【はじめに】古文が読めない理由…本当に単語・文法知識の抜けだけでしょうか?
こんにちは!武田塾柏校です。
皆さん、古文は好きですか?多くの人が、「嫌い」とか「そもそも何で勉強しないといけないのか分からない」という声を発してくれるのではないかと思います。それもそのはず、古文は、現在私たちが使用している日本語とは全く違ってきます。単語、文法共に全く違って来るのです。単語であれば、古文の「見る」とは、英語のseeとかlookの意味じゃないんですよね。なぜか「結婚する」という意味になる…
文法であれば、「る」・「らす」・「す」・「さす」・「しむ」…という風に、助動詞などを順番に覚えていく事になります。
これだけでも、既に「覚えることが沢山あって辛いなあ」という方がいるかもしれません。武田塾でも、古文を勉強するならば、始めに必ず単語と文法を覚えて貰います。そう、古文はまさに英語のようなもの。現在の日本語とは全く違う、すなわち外国語を学ぶようなものです。
それならば、単語と文法を学べば、古文はだいたい読めるようになる!と思った、アナタ、それは少し違うのです。次の一文を読んでみて下さい。
「いづれの御時にか、女御・更衣・あまたさぶらひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」
何を隠そう、今NHKの大河ドラマでも話題の『源氏物語』から最初の一文を引っ張ってきています。これを訳せますでしょうか?
多分皆さんは、
「あまた」は"たくさん"、「やむごとなき」は終止形が「やむごとなし」だから"高貴な”、「ときめき」は終止形は「ときめく」だから"寵愛を受ける”って意味だよな…っていう感じで、覚えた単語の知識を活かそうとするのではないでしょうか。
そしえ、「御」は尊敬語、「給ひ」は、四段活用だから尊敬語、そして敬意の対象は動作の主体に行くから…という形で、文法の知識も使ってくれるかと思います。
では、これはどうでしょうか?
「女御」、「更衣」って何でしょうか?そもそも何と読むか分かりますか?
「時めく」っていうけど、誰から寵愛を受ける、愛されるのでしょうか?そもそも、この一文から、物語の場面が思い浮かびますか?
【結論】古文の世界は、今より約1000年前の日本のお話!今の常識は通用しない。だからこそ古文常識を覚えていこう!
実は、古文というものは単語と文法だけ極めても、文章をそのまま訳すこと(=直訳)しか出来ないのです。
それだと、「で、この文章は何を描いているの」という肝心要の部分を掴む事が出来ません。そして、場面を掴む事が出来なければ、登場人物たちによる行動や会話の意図も掴めず…という事になりますよね?
古文の世界は、今の日本では考えられないような出来事が次々と起こるのです。
普通、愛する人が病気に罹れば、今ならば病院に連れていきますよね?お医者様に診て貰いますよね?
けど、約1000年前の古文の世界では、そんな事はしない。
まず仏様にお祈りします。阿弥陀仏パワー、仏教パワーにすがるわけですね。そして、いかにも怪しげな僧侶や巫女(みこ)を呼んできて、お祓い(おはらい)をして貰うわけです。
んなアホな(笑)と思うかもしれません💦けど、約1000年前ですよ。まだ全然、医学が発展してない時代です。(だからこそ平均寿命も、40代ほどと今よりずっと短かった)神様や仏様にすがるのが精いっぱいの時代でした。それに、昔は、怨霊(おんりょう)といって、未練を残して亡くなってしまった人々の霊が現世に残り、人々を呪うと考えられていました。いわゆる祟り(たたり)というものが、当たり前に考えられていたのです。
こんな奇怪摩訶不思議な世界が広がっているのが、古文なのです。
こうした古文の世界観をまとめた知識を「古文常識」と言います!
古文常識は、古文単語帳の巻末や、古文常識をまとめた参考書として、知識がまとめられている事が多いです!
こうした世界観を知らずして古文に挑めば、どんなお話かよく分からずに読み進む事になります。逆に、それらを知識として貯め込んでいけば、どんな場面かを掴めるだけでなく、先の展開も何となく予想できるようになって来るのです。
では、どんな知識を貯めておくと、古文読解の際に便利なのか?
