皆さんこんにちは。武田塾春日井校の森山です。
「理系のための英文法再入門」第2回目は「5文型」を取りあげます。
「5文型」(「基本5文型」と呼ばれることも多い)とその活用法は、明治以来の日本における英語と英語教育の研究が作り上げた、「英語 ⇔ 日本語 変換マシーン」です。「5文型」とその使い方をしっかり理解することで、相当程度機械的に英文を日本文に変換することが出来ます。
(本ブログのメインのネタ本である「英文法再入門」の著者、澤井康佑氏の受け売り。また、「5文型」そのものは日本人の発明ではありません)
基本4品詞とその他の品詞、文法用語を少し
本題に入る前の準備として、最も基本的な4つの品詞とそのほかの品詞、それにいくつかの文法用語を確認しておきます。
1つの単語が、いくつかの(異なった)品詞として使われることがよくあるので注意しましょう。
I’ve caught a cold because it was very cold yesterday,
名詞 形容詞
形容詞は名詞を修飾(modify)します。今、a boy といった場合、世界中にいっぱいいる男の子のうちどの男の子でも、という意味になります。
一方、a tall boy というと、ただの「男の子」ではなく「背の高い男の子」となり、その範囲を限定(determine)することになります。このため修飾語(Modifier)ではなく限定詞(Determiner)と呼ばれることもあります。
文の要素
上記の「品詞」は文を構成する「部品」としての説明でした。ここでは文を作りあげる上で、文の中での役割に着目した要素とその名称について述べます。
英語と日本語の文の構造の違い
さあ、いよいよ本題に入ります。
「伯父さんが僕に万年筆をくれた」という日本語の文を英訳すると、
My uncle gave me a fountain pen.
S V O1 O2
となります。
日本語では、「伯父さんが」「僕に」「万年筆を」「くれた」という4つの部分(文節)の順番をどのように変えても、(多少不自然にはなるものの)意味は変わりません。
これは、日本語には「が」、「に」、「を」のような助詞という品詞が存在するおかげです。
一方、英語には助詞などという便利なものは存在しません。
S、V、O1、O2 の順番を入れ替えると、まったく意味をなさないか、文法的に成立しても意味が変わってしまいます。
このため英語では(基本的に)S、V、O、C の順番は変わらない(変えられない)のです。
この語順は、動詞とその用法(別の言い方をすると話者(筆者)が何を表現したいか)で決まります。
数学的に順列・組合せを考えると、30通り近くの組合せがあり得るのですが、実際にはわずか5種類(5つの文型)で済んでしまいます。考えてみるとこれはとんでもないことです。
すべての英文がわずか5つの文型に当てはめるだけで解釈できてしまうというのですから、文型によって決まった順番で並んでいる英文の各要素(S、V、O、C)を、適切な助詞を補って決まった順番で並べ替えれば日本語訳が完成します。まさに「英語 ⇔ 日本語 変換マシーン」です。
5文型
では順番に見ていきましょう。①②・・・ は、日本語に訳すときの(最も標準的な)順番です。
第 1 文 型 |
① ② [名詞] [動詞] He runs. 彼が(は) 走る。 S V が/は ~する |
第 2 文 型 ① |
① ③ ② [名詞] [動詞] [名詞/形容詞] My father is a teacher. 私の父は です 教師 S V C が/は だ |
第 2 文 型 ② |
① ③ ② [名詞] [動詞] [形容詞] Mr. Tanaka is very polite 田中さんは です とても礼儀正しい S V C |
第 3 文 型 |
① ③ ② [名詞] [動詞] [名詞]. Genji loves Murasaki. (光)源氏は 愛している 紫の上を S V O が/は ~する を/に |
第 4 文 型 |
① ④ ② ③ [名詞] [動詞] [名詞] [名詞] My mother taught me the truth. 母さんが 教えてくれた 私に 真実を S V O1 O2 ~が ~する ~に ~を |
第 5 文 型 ① |
① ④ ② ③ [名詞] [動詞][名詞][名詞/形容詞] Tom named his dog Tanjiro. トムは 名付けた 彼の犬を 炭治郎と S V O C ~が ~する ~を (だ)と/~に |
第 5 文 型 ② |
① ④ ② ③ [名詞] [動詞] [名詞] [形容詞/名詞] His announce made us happy. 彼の発表は ~した 私たちを 幸せな(状態) S V O C ~が ~する ~を ~に/(だ)と |
第1文型は、〈主語+動詞〉だけで文が完成する最もシンプルな文型です。実際には次のように主語や動詞以外の情報が加わる方が普通です。
He smiled at me.
