仕方の無い難問が紛れ込んでいますが、難易度は長文読解と比べると易しいため基本は満点を狙いたいです。
B 和文英訳
英文和訳と同様、減点方式です。
どれだけ拙い文法を用いても、英文に誤りが無く意味が通じていれば満点を貰えます。
和文英訳なんて言うと堅苦しいイメージが先行しがちですが、要は英語という言語を使って相手に伝えればいいだけの話で難しく考える必要はありません。
例えば、「自己発見」というフレーズが入った英訳が出題されたことがありました。
自己発見…?と固まる必要はなく、「自己発見=自分を知る=know myself」と考えればいいのです。
もし行き詰った場合は、大問1、2の長文から何か使えそうな表現を探してみるのも一つの手です。
難しい表現は求められないため、余裕がある人は下の参考書で頻出の表現を暗記してしまいましょう!
時間が無い場合は過去問演習のみでも十分戦えますが、文法の漏れは確実に無くすようにして下さい。
まとめ
色々と説明しましたが、同志社の英語は非常に良問です。
読めれば解ける、読めなければ解けないとはっきりしています。
ぜひ過去問をやり込み、たくさんの文章に触れて読み慣れてほしいと思います!
今回は以上となります。