折角ですから、今回は3つほどピックアップして、古文常識というものをお伝えしていこうと思います。
こんな事を知っておいて欲しい! 知っていて損はない古文常識3選
①華やかな平安貴族の世界 けど男たちは、今日も権力闘争に明け暮れる
まずは平安貴族の世界をお話します。
平安貴族と言えば、京都の平安京において華やかな生活を送っていた…そんなイメージがあるかもしれません。
でも覚えておいて欲しいのは、約1000年前の世界は、身分が絶対という事です。身分が上の人間とは結婚も出来ないし、逆らう事も許されません。
平安京において、身分のトップに立っていたのが「帝(天皇)」でした。日本史だと、推古天皇、聖武天皇辺りが有名でしょうか。
「奏す」という言葉をご存じですか?この言葉は、帝に何か申し伝える際に用いられる謙譲語の一つです。天の命を授かった帝は、唯一無二の絶対的な存在だったんですね。
そして、その下では、帝をお支えする公卿(くぎょう)たちが、太政官(だじょうかん)で日々の政治を行っていました。彼らもまた、自らの身分を表す「官位」を所有していました。従三位(じゅさんみ)とか正二位(しょうにい)といったものです。この官位を下に、彼らには太政大臣や左大臣、右大臣といった役職が与えられていたのです。これが「官位相当制」という日本史でもお馴染みのワードです。
その中で、彼は日々、宮中で権力闘争に明け暮れていました。
特にやりたい放題やったのが、藤原氏ですね。藤原道長や藤原頼通という名前を聞いた事があるかもしれません。
最初は、他の一族を遠くに追いやったりしていました。そしてその後は、一族同士で藤原氏のトップになる為の争いが続きます。
平安貴族は、華やかなイメージが強い。けど、その中では、権力に溺れた男たちが闘争に明け暮れていたという事を忘れないで欲しいです。
このお話は、『栄花物語』や『大鏡』という作品によく登場します。
②その裏では、女性たちが天皇の寵愛を受ける為にドロドロの戦いを…
一方で、女性たちはどうだったのでしょうか?
まず押さえて欲しいのが、当時の男性は、何人の女性と結婚をしても良かったのです!
「正室」とか、「側室」って聞いたことありませんか?簡単に言えば、前者がメインの妻、後者がサブの妻みたいなもの。母が正室か否かによって、その子供の出世も左右されてしまう事がありました。
その法則は帝にも当てはまります。帝には、何人、いやそれ以上の女性と関係を持っていました。そしてその女性にも、ランクがあったのです。
まず一番上に位置するのが、「中宮(皇后)」(ちゅうぐう)という位です。これは、帝のメイン、第一の妻と考えて良いでしょう。帝に嫁いだ女性の父親たちは、自身の娘を「中宮(皇后)」にするよう力を尽くしました。なぜか?
もし帝と中宮の間に、子供が生まれれば、母の身分的にも、その子が天皇になる可能性が高くなります。そうすれば、女性の父親は、次期天皇の母方の祖父として実権を持てますよね?特に天皇が幼いのであれば尚更です。
※平安時代は、父親の実家に比べて、母親の実家の方が力が強かったという時代でした。
対して、中宮の下に位置するのが、「女御(にょうご)」、「更衣(こうい)」という位です。この2つは、それぞれ一人に限定されず何名かがそのランクに属するといった形です。
『源氏物語』が、まさにこの平安京の女性たちの世界=「後宮(こうきゅう)」と呼ばれる世界を描いています。
先ほどの振り返りですが、最初の一文では、「どの帝の御代であったか、女御・更衣が沢山いらっしゃった中で、とても高貴な身分ではないが、すぐれて帝からのご寵愛を受けている方がいらっしゃった」という訳が出来ます。この方が、主人公:光源氏(ひかるげんじ)の母である「桐壺の更衣(きりつぼのこうい)」という女性でした。更衣ですから、身分は高くありません。ですが、そんな事はお構いなしに時の帝からご寵愛を受けていたという事です。
そんな女性が傍に居たらどうでしょう?そうです。他の女性たちは嫉妬してしまったのです。「なんであの女が…」こんな嫉妬の目を向けられ、桐壺の更衣は段々と嫌がらせも受けるようになります。そんな昼ドラみたいな世界が、この平安京での女性の世界なのです。
③最期には、仏の道に入って、仏様にすがっていく‥
さて、最後に、ちょっと話が飛びますが、仏教の事についても触れておきます。特に「出家(しゅっけ)」についてです。