(彼は私にほほえんだ)
また、次のように場所や時を表す情報を加える必要がある場合もあります。 My aunt lives in Hokkaido.
(私の叔母さんは北海道に住んでいる)
The plane departs at ten-fifteen.
(飛行機は10時15分に出発する)
第2文型は、〈主語+動詞+補語〉の形をとり、おおざっぱに言って、主語=補語の関係があります。
補語になれるのは名詞と形容詞ですが、形容詞を補語とする動詞がほとんどで、名詞を補語にとる動詞は be, become などごくわずかです。
名詞を補語とする場合、主語と補語とを入れ替えても(意味を変えずに)文が成立するのが一般的です。
第3文型は、〈主語+動詞+目的語〉の形をとり、目的語は動詞の働きを受ける対象を表します。目的語となる品詞は名詞だけです。
第2文型で名詞を補語とする場合、第2文型、第3文型ともに〈主語+動詞+名詞〉という形をとることになります。
この場合、主語とその名詞の関係を考えることで第2文型か第3文型かを識別することができます。主語=名詞の関係が成立するときは第2文型、それ以外なら第3文型と考えておおむね間違いありません。
第4文型は、〈主語+動詞+目的語+目的語〉の形をとり、最初の目的語(O1)が「人など」、後ろの目的語(O2)が「物など」を指し、「人(など)に物(など)を~する」(~は動詞による)を表す文型です。
目的語となる品詞は名詞だけです。動詞が表す動作を受け取る側を表す目的語(O1)を間接目的語、動作の直接の対象となる物を表す目的語(O2)を直接目的語と呼びます。
第5文型は、〈主語+動詞+目的語+補語〉の形をとり、目的語と補語の関係は、第2文型における主語と補語の関係と同様の関係を持ちます。
このため、第2文型の補語を「主格補語」、第5文型の補語を「目的格補語」と呼びます。
補語になれるのは名詞または形容詞ですが、第5文型で名詞を補語とした場合、第4文型、第5文型ともに〈主語+動詞+名詞1+名詞2〉という形をとることになります。
この場合も第3文型の説明で述べたように、2つの名詞の関係を考えることで第4文型か第5文型かを識別することができます。名詞1=名詞2の関係が成立するときは第5文型、それ以外なら第4文型と判断することができます。
以上駆け足で5文型の形式について説明してきましたが、ほとんど例文もつけていませんし、その文型をとる動詞にどのようなものがあるかもまったく述べていません。必ずお手元の文法参考書で確認して下さい。
また、動詞の中には複数の文型をとるものも相当数存在します。これについてはぜひ英和辞典を活用して下さい。各種の辞書ごとに工夫を凝らした形式で(統一してほしいと思わなくもない・・・)、どの文型をとり得るか、その場合どのような形になるのかが説明されています。例文もたくさん載っています。
倒 置
先に「英語では(基本的に)S、V、O、C の順番は変わらない(変えられない)」と述べましたが、「基本的に」ということは例外があるということです。それが「倒置」です(入試で問われることも多い)。
ですが、5文型の語順が頭に入っていれば、文章を読む際に、「まずは主語になる名詞があって、動詞があって ・・・」「あれ、突然副詞が出てきた。主語がない!」と、異常に気づくことができます。倒置にはだいたいパターンが決まっており、そのパターンを理解していれば読み解くことができます。
「例外」ではありますが、それには当然理由があります。
「強調するため」というのが一番多い理由ですが、第4文型や第5文型で(間接)目的語に修飾語句が付いて長くなってしまったため後ろに回す、というのもよく見かけます。
「XXが文頭に来たため、V S と倒置された」という説明をよく見かけますが、これはちょっと違います。
「XXを強調したい → XXを文頭に置く → V S と倒置」という順番であることを意識して下さい。単体の文ではなく「文章」を解釈(筆者の意図を把握する)する上で重要なことです。
では、パターン別に見ていきましょう
否定語句が文頭にくる場合
never, rarely, hardly, only などの否定的な意味を持つ副詞が文頭に置かれると、Yes/No 疑問文の形の倒置が起こる。
Never have I seen such a large diamond.
(こんな大きなダイヤモンドは見たことがない)
Hardly does he play the piano.
(彼がピアノを弾くことはほとんどない)
副詞(句)が文頭にくる場合
場所や方向などを表す副詞(句)が文頭に置かれると、主語と動詞の位置が入れ替わる。これは Yes/No 疑問文の形の倒置とは異なることに注意。この場合、倒置されて最後に来た主語が強調されている場合も多い。主語が代名詞である場合には、この形の倒置は起こらない(代名詞が指すもの(人)は衆知のことなので強調してもしょうがない)。
In my bag was his mechanical pencil.
(私のバッグの中にあったのは彼のシャープペンシルだった)
C V S (C S V もあり)
補語になっている形容詞が文頭に出ると、主語と動詞が入れ替わる形の倒置が起こることがある。このような倒置が起こるときは、主語となる名詞に前置詞句や関係詞節などの長い修飾語が付いている場合が多い。
How beautiful is the view from the top of the mountain!
(その山の頂上からの景色はなんて美しいんだ)
*(感嘆文で倒置が起こっている)
強調のため補語が文頭に出ている場合(これも倒置の一種ではある)でも、主語が比較的短い場合には、主語と動詞の倒置は起こらない(C S V)。
O V S (O S V もあり)
強調のために文頭に出た目的語に no, not, little などの否定語が含まれていると、Yes/No 疑問文の形の倒置が起こる(上記1.の場合と同様)。
No hope did I have at that time.
(当時、私にはまったく希望がなかった)
否定語が含まれていない場合は主語と動詞の倒置は起こらない(O S V)。
S V C O
第5文型で、補語が短く目的語が長い場合によくみられる。補語は名詞でも形容詞でも起こるが、形容詞の場合は、動詞と直接結びつかないので、すぐに倒置であると見抜けるはず。
Don’t leave undone what you ought to do.
(やるべきことをやらずにほって置くな)
仮定法の条件節で if を省略した場合
仮定法の if 節の if を省略すると、後ろの主語と動詞は倒置され、疑問文と同じ語順になる。主節の動詞の形から仮定法であることがわかれば、この倒置を見抜くのは難しくない。
Were I you, I would buy that car immediately.
(僕だったらすぐにその車を買うだろう)
上記以外にも倒置が起こるケースはありますが、それほど頻度が高くないので省略しました。興味のある方は、「ポレポレ英文読解プロセス50」や、文法書で研究してみて下さい。
第2回は以上です。今回も長い記事になってしまいましたが、最後までお付き合い下さり、まことに有り難うございました。繰り返しになりますが、文法書や辞書を使っての確認は必ず行って下さい。すべてを1回で暗記する必要はありません。折に触れ何度も見ることで自然に定着していきます。
では次回のブログでお会いしましょう。
【参考文献】
澤井康裕 著 英文法再入門 中公新書
大岩秀樹 著 大岩のいちばんはじめの英文法 超基礎文法編
東進ブックス(裏表紙の見返しにある「基本5文型」の図はよく考えられていると思います)
石黒昭博 監修 総合英語 Forest(フォレスト) 桐原書店
(各品詞ならびに文の要素の説明は主にこの本を参考にしました)
西きょうじ 著 ポレポレ英文読解プロセス50 々木ライブラリー
(倒置に関するパターン分けと説明は主にこの本を参考にしました)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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