出家とは簡単に言えば、頭を坊主にして、お坊さんになることです。女性で言えば、尼さんになる事ですね。平安時代の帝や貴族は、自身が政治の舞台から引退する際、出家をする事が多かったのです。前者で言えば、出家した帝は、「法皇(ほうおう)」と呼ばれました。
自らがこの世を去る前に、仏様にすがっておきたかったのでしょう。平安時代は、浄土教という仏教の一派が人気を博していました。「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えて、阿弥陀仏様にすがれば、きっと来世は極楽浄土(=天国)に行ける。そんな考えが民衆の間で広まり、やがては貴族の間でも主流となります。歴史ドラマでもよく、その人が世を去る際に、お経を唱えながら…というシーンが出てきます。
古文において、出家を表す表現はいくつかあります。「おこなふ(おこなう)」や「御髪下ろす」という表現が代表的です。出家だけでいろんな表現がある。いかに当時の人々にとって、出家が珍しい事ではなかったが分かります。
また先ほどの話に戻りますが、誰かが病気に罹った際、仏教パワーで治癒を目指したのも、また平安時代の特徴です。
平安時代は、密教(みっきょう)という仏教の一種が盛んになります。詳しい説明は避けますが、火を焚いて、数珠を持ちつつ、皆で一斉にお経を唱える…そんな光景を何等かで目にした事がある方もいるかもしれません。約1000年前、当時の人々は、神や仏にすがれば、病気も治るものだと信じていました。逆に治らなければ、それは誰かに祟られているのだと見なされるようになった。
医学が発達した現代では、到底有り得ないですよね。しかし、そんなファンタジーめいた事を、当時の人々は真面目に実践していたのです。
古文常識:お薦めの参考書2選
ここまでお話してきたのが、皆さんに押さえて欲しい古文常識の一部です!
では、こうした知識をどのように蓄えて行けば良いのか?独学でも出来るお薦めの参考書を2つ紹介します!
①古文単語帳の巻末
実は、古文単語帳の巻末に、「几帳(きちょう)」や「御簾(みす)」といった古文の世界で登場する道具や行事などの名前が一覧で掲載されています!ここには和歌の枕詞や、「睦月(むつき)、「如月(きさらぎ)」といった旧暦の呼び方などもまとめてあります。古文単語と一緒に、少しずつ覚えていくのも良いかもしれません!
②マドンナ古文常識217
こちらのマドンナ古文常識は、その名の通り古文常識だけをまとめた貴重な参考書です!
例えば、「通ふ(かよう)」という単語があります。この意味を説明するのみならず、その当時、男性が女性宅の下へ通う事の意味などを丁寧に解説しています。また、「垣間見る(かいまみる)」といった普通であれば現代語訳のみの掲載で済まされる単語も、きちんと「男が女性宅をのぞき見すること」の合法性と、その意味を説明してくれています!(現代では、勿論捕まりますよ)
また、武田塾チャンネルでは、古文常識の大切さを説明した動画もアップされています。是非、ご覧ください!(所要時間4~5分ほどです)
〇【古文点数アップ】古文常識を学べば古文が読みやすくなる! 武田塾チャンネル
↓下のリンクから動画を参考にしてみて下さい!
https://youtu.be/Jqppu9Z58Eg?si=EX8FjfLCpgyH36oe
まとめ:古文常識を知って、物語の背景をイメージできるよう役立てていこう!
古文は、単語や文法だけをマスターしても、何となく覚えた日本語訳を当てはめる事しかできません。
どうして男が女性宅をのぞき見しているのか、なぜ女性は直接好きと言わずに、わざわざ和歌で男性に恋文を送るのか…現代の価値観では理解できないのが、約1000年前の古文の世界なのです。
だからこそ、皆さんは古文の世界観を知っていく必要があります。中世は身分が絶対、そして物の怪や仏教パワーが普通に信じられている時代なのです。そんな世界観をメンドクサイと思わず、ある意味ファンタジ―な作品を読んでいると考えてみましょう!そしたら、少しだけ古文が面白くなるかもしれません。
とはいえど、古文は誰しもが苦手とする科目の一つだと思います。
何かお困りの事が有れば、是非、武田塾柏校の受験相談までお越しください!
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